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意思なき呪い
第5話 “ソイツ”の正体
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「君の前に現れたのは、怪異、あやかし、妖怪などと言われているものだよ。」
間宮さんから発せられた言葉に僕は落胆を隠せなかった。
「そうですよね…それは何となくわかります。」
「君が本当に知りたいのは正体じゃなくて、何でこんな目に遭ってるのか、だよね?」
「…そう…かもしれません。」
自分で言うことでもないかもしれないけど、今まで大きな恨みを買ったことはないと思う。
肝試しなんかもしてないし、変なおまじないみたいな事もしたことがない。
昔から霊感ゼロだと周りから言われて興味を持った事すら無かった。
なのにどうして僕はこんな理不尽な目に遭っているのだろうか。
悪い事をしている奴も、恨みを買ってる奴も世の中には沢山いるじゃないか!
「僕は普通に会社に行って、真面目に仕事をして過ごしていただけですよ?!おかしいじゃないですか!」
「そうだね」
「何で!何で僕だけがこんな目に遭わなきゃいけないんですか?!理不尽じゃないですか?!ねぇ間宮さん、霊能者なんでしょ?ちゃんと説明してくださいよ!」
間宮さんに当たることではない、と頭では分かっているのに言葉が止まらなかった。
たった3日でソイツのせいで金縛りに遭い、奇妙な出来事が続き、腕にも背中にも無数の切り傷ができた。
あまり感情の起伏はない方だと思っていたが、僕はそれほどまでに追い詰められていたのだろう。
「残念だけど、特に理由はないんだよね。たまたまだよ。」
「そんな…じゃあどうすれば…」
2度目の失望の方がずっと重く感じられた。
「結論から言っちゃってごめんね、ちゃんと説明するね。」
「はい…」
「さっきは妖怪みたいなもの、と言ったが”厄災”や”災害”と言った方が受け止めやすいかもしれないね。」
「はぁ…」
「例えば君は雷に打たれた時に、理不尽だと思う?」
「いえ…運が悪かったなって思います。」
「そうだね、良いとか悪いとかは関係はない。アレはそういう類のものなんだよ。」
分かったような気はするが、やっぱりどこかもやっとした気持ちが残る。
「元々は幽霊だったはずなんだよね。それが穢れや他の霊のマイナスの感情が混ざって、ぐちゃぐちゃになったみたいだね。」
「僕はどうすればいいんですか、外に出なければ助かりますか?ねぇ!」
そう言った瞬間、玄関からカリカリと爪で引っ掻くような音がした。
「ひぃ…」
「大丈夫、君がここにいるのはバレていないよ。アレはああやって全てのドアを開けようとしてるだけだから。」
間宮さんはこんな状態でも全く動揺をしていない様に見えた。
部屋にカリカリとした音だけが響いていたが、いつも間にか静かになり僕は頭の中を整理し始めていた。
「君は幽霊とアレの違いって何だと思う?」
「うーん、足の有無とかですか?」
「惜しい、感情や意志の有無だよ。」
(惜しかったのか…?)
「アレには警戒や防衛機能といった本能的なものはあるけれど、君への恨みや痛めつけたいって意思はない。」
「はぁ…」
「感情や意思がない分、プログラムの様にある程度の行動パターンがあって案外ロジカルなんだよ。」
「分かった様な分からないような…。」
「安心して、今日中にちゃんとお家に帰してあげるから。」
そう言って間宮さんはニコニコしながらお風呂場に向かった。
間宮さんから発せられた言葉に僕は落胆を隠せなかった。
「そうですよね…それは何となくわかります。」
「君が本当に知りたいのは正体じゃなくて、何でこんな目に遭ってるのか、だよね?」
「…そう…かもしれません。」
自分で言うことでもないかもしれないけど、今まで大きな恨みを買ったことはないと思う。
肝試しなんかもしてないし、変なおまじないみたいな事もしたことがない。
昔から霊感ゼロだと周りから言われて興味を持った事すら無かった。
なのにどうして僕はこんな理不尽な目に遭っているのだろうか。
悪い事をしている奴も、恨みを買ってる奴も世の中には沢山いるじゃないか!
「僕は普通に会社に行って、真面目に仕事をして過ごしていただけですよ?!おかしいじゃないですか!」
「そうだね」
「何で!何で僕だけがこんな目に遭わなきゃいけないんですか?!理不尽じゃないですか?!ねぇ間宮さん、霊能者なんでしょ?ちゃんと説明してくださいよ!」
間宮さんに当たることではない、と頭では分かっているのに言葉が止まらなかった。
たった3日でソイツのせいで金縛りに遭い、奇妙な出来事が続き、腕にも背中にも無数の切り傷ができた。
あまり感情の起伏はない方だと思っていたが、僕はそれほどまでに追い詰められていたのだろう。
「残念だけど、特に理由はないんだよね。たまたまだよ。」
「そんな…じゃあどうすれば…」
2度目の失望の方がずっと重く感じられた。
「結論から言っちゃってごめんね、ちゃんと説明するね。」
「はい…」
「さっきは妖怪みたいなもの、と言ったが”厄災”や”災害”と言った方が受け止めやすいかもしれないね。」
「はぁ…」
「例えば君は雷に打たれた時に、理不尽だと思う?」
「いえ…運が悪かったなって思います。」
「そうだね、良いとか悪いとかは関係はない。アレはそういう類のものなんだよ。」
分かったような気はするが、やっぱりどこかもやっとした気持ちが残る。
「元々は幽霊だったはずなんだよね。それが穢れや他の霊のマイナスの感情が混ざって、ぐちゃぐちゃになったみたいだね。」
「僕はどうすればいいんですか、外に出なければ助かりますか?ねぇ!」
そう言った瞬間、玄関からカリカリと爪で引っ掻くような音がした。
「ひぃ…」
「大丈夫、君がここにいるのはバレていないよ。アレはああやって全てのドアを開けようとしてるだけだから。」
間宮さんはこんな状態でも全く動揺をしていない様に見えた。
部屋にカリカリとした音だけが響いていたが、いつも間にか静かになり僕は頭の中を整理し始めていた。
「君は幽霊とアレの違いって何だと思う?」
「うーん、足の有無とかですか?」
「惜しい、感情や意志の有無だよ。」
(惜しかったのか…?)
「アレには警戒や防衛機能といった本能的なものはあるけれど、君への恨みや痛めつけたいって意思はない。」
「はぁ…」
「感情や意思がない分、プログラムの様にある程度の行動パターンがあって案外ロジカルなんだよ。」
「分かった様な分からないような…。」
「安心して、今日中にちゃんとお家に帰してあげるから。」
そう言って間宮さんはニコニコしながらお風呂場に向かった。
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