85 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-85 試練の塔?
しおりを挟む
「では、バニッシュは研究のために神殿に残り、マイアが代わりに入るという事でいいな」
「はい、聖女様、よろしくお願いいたします。
明日は皆様も初日ですので、皆様にここへ慣れていただくために邪気払いを十分にかけて、魔物の出現を押さえながら探索してまいるといたしましょう」
「うむ、ではそうするか」
あ、魔物の出現を押さえるなんて言ったから先輩はちょっと不服そうだな。
まあいいんだけど。
俺はその意見に賛成だぜ、ちょっと考えている事もあるので。
まだ使っていないスキルを試しておきたいのさ。
「ではエラヴィス、我々は明日に備えて装備などを整えに行くぞ。
マロウスは……聞くまでもないな」
うん、どうせ一人で鍛錬なんだよね。
だが彼は以外にもこう言ったのだ。
「久しぶりだから、俺も塔に登ってみるかな。
あそこでの鍛錬も気持ちの良いものだ」
なんて、おっさんだよ。
あの見上げるばかりの塔は鍛錬をしにいくのに登る階段くらいにしか考えていないのか。
「ほお、ビーストベアー。
久しぶりにあんたを追い回せるとは面白い」
「だが、ついてこれるかな。
いくら踏破者といえども、たかが人間風情が」
あ、先輩の目が燃えた。
狂気というよりも純粋にメラっと。
きっと今までマロウスを追いかけても捕まえられなかったんだなあ。
「その言葉、必ずや後悔させてやろう」
「かかってくるがいい。
落胤たる者、その気概でなくてはな。
そうでなければ、あの勇者の血を引く王家の血筋が泣こうというものよ」
もうマロウスったら、なんて事を。
人の心の闇を抉りまくりだ。
完全にクレジネスたるあの先輩を挑発していやがる。
勝負に本気は付き物ってかあ。
ちょっと俺には真似ができないような豪気さだこと。
もう既に種族的なレベルで完全に無理ですわ。
だが先輩は不気味な笑みを顔いっぱいに張り付けて実に嬉しそうだ。
こ、これは素で喜んでいやがる。
やっぱり、こっちも大概だったかあ。
くっそお、いつかバージョンアップで高みに登り、こいつらをぶっちぎりで追い抜いてやるぜ。
そのためには鍛錬と精進と根性しかないのだ。
外れスキル勇者の三原則だな。
「よおし、みんな。
まとめて塔登りで勝負だあ~」
そして、俺達は案内の神官マイアに誘われ、塔へと向かった。
「こちらにございますわ。
それでは一回目の登頂は私が案内いたします。
私も最近は大司祭様のお手伝いばかりでございまして、ダンジョンに潜るのは久しぶりですから、本日は皆様とご一緒に鍛錬する事にいたします」
なんか、この人が今さらっと凄い事を言った気がする。
俺はともかくとして、ダンジョンの踏破者で自らクレジネスなどと名乗るダンジョンコアさえ脅すような化け物や、そいつが追いかけ回しても捕まえられないような人外の鍛錬オタクと一緒に?
俺だって一応は聖女様から勇者と呼ばれるような人間なのだが、ちょっとこの人には引くなあ。
そして案内されて解放されたままの、広めの入り口を潜ると、そこはなんと内径が軽く三十メートル以上はありそうな中空の塔になっていた。
見上げれば高さ百五十メートルはありそうなところに天板が見える。
そこの上が天空の闘技場か何かにでもなっているのだろうか。
選ばれた(登頂できた)者だけが参加できるというルールか何かの。
内部を螺旋のように手摺付きの階段が幾重にも重なって頂点を目指すようになっている、まるで試練の塔だ。
俺は思わず息を飲んだ。
これはまた、えらい場所だなあ。
「どうした。
臆したのか、リクル」
「なんだったら、お前は引き返してもいいぞ。
俺は今からそこの熊野郎と決着をつける事にする」
「まあ、さすがは聖女様のパーティだけあって熱いですわね」
駄目だ、俺はまだまだ、ほんの若輩者に過ぎなかった。
ちょっと管理魔物だの蜥蜴の大群なんかを片付けたくらいで、いい気になっていたチンピラに過ぎない。
この人達、ちょっと頭がおかしい。
見ろよ、あの割合と下の方にいる奴、もう青い顔をしてへたりこんで歩けないみたいじゃないか。
そういう奴らがあちこちにいて、よく観察していると、なんとベテラン神官による救助隊が大勢出動しているみたいだぞ。
しかも、ありえない事に『縦登りコース』まであるじゃないか。
鉄の梯子みたいになっている奴とか、登るためのでっぱりがついている場所とか、その上それらすらない場所を指や足先をかけて登る上級者コースまで存在した。
いや存在していない。
自分で勝手にそういうコースを自己開発しているだけだなのだった。
やっぱり、ここはそういう一種の鍛錬施設なのだ。
何が祈りの塔だよ、ふざけやがって。
だが俺は負けねえぞ!
