外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
18 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-18 新しい装備

しおりを挟む
「ふう、本当にバージョンが上がりにくくなったな。
 最初の一つ刻みが上がるのに十体かかったぞ。

 次が十二で次が十五か。
 ヤバイな、もうオーク相手じゃバージョンを上げるのが難しくなってきた」

 とりあえず、銀貨百八十七枚分の魔石はゲットした。

 この下の六階層以降で、しかもソロで戦うとなると、もう少し装備を上げたいところだ。

 特に武器だ。
 さすがに重い棍棒じゃ分が悪い。

 特に次の六階層の相手は素早いのだ。
 剣は今の物をそのまま使うとして、絶対に槍が欲しい。

 元々、俺は優秀な槍使いなのだから。

 俺は剣も人並み以上に使うけれど、槍を持たせれば見習いながらも中級の下の冒険者並みには十分にやれていた。

 上級冒険者に混じって前衛などもやらされれば、自然にそうなる。

 今のレバレッジのかかった力ならば中級冒険者のトップクラスの腕までいくんじゃないのか。

 頭で思った通りのタイミングと軌道で、重い槍を自在に振り回せるだろう。

 今の俺が脳裡に思い描く、理想の戦いに近い形を体の動きを、槍と一体化して成し遂げられるかもしれない。

 中階層の半ばくらいまでならば、チームにバックアップされながらパーティの露払いさえやってのけた俺なのだから。

 それも槍はいい物を買わないと、必ず安物買いをした後悔をする羽目になるだろう。

 安物だと、槍が今の俺のパワーに耐え切れずに折れる可能性が多分にある。

 できれば剣もワンランク上、しかも素材的にワンランク上の物が欲しいのだが、とてもじゃないが今の俺には二つもいい武器は買えない。

「よし、槍の代金だけでもなんとか稼ぐとするか」

 そして俺は前から欲しいと思って目をつけていた、特殊な付与のついた槍を狙おうと思って金の計算をした。

 ミスリルの槍ならば相場で、お値段は最低の安物でも金貨二十枚なり!

 銀貨二千枚か、オーク四百匹分だね。
 付与付き武器どころの騒ぎではない。
 やっぱ無理だわ。

 バージョン4.0に上がるまでオーク相手に頑張ったとしても、そこまでの買い物は到底無理な計算だった。

 仕方がない、そこまでは諦めて頑丈な槍にしておくか。

 少々重くても今のパワーならば構わない。
 銀貨三百枚分ほど稼いだら一旦上へ戻るか。

 俺はそれからも頑張ってオークと戦い、気が付いたらバージョン3.6まで上がっていて、銀貨五百三十枚分の魔石を手にしていた。

 そこからまた駆け足で上まで戻ると、窓口で昨日の分と合わせて金貨を混ぜて換金してもらった。

今日はまだ早いのもあってエリッサさんが窓口にいなくてホッとした。

 しばらくは午前中換金にするか。
 昨日と合わせて、手持ちは金貨五枚と銀貨五十枚なり。

 だが、この金を全部使ってしまうわけにもいかないしな。

「これはまた……えらいハイペースね。
 リクル、本当に大丈夫?
 無理してないかしら」

 冒険者協会のお母さんから、また心配されちまったね。

 村にいるお袋は、幼い家族達は元気にしているだろうか。

 それなりに稼いだら、少しは仕送りくらいしないとな。
 我儘を言って村から飛び出してきた手前もあるし、うちの村は貧乏なんだから。

「大丈夫。
 ソロで無理はしたくないから、こうして戻ってきたんじゃないか。

 レント達と一緒にしないでよ。
 俺は協会の新人レーティング三位の実力で、あのブライアンにスカウトされて一年間頑張った男なんだぜ。

 そして見事に最終順位では新人トップの成績だった。
 外れスキルの話は神様のせいさ!」

 そして彼女は朗らかに笑ってくれた。

「そうね、新人君がみんな君みたいだったらよかったのに。
 今年の子も既に結構帰って来ない子もいてねえ」

 うわあ、同期の連中ったら見習いを卒業したばかりで無茶をしやがって。
 分相応って言葉を教わってこなかったのか?

 まあ新人を使い潰すパーティも中にはいるけどなあ。
 いいスキルを持っていないと、そういう目に遭ったりもするのだ。

 ライザさんは、そんな俺の顔を見て少し悲し気に微笑んだ。
 俺は、みんなのお母さんに宣言しておいた。

「俺は大丈夫っすから」
 たぶん、なんというか名前だけ外れなスキル的にはね!

 それから協会の建物内にある『お値打ちショップ』へと向かった。

 ここは街の武器屋のように逸品は無いものの、必要最低限の性能を大変お値打ちに売ってくれる店だ。

 整備料金も格安、だけど当然置かれているのは値段なりの品ばっかりだ。

 ズラリっと初心者向けの低価格装備の剣や短剣に槍などが雑多に並ぶ。

 協会の伝手で格安で入荷したものに違いないだろう。
 だが質自体はさほど悪くないものなのだ。

 壁にかけられた少し重そうな弓も並ぶが、俺よりも少し上の実力の冒険者はそれをまるで玩具のように引く。

 今ならば俺にも楽々引けるだろうが、弓は使い慣れないと当たらないし、習熟し円熟するまでに時間がかかる。

 弓の腕前が熟むまでなんて待っていたら干上がってしまうわ。

 ダンジョンで下へ行くほど敵は素早く、矢は有限の武器だった。

 それに強力な魔物を倒すなら戦で使うような弓が必要で、それは重く、また矢も嵩張る。

 どうしてもという場合は対魔物用の毒矢を使用する分だけ弓矢を用意するのだ。

 下層を活動領域にする冒険者は収入もいいので高価な魔法武器を好むし、魔法使いの冒険者も多い。

 ここはブライアンのような上級冒険者パーティでは絶対に使わない店なのだ。

 俺も使うのは今回が初めてなのだが、背に腹は代えられない。

 中級冒険者に上がったら、もうここの武器で戦うのは無理だろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

処理中です...