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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-11 神頼みならぬスキル頼み
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「よし。じゃあこれで」
俺はそいつに突撃して攻めた。
輪の反対側から全力で突っ込んでやったのだ。
そして、当たったが奴は半分よろけたような感じになっただけで、易々と受け止めた。
くそ、俺の方が捕まったか。
だが、奴は俺を輪の反対側へ向けて軽く放った。
「ヤリナオシ。
ヤリヲツカエ、ヒリキナモノヨ」
「くっそう、さすがにこんな奴を素では倒せんか。
【マグナム・ルーレット】【神々の祝福】【祈りの力×x】発動」
サイコロの目は三。
立ちはだかる厚い壁を前に、俺のやる気の無さが出目に現れているようだった。
こいつはスキルも魔法も使ってこないし、邪悪なものですらない。
なかなかスキルの使い方にも困るような珍しい奴だった。
こいつのスキルもコピーできない。
空間を隔てられているようなので、仲間の力を借りる冒険者金融も使えないようだ。
俺は槍に魔法剣の威力を込めた。
この槍は元々、繰り出される攻撃において二倍の鋭さで刺突力などを生み出す槍らしい付与が与えられていたが、ミスリル製なのでバニッシュにより魔法槍としての使い方ができるよう弄られている。
魔力回廊とでもいうような物が中に作られ、魔力を込めると魔法槍として斬撃や刺突力が著しく増大する。
それをインパクトの瞬間に集中させて更に強める方法や、長時間に渡り使用できる方法、魔法武器の使い方の鍛練などを魔法剣士のエラヴィスから教わってきた。
「バーニング!」
その鋭い、この槍の全てのパワーを込めた一撃が突進と共にそいつを襲った。
そして、そいつに刺さる槍。
だが途中で止まった。
穂先の食い込みは、せいぜい十センチといったところか。
人間なら内蔵に達しているかどうか微妙なあたりだった。
まあ体の厚みは軽々五十センチくらいありそうなのだが。
刺さったまま押しても駄目だし、引こうとしてもビクともしねえ。
「マアマアノイチゲキダッタ。
ダガソコマデダ」
「くっそう。なんて筋肉をしていやがるんだ。
槍が筋肉に挟み込まれて動かないぜ。
どうすりゃあいいんだ、これは」
こいつは槍が本当に刺さっているのかどうかも怪しいな。
人間の肉だって、押せばへこむ。
へこんだところを肉圧で挟まれれば、ダメージなくこの状況を作り出せるだろう。
こうして槍を突っ込んでいる俺自身も、どうなっているのか手応えで判別できない感じなのだ。
まるで万力に挟まれているかのようで、どうにもこうにもしようがない。
こいつはまた弱ったぜ。
しかも相手は肉で槍を挟む以外に、自分からは何もしてこないからなあ。
奴は俺の槍を腹に刺したまま、その信じがたいほどの力を込めた堅い筋肉で挟み込んだまま腕組みをしたまま動かない。
これはもう完全に手詰まりの状態だ。
俺は仕方がないので、こういうどうしたらいいのか困ってしまった時に使う系のスキルを使ってみた。
いわば、神頼みならぬスキル頼みというわけだ。
まずは【トイボックス】から。
こいつは、何か手詰まりになっているようなシーンに駄目元で使うと、解決される物が突然出現する事もあるらしいのだが、意表をつくためにあるようなスキルなので、役に立つかどうかは微妙な代物だった。
たとえば、ダンジョンでこれを用いて宝箱を空けると中身がスカだったり、なんとなくもたれていただけのダンジョンの壁から宝物がごっそりと湧いたりする。
そんな内容なのだ。
スキルを見た時にわかる説明にそうあるだけで、実際にはまだ一度も使ってみた事はない。
運命のサイコロのように、失敗すると著しくマイナスになるような要素はあまりないのだが、思った通りに使えるようなスキルではないため、戦闘時には限られたスキル枠の中で使いにくい代物だ。
初めて使う代物だが、とりあえずスキルを唱えてみた。
すると、何がどうなったのか知らないがそいつは突如として笑い出し、そしてのけぞったため、必死で抜こうとして引いていた槍は、あっさりと外れた。
だが、それだけであった。
槍が使えるようになっただけである。
見たところでは、やはり俺の全力の一撃によるダメージはないようだな。
しばらく時間が経ってしまったので、全エネルギーを放出してしまった槍の力は復活していた。
うーん、微妙な効果だ。
起きた事象自体は、期待通りの? アレな内容であったのだが。
奴には、爆笑させた以外のダメージは通っていなそうだ。
「オノレ、ワレヲココマデワラワストハ。
ヤルナ、キサマ」
「いや、特にそうたいした事はしてないけどな……」