「はい、聖女様、よろしくお願いいたします。
明日は皆様も初日ですので、皆様にここへ慣れていただくために邪気払いを十分にかけて、魔物の出現を押さえながら探索してまいるといたしましょう」
「うむ、ではそうするか」
あ、魔物の出現を押さえるなんて言ったから先輩はちょっと不服そうだな。
まあいいんだけど。
俺はその意見に賛成だぜ、ちょっと考えている事もあるので。
まだ使っていないスキルを試しておきたいのさ。
「ではエラヴィス、我々は明日に備えて装備などを整えに行くぞ。
マロウスは……聞くまでもないな」
うん、どうせ一人で鍛錬なんだよね。
だが彼は以外にもこう言ったのだ。
「久しぶりだから、俺も塔に登ってみるかな。
あそこでの鍛錬も気持ちの良いものだ」
なんて、おっさんだよ。
あの見上げるばかりの塔は鍛錬をしにいくのに登る階段くらいにしか考えていないのか。
「ほお、ビーストベアー。
久しぶりにあんたを追い回せるとは面白い」
「だが、ついてこれるかな。
いくら踏破者といえども、たかが人間風情が」
あ、先輩の目が燃えた。
狂気というよりも純粋にメラっと。
きっと今までマロウスを追いかけても捕まえられなかったんだなあ。
「その言葉、必ずや後悔させてやろう」
「かかってくるがいい。
落胤たる者、その気概でなくてはな。
そうでなければ、あの勇者の血を引く王家の血筋が泣こうというものよ」
もうマロウスったら、なんて事を。
人の心の闇を抉りまくりだ。
完全にクレジネスたるあの先輩を挑発していやがる。
勝負に本気は付き物ってかあ。
ちょっと俺には真似ができないような豪気さだこと。
もう既に種族的なレベルで完全に無理ですわ。
だが先輩は不気味な笑みを顔いっぱいに張り付けて実に嬉しそうだ。
こ、これは素で喜んでいやがる。
やっぱり、こっちも大概だったかあ。
くっそお、いつかバージョンアップで高みに登り、こいつらをぶっちぎりで追い抜いてやるぜ。
そのためには鍛錬と精進と根性しかないのだ。
外れスキル勇者の三原則だな。
「よおし、みんな。
まとめて塔登りで勝負だあ~」
そして、俺達は案内の神官マイアに誘われ、塔へと向かった。
「こちらにございますわ。
それでは一回目の登頂は私が案内いたします。
私も最近は大司祭様のお手伝いばかりでございまして、ダンジョンに潜るのは久しぶりですから、本日は皆様とご一緒に鍛錬する事にいたします」
なんか、この人が今さらっと凄い事を言った気がする。
俺はともかくとして、ダンジョンの踏破者で自らクレジネスなどと名乗るダンジョンコアさえ脅すような化け物や、そいつが追いかけ回しても捕まえられないような人外の鍛錬オタクと一緒に?
俺だって一応は聖女様から勇者と呼ばれるような人間なのだが、ちょっとこの人には引くなあ。
そして案内されて解放されたままの、広めの入り口を潜ると、そこはなんと内径が軽く三十メートル以上はありそうな中空の塔になっていた。
見上げれば高さ百五十メートルはありそうなところに天板が見える。
そこの上が天空の闘技場か何かにでもなっているのだろうか。
選ばれた(登頂できた)者だけが参加できるというルールか何かの。
内部を螺旋のように手摺付きの階段が幾重にも重なって頂点を目指すようになっている、まるで試練の塔だ。
俺は思わず息を飲んだ。
これはまた、えらい場所だなあ。
「どうした。
臆したのか、リクル」
「なんだったら、お前は引き返してもいいぞ。
俺は今からそこの熊野郎と決着をつける事にする」
「まあ、さすがは聖女様のパーティだけあって熱いですわね」
駄目だ、俺はまだまだ、ほんの若輩者に過ぎなかった。
ちょっと管理魔物だの蜥蜴の大群なんかを片付けたくらいで、いい気になっていたチンピラに過ぎない。
この人達、ちょっと頭がおかしい。
見ろよ、あの割合と下の方にいる奴、もう青い顔をしてへたりこんで歩けないみたいじゃないか。
そういう奴らがあちこちにいて、よく観察していると、なんとベテラン神官による救助隊が大勢出動しているみたいだぞ。
しかも、ありえない事に『縦登りコース』まであるじゃないか。
鉄の梯子みたいになっている奴とか、登るためのでっぱりがついている場所とか、その上それらすらない場所を指や足先をかけて登る上級者コースまで存在した。
いや存在していない。
自分で勝手にそういうコースを自己開発しているだけだなのだった。
やっぱり、ここはそういう一種の鍛錬施設なのだ。
何が祈りの塔だよ、ふざけやがって。
だが俺は負けねえぞ!
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた
アタラクシア
ファンタジー
人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。
はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。
目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。
クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。
――根源に至る『四騎士』
――世界征服を企む『ナイトメア』
――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』
異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。
はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。
長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる