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第一章 荒神転生
1-32 縁起物
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俺達も朝御飯を済ませた。俺はもちろん人間用の御飯にしてもらった。朝っぱらから焼き肉は勘弁してほしい。
サリーは喜ぶかもしれないが。少々お上品な飯で量が足りないので、俺と鳥ども(ロイ除く)は朝から追加でコンビニ飯をがつがつと大量に食らっている。
「あ、唐揚げ発見。これは朝から縁起がいいですね」
唐揚げがメニューに入っていたので、目聡くサリーが十個くらい持っていった。縁起がいいって、おまえ。まあいいんだけど、ほぼ終日馬車に乗ってばかりだから太ってしまわないか?
鍛えているから基礎代謝が素晴らしいのかもしれないが。この間拝見した感じでは、写真集を出せるようなベビーフェイスの女子プロレスラーあたりと同じくらいの体ではないだろうか。
それは、はっきり言ってたいしたものなのだが、かなり鍛えていても女の子は体質的になかなか筋肉だけの固い体にはならない。
毎朝、一人で修練しているようだしな。どうせ、アレン達は早く起きないし。あいつらは実践オンリーというか、金にならない事は興味ないというか。
まあ唐揚げが好きな女の子は胸が大きいという話を聞いた事があるが、あまり胸を育てると鎧を新調しないといけなくなるのではないだろうか。
宿でお弁当を作ってもらってあったので、そいつを収納してから俺達は出発した。結構急いできたので先には進めたが、まだ三分の二以上旅程は残っている。
何しろ、辺境から始まって王都まで馬車で行くのだから。俺だけなら半日で着けるのだが、乗客がそのスピードには絶対に耐えられないからな。
「まあ、焦らなくてもベルバードがいてくれるから、先制を食らう事はないだろうさ。頑張ってくれよ、ロイ」
アレンの楽天的な声掛けにロイが答える。
『お任せください、アレン。お話を聞く限りでは、襲撃を受ける確率は非常に高そうですね』
俺はそれを通訳してやり、アレンに話を振った。
「だってさ、アレン。そこからは、お前達の仕事さ」
「へいへい、任せてくれよ。あ、眷属だからって小遣いはもらうからな」
「わかってるさ。金にだけは困っていない」
アレン達が大人しく俺の言う事を聞くのは、そういう理由もあるのだ。何しろ、俺はあの飴と鞭で黒小人どもにいう事を聞かせる事に関しては神々随一と言われるロキの息子なのだ。
そのノウハウを目の当たりにして、あっという間に、その道のナンバー2へと上り詰めた。俺には取って置きの手があるものでな。黒小人どもはもう俺には逆らえないのさ、ふっふ。
既にオーディンの糞野郎の威信を遥かに凌駕したはずだ。元々、黒小人なんて奴らには神々の威信なんてものは通用しないがな。はっきり言って実利一本の連中なのだから。
「ロイちゃーん」
「ぴー」
新しいお友達の登場に幼いルナ姫の表情も、いつもにも増して明るい。
いやあ、なんたってこのパーティときたら、まずは俺。真っ黒な巨大狼。もうこれだけで、この集団すべてがアウト判定されるのではないだろうか。
確かに神々しく美獣ではあるのだが、何せ真っ黒な狼というだけで、初めて見る人の表情は引き攣る。かくいうルナ自身もそうだったのだ。そして肉食大型鳥魔物、その中でも一癖も二癖もありそうなのが三羽。
さらにいかにもといった感じの、見るからに堅気の人間ではなさそうな三人組に、御車のヘルマスも冒険者ギルド・ギルマスが寄越した「とびっきり」なのだ。
もうまともな人種がいないと言っても過言ではない。元々いたエルンストがいてくれたら、まだマシな構成になったのだが、彼は俺の収納の中で安らかに眠っているし。
後は、金属鎧を着込んだサリーしかいない。元々のルナの護衛のわけだが、常に金属鎧着用の騎士なので、ある意味では一番濃い人物だ。
俺とペアを組むと、こいつがまた一番異彩を放つ。兜を脱げば金髪美人なので、また違った意味でも目立つ。
