外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
149 / 169
第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン

2-61 ど根性勇者

しおりを挟む
 それから、姐御はふと気がついたようだ。

「お前、またスキルのバージョンが上がったのか。
 また珍妙な称号がついておるな」

「あ、うん」

【レバレッジど根性で15.0】

 もはやこの俺の魂のスキル自体が、これが根性スキルである事を隠さなくなってきた。

 こいつはまた酷いものだ。

 俺こそはど根性勇者とでもいうべきものなのだろうか。

 農家の跡取り予定者として厳しく育てられ、畑で根性を入れ過ぎていたので、そのような根性を常に見せる性格に生まれ育っているのだし。

 そいつは今のスキルの発生状況からすると、実にありがたくない傾向なのだが。

 基本能力スキルは【無敵の鍛錬1日1万回スクワット】

 体力の上昇が制限時間十分の間、再現なく続くスキルで、肉弾戦の決着戦に向く。

 解除後に立ち上がれるかどうかは根性次第という禁断の根性スキルか。

 前回に引き続き根性論路線を一直線に突っ走っていやがるな。

 これはまだいいのだ。
 たぶん、強敵相手に自動で発動しそうな気もするし。

 だが派生スキルの方が完全に駄目な代物だった。

 特殊技能は【あたしゃ今年で八十になります】

 また変なタイトルのスキルが発現していた。

 この先に取得できるだろうと予測される未来に得られる力の状態まで圧倒的にブーストされる究極ブーストだとある。

 ただし先の時系列において、一瞬でもスキル発現当時に予測した(受け取った)力に達しない、鍛錬をサボってその予測数値を下回ると、そこが限界点と判定されてそこよりなかなか進めない壁にぶち当たる。

 この損失は発狂レベルだ。

 たとえば十年に設定すると、三日後にうっかり精進が瞬間だけ不足したなんていったら、十年間成長なしっていう事だ。

 それを越えるためにはスキル発動時間から設定した期間と同じだけの上乗せ期間の間は常時、予定よりも倍の精進が必要になるマイナス補正が働き続ける。

 油断すると物凄い利息を払う羽目になるのだ。

 その歳月の間は精進の半分が全て無駄になるという、ありえない人生が待っている。

 十年分使ったとすると、もし三日目の時点で精進が足りなければ、その先の十年間も合わせた二十年間は常時二倍の量の精進が必要なペナルティが発生するのだ。

 確実に、そのスキル発動時に受け取った力を、受け取った時に設定した未来の時点で期間内は常時越えていないといけない。

 たとえ一瞬でも下回ったら駄目なので、実際には安全マージンをみて、本来すべき精進の二・五倍から三倍の精進が必要だろう。

 時間設定次第ではスキルを付与した人間全員の持つ能力成長の未来を閉ざしてしまうし、第一その前に心が折れてしまう。

 将来の精進を担保にレバレッジするという、ある意味で一番凶悪なブーストスキルだ。

 こんなものは絶対に使わないぞ。
 いくらなんでもリスクが割に合わなすぎる。

 まるで鍛練を前倒ししての精進促進スキルだ。
 これは俺よりもマロウス向きの代物だった。

 補助は【栄光のパレード】

 スキルを与えた者には、どこまでも行軍する力を与えるが、限度を超えると二度と立ち上がれない。

 まだこっちの方がいいか。
 パーティメンバーや使役する眷属も、後でまとめてダウンだけど。

 でもやり過ぎると『二度と立ち上がれない』とあるから、やっぱり駄目だな。

 俺は邪神様ではなく、おそらく邪神に対抗するために俺の魂が生み出しただろう、これらのスキルの方を封印しておいた。

 さすがに他人巻き添え系の凶悪スキルは使用できない。

 自分だけでも使いたくない代物なのだから。

 どうやら俺の魂は果てしなく続くデスパレードのような、ど根性路線のスパルタスキル道を究めたいと思っているようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

処理中です...