10 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-10 遠征
しおりを挟む
本日は片道二十五分かけて五階層まで遠征した。
まあ、上級者パーティと一緒であるならば下層の上っ面まで行ける俺にとっては、本来なら特に遠征などと言うほどの物ではない階層だ。
だがソロで低装備の上、武器の整備代さえ儘ならないような今の自分にとっては、十分に遠征といってしまっていいだろう。
実はそれだけの意味がある階層なのだから。
四階層は特殊な階層なので、そこでの討伐はパスだ。
少なくとも今の俺にとってはまったく割に合わない。
四階層を、新人限定で協会にて無料でもらえる特殊アイテムを用いて楽々無事に通過し、五階層へと潜っていった。
このあたりの地形は洞窟タイプではなく平原タイプになっている。
ここの足元は草地で、ところどころに灌木が生えているので要注意だ。
変な動きをすると、灌木に邪魔されて行動が阻害されかねん。
少し強い相手だと、初心者には余裕がないため相手の連携に屈する事もあるのだ。
ブライアン達と行けば、こんなものはお散歩コースにしかならないのだが、現在はソロの上に低装備なので慎重になるのは仕方がない。
「さて、目標の魔物はどこにいるのかなと。
ああ、いたいた」
俺が捜していたのはオーク。
この五階層の出現魔物だ。
こいつは、やや大型の人間サイズの魔物だ。
屈強な成人男性のような体を持っており、コボルトに比べて格段に手強くなるが、ベテランならば一笑に付して三体相手でもあっという間に切り伏せる。
新人でも二人で連係すれば二体を容易に相手にできる。
俺はこの程度ならソロでも楽勝で一刀のもとに倒せる。
今はこいつ相手にどれくらいやれるかで、現在スキルの恩恵を受けた自分のパワーとスピードを確認したいのだ。
俺はそこにいた一体目掛けて、風のように駆け抜けた。
この軽さをなんと表現すべきか。
二頭立ての馬車に馬を四頭繋げたような感じというのが概ね正しい表現だろうか。
俺は棍棒のフルスイングをそいつの頭に叩き込んで、一撃で決めた。
基本的にオークはのろい。
ただし、下の方の階層へいくと上級種が出るので、そいつらは格段に手強くなる。
「ふう、いや軽々といけちゃったなあ。
お、さすがはオーク。
一撃で2.1まで上がったか。
戦えば戦うほど強くなって、さらにパワーが増して戦闘は有利になるのか。
誰だよ、これが外れスキルだなんて言いやがった奴は」
お蔭でえらい目に遭ったわ。
『レバレッジ一倍ではなくてレバレッジ・バージョン1.0』であったのだ。
不親切なスキル名だなあ。
これ、どこまでバージョンが上がるんだろうな。
しかし、今はボッチなせいで、なかなか下の方までは降りられないから、これもそのうちにどこかで打ち止めになりそうだ。
限界に達していなくても、ソロとしての活動限界が来てしまうのではないだろうか。
とりあえず、そいつの魔石を引きずり出した。
他の個体がやってくると危険なので、周囲への警戒は怠らない。
このあたりがソロ冒険者の不利なところだ。
パワーが上がっているので、オークの持つ、時には鋼の剣さえも弾き返す屈強な筋肉を、ちっぽけな解体用ナイフで軽々と引き裂けてしまう。
作業自体は手慣れたものだった。
そしてコボルトとは比べ物にもならない、人差し指の先ほどもある大きな黒光りする魔石をいただいた。
これを手早く探り当てられるようになるのも新人の重要な仕事だ。
もたもたしていると、しゃがんでいるところへ拳骨どころかブーツの蹴りが脇腹に飛んでくる。
これ一個で銀貨五枚だから、今の俺にとっては結構な稼ぎになる。
しかし、さすがに今までだったら一人でここへ来ようとは思わないだろう。
丸々素人の新人冒険者がこいつ三体に囲まれたなんていったら!