それに、お友達というには、お役目で傍にいる大人なので薹(とう)が立っている。あの村で遊べたことがルナにとって、いかに貴重な時間であったものか。厳しかった旅の中で、彼女の心を今も温かく包んでくれている事だろう。
『ロイ、ルナの事を頼んだぞ。その方面じゃあ、お前が一番頼りになりそうだ』
『お任せください、スサノオ様』
このベルバードは、一度忠誠を誓った相手から一生離れないらしい。だから、あんなに元居た場所に帰りたがるのだ。
お店にいる奴は別なのだが、彼らもまた忠義を示す相手をそこで待つのだ。この鳥を購入するには、ちょっとしたルールがある。
無理強いはできなくて、なんとベルバードの方に拒否権があるのだ。強引に買い取っても、お互いに不幸になるだけなので、どんなに強引な客も買う時にはそのルールにだけは従うのだ。
見かけは小鳥でも長生きする魔物なのだが、主人が後継に指名して、さらに自分を愛してくれる人間にしか忠誠を示さない。
まあ人間でなくても、彼らの気に入る態度であるならば忠誠は示してくれるようなのだが。また恩義に報いる素晴らしい心根も持っているようだ。
またルナのように好意を全面に押し出してくれるような相手は仲良くするのも吝かではないようだった。
子供とは相性がいい魔物だそうで、子供の旅の安全を祈って、小さな子供のうちに買い与えたがる貴族なども多いそうだ。
『なあ、ロイ』
『お前は元のご主人様のところへ帰らなくてもよかったのかい?』
『私のご主人様は……あの盗賊どもに殺されてしまったのです。本当にいい方だったのに』
『そ、そうだったか、すまん』
『いえ、お蔭様でご主人様の仇は討てましたし、新しいご主人様にも巡り合えました。きっと神ロキの思し召しでしょう』
『はは、安心してくれ。今度のご主人様は、そう簡単には死なんよ』
これで死ねない理由ができたな。オーディンの一族には十分気をつける事としよう。俺ってまだ大きくなるのかね。
あまり育つと連中が警戒して、また妙なちょっかいをかけられかねん。さすがの俺も神々の一族、しかも主神の一族を相手にするなら骨が折れそうだ。
サリーは喜ぶかもしれないが。少々お上品な飯で量が足りないので、俺と鳥ども(ロイ除く)は朝から追加でコンビニ飯をがつがつと大量に食らっている。
「あ、唐揚げ発見。これは朝から縁起がいいですね」
唐揚げがメニューに入っていたので、目聡くサリーが十個くらい持っていった。縁起がいいって、おまえ。まあいいんだけど、ほぼ終日馬車に乗ってばかりだから太ってしまわないか?
鍛えているから基礎代謝が素晴らしいのかもしれないが。この間拝見した感じでは、写真集を出せるようなベビーフェイスの女子プロレスラーあたりと同じくらいの体ではないだろうか。
それは、はっきり言ってたいしたものなのだが、かなり鍛えていても女の子は体質的になかなか筋肉だけの固い体にはならない。
毎朝、一人で修練しているようだしな。どうせ、アレン達は早く起きないし。あいつらは実践オンリーというか、金にならない事は興味ないというか。
まあ唐揚げが好きな女の子は胸が大きいという話を聞いた事があるが、あまり胸を育てると鎧を新調しないといけなくなるのではないだろうか。
宿でお弁当を作ってもらってあったので、そいつを収納してから俺達は出発した。結構急いできたので先には進めたが、まだ三分の二以上旅程は残っている。
何しろ、辺境から始まって王都まで馬車で行くのだから。俺だけなら半日で着けるのだが、乗客がそのスピードには絶対に耐えられないからな。
「まあ、焦らなくてもベルバードがいてくれるから、先制を食らう事はないだろうさ。頑張ってくれよ、ロイ」
アレンの楽天的な声掛けにロイが答える。
『お任せください、アレン。お話を聞く限りでは、襲撃を受ける確率は非常に高そうですね』
俺はそれを通訳してやり、アレンに話を振った。
「だってさ、アレン。そこからは、お前達の仕事さ」
「へいへい、任せてくれよ。あ、眷属だからって小遣いはもらうからな」
