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第一章 幸せの青い鳥?
1-6 魔獣とお料理
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いくつかの香草をブレンドして肉に摺り込み、成型しやすいように少し水を加えて固めた塩に包み葉っぱで包んで、更に泥で包んだ。
大体、こんな感じの作り方だったんじゃないかと思い、これで試作する事にした。
試しに一緒に球根も同梱してみた。
アルミホイルがあると球根(芋の代用)のホイル焼きが出来るのだが、それはさすがに無い物強請りなので諦めた。
なんとなく芋っぽい物もあるので、これは焼き芋にしてもいいが、空中に浮かぶ魔法の火だと上手く焼けるか不安があるので、これはまたの機会にするとして。
あるいは一個は試してみてもいいかもしれない。
岩塩ステーキの方は、まずそのまま焼いてみた。
これもガルさんの風魔法でスッパリとステーキっぽく肉を切って焼いてみた。
塩窯焼きの方は時間かかりそうなので、こっちから試食。
「どれどれ」
大きな肉の端っこをいただくので、豪快な感じがする。
肉汁たっぷりで、そして肝心のお味の方はと。
「美味い。
やっぱり、岩塩焼きは塩味もマイルドな味になって美味しいな。
余分な脂も吸ってくれるし」
「ほお、これはなかなか美味いものだな。
この岩塩、このような使い方が出来るとは」
「日頃はそう使わないけど、日本でも最近はキャンプなんかで使うんだよ」
「日本?」
「私の国の名前だよ。
そういえば、ここはなんて国?」
「ここは名もない辺境の地だ。
人間達がなんと呼んでいるかは知らぬ。
通常なら人は立ち入らぬ地であるのでな。
だから、あのような場所でポツンと一人でおったお前に興味を持った」
「……またえらい田舎に出て来ちゃったものね。
こりゃ、ガルさんに会えなかったら、絶対に死んでいるなあ」
「はっはっは、あの場所は大変見晴らしが良いのでな。
空から見るのとはまた違う絶景よ。
我もあそこには、それを見るためだけにたまに行くのさ」
「なるほどー、確かにね」
それから、今度はステーキの香草焼きにしてみたが、これもいけた。
そして岩塩プレートは厚めにしたせいか割れずに十分持ち堪えた。
「これ、岩塩プレートに焦げ目がついてしまうから、ぬるま湯で洗わないといけないんだけど、そうすると塩だから溶けてきちゃうんだよね。
そうなると薄くなって今までの火力に耐えられなくなって爆ぜてしまいそうだし。
まあ小さくなったら、砕いて塩にしちゃえばいいんだけど」
それから塩窯焼きの方を引っ張り出したが、これもまた結構いけた。
豪快に塩の塊を割っていただきましたよ。
球根も結構ホクホクだ。
さすがに塩分がきつそうだから、こういう料理ばかり食べてはいられないけれど、昨日からどうにも御飯が薄味なもんで。
「うーん、こういう料理は食材の素材の良さが決めてだと思うの。
このお肉、彼女も好物なのかしらね」
「ああ、これは我らガルーダの好物でな。
お前らの言う所の牛類の生き物だな」
「へえ、ビーフだったのかあ。
言われてみれば、そんな感じの味かなあ。
美味しい」
今日は一日、食材集めや料理でほぼ終わってしまった気がする。
まあそれもいいかな。
「じゃあ、明日は本番という事で」
「お、おう。しかし、うーむ」
「もう、ガルさんったら煮え切らないですね。
もうやるしかないんでしょうに」
「そ、そうではあるがな。
今まで何度も玉砕しておる故……」
「じゃあ、今日は塒へ帰って早く寝ますよ」
「わかった……」
そして翌朝。
夕べも、しっかりとガルさんを布団代わりにして爆睡していた私は快調に目を覚ました。
いやあ、高級羽毛布団って寝心地が最高。
ガルさんの羽根って人間の街で買ったら凄く高そうだし。
さすがに羽毛布団を作れるほどの量は羽根を貰えないだろうなあ。
ガルさんに作ってもらった岩鍋で塩と野草のスープを煮てみた。
同じくガルさん製の岩包丁で、なんとか芋も薄く切って煮込み、具にしてみた。
「ガルさんも味見してみる?
