外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
42 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-42 パーティブースト

しおりを挟む
 そして俺は追加でセラシアに頼んだ。

「あと実は派生スキルという物があって、それに一瞬だけ他人のスキルなんかをコピーできるものがあります」

「なんじゃと!?」
 これには全員驚いたようだ。

「派生スキルってどういう事?」

「戦闘時なので、説明は後で。
 そのスキルでセラシアさんの魔法をコピーできるかどうか試したいのです」

 彼女はしばし思案の後に訊いてきた。
「そいつは有効なものなのか?」

「それは他人からコピーしたスキルをブーストできるのです。

 あのダンジョン管理魔物の怪物はクレジネスの攻撃さえも弾きましたが、俺がクレジネスからの借り物のスキルを、そのスキルでブーストして倒したのです。

 スキルを借りられるのは、その場でだけですが」

「なるほどな。
 では最初に魔法を展開するので、お前は私と一緒にそのコピーした魔法を使ってみろ。

 エラヴィス、その間はお前が一時的に殿のカバーで、リクルのポジションに入れ。
 その後に速攻」

「了解」

「ありがとうございます。
 道のダンジョン行の前に命の保険はかけておきたい主義でして。

 ついでに皆さんも力をブーストしておきますので、各自の力の具合を確かめておいてください」

 ついでに自分のスキルの有効性をアピールしておいて、上級チームにダンジョンに連れていっていただこうという、あざとい浅知恵だった。

 あざとい浅知恵なるもの。
 これは、この前に激しく失敗したばかりの策なのだが性格的に止められないな。

「お前は賢い。
 先の事をよく考えている」

 シンプルな賞賛の後で、彼女は即座に魔法の展開に入った。

 冒険者のような、魔物と出会えば間髪入れずに即戦闘に入る人種が使う魔法には、当然のように詠唱などというまどろっこしい物はない。

 そんな愚鈍な物を使っていたら修羅場の中で生き残れないので、必然的にそうなるのだ。

 詠唱なんて行う間抜けな魔法使いは、芝居小屋の芝居の演出の中にだけしか存在しない。
 そんな物が現実にいたら、とっくに死んでいる。

「これはスロウバインド。
 広域に展開した相手の行動を束縛する魔法だ。

 力を奪い行動を縛るものだ。一言で言えば、まるで腰まで泥沼にはまったような状態にするものだな」

「エグイ……」

 その状態で神速の魔法剣士を相手にしないといけないのか。
 そいつはキツイな、俺なら御免だね。

「ああいう隠れている敵に対しては有効な手段だぞ。
 後はケラでも踏んでいくようなものだ。
 これは気配を通じて相手の位置を察知する事も可能だ」

 そして俺はスキルを放った。
【マグナム・ルーレット】【一瞬だけスキルのコピー】を発動。

 ルーレットは二倍の目を出した。
 魔法は見事にコピーされ、俺はそいつを放ってみた。

 素晴しい、殆ど魔法力を食わない洗練された魔法だ。
 もしかしたらエルフの魔法なのだろうか。

 質問は後にして俺は予定通りの殿の配置へ速攻で跳んで、エラヴィスとシフトをチェンジした。

 彼女がマグナム・ルーレットのブースト効果に驚愕していたようだ。
 そして高速で飛び跳ねている。

 俺は十二倍に増幅された自分の体の動きを把握しつつ、ブーストされている魔法の効果で敵の気配を探ってみたが、なんともうどこにも存在していなかった。

 うわ、一分も経っていないはずなのに。
 お姉ちゃん、張り切ったね。

 そして、彼女はあっという間に戻って来た。

「凄いじゃない、君のスキル。
 あいつら、まるで彫像みたいに凍り付いてしまって一ミリも動けなかったみたいよ。
 あたしも身の軽さも半端じゃなかったわ」

「俺も力が漲った」

「わしもじゃ。
 まあ主に力が強くなった感じで、あまり速度が上がる気はしなかったが」

「あたしは速度と魔法剣の威力かな。
 敵は全部で二十三人だったけど一瞬で見つけ出して始末したわ。
 知覚力も倍に上がったみたい」

 そうか、全員を均質にブーストすると、それぞれの得意分野が更に尖って突出するような感じになるんだな。

「私も魔法の威力が倍増していた。
 小僧、わかるか、その意味するところが」

「あなたに『タウンバスター』の異名が付きそうですね。
 威力の強い魔法だと却ってダンジョン内では使えなかったりして」

 自分達を吹き飛ばしちゃうからなあ。
 もう一人、強力な障壁使いの魔法士が必要になる。

「ふむ、その可能性は考慮せんといかんな。
 特に地下の遺跡迷宮では」
 
 お、一緒に連れていってもらえそうな雰囲気か。
 ではここで、もう一押ししておこう。

「さっきのスキルを使うと、最大であの三倍のブーストがかかりますから。
 今のものは最小のブーストでした」

 これには全員が絶句した。
 やってみないと想像もつかないのだろう。

「それでようやく、あのダンジョン管理魔物の怪物を倒せたのです。
 俺の場合は更に自分の『レバレッジ』が上乗せになりますから。

 今なら自分自身には最大で三十六倍相当のブーストがかかります。
 今の魔法は十二倍の威力でしたね」

 あの管理魔物とやらは、ブレスでダンジョンの壁を焼き抜くような怪物だった。

 よく倒せたものさ。
 元になったスキルが超特級だったので、そのお蔭だ。
 何しろ深奥の征服者たる踏破者のスキルだものな。

「さ、三十六倍⁉」

 エラヴィスが目を剝いた。
 この人は二倍ブーストであれだけ感動してたからなあ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...