うーん、敵から褒めてもらえる効果はあったようだなあ。
あいつは一体何がおかしかったのだろうか。
そこが俺的には大変気になるポイントだ。
俺はそいつに突撃して攻めた。
輪の反対側から全力で突っ込んでやったのだ。
そして、当たったが奴は半分よろけたような感じになっただけで、易々と受け止めた。
くそ、俺の方が捕まったか。
だが、奴は俺を輪の反対側へ向けて軽く放った。
「ヤリナオシ。
ヤリヲツカエ、ヒリキナモノヨ」
「くっそう、さすがにこんな奴を素では倒せんか。
【マグナム・ルーレット】【神々の祝福】【祈りの力×x】発動」
サイコロの目は三。
立ちはだかる厚い壁を前に、俺のやる気の無さが出目に現れているようだった。
こいつはスキルも魔法も使ってこないし、邪悪なものですらない。
なかなかスキルの使い方にも困るような珍しい奴だった。
こいつのスキルもコピーできない。
空間を隔てられているようなので、仲間の力を借りる冒険者金融も使えないようだ。
俺は槍に魔法剣の威力を込めた。
この槍は元々、繰り出される攻撃において二倍の鋭さで刺突力などを生み出す槍らしい付与が与えられていたが、ミスリル製なのでバニッシュにより魔法槍としての使い方ができるよう弄られている。
魔力回廊とでもいうような物が中に作られ、魔力を込めると魔法槍として斬撃や刺突力が著しく増大する。
それをインパクトの瞬間に集中させて更に強める方法や、長時間に渡り使用できる方法、魔法武器の使い方の鍛練などを魔法剣士のエラヴィスから教わってきた。
「バーニング!」
その鋭い、この槍の全てのパワーを込めた一撃が突進と共にそいつを襲った。
そして、そいつに刺さる槍。
だが途中で止まった。
穂先の食い込みは、せいぜい十センチといったところか。
人間なら内蔵に達しているかどうか微妙なあたりだった。
まあ体の厚みは軽々五十センチくらいありそうなのだが。
刺さったまま押しても駄目だし、引こうとしてもビクともしねえ。
「マアマアノイチゲキダッタ。
ダガソコマデダ」
「くっそう。なんて筋肉をしていやがるんだ。
槍が筋肉に挟み込まれて動かないぜ。
どうすりゃあいいんだ、これは」
こいつは槍が本当に刺さっているのかどうかも怪しいな。
人間の肉だって、押せばへこむ。
へこんだところを肉圧で挟まれれば、ダメージなくこの状況を作り出せるだろう。
こうして槍を突っ込んでいる俺自身も、どうなっているのか手応えで判別できない感じなのだ。
まるで万力に挟まれているかのようで、どうにもこうにもしようがない。
こいつはまた弱ったぜ。
しかも相手は肉で槍を挟む以外に、自分からは何もしてこないからなあ。
奴は俺の槍を腹に刺したまま、その信じがたいほどの力を込めた堅い筋肉で挟み込んだまま腕組みをしたまま動かない。
これはもう完全に手詰まりの状態だ。
俺は仕方がないので、こういうどうしたらいいのか困ってしまった時に使う系のスキルを使ってみた。
いわば、神頼みならぬスキル頼みというわけだ。
まずは【トイボックス】から。
こいつは、何か手詰まりになっているようなシーンに駄目元で使うと、解決される物が突然出現する事もあるらしいのだが、意表をつくためにあるようなスキルなので、役に立つかどうかは微妙な代物だった。
たとえば、ダンジョンでこれを用いて宝箱を空けると中身がスカだったり、なんとなくもたれていただけのダンジョンの壁から宝物がごっそりと湧いたりする。
そんな内容なのだ。
スキルを見た時にわかる説明にそうあるだけで、実際にはまだ一度も使ってみた事はない。
運命のサイコロのように、失敗すると著しくマイナスになるような要素はあまりないのだが、思った通りに使えるようなスキルではないため、戦闘時には限られたスキル枠の中で使いにくい代物だ。
初めて使う代物だが、とりあえずスキルを唱えてみた。
すると、何がどうなったのか知らないがそいつは突如として笑い出し、そしてのけぞったため、必死で抜こうとして引いていた槍は、あっさりと外れた。
だが、それだけであった。
槍が使えるようになっただけである。
見たところでは、やはり俺の全力の一撃によるダメージはないようだな。
しばらく時間が経ってしまったので、全エネルギーを放出してしまった槍の力は復活していた。
うーん、微妙な効果だ。
起きた事象自体は、期待通りの? アレな内容であったのだが。
奴には、爆笑させた以外のダメージは通っていなそうだ。
「オノレ、ワレヲココマデワラワストハ。
ヤルナ、キサマ」
「いや、特にそうたいした事はしてないけどな……」
うーん、敵から褒めてもらえる効果はあったようだなあ。
あいつは一体何がおかしかったのだろうか。
そこが俺的には大変気になるポイントだ。
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