「わかってるさ。金にだけは困っていない」
アレン達が大人しく俺の言う事を聞くのは、そういう理由もあるのだ。何しろ、俺はあの飴と鞭で黒小人どもにいう事を聞かせる事に関しては神々随一と言われるロキの息子なのだ。
そのノウハウを目の当たりにして、あっという間に、その道のナンバー2へと上り詰めた。俺には取って置きの手があるものでな。黒小人どもはもう俺には逆らえないのさ、ふっふ。
既にオーディンの糞野郎の威信を遥かに凌駕したはずだ。元々、黒小人なんて奴らには神々の威信なんてものは通用しないがな。はっきり言って実利一本の連中なのだから。
「ロイちゃーん」
「ぴー」
新しいお友達の登場に幼いルナ姫の表情も、いつもにも増して明るい。
いやあ、なんたってこのパーティときたら、まずは俺。真っ黒な巨大狼。もうこれだけで、この集団すべてがアウト判定されるのではないだろうか。
確かに神々しく美獣ではあるのだが、何せ真っ黒な狼というだけで、初めて見る人の表情は引き攣る。かくいうルナ自身もそうだったのだ。そして肉食大型鳥魔物、その中でも一癖も二癖もありそうなのが三羽。
さらにいかにもといった感じの、見るからに堅気の人間ではなさそうな三人組に、御車のヘルマスも冒険者ギルド・ギルマスが寄越した「とびっきり」なのだ。
もうまともな人種がいないと言っても過言ではない。元々いたエルンストがいてくれたら、まだマシな構成になったのだが、彼は俺の収納の中で安らかに眠っているし。
後は、金属鎧を着込んだサリーしかいない。元々のルナの護衛のわけだが、常に金属鎧着用の騎士なので、ある意味では一番濃い人物だ。
俺とペアを組むと、こいつがまた一番異彩を放つ。兜を脱げば金髪美人なので、また違った意味でも目立つ。
それに、お友達というには、お役目で傍にいる大人なので薹(とう)が立っている。あの村で遊べたことがルナにとって、いかに貴重な時間であったものか。厳しかった旅の中で、彼女の心を今も温かく包んでくれている事だろう。
『ロイ、ルナの事を頼んだぞ。その方面じゃあ、お前が一番頼りになりそうだ』
『お任せください、スサノオ様』
このベルバードは、一度忠誠を誓った相手から一生離れないらしい。だから、あんなに元居た場所に帰りたがるのだ。
お店にいる奴は別なのだが、彼らもまた忠義を示す相手をそこで待つのだ。この鳥を購入するには、ちょっとしたルールがある。
無理強いはできなくて、なんとベルバードの方に拒否権があるのだ。強引に買い取っても、お互いに不幸になるだけなので、どんなに強引な客も買う時にはそのルールにだけは従うのだ。
見かけは小鳥でも長生きする魔物なのだが、主人が後継に指名して、さらに自分を愛してくれる人間にしか忠誠を示さない。
まあ人間でなくても、彼らの気に入る態度であるならば忠誠は示してくれるようなのだが。また恩義に報いる素晴らしい心根も持っているようだ。
またルナのように好意を全面に押し出してくれるような相手は仲良くするのも吝かではないようだった。
子供とは相性がいい魔物だそうで、子供の旅の安全を祈って、小さな子供のうちに買い与えたがる貴族なども多いそうだ。
『なあ、ロイ』
『お前は元のご主人様のところへ帰らなくてもよかったのかい?』
『私のご主人様は……あの盗賊どもに殺されてしまったのです。本当にいい方だったのに』
『そ、そうだったか、すまん』
『いえ、お蔭様でご主人様の仇は討てましたし、新しいご主人様にも巡り合えました。きっと神ロキの思し召しでしょう』
『はは、安心してくれ。今度のご主人様は、そう簡単には死なんよ』
これで死ねない理由ができたな。オーディンの一族には十分気をつける事としよう。俺ってまだ大きくなるのかね。
あまり育つと連中が警戒して、また妙なちょっかいをかけられかねん。さすがの俺も神々の一族、しかも主神の一族を相手にするなら骨が折れそうだ。
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