フェンリル転生 神の子に転生しましたが残念な事に魔法が使えません、魔道具と物理で頑張ります

緋色優希

文字の大きさ
上 下
98 / 107
第二章 探索者フェンリル

2-47 神に祈りし者

しおりを挟む
 この歳になり、私に妹が出来るとは思っても居なかった。

 と言っても…彼女は父の再婚相手の連れ子で、私と血の繋がりは無い。

 ただ、こうなったからには彼女とは良い関係を築いて行きたいと思って居た。



 そして、せっかくだからと彼女を我が家に招待する事に─。

 すると、やって来た義妹を見た夫は…何故か驚いた表情になり、その後は満面の笑みを浮かべ彼女を家にあげた。

 そして、彼女と楽しそうに話をし始めた。

 どうやら、夫と義妹はすぐに打ち解けた様だ。



 するとその後も、義妹を家に招待したい…今度はいつ遊びに来てくれるのかと、夫は義妹の事を気に掛ける様に─。

 そんなの彼女の都合だってあるし、そもそもこの家には生まれたばかりの我が子がい居る。

 だから義妹に来て貰っても、彼女の相手をしてあげられないと答えた。

 すると夫は…彼女の相手は俺がするから構わない、お前は子供の相手だけして居ろと言う。

 それを聞いた私は…どうして夫がそんなに義妹に会いたがるのか、不思議でならなかった。



 そんな時…夫の古い知人が、私の家を訪ねて来た。

 生憎夫は不在だったので、彼の相手は私がする事に─。

 彼には、夫や子供の話をよく聞いて貰って居た。

 そして、義妹の件を話したのだが…それを聞いた彼は、深刻そうな顔でこんな話を始めた。



 夫には、本当は私とは別に結婚したかった相手が居たと言う。

 だが、彼女は家の事情でこの地を出て行く事になり…二人が結ばれる事は無かった。

 そして夫は…つい最近、そんな彼女に生き写しの女性に出会った…これはきっと運命だ…そんな彼女と結ばれる為には、妻も子も捨てなければならないと言ったそうだ。

「…だから、君とお子さんが心配になり訪ねたんだが─。」



 それを聞いた私は、夫にそんな人が居た事や…夫が義妹にその人を重ね、私と子供を捨て様として居る事を知りショックを受けた。
 
 そして…夫は用事で出かけると言って居たが、もしかしたら義妹に会いに行ったのかも知れないと思った。

 夫をこのままにしておいては、義妹に迷惑がかかる。

 何より…私だけでなく子供まであっさり捨て様としたあの人を、私は許せない─。



 そな私を見て、彼は今から義妹に会いに行こうと言って馬車を出してくれた。

 そして実家へと向かえば…そこには、嫌がる義妹に抱き着こうとして居る夫の姿が─。

 それを見た彼はすぐに夫を制止にかかり、私は義妹を背に隠した。

「あなたは一体何をやっているの!この子はあなたの愛する女じゃないのよ!?」

「でも、こんなにそっくりなんだ!それに前話した時、彼女は俺の事を話しが楽しくて素敵な旦那様と褒めてくれた。それは俺に好意があるからだ!」



 すると義妹は、震えながらもキッパリとこう言った。

「私はただ、姉の夫であるあなたに敬意をもってお話して居ただけ…。そもそも、私には結婚を約束した愛する方が居ます。ですから、あなたの事をそう言う意味で好きになる事はありません!」

 この言葉に、夫はショックを受けた様でその場に崩れ落ちた。

 

 そして私は、そんな夫に離縁を突き付けた。

 すると、夫は離縁など大袈裟だと言ったが…私はそれを無視し、こう言った。

「あなたが子供の面倒をちっとも見てくれないのは…私を時々冷めた目で見るのはどういう事かと思って居たけれど、やっとそれが分かったわ。あなたの様な夫は…そして父親はもう要らない。この子に付き纏うのは辞め、今からでもその女に会いに行ったらいいわ─!」



 その後…この出来事を知った私の父は、大事な娘二人を傷付けた夫を許さず…離縁したならもう赤の他人だと言って、彼の事業を支援する事を辞めた。

 それにより、元夫の事業は傾き…やかて彼は、多額の借金を抱えて破産する事に─。

 そして住む家さえ失くした彼は、本当にかつて愛したその女に助けを求め合いに行ったが…彼女はもうとっくに結婚しており、彼の事など忘れてしまって居た。

 それを知った彼は、自分は何て馬鹿だったのかと後悔したそうだが…もう遅いのだった。



 一方、私はと言うと…元夫の知人である彼と恋人関係となり、近く再婚しよう言う話になって居る。
 
 彼は、離縁した私を心配し実家にも頻繁に顔を見せてくれ…良き相談相手となってくれて居た。

 そんな日々を過ごす内…私達は自然と惹かれ合い、そういう仲になったのだ。
 
 彼は私だけでなく、子供の事も大事にしてくれ…そんな私達なら、きっと良い家族になれるのではないかと思って居るわ─。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

収納大魔導士と呼ばれたい少年

カタナヅキ
ファンタジー
収納魔術師は異空間に繋がる出入口を作り出し、あらゆる物体を取り込むことができる。但し、他の魔術師と違って彼等が扱える魔法は一つに限られ、戦闘面での活躍は期待できない――それが一般常識だった。だが、一人の少年が収納魔法を極めた事で常識は覆される。 「収納魔術師だって戦えるんだよ」 戦闘には不向きと思われていた収納魔法を利用し、少年は世間の収納魔術師の常識を一変させる伝説を次々と作り出す――

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか

佐藤醤油
ファンタジー
 主人公を神様が転生させたが上手くいかない。  最初は生まれる前に死亡。次は生まれた直後に親に捨てられ死亡。ネズミにかじられ死亡。毒キノコを食べて死亡。何度も何度も転生を繰り返すのだが成功しない。 「神様、もう少し暮らしぶりの良いところに転生できないのですか」  そうして転生を続け、ようやく王家に生まれる事ができた。  さあ、この転生は成功するのか?  注:ギャグ小説ではありません。 最後まで投稿して公開設定もしたので、完結にしたら公開前に完結になった。 なんで?  坊、投稿サイトは公開まで完結にならないのに。

処理中です...