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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-42 パーティブースト
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そして俺は追加でセラシアに頼んだ。
「あと実は派生スキルという物があって、それに一瞬だけ他人のスキルなんかをコピーできるものがあります」
「なんじゃと!?」
これには全員驚いたようだ。
「派生スキルってどういう事?」
「戦闘時なので、説明は後で。
そのスキルでセラシアさんの魔法をコピーできるかどうか試したいのです」
彼女はしばし思案の後に訊いてきた。
「そいつは有効なものなのか?」
「それは他人からコピーしたスキルをブーストできるのです。
あのダンジョン管理魔物の怪物はクレジネスの攻撃さえも弾きましたが、俺がクレジネスからの借り物のスキルを、そのスキルでブーストして倒したのです。
スキルを借りられるのは、その場でだけですが」
「なるほどな。
では最初に魔法を展開するので、お前は私と一緒にそのコピーした魔法を使ってみろ。
エラヴィス、その間はお前が一時的に殿のカバーで、リクルのポジションに入れ。
その後に速攻」
「了解」
「ありがとうございます。
道のダンジョン行の前に命の保険はかけておきたい主義でして。
ついでに皆さんも力をブーストしておきますので、各自の力の具合を確かめておいてください」
ついでに自分のスキルの有効性をアピールしておいて、上級チームにダンジョンに連れていっていただこうという、あざとい浅知恵だった。
あざとい浅知恵なるもの。
これは、この前に激しく失敗したばかりの策なのだが性格的に止められないな。
「お前は賢い。
先の事をよく考えている」
シンプルな賞賛の後で、彼女は即座に魔法の展開に入った。
冒険者のような、魔物と出会えば間髪入れずに即戦闘に入る人種が使う魔法には、当然のように詠唱などというまどろっこしい物はない。
そんな愚鈍な物を使っていたら修羅場の中で生き残れないので、必然的にそうなるのだ。
詠唱なんて行う間抜けな魔法使いは、芝居小屋の芝居の演出の中にだけしか存在しない。
そんな物が現実にいたら、とっくに死んでいる。
「これはスロウバインド。
広域に展開した相手の行動を束縛する魔法だ。
力を奪い行動を縛るものだ。一言で言えば、まるで腰まで泥沼にはまったような状態にするものだな」
「エグイ……」
その状態で神速の魔法剣士を相手にしないといけないのか。
そいつはキツイな、俺なら御免だね。
「ああいう隠れている敵に対しては有効な手段だぞ。
後はケラでも踏んでいくようなものだ。
これは気配を通じて相手の位置を察知する事も可能だ」
そして俺はスキルを放った。
【マグナム・ルーレット】【一瞬だけスキルのコピー】を発動。
ルーレットは二倍の目を出した。
魔法は見事にコピーされ、俺はそいつを放ってみた。
素晴しい、殆ど魔法力を食わない洗練された魔法だ。
もしかしたらエルフの魔法なのだろうか。
質問は後にして俺は予定通りの殿の配置へ速攻で跳んで、エラヴィスとシフトをチェンジした。
彼女がマグナム・ルーレットのブースト効果に驚愕していたようだ。
そして高速で飛び跳ねている。
俺は十二倍に増幅された自分の体の動きを把握しつつ、ブーストされている魔法の効果で敵の気配を探ってみたが、なんともうどこにも存在していなかった。
うわ、一分も経っていないはずなのに。
お姉ちゃん、張り切ったね。
そして、彼女はあっという間に戻って来た。
「凄いじゃない、君のスキル。
あいつら、まるで彫像みたいに凍り付いてしまって一ミリも動けなかったみたいよ。
あたしも身の軽さも半端じゃなかったわ」
「俺も力が漲った」
「わしもじゃ。
まあ主に力が強くなった感じで、あまり速度が上がる気はしなかったが」
「あたしは速度と魔法剣の威力かな。
敵は全部で二十三人だったけど一瞬で見つけ出して始末したわ。
知覚力も倍に上がったみたい」
そうか、全員を均質にブーストすると、それぞれの得意分野が更に尖って突出するような感じになるんだな。
「私も魔法の威力が倍増していた。
小僧、わかるか、その意味するところが」
「あなたに『タウンバスター』の異名が付きそうですね。
威力の強い魔法だと却ってダンジョン内では使えなかったりして」
自分達を吹き飛ばしちゃうからなあ。
もう一人、強力な障壁使いの魔法士が必要になる。
「ふむ、その可能性は考慮せんといかんな。
特に地下の遺跡迷宮では」
お、一緒に連れていってもらえそうな雰囲気か。
ではここで、もう一押ししておこう。
「さっきのスキルを使うと、最大であの三倍のブーストがかかりますから。
今のものは最小のブーストでした」
これには全員が絶句した。
やってみないと想像もつかないのだろう。
「それでようやく、あのダンジョン管理魔物の怪物を倒せたのです。
俺の場合は更に自分の『レバレッジ』が上乗せになりますから。
今なら自分自身には最大で三十六倍相当のブーストがかかります。
今の魔法は十二倍の威力でしたね」
あの管理魔物とやらは、ブレスでダンジョンの壁を焼き抜くような怪物だった。
よく倒せたものさ。
元になったスキルが超特級だったので、そのお蔭だ。
何しろ深奥の征服者たる踏破者のスキルだものな。
「さ、三十六倍⁉」
エラヴィスが目を剝いた。
この人は二倍ブーストであれだけ感動してたからなあ。
「あと実は派生スキルという物があって、それに一瞬だけ他人のスキルなんかをコピーできるものがあります」
「なんじゃと!?」
これには全員驚いたようだ。
「派生スキルってどういう事?」
「戦闘時なので、説明は後で。
そのスキルでセラシアさんの魔法をコピーできるかどうか試したいのです」
彼女はしばし思案の後に訊いてきた。
「そいつは有効なものなのか?」
「それは他人からコピーしたスキルをブーストできるのです。
あのダンジョン管理魔物の怪物はクレジネスの攻撃さえも弾きましたが、俺がクレジネスからの借り物のスキルを、そのスキルでブーストして倒したのです。
スキルを借りられるのは、その場でだけですが」
「なるほどな。
では最初に魔法を展開するので、お前は私と一緒にそのコピーした魔法を使ってみろ。
エラヴィス、その間はお前が一時的に殿のカバーで、リクルのポジションに入れ。
その後に速攻」
「了解」
「ありがとうございます。
道のダンジョン行の前に命の保険はかけておきたい主義でして。
ついでに皆さんも力をブーストしておきますので、各自の力の具合を確かめておいてください」
ついでに自分のスキルの有効性をアピールしておいて、上級チームにダンジョンに連れていっていただこうという、あざとい浅知恵だった。
あざとい浅知恵なるもの。
これは、この前に激しく失敗したばかりの策なのだが性格的に止められないな。
「お前は賢い。
先の事をよく考えている」
シンプルな賞賛の後で、彼女は即座に魔法の展開に入った。
冒険者のような、魔物と出会えば間髪入れずに即戦闘に入る人種が使う魔法には、当然のように詠唱などというまどろっこしい物はない。
そんな愚鈍な物を使っていたら修羅場の中で生き残れないので、必然的にそうなるのだ。
詠唱なんて行う間抜けな魔法使いは、芝居小屋の芝居の演出の中にだけしか存在しない。
そんな物が現実にいたら、とっくに死んでいる。
「これはスロウバインド。
広域に展開した相手の行動を束縛する魔法だ。
力を奪い行動を縛るものだ。一言で言えば、まるで腰まで泥沼にはまったような状態にするものだな」
「エグイ……」
その状態で神速の魔法剣士を相手にしないといけないのか。
そいつはキツイな、俺なら御免だね。
「ああいう隠れている敵に対しては有効な手段だぞ。
後はケラでも踏んでいくようなものだ。
これは気配を通じて相手の位置を察知する事も可能だ」
そして俺はスキルを放った。
【マグナム・ルーレット】【一瞬だけスキルのコピー】を発動。
ルーレットは二倍の目を出した。
魔法は見事にコピーされ、俺はそいつを放ってみた。
素晴しい、殆ど魔法力を食わない洗練された魔法だ。
もしかしたらエルフの魔法なのだろうか。
質問は後にして俺は予定通りの殿の配置へ速攻で跳んで、エラヴィスとシフトをチェンジした。
彼女がマグナム・ルーレットのブースト効果に驚愕していたようだ。
そして高速で飛び跳ねている。
俺は十二倍に増幅された自分の体の動きを把握しつつ、ブーストされている魔法の効果で敵の気配を探ってみたが、なんともうどこにも存在していなかった。
うわ、一分も経っていないはずなのに。
お姉ちゃん、張り切ったね。
そして、彼女はあっという間に戻って来た。
「凄いじゃない、君のスキル。
あいつら、まるで彫像みたいに凍り付いてしまって一ミリも動けなかったみたいよ。
あたしも身の軽さも半端じゃなかったわ」
「俺も力が漲った」
「わしもじゃ。
まあ主に力が強くなった感じで、あまり速度が上がる気はしなかったが」
「あたしは速度と魔法剣の威力かな。
敵は全部で二十三人だったけど一瞬で見つけ出して始末したわ。
知覚力も倍に上がったみたい」
そうか、全員を均質にブーストすると、それぞれの得意分野が更に尖って突出するような感じになるんだな。
「私も魔法の威力が倍増していた。
小僧、わかるか、その意味するところが」
「あなたに『タウンバスター』の異名が付きそうですね。
威力の強い魔法だと却ってダンジョン内では使えなかったりして」
自分達を吹き飛ばしちゃうからなあ。
もう一人、強力な障壁使いの魔法士が必要になる。
「ふむ、その可能性は考慮せんといかんな。
特に地下の遺跡迷宮では」
お、一緒に連れていってもらえそうな雰囲気か。
ではここで、もう一押ししておこう。
「さっきのスキルを使うと、最大であの三倍のブーストがかかりますから。
今のものは最小のブーストでした」
これには全員が絶句した。
やってみないと想像もつかないのだろう。
「それでようやく、あのダンジョン管理魔物の怪物を倒せたのです。
俺の場合は更に自分の『レバレッジ』が上乗せになりますから。
今なら自分自身には最大で三十六倍相当のブーストがかかります。
今の魔法は十二倍の威力でしたね」
あの管理魔物とやらは、ブレスでダンジョンの壁を焼き抜くような怪物だった。
よく倒せたものさ。
元になったスキルが超特級だったので、そのお蔭だ。
何しろ深奥の征服者たる踏破者のスキルだものな。
「さ、三十六倍⁉」
エラヴィスが目を剝いた。
この人は二倍ブーストであれだけ感動してたからなあ。
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