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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-45 猟犬ターワン(犬ではない)
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そして俺は彼に、ラスター1という事でラスターワンを縮めたターワンという名を付けて、さらに親睦を深めた。
そして、今はその背中の上に乗せてもらっているほどだ。
毛だらけのボディは毛を逆立てたりしなければ、これで案外とクッションが効いていて座り心地がよかったりする。
多脚を駆使し上手にバランスを取ってくれているので、乗り心地にも素晴らしい配慮がある。
「ターワン、他の扉を見つけられるか」
彼は右前足を上げて返事に代えてくれた。
そう、これが俺のやりたかった事なのだ。
こいつなら、仲間のいる場所がわかるかもしれない。
運がいいと、ラスター狩り放題でバージョンアップし放題コースなのだ。
あまり楽をすると却ってバージョンが上がりにくくなる気もするのだが。
「呆れた、何を考えているのかと思えば。
いつも通りのリクルだったわけね」
「エラヴィス閣下、それ以外の何だと思っていたのです?
運がいいと、敵のラスターを狩れる味方ラスター部隊を編制できるかも。
鍛え上げ、さらに戦術を教え込めば、敵が有する数の優位を覆せるかも。
ああ、男のロマンだなあ」
「だが、やっぱり俺は自分でやる方が好きだな。
そうでないと、鍛錬の意義が薄れる」
「まあ、ほどほどにしておけよ。また偉い人からの説教の嵐になっても知らんからな」
その偉い人の頂点があんただよな、姐御。
だが、彼女自身もそれは有りかと思っているようだった。
やっぱり闇雲にどこにあるのかわからないような扉を探して回るのは厭なものらしい。
精霊の能力に続いての猟犬(猟蜘蛛)ゲットは、この聖教国のトップから辛くも容認されたようだ。
再起動した先輩は、俺の説明を聞いてから見事なまでに大人しい。
そいつの後をつけているだけで求める獲物が見つかるのなら言う事はないので。
自分が先輩に追われた時の事を考えると怖いくらい見事なまでに、ぴったりと俺達の後ろをついてきている。
そしてターワンは、ふと足を止めた。
「見つけたか」
先輩は、ずいっと前に出たが、ターワンは右前足を振って否定した。
先輩にもそれは通じたらしく妙な顔をしている。
「じゃあ何故止まる。
早く先に行け」
だがターワンは一歩も動かずに、じっと『地面』を見ている。
もしや、ここのダンジョンの管理魔物⁉
俺は警戒して快適な移動式座布団から慌てて降りた。
だが、彼はまったく緊張しておらず、なんと足を折り曲げて腹を石の地面につける格好の『お座り』をしてしまった。
「なんだあ⁉」
「どうした、リクル」
「さあ、何か知らないが、そいつを待っているようです。
敵じゃあなさそうなんだけど。
アイドル軍団、何かわかるかい」
そして彼女らは口々にこう言った。
「ああ、これか」
「いいから待ってなよ」
「人間のお楽しみタイムだよ」
「ちょっと焦らしているよね」
「こういう時の方が、当たりも出そうなんじゃない」
「なんだ、そうか。
ターワンったら脅かしやがって」
だが他の人達はまだ警戒していて、姐御も詰問してきた。
「おい、どうなっているのだ」
「ああ、特に心配ないっすよー。
すぐにわかるから待っていてくださいな」
やがて、石の表面がもこもこしてきて、そいつが姿を現した。
普通の土饅頭ではなく、石で出来たような感じのつるつるの石で出来た卵のような奴だった。
「おや、宝箱だったのか。
この遺跡ゾーンで宝箱が湧くのか。
なんと非常識な。
まあリクルのやる事だから、これもありという事か」
「へえ、この蜘蛛なかなか賢いじゃない。
前もって宝箱が出るのもわかるんだ」
「面白いな。
バニッシュへの土産が欲しいところだが、中身は何かな」
「く、くだらん。俺はそんな物に用などない!」
この人、ありがたい宝箱様に向かってなんという事を。
他の人なら大喜びするのに。
いっそ、先輩用に特大のミミックが出てこないものかな。
いや、蜘蛛が五十二体出てきた事もあったよな。
さすがにそれは、サイコロで六の出目を出しまくってから、一の出目を出すくらいの凶行に及ばない限りは出そうにないはずだが。
それに、うちの蜘蛛や精霊達がここまで寛いでいるのだから、先輩向けの贈答品が出る事はまずあるまいよ。
もし蜘蛛が大量に出たとしても、それはフルメンバーで狩るだけの酒池肉林タイムなだけなのだが。
「しかし、こいつはでかいな」
「リクル、これはあんたが呼んだの?」
「うーん、それはなんていうかな。
確かに俺は、宝箱、しかもいい物をブースト無しで引き当てる能力はあるのさ。
通常でも『レバレッジ』が効いているからね」
「なるほどな。
他のパーティに知られたら、お前の争奪戦が始まりそうだな」
「聖女様パーティの勇者相手に?」
「さすがにそれはないか」
「リクル、そんな物はとっとと開けて先に進むぞ」
もう先輩はせっかちだな。
お楽しみはこれもなのじゃ!
「では、ポチっとなあ」
その、かなり大型の土饅頭ならぬ石饅頭はパカっと左右に別れたのだが、中から出てきた物は『宝箱』だった。
そして、今はその背中の上に乗せてもらっているほどだ。
毛だらけのボディは毛を逆立てたりしなければ、これで案外とクッションが効いていて座り心地がよかったりする。
多脚を駆使し上手にバランスを取ってくれているので、乗り心地にも素晴らしい配慮がある。
「ターワン、他の扉を見つけられるか」
彼は右前足を上げて返事に代えてくれた。
そう、これが俺のやりたかった事なのだ。
こいつなら、仲間のいる場所がわかるかもしれない。
運がいいと、ラスター狩り放題でバージョンアップし放題コースなのだ。
あまり楽をすると却ってバージョンが上がりにくくなる気もするのだが。
「呆れた、何を考えているのかと思えば。
いつも通りのリクルだったわけね」
「エラヴィス閣下、それ以外の何だと思っていたのです?
運がいいと、敵のラスターを狩れる味方ラスター部隊を編制できるかも。
鍛え上げ、さらに戦術を教え込めば、敵が有する数の優位を覆せるかも。
ああ、男のロマンだなあ」
「だが、やっぱり俺は自分でやる方が好きだな。
そうでないと、鍛錬の意義が薄れる」
「まあ、ほどほどにしておけよ。また偉い人からの説教の嵐になっても知らんからな」
その偉い人の頂点があんただよな、姐御。
だが、彼女自身もそれは有りかと思っているようだった。
やっぱり闇雲にどこにあるのかわからないような扉を探して回るのは厭なものらしい。
精霊の能力に続いての猟犬(猟蜘蛛)ゲットは、この聖教国のトップから辛くも容認されたようだ。
再起動した先輩は、俺の説明を聞いてから見事なまでに大人しい。
そいつの後をつけているだけで求める獲物が見つかるのなら言う事はないので。
自分が先輩に追われた時の事を考えると怖いくらい見事なまでに、ぴったりと俺達の後ろをついてきている。
そしてターワンは、ふと足を止めた。
「見つけたか」
先輩は、ずいっと前に出たが、ターワンは右前足を振って否定した。
先輩にもそれは通じたらしく妙な顔をしている。
「じゃあ何故止まる。
早く先に行け」
だがターワンは一歩も動かずに、じっと『地面』を見ている。
もしや、ここのダンジョンの管理魔物⁉
俺は警戒して快適な移動式座布団から慌てて降りた。
だが、彼はまったく緊張しておらず、なんと足を折り曲げて腹を石の地面につける格好の『お座り』をしてしまった。
「なんだあ⁉」
「どうした、リクル」
「さあ、何か知らないが、そいつを待っているようです。
敵じゃあなさそうなんだけど。
アイドル軍団、何かわかるかい」
そして彼女らは口々にこう言った。
「ああ、これか」
「いいから待ってなよ」
「人間のお楽しみタイムだよ」
「ちょっと焦らしているよね」
「こういう時の方が、当たりも出そうなんじゃない」
「なんだ、そうか。
ターワンったら脅かしやがって」
だが他の人達はまだ警戒していて、姐御も詰問してきた。
「おい、どうなっているのだ」
「ああ、特に心配ないっすよー。
すぐにわかるから待っていてくださいな」
やがて、石の表面がもこもこしてきて、そいつが姿を現した。
普通の土饅頭ではなく、石で出来たような感じのつるつるの石で出来た卵のような奴だった。
「おや、宝箱だったのか。
この遺跡ゾーンで宝箱が湧くのか。
なんと非常識な。
まあリクルのやる事だから、これもありという事か」
「へえ、この蜘蛛なかなか賢いじゃない。
前もって宝箱が出るのもわかるんだ」
「面白いな。
バニッシュへの土産が欲しいところだが、中身は何かな」
「く、くだらん。俺はそんな物に用などない!」
この人、ありがたい宝箱様に向かってなんという事を。
他の人なら大喜びするのに。
いっそ、先輩用に特大のミミックが出てこないものかな。
いや、蜘蛛が五十二体出てきた事もあったよな。
さすがにそれは、サイコロで六の出目を出しまくってから、一の出目を出すくらいの凶行に及ばない限りは出そうにないはずだが。
それに、うちの蜘蛛や精霊達がここまで寛いでいるのだから、先輩向けの贈答品が出る事はまずあるまいよ。
もし蜘蛛が大量に出たとしても、それはフルメンバーで狩るだけの酒池肉林タイムなだけなのだが。
「しかし、こいつはでかいな」
「リクル、これはあんたが呼んだの?」
「うーん、それはなんていうかな。
確かに俺は、宝箱、しかもいい物をブースト無しで引き当てる能力はあるのさ。
通常でも『レバレッジ』が効いているからね」
「なるほどな。
他のパーティに知られたら、お前の争奪戦が始まりそうだな」
「聖女様パーティの勇者相手に?」
「さすがにそれはないか」
「リクル、そんな物はとっとと開けて先に進むぞ」
もう先輩はせっかちだな。
お楽しみはこれもなのじゃ!
「では、ポチっとなあ」
その、かなり大型の土饅頭ならぬ石饅頭はパカっと左右に別れたのだが、中から出てきた物は『宝箱』だった。
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