外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
119 / 169
第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン

2-31 お宝?

しおりを挟む
 それからは、俺達が宝箱から引っ張り出した中身についての検証だった。

 そして、それはまたこのバルバディア聖教国トップクラスの関係者を大きく呆れさせるような物ばかりだった。

「このオートマタ。
 メイドと言いつつ完全に使用目的が戦闘一本ですな。

 ラスターの群れと交戦して、傷だらけになりながらも立派に稼働しているし、自己修復機能まである。

 大事な主人も見事に守り切ったようだし、たいしたものです。
 戦闘メイドの鏡のようなものですなあ」

 このナタリー、そこまで凄い物だったのか。
 あれで、あの濃ささえなければなあ。

 さすがの俺も、あれの主だけは勘弁していただきたい。
 まさに、あのリナという天然主と組むべくして出会った運命の主従だな。

「この材質は何なのでしょうね。
 古代文明の遺物でしょうからなあ。

 本来なら国家によって没収物なのですが、もう認識した主人以外の言う事など聞きはしないでしょうから、この戦闘機械を無力化するのもまず不可能ですしね」

 ナタリーを無力化するためだけでも、あの蜘蛛の軍団並みの猛攻で攻めないと駄目だろうし、それを越えれば主のために憤死するのがオチだな。

 それにあれは、油断すると主を守るために魔力爆発で自爆くらい敢行しそうな漢なのだ。

「それより、こっちの箱の方が大問題ですな。

 これは太古の記録によると、大昔の王家の機密が収められた、今では失われた技術で作られている、『我々が決して見てはいけない』物が入った特殊収納箱のようなのです。

 念のために訊いておきますが、誰もこれの中身は見ていませんね?」

 ここの冒険者協会長の神官様が、眼鏡を直しつつジロリっと俺達を眺め回した。

 しゃ、洒落にならねえ。
 なんで、このダンジョンはそんな物ばかり産出しやがるのか。

 俺のせい?
 俺のスキルのせいなの⁉

「見てない、見てない。
 だってそんな物は開けられないよ。

 どんないい物かと思って期待していたのに、がっかりだ~。
 そんな物がなんでダンジョンの宝箱から出てくるのよう」

 だが、そのリナの泣きは、あっさり受け流された。

「そんな事は我々だって知りませんよ!
 まあ、もしかしたら今の王家にだって開けられないものかもしれませんが」

「それ、隠した意味があるの⁉」

「まあ、見つけたお礼くらいは王家から出ると思いますよ」

「それが貰える時って、いつよ……」

 あの強気なリナが、碌でもない発掘品のために思いっきりへこんでいた。

「そいつの開封は、わしがチャレンジする楽しみにしておこう。

 だが、問題はリクルが見つけた、このでかぶつの方じゃのう。
 これは一体何なのじゃ。

 使用目的はおろか材質すら見当もつかぬわ。
 やたらと弄って危ない起動の仕方をしたり爆発したりしても困るしのう」

 ガーン。
 それってなんていうか、ただのお宝のお蔵入り宣告じゃないの。

 俺もリナに付き合って奈落の底にまで、一緒にへこむ事にした。

「えー、導師にもわからないの~」

「とにかく、一旦ここで調べてもらうしかあるまいよ。
 それまでそいつに関する報酬は保留じゃな。

 まあ調べてもわからんじゃろうから、返却されて倉庫の肥やしとなるのがオチじゃろう」

「うう、俺の手柄って、そういう物ばっかり……」

 そして、姐御が宣言した。

「やかましい。
 そんな事を言うのなら、もっとマシなお宝を取ってこい。
 もう帰るぞ」

 だが別れ際に、ケロっとした感じでリナが、年相応の女子らしく手を振って可愛く言ってくれる。

「ばいばい、リクル。
 また一緒に遊ぼうねー。
 今日は、すっごく楽しかったよ~」

「おおっ!
 俺もだぜ。
 じゃあリナ、またな~」

 俺は同じ年の、新しく出来た可愛いガールフレンドに笑顔で手を振って別れた。

 そして皆はそれを見て溜息を吐いた。

「こやつら、全然懲りておらんのう」

「まあ若い者など、こんなものよ。
 その辺りは我らエルフでも、そう変わらんくらいだ」

 う。
 もしや、姐御も少女時代にはやらかしていて、聖女バルバディア様(叔母)あたりに怒られまくっていたとか?

 姐御の希代の魔法の能力からみて、それはさぞかしスケールの大きな悪戯だったのだろうなあ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

処理中です...