47 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-47 スキル・チェンジ
しおりを挟む
「よくやった、リムル。怪我は大丈夫か」
セラシアが追加の強力な回復魔法を放ってくれたので、ほどなく俺は全快した。
いくら強力な回復魔法を受けたって普通の人間ならしばらく寝込んでいないといけないほどの大怪我だったのだが、回復力二十一倍は、とんでもない回復と再生をもたらす。
まるで、あの真っ二つにされながらも神速で元通りになったミスリルの槍であるかのようだ。
俺は彼女の傍らに寄り添い確認した。
「大丈夫です。
お蔭で全回復しました。
敵は四人ですよね」
「ああ、間違いない。
さすがに、お前が放った予想以上の威力のあの特大魔法を食らったのだから、上級だけがかろうじて生き残ったようだな。
あの魔法陣を認め、瞬時に部下を見捨ててこちらへ向かったのだろう」
いやあ、さすが賊だけあって命汚いねえ。
むしろ感心するわ。
他の三人が一対一で戦闘している気配が遠くに感じられる。
技と力を極めた、経験の深い上級冒険者同士の激闘だ。
俺だったら、もうとっくに切り伏せられているだろう。
「ほお、お前は餓鬼の癖になかなかやるな。
確かに斬ったはずだが、まあ素早く避けた分だけ威力が浅かったか。
わざわざ起き上がってくるとはいい根性だ。
そのまま寝ておれば長生きできたものを」
は、お褒めに預かって光栄だねえ。
だがそれは、おくびにも出さない
「抜かせ、盗賊。
あんたなんか、あのクレジネスに比べたらどうって事ないさ」
まあ俺だって先輩を倒したわけじゃあないのだが、狙われて生き延びた事には変わりない。
それにスキルを先輩から借りたとはいえ、俺はあの特級の怪物を倒したのだ。
カミエの野郎はそれを聞いて怒るどころか不敵に笑った。
くそ、あのイカれた先輩と比べられる事など自慢でしかないってか。
うっかりと敵を喜ばせちまったな。
そういうのって妙に戦闘中でも力になる事があるんだ。
リクルよ、減点1だな。
頭の中でブライアンの見えない拳骨が飛んできて、俺は思い出し痛みに顔を顰めた。
「姐御、今回のブーストはあと残り三分ほどで終了します。
その後のクールタイムは十分間。
何か近接で使える攻撃魔法をください。
使い勝手のいい物理系の奴を」
「よし、では行くぞ、小僧」
そして姐御が放ったのは、蛇のように放った刺突魔法だ。
こいつは素早く放てるらしい。
さしずめニードルスネークってところか。
俺はそいつをコピーして、重ねてのコピーに成功した。
先程の大魔法は俺の手持ちの駒からは消滅し、代わりに入手したそれを放ち続けた。
威力はオリジナルの実に四十二倍で、今の姐御の十四倍だ。
今、俺のスキルはバージョン7.0。
基本能力には自動で発動する【攻撃力二倍】を持っている。
俺があまりにも特殊技能に特化して進化させるので、基本能力の部分で攻撃へのブーストがかかってしまったようだ。
どうやらこいつは借りてきたスキルや魔法にもブーストがかかるらしい。
このタイミングで実にありがたい。
いや、この修羅場のタイミングだからこそ、俺の魂の中からそれが生まれてきたのだ。
次々と繰り出す超高速の刺突魔法は奴を追い回した。
だが素早い。
俺のブーストされたニードルスネークは、一撃でちょっとした岩でも砕いてしまう。
俺の魔法には魔法力が必要ない。
スキルとして発動しているからだ。
そうでなければ、さっきみたいな超強力な爆炎魔法は俺なんかには使えない。
だが、男は不敵な表情を隠さない。
「リクル、不用意にあまり近づくな!」
俺はその瞬間に大きく背後へ飛び跳ねた。
ふいー、危ない!
だが今度はショルダーアーマーを切り裂かれるだけで済んだ。
こいつめ、近接の斬撃魔法を使うのか。
だから疾風と呼ばれるような神速を身に付けたのだな。
こいつは凄い威力だ。
さっき俺がやられたのもこれなんだろう。
おそらくはこいつが彼の魂のスキルなのだ。
こいつの本性は、さしずめ【切り裂きハヤテ】ってところか。
有名な犯罪者をもじったフレーズだけどな。
まるで通り魔のような奴だ。
こりゃあ街を所払いになるわけだぜ。
こいつならば街で辻斬りすらやっていたかもしれない。
あの先輩だってそこまでイカれていやしないさ。
畜生、どうせならこっちのスキルをパクるのだった。
もうタイムアップ寸前だから間に合わないだろうが。
「いや、まだ間に合うかも。
試してみるか」
俺はそいつの斬撃魔法を刺突魔法の超連続で往なしながら、それを試した。
次に放った時に俺の刺突魔法は出せなかった。
奴は嘲笑い、スキルで俺を叩き切ろうとしたが、次の瞬間にはもう笑えなかったようだ。
奴は見事に真っ二つになっていたのだから。
奴が放った斬撃のスキルごと。
吃驚した表情が印象的な、兇道徳的な悪党の最期だった。
その三秒後にマグナム・ルーレットによるブーストの効果が切れた。
セラシアが追加の強力な回復魔法を放ってくれたので、ほどなく俺は全快した。
いくら強力な回復魔法を受けたって普通の人間ならしばらく寝込んでいないといけないほどの大怪我だったのだが、回復力二十一倍は、とんでもない回復と再生をもたらす。
まるで、あの真っ二つにされながらも神速で元通りになったミスリルの槍であるかのようだ。
俺は彼女の傍らに寄り添い確認した。
「大丈夫です。
お蔭で全回復しました。
敵は四人ですよね」
「ああ、間違いない。
さすがに、お前が放った予想以上の威力のあの特大魔法を食らったのだから、上級だけがかろうじて生き残ったようだな。
あの魔法陣を認め、瞬時に部下を見捨ててこちらへ向かったのだろう」
いやあ、さすが賊だけあって命汚いねえ。
むしろ感心するわ。
他の三人が一対一で戦闘している気配が遠くに感じられる。
技と力を極めた、経験の深い上級冒険者同士の激闘だ。
俺だったら、もうとっくに切り伏せられているだろう。
「ほお、お前は餓鬼の癖になかなかやるな。
確かに斬ったはずだが、まあ素早く避けた分だけ威力が浅かったか。
わざわざ起き上がってくるとはいい根性だ。
そのまま寝ておれば長生きできたものを」
は、お褒めに預かって光栄だねえ。
だがそれは、おくびにも出さない
「抜かせ、盗賊。
あんたなんか、あのクレジネスに比べたらどうって事ないさ」
まあ俺だって先輩を倒したわけじゃあないのだが、狙われて生き延びた事には変わりない。
それにスキルを先輩から借りたとはいえ、俺はあの特級の怪物を倒したのだ。
カミエの野郎はそれを聞いて怒るどころか不敵に笑った。
くそ、あのイカれた先輩と比べられる事など自慢でしかないってか。
うっかりと敵を喜ばせちまったな。
そういうのって妙に戦闘中でも力になる事があるんだ。
リクルよ、減点1だな。
頭の中でブライアンの見えない拳骨が飛んできて、俺は思い出し痛みに顔を顰めた。
「姐御、今回のブーストはあと残り三分ほどで終了します。
その後のクールタイムは十分間。
何か近接で使える攻撃魔法をください。
使い勝手のいい物理系の奴を」
「よし、では行くぞ、小僧」
そして姐御が放ったのは、蛇のように放った刺突魔法だ。
こいつは素早く放てるらしい。
さしずめニードルスネークってところか。
俺はそいつをコピーして、重ねてのコピーに成功した。
先程の大魔法は俺の手持ちの駒からは消滅し、代わりに入手したそれを放ち続けた。
威力はオリジナルの実に四十二倍で、今の姐御の十四倍だ。
今、俺のスキルはバージョン7.0。
基本能力には自動で発動する【攻撃力二倍】を持っている。
俺があまりにも特殊技能に特化して進化させるので、基本能力の部分で攻撃へのブーストがかかってしまったようだ。
どうやらこいつは借りてきたスキルや魔法にもブーストがかかるらしい。
このタイミングで実にありがたい。
いや、この修羅場のタイミングだからこそ、俺の魂の中からそれが生まれてきたのだ。
次々と繰り出す超高速の刺突魔法は奴を追い回した。
だが素早い。
俺のブーストされたニードルスネークは、一撃でちょっとした岩でも砕いてしまう。
俺の魔法には魔法力が必要ない。
スキルとして発動しているからだ。
そうでなければ、さっきみたいな超強力な爆炎魔法は俺なんかには使えない。
だが、男は不敵な表情を隠さない。
「リクル、不用意にあまり近づくな!」
俺はその瞬間に大きく背後へ飛び跳ねた。
ふいー、危ない!
だが今度はショルダーアーマーを切り裂かれるだけで済んだ。
こいつめ、近接の斬撃魔法を使うのか。
だから疾風と呼ばれるような神速を身に付けたのだな。
こいつは凄い威力だ。
さっき俺がやられたのもこれなんだろう。
おそらくはこいつが彼の魂のスキルなのだ。
こいつの本性は、さしずめ【切り裂きハヤテ】ってところか。
有名な犯罪者をもじったフレーズだけどな。
まるで通り魔のような奴だ。
こりゃあ街を所払いになるわけだぜ。
こいつならば街で辻斬りすらやっていたかもしれない。
あの先輩だってそこまでイカれていやしないさ。
畜生、どうせならこっちのスキルをパクるのだった。
もうタイムアップ寸前だから間に合わないだろうが。
「いや、まだ間に合うかも。
試してみるか」
俺はそいつの斬撃魔法を刺突魔法の超連続で往なしながら、それを試した。
次に放った時に俺の刺突魔法は出せなかった。
奴は嘲笑い、スキルで俺を叩き切ろうとしたが、次の瞬間にはもう笑えなかったようだ。
奴は見事に真っ二つになっていたのだから。
奴が放った斬撃のスキルごと。
吃驚した表情が印象的な、兇道徳的な悪党の最期だった。
その三秒後にマグナム・ルーレットによるブーストの効果が切れた。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた
アタラクシア
ファンタジー
人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。
はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。
目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。
クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。
――根源に至る『四騎士』
――世界征服を企む『ナイトメア』
――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』
異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。
はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。
長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる