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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-18 新しい装備
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「ふう、本当にバージョンが上がりにくくなったな。
最初の一つ刻みが上がるのに十体かかったぞ。
次が十二で次が十五か。
ヤバイな、もうオーク相手じゃバージョンを上げるのが難しくなってきた」
とりあえず、銀貨百八十七枚分の魔石はゲットした。
この下の六階層以降で、しかもソロで戦うとなると、もう少し装備を上げたいところだ。
特に武器だ。
さすがに重い棍棒じゃ分が悪い。
特に次の六階層の相手は素早いのだ。
剣は今の物をそのまま使うとして、絶対に槍が欲しい。
元々、俺は優秀な槍使いなのだから。
俺は剣も人並み以上に使うけれど、槍を持たせれば見習いながらも中級の下の冒険者並みには十分にやれていた。
上級冒険者に混じって前衛などもやらされれば、自然にそうなる。
今のレバレッジのかかった力ならば中級冒険者のトップクラスの腕までいくんじゃないのか。
頭で思った通りのタイミングと軌道で、重い槍を自在に振り回せるだろう。
今の俺が脳裡に思い描く、理想の戦いに近い形を体の動きを、槍と一体化して成し遂げられるかもしれない。
中階層の半ばくらいまでならば、チームにバックアップされながらパーティの露払いさえやってのけた俺なのだから。
それも槍はいい物を買わないと、必ず安物買いをした後悔をする羽目になるだろう。
安物だと、槍が今の俺のパワーに耐え切れずに折れる可能性が多分にある。
できれば剣もワンランク上、しかも素材的にワンランク上の物が欲しいのだが、とてもじゃないが今の俺には二つもいい武器は買えない。
「よし、槍の代金だけでもなんとか稼ぐとするか」
そして俺は前から欲しいと思って目をつけていた、特殊な付与のついた槍を狙おうと思って金の計算をした。
ミスリルの槍ならば相場で、お値段は最低の安物でも金貨二十枚なり!
銀貨二千枚か、オーク四百匹分だね。
付与付き武器どころの騒ぎではない。
やっぱ無理だわ。
バージョン4.0に上がるまでオーク相手に頑張ったとしても、そこまでの買い物は到底無理な計算だった。
仕方がない、そこまでは諦めて頑丈な槍にしておくか。
少々重くても今のパワーならば構わない。
銀貨三百枚分ほど稼いだら一旦上へ戻るか。
俺はそれからも頑張ってオークと戦い、気が付いたらバージョン3.6まで上がっていて、銀貨五百三十枚分の魔石を手にしていた。
そこからまた駆け足で上まで戻ると、窓口で昨日の分と合わせて金貨を混ぜて換金してもらった。
今日はまだ早いのもあってエリッサさんが窓口にいなくてホッとした。
しばらくは午前中換金にするか。
昨日と合わせて、手持ちは金貨五枚と銀貨五十枚なり。
だが、この金を全部使ってしまうわけにもいかないしな。
「これはまた……えらいハイペースね。
リクル、本当に大丈夫?
無理してないかしら」
冒険者協会のお母さんから、また心配されちまったね。
村にいるお袋は、幼い家族達は元気にしているだろうか。
それなりに稼いだら、少しは仕送りくらいしないとな。
我儘を言って村から飛び出してきた手前もあるし、うちの村は貧乏なんだから。
「大丈夫。
ソロで無理はしたくないから、こうして戻ってきたんじゃないか。
レント達と一緒にしないでよ。
俺は協会の新人レーティング三位の実力で、あのブライアンにスカウトされて一年間頑張った男なんだぜ。
そして見事に最終順位では新人トップの成績だった。
外れスキルの話は神様のせいさ!」
そして彼女は朗らかに笑ってくれた。
「そうね、新人君がみんな君みたいだったらよかったのに。
今年の子も既に結構帰って来ない子もいてねえ」
うわあ、同期の連中ったら見習いを卒業したばかりで無茶をしやがって。
分相応って言葉を教わってこなかったのか?
まあ新人を使い潰すパーティも中にはいるけどなあ。
いいスキルを持っていないと、そういう目に遭ったりもするのだ。
ライザさんは、そんな俺の顔を見て少し悲し気に微笑んだ。
俺は、みんなのお母さんに宣言しておいた。
「俺は大丈夫っすから」
たぶん、なんというか名前だけ外れなスキル的にはね!
それから協会の建物内にある『お値打ちショップ』へと向かった。
ここは街の武器屋のように逸品は無いものの、必要最低限の性能を大変お値打ちに売ってくれる店だ。
整備料金も格安、だけど当然置かれているのは値段なりの品ばっかりだ。
ズラリっと初心者向けの低価格装備の剣や短剣に槍などが雑多に並ぶ。
協会の伝手で格安で入荷したものに違いないだろう。
だが質自体はさほど悪くないものなのだ。
壁にかけられた少し重そうな弓も並ぶが、俺よりも少し上の実力の冒険者はそれをまるで玩具のように引く。
今ならば俺にも楽々引けるだろうが、弓は使い慣れないと当たらないし、習熟し円熟するまでに時間がかかる。
弓の腕前が熟むまでなんて待っていたら干上がってしまうわ。
ダンジョンで下へ行くほど敵は素早く、矢は有限の武器だった。
それに強力な魔物を倒すなら戦で使うような弓が必要で、それは重く、また矢も嵩張る。
どうしてもという場合は対魔物用の毒矢を使用する分だけ弓矢を用意するのだ。
下層を活動領域にする冒険者は収入もいいので高価な魔法武器を好むし、魔法使いの冒険者も多い。
ここはブライアンのような上級冒険者パーティでは絶対に使わない店なのだ。
俺も使うのは今回が初めてなのだが、背に腹は代えられない。
中級冒険者に上がったら、もうここの武器で戦うのは無理だろう。
最初の一つ刻みが上がるのに十体かかったぞ。
次が十二で次が十五か。
ヤバイな、もうオーク相手じゃバージョンを上げるのが難しくなってきた」
とりあえず、銀貨百八十七枚分の魔石はゲットした。
この下の六階層以降で、しかもソロで戦うとなると、もう少し装備を上げたいところだ。
特に武器だ。
さすがに重い棍棒じゃ分が悪い。
特に次の六階層の相手は素早いのだ。
剣は今の物をそのまま使うとして、絶対に槍が欲しい。
元々、俺は優秀な槍使いなのだから。
俺は剣も人並み以上に使うけれど、槍を持たせれば見習いながらも中級の下の冒険者並みには十分にやれていた。
上級冒険者に混じって前衛などもやらされれば、自然にそうなる。
今のレバレッジのかかった力ならば中級冒険者のトップクラスの腕までいくんじゃないのか。
頭で思った通りのタイミングと軌道で、重い槍を自在に振り回せるだろう。
今の俺が脳裡に思い描く、理想の戦いに近い形を体の動きを、槍と一体化して成し遂げられるかもしれない。
中階層の半ばくらいまでならば、チームにバックアップされながらパーティの露払いさえやってのけた俺なのだから。
それも槍はいい物を買わないと、必ず安物買いをした後悔をする羽目になるだろう。
安物だと、槍が今の俺のパワーに耐え切れずに折れる可能性が多分にある。
できれば剣もワンランク上、しかも素材的にワンランク上の物が欲しいのだが、とてもじゃないが今の俺には二つもいい武器は買えない。
「よし、槍の代金だけでもなんとか稼ぐとするか」
そして俺は前から欲しいと思って目をつけていた、特殊な付与のついた槍を狙おうと思って金の計算をした。
ミスリルの槍ならば相場で、お値段は最低の安物でも金貨二十枚なり!
銀貨二千枚か、オーク四百匹分だね。
付与付き武器どころの騒ぎではない。
やっぱ無理だわ。
バージョン4.0に上がるまでオーク相手に頑張ったとしても、そこまでの買い物は到底無理な計算だった。
仕方がない、そこまでは諦めて頑丈な槍にしておくか。
少々重くても今のパワーならば構わない。
銀貨三百枚分ほど稼いだら一旦上へ戻るか。
俺はそれからも頑張ってオークと戦い、気が付いたらバージョン3.6まで上がっていて、銀貨五百三十枚分の魔石を手にしていた。
そこからまた駆け足で上まで戻ると、窓口で昨日の分と合わせて金貨を混ぜて換金してもらった。
今日はまだ早いのもあってエリッサさんが窓口にいなくてホッとした。
しばらくは午前中換金にするか。
昨日と合わせて、手持ちは金貨五枚と銀貨五十枚なり。
だが、この金を全部使ってしまうわけにもいかないしな。
「これはまた……えらいハイペースね。
リクル、本当に大丈夫?
無理してないかしら」
冒険者協会のお母さんから、また心配されちまったね。
村にいるお袋は、幼い家族達は元気にしているだろうか。
それなりに稼いだら、少しは仕送りくらいしないとな。
我儘を言って村から飛び出してきた手前もあるし、うちの村は貧乏なんだから。
「大丈夫。
ソロで無理はしたくないから、こうして戻ってきたんじゃないか。
レント達と一緒にしないでよ。
俺は協会の新人レーティング三位の実力で、あのブライアンにスカウトされて一年間頑張った男なんだぜ。
そして見事に最終順位では新人トップの成績だった。
外れスキルの話は神様のせいさ!」
そして彼女は朗らかに笑ってくれた。
「そうね、新人君がみんな君みたいだったらよかったのに。
今年の子も既に結構帰って来ない子もいてねえ」
うわあ、同期の連中ったら見習いを卒業したばかりで無茶をしやがって。
分相応って言葉を教わってこなかったのか?
まあ新人を使い潰すパーティも中にはいるけどなあ。
いいスキルを持っていないと、そういう目に遭ったりもするのだ。
ライザさんは、そんな俺の顔を見て少し悲し気に微笑んだ。
俺は、みんなのお母さんに宣言しておいた。
「俺は大丈夫っすから」
たぶん、なんというか名前だけ外れなスキル的にはね!
それから協会の建物内にある『お値打ちショップ』へと向かった。
ここは街の武器屋のように逸品は無いものの、必要最低限の性能を大変お値打ちに売ってくれる店だ。
整備料金も格安、だけど当然置かれているのは値段なりの品ばっかりだ。
ズラリっと初心者向けの低価格装備の剣や短剣に槍などが雑多に並ぶ。
協会の伝手で格安で入荷したものに違いないだろう。
だが質自体はさほど悪くないものなのだ。
壁にかけられた少し重そうな弓も並ぶが、俺よりも少し上の実力の冒険者はそれをまるで玩具のように引く。
今ならば俺にも楽々引けるだろうが、弓は使い慣れないと当たらないし、習熟し円熟するまでに時間がかかる。
弓の腕前が熟むまでなんて待っていたら干上がってしまうわ。
ダンジョンで下へ行くほど敵は素早く、矢は有限の武器だった。
それに強力な魔物を倒すなら戦で使うような弓が必要で、それは重く、また矢も嵩張る。
どうしてもという場合は対魔物用の毒矢を使用する分だけ弓矢を用意するのだ。
下層を活動領域にする冒険者は収入もいいので高価な魔法武器を好むし、魔法使いの冒険者も多い。
ここはブライアンのような上級冒険者パーティでは絶対に使わない店なのだ。
俺も使うのは今回が初めてなのだが、背に腹は代えられない。
中級冒険者に上がったら、もうここの武器で戦うのは無理だろう。
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