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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-70 フェアリーズ・パーティ
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俺は最強鎧を装着し、まずは槍を手にした。フリージアが凄まじい氷の足枷を伸ばし、奴の足を絡めとるというか、足の部分を腹に至るまで凍り付かせた。
この寒い山頂付近では、彼女の力は非常に強まる。
奴は一瞬にして見事に身動きが取れなくなった。
「では昆虫(節足動物)採集行きます。
おりゃあー」
俺は雪崩を起こさないように控えめに硬い岩を選んで蹴って跳んだ。
ウインディアの補助で更に飛んで、そのまま逆落としに魔法槍と化した『斬撃無双マッチレス』で頭に体ごと刺突した。
散々強化された身体と、コントンでもらった最強の勇者の鎧のお蔭で、こんな真似をやらかして反動を受けても俺自身はどうってことない。
ダメージ軽減や回復力も半端ではないのだ。
同時に槍の魔法攻撃も野郎の脳天に叩き込む。
槍の先から放たれた光条は奴の頭の中で炸裂した。
目まで光ってやがるのが面白いところだ。
「チッ、固いなあ」
一応、脳天に刺さるには刺さったしダメージは与えたはずなのだが、仕留められていない。
奴のあの波動のような哭きが山に木霊するかのように響き渡った。
しかし、体が妙に軽い。
あれだな、先輩のアドバイズが効いているんだな。
ここのところ、ずっと軽かった気がする。
俺はそれにパワーを込めて、さらに奴の脳天に突き刺しパワーを込めたが、そいつの目や口から光が漏れ放たれ、体は痙攣しているのだが、さらにそいつが哭いただけに終わった。
「簡単に死なないなあ」
「こいつ、生命力が半端じゃないよ」
「邪気ではなくてスキルの方を封じておいてよかった。
この化け物がどんなスキルを持っていやがるものか、わかったもんじゃない。
よし、バラバラにしよう」
俺は『勇者の剣』を抜いた。
もちろん、コントンでもらった方であって、間違っても孤児院で貰った『ゆうしゃのけん』の方ではない。
あっちの『せいけん』は心の中に装備してあるのだ。
あれだって凄い勇気が湧く素晴らしいアイテムなんだぜ。
俺はそいつの頭の上から、バニッシュの手によりフレイム系を付与されたそいつで蜘蛛の足を焼き斬ろうとしたが、ふと気がついた。
こいつはもう弱弱しい。
どたまに、あれだけ槍のパワーをぶち込んでやったからな。
普通なら死んでいるはずなのだ。
もしかしたら根性で耐えていただけなのだろうか。
「是非とも欲しいな。
そんな、ど根性魔物は」
俺は一旦剣を収め、そいつの頭の上で踊り出した。
あの踊りを。
「あんた、何がしたいわけ?」
俺はもちろんルミナスの言う事など聞いていない。
何かこう、こいつを踊る事によって、自分自身にも何かが分泌されたかの如くの恍惚な何かが訪れるのだ。
一種のスキルの副作用のようなものなのかもしれない。
俺は勇者スタイルで一心に踊り続け、ハッと気がついたら目の前に狼に跨った人々が、困惑を眼に張り付けてこちらを伺っていた。
もちろん、そのうちの一人はジャニス君だった。
俺は軽い咳払いを一つすると、大蜘蛛の頭の上からひらりっと飛び降りて、彼に向かって話しかけた。
「お手」と。
もちろん、それは恭しく実行された。
ちゃんと隷属化出来たようだ。
そいつの右前足は、前もってフリージアに言って自由にさせてあった。
「勇者リクルは、ど根性魔物を仲間に入れた!」
「おい!」
もちろん、突っ込みを入れてくれたのは、我が愛しの土精霊『大地のアイドル・ホーリー・グランディア』様だ。
「やあ、人質救出ご苦労様」
「ご苦労様、じゃないわいな。
何やっとんの、あんたは。
それより、人攫い達を捕まえたわいな。
こやつらはどうするのでありんす?」
「へえ?」
そいつらは、槌の精霊の操る不思議な蔓のような物でがんじがらめに拘束されていた。
下級の使い魔のような物か。
いわゆる両手両足はあるのだが、人とは異なる不気味な顔立ちに細い手足で、肩の筋肉は凄く頭から背中にかけて一体化したような、人間で言えば逆三角形っぽい体格のようだが、どうにもバランスが上手くない造形だ。
いかにも見た目はクリーチャーって感じの奴なのだがな。
「うーん、どうにも雑魚過ぎる連中だけど、何かに使えるかもなあ。
グランディア、そいつら全部、殺さん程度に絞めてみて」
「もう実施済みでありんす」
「よっしゃあ」
俺は再び踊り出し、間もなく全員(五十体)が新たな俺の眷属となった。
「あのう……」
話しかけてきたのはジャニス君と思しき少年だった。
「君、ジャニス君かい?
俺はご両親から君の捜索を依頼された冒険者だ。
無事でよかった。
さあ帰ろう。
そっちの人達は?」
俺は、眷属の狼達の背中の上で半分死んでいるような感じの人々、約八名について訊ねていた。
「みんな攫われていた人達です。
よくわからないけど、みんな食事も与えられて生かされていたみたいです。
僕も七合目の景色に夢中になっていたら攫われちゃって」
「はて、それは何のために?」
「わかりません。
その怪物達は人語を発しませんでしたから」
「まあいい、帰ろうか。
ご両親も心配しているよ。
それにしても先輩はどうしちまったのかな。
こういう強者の匂いは逃がさない人のはずなのだけど」
俺は首を振りつつ帰る事にしたのだが、この巨大すぎる大蜘蛛をどうしようか。
だが奴は、自ら『俺の収納の中』へ潜り込んだ。
「ヤベエな、こいつら。
こんな事も出来るのか⁉」
「ああ、多分それはあんたの眷属になったからだと思うよ。
たぶん、この狼やラスター達もいつもはそこにいるんじゃないの」
「そ、そいつは知らなかったなあ。
無限収納って、なんて便利なんだろう」
「まあ、それが出来るのはたぶん特殊な能力を持っている奴らだけよ。
まあ扉の中で見かける奴らは大丈夫じゃない?」
「まあ便利なんだからいいさ」
そしてスキルのバージョンは15.5どまりだった。
この寒い山頂付近では、彼女の力は非常に強まる。
奴は一瞬にして見事に身動きが取れなくなった。
「では昆虫(節足動物)採集行きます。
おりゃあー」
俺は雪崩を起こさないように控えめに硬い岩を選んで蹴って跳んだ。
ウインディアの補助で更に飛んで、そのまま逆落としに魔法槍と化した『斬撃無双マッチレス』で頭に体ごと刺突した。
散々強化された身体と、コントンでもらった最強の勇者の鎧のお蔭で、こんな真似をやらかして反動を受けても俺自身はどうってことない。
ダメージ軽減や回復力も半端ではないのだ。
同時に槍の魔法攻撃も野郎の脳天に叩き込む。
槍の先から放たれた光条は奴の頭の中で炸裂した。
目まで光ってやがるのが面白いところだ。
「チッ、固いなあ」
一応、脳天に刺さるには刺さったしダメージは与えたはずなのだが、仕留められていない。
奴のあの波動のような哭きが山に木霊するかのように響き渡った。
しかし、体が妙に軽い。
あれだな、先輩のアドバイズが効いているんだな。
ここのところ、ずっと軽かった気がする。
俺はそれにパワーを込めて、さらに奴の脳天に突き刺しパワーを込めたが、そいつの目や口から光が漏れ放たれ、体は痙攣しているのだが、さらにそいつが哭いただけに終わった。
「簡単に死なないなあ」
「こいつ、生命力が半端じゃないよ」
「邪気ではなくてスキルの方を封じておいてよかった。
この化け物がどんなスキルを持っていやがるものか、わかったもんじゃない。
よし、バラバラにしよう」
俺は『勇者の剣』を抜いた。
もちろん、コントンでもらった方であって、間違っても孤児院で貰った『ゆうしゃのけん』の方ではない。
あっちの『せいけん』は心の中に装備してあるのだ。
あれだって凄い勇気が湧く素晴らしいアイテムなんだぜ。
俺はそいつの頭の上から、バニッシュの手によりフレイム系を付与されたそいつで蜘蛛の足を焼き斬ろうとしたが、ふと気がついた。
こいつはもう弱弱しい。
どたまに、あれだけ槍のパワーをぶち込んでやったからな。
普通なら死んでいるはずなのだ。
もしかしたら根性で耐えていただけなのだろうか。
「是非とも欲しいな。
そんな、ど根性魔物は」