キノコのいいのがあったら、いい出汁が出て美味しいスープになりそうだけど毒キノコは怖いからなあ」
「お前、鑑定を使えんのか?」
「あ、そういう物もあったんでしたっけ」
「まあ、毒のある食い物も少なくないからな。
鑑定は持っているなら練習しておくと便利だぞ」
「精進します」
それから、今までの食材のレパートリーで、なんとか昨日の朝食を質で上回る事に成功した。
鍋の洗いも魔法でバッチリだった。
まずざっと水洗いをしてから浄化の魔法をかけておけば十分だったし、岩塩プレートのお手入れにも威力を発揮した。
あれはなるべく洗いたくない物だし、洗う時も洗い過ぎないようにする物なので、浄化一発でOKだった。
しかし、食器がすべて岩石から加工した物というのはいかがなものか。
なんか重厚感たっぷりの食卓なのですが。
そのうちになんとか木のスプーンやお椀なんかを作らなくては。
ああ、箸くらいならなんとか自分でも作れそう。
その前に人間の街に行けるとよいのだけれども。
大体、こんな感じの作り方だったんじゃないかと思い、これで試作する事にした。
試しに一緒に球根も同梱してみた。
アルミホイルがあると球根(芋の代用)のホイル焼きが出来るのだが、それはさすがに無い物強請りなので諦めた。
なんとなく芋っぽい物もあるので、これは焼き芋にしてもいいが、空中に浮かぶ魔法の火だと上手く焼けるか不安があるので、これはまたの機会にするとして。
あるいは一個は試してみてもいいかもしれない。
岩塩ステーキの方は、まずそのまま焼いてみた。
これもガルさんの風魔法でスッパリとステーキっぽく肉を切って焼いてみた。
塩窯焼きの方は時間かかりそうなので、こっちから試食。
「どれどれ」
大きな肉の端っこをいただくので、豪快な感じがする。
肉汁たっぷりで、そして肝心のお味の方はと。
「美味い。
やっぱり、岩塩焼きは塩味もマイルドな味になって美味しいな。
余分な脂も吸ってくれるし」
「ほお、これはなかなか美味いものだな。
この岩塩、このような使い方が出来るとは」
「日頃はそう使わないけど、日本でも最近はキャンプなんかで使うんだよ」
「日本?」
「私の国の名前だよ。
そういえば、ここはなんて国?」
「ここは名もない辺境の地だ。
人間達がなんと呼んでいるかは知らぬ。
通常なら人は立ち入らぬ地であるのでな。
だから、あのような場所でポツンと一人でおったお前に興味を持った」
「……またえらい田舎に出て来ちゃったものね。
こりゃ、ガルさんに会えなかったら、絶対に死んでいるなあ」
「はっはっは、あの場所は大変見晴らしが良いのでな。
空から見るのとはまた違う絶景よ。
我もあそこには、それを見るためだけにたまに行くのさ」
「なるほどー、確かにね」
それから、今度はステーキの香草焼きにしてみたが、これもいけた。
そして岩塩プレートは厚めにしたせいか割れずに十分持ち堪えた。
「これ、岩塩プレートに焦げ目がついてしまうから、ぬるま湯で洗わないといけないんだけど、そうすると塩だから溶けてきちゃうんだよね。
そうなると薄くなって今までの火力に耐えられなくなって爆ぜてしまいそうだし。
まあ小さくなったら、砕いて塩にしちゃえばいいんだけど」
それから塩窯焼きの方を引っ張り出したが、これもまた結構いけた。
豪快に塩の塊を割っていただきましたよ。
球根も結構ホクホクだ。
さすがに塩分がきつそうだから、こういう料理ばかり食べてはいられないけれど、昨日からどうにも御飯が薄味なもんで。
「うーん、こういう料理は食材の素材の良さが決めてだと思うの。
このお肉、彼女も好物なのかしらね」
「ああ、これは我らガルーダの好物でな。
お前らの言う所の牛類の生き物だな」
「へえ、ビーフだったのかあ。
言われてみれば、そんな感じの味かなあ。
美味しい」
今日は一日、食材集めや料理でほぼ終わってしまった気がする。
まあそれもいいかな。
「じゃあ、明日は本番という事で」
「お、おう。しかし、うーむ」
「もう、ガルさんったら煮え切らないですね。
もうやるしかないんでしょうに」
「そ、そうではあるがな。
今まで何度も玉砕しておる故……」
「じゃあ、今日は塒へ帰って早く寝ますよ」
「わかった……」
そして翌朝。
夕べも、しっかりとガルさんを布団代わりにして爆睡していた私は快調に目を覚ました。
いやあ、高級羽毛布団って寝心地が最高。
ガルさんの羽根って人間の街で買ったら凄く高そうだし。
さすがに羽毛布団を作れるほどの量は羽根を貰えないだろうなあ。
ガルさんに作ってもらった岩鍋で塩と野草のスープを煮てみた。
同じくガルさん製の岩包丁で、なんとか芋も薄く切って煮込み、具にしてみた。
「ガルさんも味見してみる?
キノコのいいのがあったら、いい出汁が出て美味しいスープになりそうだけど毒キノコは怖いからなあ」
「お前、鑑定を使えんのか?」
「あ、そういう物もあったんでしたっけ」
「まあ、毒のある食い物も少なくないからな。
鑑定は持っているなら練習しておくと便利だぞ」
「精進します」
それから、今までの食材のレパートリーで、なんとか昨日の朝食を質で上回る事に成功した。
鍋の洗いも魔法でバッチリだった。
まずざっと水洗いをしてから浄化の魔法をかけておけば十分だったし、岩塩プレートのお手入れにも威力を発揮した。
あれはなるべく洗いたくない物だし、洗う時も洗い過ぎないようにする物なので、浄化一発でOKだった。
しかし、食器がすべて岩石から加工した物というのはいかがなものか。
なんか重厚感たっぷりの食卓なのですが。
そのうちになんとか木のスプーンやお椀なんかを作らなくては。
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