ブライアンはスパルタなので、初期の頃から俺には訓練で常に複数のオーク相手に戦わせていた。
さすがに、ど新人の時に三体いたら転がって逃げ回ったな。
そして動きで攪乱し、相手を強引に分断してから一体ずつ倒していったのだ。
まだまったく慣れていない頃に執拗に三体から追い回された時は諦めて、ブライアン達の方へトレインしてみせた。
後で思いっきりボコボコにされたけど、命あっての物種だった。
それが当然のように命汚い真似もしたさ。
「貴様、間違っても他のパーティに対してこのような迷惑をかけるんじゃねえぞ。
どれだけ賠償金を請求されると思っているんだ」
ブライアン達がいてくれるのでなかったら、新人がとてもじゃないが一人では五階層ではやれない。
ここは、そういう階層であり、ど新人にとっては十分に遠征といってもいい階層であった。
俺は安全マージンを取るために、自分を新人パーティ一つ相当の戦力としか見積もっていない。
まあ、上級者パーティと一緒であるならば下層の上っ面まで行ける俺にとっては、本来なら特に遠征などと言うほどの物ではない階層だ。
だがソロで低装備の上、武器の整備代さえ儘ならないような今の自分にとっては、十分に遠征といってしまっていいだろう。
実はそれだけの意味がある階層なのだから。
四階層は特殊な階層なので、そこでの討伐はパスだ。
少なくとも今の俺にとってはまったく割に合わない。
四階層を、新人限定で協会にて無料でもらえる特殊アイテムを用いて楽々無事に通過し、五階層へと潜っていった。
このあたりの地形は洞窟タイプではなく平原タイプになっている。
ここの足元は草地で、ところどころに灌木が生えているので要注意だ。
変な動きをすると、灌木に邪魔されて行動が阻害されかねん。
少し強い相手だと、初心者には余裕がないため相手の連携に屈する事もあるのだ。
ブライアン達と行けば、こんなものはお散歩コースにしかならないのだが、現在はソロの上に低装備なので慎重になるのは仕方がない。
「さて、目標の魔物はどこにいるのかなと。
ああ、いたいた」
俺が捜していたのはオーク。
この五階層の出現魔物だ。
こいつは、やや大型の人間サイズの魔物だ。
屈強な成人男性のような体を持っており、コボルトに比べて格段に手強くなるが、ベテランならば一笑に付して三体相手でもあっという間に切り伏せる。
新人でも二人で連係すれば二体を容易に相手にできる。
俺はこの程度ならソロでも楽勝で一刀のもとに倒せる。
今はこいつ相手にどれくらいやれるかで、現在スキルの恩恵を受けた自分のパワーとスピードを確認したいのだ。
俺はそこにいた一体目掛けて、風のように駆け抜けた。
この軽さをなんと表現すべきか。
二頭立ての馬車に馬を四頭繋げたような感じというのが概ね正しい表現だろうか。
俺は棍棒のフルスイングをそいつの頭に叩き込んで、一撃で決めた。
基本的にオークはのろい。
ただし、下の方の階層へいくと上級種が出るので、そいつらは格段に手強くなる。
「ふう、いや軽々といけちゃったなあ。
お、さすがはオーク。
一撃で2.1まで上がったか。
戦えば戦うほど強くなって、さらにパワーが増して戦闘は有利になるのか。
誰だよ、これが外れスキルだなんて言いやがった奴は」
お蔭でえらい目に遭ったわ。
『レバレッジ一倍ではなくてレバレッジ・バージョン1.0』であったのだ。
不親切なスキル名だなあ。
これ、どこまでバージョンが上がるんだろうな。
しかし、今はボッチなせいで、なかなか下の方までは降りられないから、これもそのうちにどこかで打ち止めになりそうだ。
限界に達していなくても、ソロとしての活動限界が来てしまうのではないだろうか。
とりあえず、そいつの魔石を引きずり出した。
他の個体がやってくると危険なので、周囲への警戒は怠らない。
このあたりがソロ冒険者の不利なところだ。
パワーが上がっているので、オークの持つ、時には鋼の剣さえも弾き返す屈強な筋肉を、ちっぽけな解体用ナイフで軽々と引き裂けてしまう。
作業自体は手慣れたものだった。
そしてコボルトとは比べ物にもならない、人差し指の先ほどもある大きな黒光りする魔石をいただいた。
これを手早く探り当てられるようになるのも新人の重要な仕事だ。
もたもたしていると、しゃがんでいるところへ拳骨どころかブーツの蹴りが脇腹に飛んでくる。
これ一個で銀貨五枚だから、今の俺にとっては結構な稼ぎになる。
しかし、さすがに今までだったら一人でここへ来ようとは思わないだろう。
丸々素人の新人冒険者がこいつ三体に囲まれたなんていったら!
ブライアンはスパルタなので、初期の頃から俺には訓練で常に複数のオーク相手に戦わせていた。
さすがに、ど新人の時に三体いたら転がって逃げ回ったな。
そして動きで攪乱し、相手を強引に分断してから一体ずつ倒していったのだ。
まだまったく慣れていない頃に執拗に三体から追い回された時は諦めて、ブライアン達の方へトレインしてみせた。
後で思いっきりボコボコにされたけど、命あっての物種だった。
それが当然のように命汚い真似もしたさ。
「貴様、間違っても他のパーティに対してこのような迷惑をかけるんじゃねえぞ。
どれだけ賠償金を請求されると思っているんだ」
ブライアン達がいてくれるのでなかったら、新人がとてもじゃないが一人では五階層ではやれない。
ここは、そういう階層であり、ど新人にとっては十分に遠征といってもいい階層であった。
俺は安全マージンを取るために、自分を新人パーティ一つ相当の戦力としか見積もっていない。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた
アタラクシア
ファンタジー
人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。
はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。
目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。
クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。
――根源に至る『四騎士』
――世界征服を企む『ナイトメア』
――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』
異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。
はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。
長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる