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第一章 幸せの青い鳥?
1-16 冒険者ギルド
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そして連れていかれた場所は、なんと『冒険者ギルド』なる場所だった。
おおーっ。そこは立派な石段の門構えを持った立派な石作りの建物で、人の出入りも頻繁にあるようだった。
武装した冒険者らしき革製の鎧などを着た人、立派な格好をした商人らしき人、あるいは普通っぽい感じの人とか、様々な人が建物から出入りしていた。
立派な建物だなあ。これは儲かっていそうだ。
ここは騎士団の本部と同じく街の中心部にあるため、場所はそう離れていなかった。
どうでもいいけど、私はまるで小さい子を連れているような感じに、道中ずっとベロニカさんに手を繋がれてしまっていた。
ここで私はよほど頼りなく見えるのですね。
これからこんな世界で生きていくのに、大変に困ったものです。
ああ、日本に帰りたい。
「はえ、冒険者ギルド。
こんな物があったのですねー」
「冒険者ギルドくらい、大きな街ならどこにでもあるでしょう。
あなた、一体どんな田舎から来たのですか⁇」
「い、いや名前くらいは前から聞いていたのですよ」
なんというか、もっぱらアレな小説の中で。
やっぱり、もふもふ系しか読みませんけど。
「魔物の素材なら、ここで買い取ってくれるわ。
それと、確か魔物関連のお話が聞きたいのでしょう」
「あ、はい。よろしくお願いします」
そして、引率のお姉さんに連れられて、子供のように手を引かれて一緒に石段を登っていった。
地球のように一つ一つの段が低くないので、お年寄りとかには大変そうな入り口だ。
手摺も設置されていないし。
中へ入ると、思わずキョロキョロと見回してしまった。
きっとこういうお上りさん的な感じを、あの副団長様にしっかりと観察されているんだろうなあ。
そこは、少し広々とした空間となっており、二辺からなるL字型のかなり大きなカウンターがあって、十数人からなる受付窓口があった。
だが、ベロニカさんはそこには並ばず、誰かを捜しているような様子だ。
すると、スカートタイプのスーツのような格好をしたピシっとした女性から声がかかった。
「ベロニカ」
そちらへ顔を向けたベロニカさんは、少し柔らかい笑みをこぼした。
もしかして仕事の出来る女同士っぽい感じの友情があるのだろうか。
こういう空気の中では私のモブさが更に香ばしいほどに引き立つ。
「サンドラ」
「久しぶりね。
その一緒にいる子は誰?
あなたが子連れでここへやってくるとはね。
もしかして、子連れの男と結婚してママにでもなったの?」
はい、完全に子ども扱いでしたね。
まあ、つい最近まで中学生だったので無理はないのですが。
もう顔付きからして、この世界の人間とは違いますので。
それはもう顎の尖った天然鮎と顎の丸い養殖鮎の違いのようなものがあるのかもしれないです、はい。
「冗談はほどほどにしてちょうだい。
あなた、今お暇ですか?」
「まあ、少なくともあなたの相手をしてあげられるくらいには」
「じゃあ、ちょっと悪いんだけど、この子の相手をしてあげてもらえない?
この子、うちの副団長預かりの子なのよ」
「へえ、リュール様の?」
少し驚いたような声で彼女は私を見た。
なんというか、珍しい物を見るような目で。
あの人って、ただの公爵家の子息じゃなくて何か特別な人なのかな。
「それで、お嬢さん。ご用件は?
私はここのサブマスをしておりますサンドラ・レイハードと申します」
「あ、どうも。私はサヤ・アドです」
「サヤード?」
「あう、サヤとアドです。
サヤが名前でアドが苗字です。
素材の買取をお願いします」
私の発音が悪いのか、短すぎる名前がいけないのか、すぐそう呼ばれてしまうな。
いっそ、それで通してしまうか。
「そうですか、失礼。
それでサヤ、手持ちの素材は何があるのかな」
「よくわかりません。全部貰い物なので」
「へえ?」
「とにかく見てもらいましょう。
サンドラ、悪いんだけどサブマス用の部屋でお願い。
ちょっと嫌な予感がするのよ。
この子、なんていうかその、少し特別な子なの」
「あらまあ。
じゃあ、そうしましょうか」
私達はサンドラさんの後をついて、二階へ上がっていった。
なんか階段に真っ赤な絨毯が敷かれていたりして、なかなか趣があった。
それから立派なドアのついたサブマス・ルームへと招き入れられ、まずソファに座り素敵な銀のティーポットでお茶を淹れてもらった。
これまた素敵な陶器のティーカップに淹れてくれたのは紅茶だ。
紅茶があるとなると、もしかするとこの世界のどこかに緑茶なんかもあるのかもしれない。
今度、探してみようっと。
「それにしても久しぶりね、ベロニカ」
「ええ、前に会ったのはいつだったかしら」
「もう覚えていないくらい前よ」
そんな二人の気さくなやりとりを聞いて尋ねてみた。
「お二人は仲がいいのですか?」
「まあ、何か荒事があったなら、背中を預け合う事になりかねない関係って感じかしら。
この国を訪問される要人の女性の関係なんかだと、よく女性騎士であるベロニカが受け持つし、私が王家からの指名依頼などで応援に行く事もあるのよ」
結構ヤバイ関係なんだ。
というか、この二人が背中を預け合う事があるような時だとヤバイ事態なのだろう。
それはさぞかし気も合う事でしょうねえ。
「じゃあ、物を見せてもらおうかな」
「はい、床に並べていっていいですか?」
「ええ、お願いね」
そして私は特に考え無しにそれを並べていった。
ハッと気がつくと二人の顔が何故か青い。
あれ、何か問題が?
「あ、あなた。
確か、それらは貰い物って言ったわよね。
これを一体、どこで?」
「えーと、場所はよくわかりません。
魔獣の七色ガルーダさん二名から頂いたので。
というか、あの方達が狩って食べ終えた物の残りというか残骸というか、これはそういう物です、はい」
二人は天を仰いだ。
おおーっ。そこは立派な石段の門構えを持った立派な石作りの建物で、人の出入りも頻繁にあるようだった。
武装した冒険者らしき革製の鎧などを着た人、立派な格好をした商人らしき人、あるいは普通っぽい感じの人とか、様々な人が建物から出入りしていた。
立派な建物だなあ。これは儲かっていそうだ。
ここは騎士団の本部と同じく街の中心部にあるため、場所はそう離れていなかった。
どうでもいいけど、私はまるで小さい子を連れているような感じに、道中ずっとベロニカさんに手を繋がれてしまっていた。
ここで私はよほど頼りなく見えるのですね。
これからこんな世界で生きていくのに、大変に困ったものです。
ああ、日本に帰りたい。
「はえ、冒険者ギルド。
こんな物があったのですねー」
「冒険者ギルドくらい、大きな街ならどこにでもあるでしょう。
あなた、一体どんな田舎から来たのですか⁇」
「い、いや名前くらいは前から聞いていたのですよ」
なんというか、もっぱらアレな小説の中で。
やっぱり、もふもふ系しか読みませんけど。
「魔物の素材なら、ここで買い取ってくれるわ。
それと、確か魔物関連のお話が聞きたいのでしょう」
「あ、はい。よろしくお願いします」
そして、引率のお姉さんに連れられて、子供のように手を引かれて一緒に石段を登っていった。
地球のように一つ一つの段が低くないので、お年寄りとかには大変そうな入り口だ。
手摺も設置されていないし。
中へ入ると、思わずキョロキョロと見回してしまった。
きっとこういうお上りさん的な感じを、あの副団長様にしっかりと観察されているんだろうなあ。
そこは、少し広々とした空間となっており、二辺からなるL字型のかなり大きなカウンターがあって、十数人からなる受付窓口があった。
だが、ベロニカさんはそこには並ばず、誰かを捜しているような様子だ。
すると、スカートタイプのスーツのような格好をしたピシっとした女性から声がかかった。
「ベロニカ」
そちらへ顔を向けたベロニカさんは、少し柔らかい笑みをこぼした。
もしかして仕事の出来る女同士っぽい感じの友情があるのだろうか。
こういう空気の中では私のモブさが更に香ばしいほどに引き立つ。
「サンドラ」
「久しぶりね。
その一緒にいる子は誰?
あなたが子連れでここへやってくるとはね。
もしかして、子連れの男と結婚してママにでもなったの?」
はい、完全に子ども扱いでしたね。
まあ、つい最近まで中学生だったので無理はないのですが。
もう顔付きからして、この世界の人間とは違いますので。
それはもう顎の尖った天然鮎と顎の丸い養殖鮎の違いのようなものがあるのかもしれないです、はい。
「冗談はほどほどにしてちょうだい。
あなた、今お暇ですか?」
「まあ、少なくともあなたの相手をしてあげられるくらいには」
「じゃあ、ちょっと悪いんだけど、この子の相手をしてあげてもらえない?
この子、うちの副団長預かりの子なのよ」
「へえ、リュール様の?」
少し驚いたような声で彼女は私を見た。
なんというか、珍しい物を見るような目で。
あの人って、ただの公爵家の子息じゃなくて何か特別な人なのかな。
「それで、お嬢さん。ご用件は?
私はここのサブマスをしておりますサンドラ・レイハードと申します」
「あ、どうも。私はサヤ・アドです」
「サヤード?」
「あう、サヤとアドです。
サヤが名前でアドが苗字です。
素材の買取をお願いします」
私の発音が悪いのか、短すぎる名前がいけないのか、すぐそう呼ばれてしまうな。
いっそ、それで通してしまうか。
「そうですか、失礼。
それでサヤ、手持ちの素材は何があるのかな」
「よくわかりません。全部貰い物なので」
「へえ?」
「とにかく見てもらいましょう。
サンドラ、悪いんだけどサブマス用の部屋でお願い。
ちょっと嫌な予感がするのよ。
この子、なんていうかその、少し特別な子なの」
「あらまあ。
じゃあ、そうしましょうか」
私達はサンドラさんの後をついて、二階へ上がっていった。
なんか階段に真っ赤な絨毯が敷かれていたりして、なかなか趣があった。
それから立派なドアのついたサブマス・ルームへと招き入れられ、まずソファに座り素敵な銀のティーポットでお茶を淹れてもらった。
これまた素敵な陶器のティーカップに淹れてくれたのは紅茶だ。
紅茶があるとなると、もしかするとこの世界のどこかに緑茶なんかもあるのかもしれない。
今度、探してみようっと。
「それにしても久しぶりね、ベロニカ」
「ええ、前に会ったのはいつだったかしら」
「もう覚えていないくらい前よ」
そんな二人の気さくなやりとりを聞いて尋ねてみた。
「お二人は仲がいいのですか?」
「まあ、何か荒事があったなら、背中を預け合う事になりかねない関係って感じかしら。
この国を訪問される要人の女性の関係なんかだと、よく女性騎士であるベロニカが受け持つし、私が王家からの指名依頼などで応援に行く事もあるのよ」
結構ヤバイ関係なんだ。
というか、この二人が背中を預け合う事があるような時だとヤバイ事態なのだろう。
それはさぞかし気も合う事でしょうねえ。
「じゃあ、物を見せてもらおうかな」
「はい、床に並べていっていいですか?」
「ええ、お願いね」
そして私は特に考え無しにそれを並べていった。
ハッと気がつくと二人の顔が何故か青い。
あれ、何か問題が?
「あ、あなた。
確か、それらは貰い物って言ったわよね。
これを一体、どこで?」
「えーと、場所はよくわかりません。
魔獣の七色ガルーダさん二名から頂いたので。
というか、あの方達が狩って食べ終えた物の残りというか残骸というか、これはそういう物です、はい」
二人は天を仰いだ。
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