俺は一旦剣を収め、そいつの頭の上で踊り出した。
あの踊りを。
「あんた、何がしたいわけ?」
俺はもちろんルミナスの言う事など聞いていない。
何かこう、こいつを踊る事によって、自分自身にも何かが分泌されたかの如くの恍惚な何かが訪れるのだ。
一種のスキルの副作用のようなものなのかもしれない。
俺は勇者スタイルで一心に踊り続け、ハッと気がついたら目の前に狼に跨った人々が、困惑を眼に張り付けてこちらを伺っていた。
もちろん、そのうちの一人はジャニス君だった。
俺は軽い咳払いを一つすると、大蜘蛛の頭の上からひらりっと飛び降りて、彼に向かって話しかけた。
「お手」と。
もちろん、それは恭しく実行された。
ちゃんと隷属化出来たようだ。
そいつの右前足は、前もってフリージアに言って自由にさせてあった。
「勇者リクルは、ど根性魔物を仲間に入れた!」
「おい!」
もちろん、突っ込みを入れてくれたのは、我が愛しの土精霊『大地のアイドル・ホーリー・グランディア』様だ。
「やあ、人質救出ご苦労様」
「ご苦労様、じゃないわいな。
何やっとんの、あんたは。
それより、人攫い達を捕まえたわいな。
こやつらはどうするのでありんす?」
「へえ?」
そいつらは、槌の精霊の操る不思議な蔓のような物でがんじがらめに拘束されていた。
下級の使い魔のような物か。
いわゆる両手両足はあるのだが、人とは異なる不気味な顔立ちに細い手足で、肩の筋肉は凄く頭から背中にかけて一体化したような、人間で言えば逆三角形っぽい体格のようだが、どうにもバランスが上手くない造形だ。
いかにも見た目はクリーチャーって感じの奴なのだがな。
「うーん、どうにも雑魚過ぎる連中だけど、何かに使えるかもなあ。
グランディア、そいつら全部、殺さん程度に絞めてみて」
「もう実施済みでありんす」
「よっしゃあ」
俺は再び踊り出し、間もなく全員(五十体)が新たな俺の眷属となった。
「あのう……」
話しかけてきたのはジャニス君と思しき少年だった。
「君、ジャニス君かい?
俺はご両親から君の捜索を依頼された冒険者だ。
無事でよかった。
さあ帰ろう。
そっちの人達は?」
俺は、眷属の狼達の背中の上で半分死んでいるような感じの人々、約八名について訊ねていた。
「みんな攫われていた人達です。
よくわからないけど、みんな食事も与えられて生かされていたみたいです。
僕も七合目の景色に夢中になっていたら攫われちゃって」
「はて、それは何のために?」
「わかりません。
その怪物達は人語を発しませんでしたから」
「まあいい、帰ろうか。
ご両親も心配しているよ。
それにしても先輩はどうしちまったのかな。
こういう強者の匂いは逃がさない人のはずなのだけど」
俺は首を振りつつ帰る事にしたのだが、この巨大すぎる大蜘蛛をどうしようか。
だが奴は、自ら『俺の収納の中』へ潜り込んだ。
「ヤベエな、こいつら。
こんな事も出来るのか⁉」
「ああ、多分それはあんたの眷属になったからだと思うよ。
たぶん、この狼やラスター達もいつもはそこにいるんじゃないの」
「そ、そいつは知らなかったなあ。
無限収納って、なんて便利なんだろう」
「まあ、それが出来るのはたぶん特殊な能力を持っている奴らだけよ。
まあ扉の中で見かける奴らは大丈夫じゃない?」
「まあ便利なんだからいいさ」
そしてスキルのバージョンは15.5どまりだった。
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