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第一章 荒神転生
1-20 荒野の召喚儀式
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今夜は野外キャンプと洒落込んだ。物騒な情勢になってきたので頑張って少し先まで進み、夕暮れに二つ先の街までやってきたのだが、そこは泣く泣く通過してきた。
そして、街から遠く離れた場所にて野営しているのだ。次の街までもう半分近いような場所だ。このくらい離れないと、街で敵さんに待ち構えていられると厳しい。
後を追尾されていれば、どうしようもないのだが、それはもう言っても仕方がない。俺なら面倒過ぎて街で待っているね。ここは少しルナ姫の緊張をほぐしてやらないと、さすがに心がもたないだろう。
「さあ、ルナ姫様よ。楽しいキャンプの始まりだ。車中泊だし、オートキャンプといえない事もないよなあ」
俺は気楽にそう言って、中で寝るわけではないが気分だけでテントなど張ってみた。カラフルなテントは目立つが、どの道地味にしていても攻撃は食らうのだからな。
中にはランタンを釣るしてあり、子供には非常に楽しく快適な空間になっている。ルナ姫も中に入って年相応に楽しそうにしていた。
そして、ステンレス製で大きめの焚火台を取り寄せた。これならちょっとしたキャンプファイヤー気分が味わえる。少しお父さんの気分よ。
ウッドストーブは楽しいが、あれはバックパッカーが一人で楽しむものだ。どっちかというと、調理よりも燃やす楽しみが勝る。その辺にある自然燃料でお湯を沸かすのがメインの道具だからな。
こういう時にはあまり向かないので、実用的な大容量ボンベを二つ取りつけた強力二口キャンピング・コンロを出す。クッカーもキャンプ用品のパックにしたものだ。
「へえ、面白い道具ですね。ポンっと捻るだけで火が点くのか。綺麗な青い焔だ」
サリーが感心したように覗き込んでいたが、ヘルマスも興味深げに見ている。
彼ら冒険者は直火の焚火を使うのではないだろうか。後はそのまま埋めて痕跡は隠蔽しておけばいいんだしな。
「ああ、青い焔は赤や黄色よりも高温だ。ガス火は安定しているよ。炭火のように美味しく料理できないが楽でいい。バーベキュー・コンロはまた王宮かどこかでお楽しみのために使おう」
俺はルナ姫のために『唐揚げ』を召喚した。子供には唐揚げ。そのような鉄板のメニューを出してやったのはいいのだが。
「美味い。これは美味いですな。あ、もう一つお願いします」
なんだか違う奴に需要があったようだ。
せっかく必殺の魔道具アポックスで召喚した唐揚げ様は、脳筋女騎士サリーの胃袋にどんどん収まっていく。
さりげなくヘルマスも手を伸ばす。いや思わず伸びるのだ。わかるわかる、その気持ち。彼にはビールも提供してある。俺お薦めの銘柄の奴をね。
「いや、いいんだけどな」
ちゃんとルナ姫様も御機嫌で平らげているからいいんだけど、この唐揚げはどこから召喚されてきているものか若干気になる。
この時間であれば、昼間の行列のできる唐揚げ専門店とかではなく、どこかの居酒屋あたりから揚げ立てが召喚されているのだろうか。
こちらの世界と地球の時間的な関係はどうなっているのかねえ。何度も何度も加護が与えられているので、唐揚げを提供してくれた店は、これから繁盛しまくりだろうなあ。
俺は久しぶりにインスタントラーメンを作って食べていたが、皆も興味があるようだったので、必殺の元祖インスタントラーメンを出してみた。お湯をかけるだけで作れる奴だ。
その芳しい香りにルナ姫様も鼻をヒクヒクとさせている。そして三分を砂時計で測ると、子供用の百円均一で売っているプラスチック・フォークで、さっそく食べている。
「アチチチ。でも美味しい~。こんなの初めてだー」
「ルナ姫はまだ子供だから、全部食べると塩分が多すぎるからな。麺を全部食べるんならスープは残した方がいいぞ」
「えー、これ凄く美味しいよー。こんなの王宮でも食べた事がないよ」
「そうだったか」
別に第三王妃の子供だから虐げられていたわけでもあるまい。単に今まで食べた事がない味だからだろう。他の人も夢中で食べていた。
何しろ、こいつはインスタントラーメンの中でも別格なのだ。インスタントラーメンは当初は競争が激しく粗悪な類似品が多く出回り、大変評判が悪かった。
だから発明者は死ぬまで毎日食べて害が無いのを証明しようとした。そして九十歳代まで生きて、その正しさを証明したという。
そして、おそらくは自分が毎日美味しく食べるために改良に改良を重ねたのに違いない。俺など、あのスープの原料を見る度に眩暈がするほどだ。
あれはとんでもない代物だ。同じ会社の他のラーメンと比べたってあれに匹敵するものなどは存在しないのではないか。
ただ一つ欠点があるとすれば『スープが美味すぎる』ことだ。インスタントラーメンやカップ麺は塩分が多く、それはスープに三分の二に含まれているため、日本インスタントラーメン協会みたいなところの人も、協会公式サイトで『スープは半分残すようにしています』と書いている。
だが、この元祖インスタントラーメンはスープが美味すぎて、ついつい飲み干してしまうので、そこが罪なのだ。ルナ姫は我慢できなくてスープまで全部飲み干してしまったようだ。
まあ一日くらいならいいか。このラーメン一杯で成人男性の一日の摂取限度と言われる六グラムの九三%以上を占めてしまう。
高血圧が気になる人は百十二%となってしまうし、子供の限界値などは遥かに超えてしまうのだ。だが美味い。
今の俺は体がでかいし、不死身に近い体なのでインスタントラーメンなんか好きに食い放題なのだが。
というか、一トン以上あるこの屈強な体を維持するのに、食事がインスタントラーメン一杯だったら、いかに不死身の俺といえども死んでしまうわ!
そして、街から遠く離れた場所にて野営しているのだ。次の街までもう半分近いような場所だ。このくらい離れないと、街で敵さんに待ち構えていられると厳しい。
後を追尾されていれば、どうしようもないのだが、それはもう言っても仕方がない。俺なら面倒過ぎて街で待っているね。ここは少しルナ姫の緊張をほぐしてやらないと、さすがに心がもたないだろう。
「さあ、ルナ姫様よ。楽しいキャンプの始まりだ。車中泊だし、オートキャンプといえない事もないよなあ」
俺は気楽にそう言って、中で寝るわけではないが気分だけでテントなど張ってみた。カラフルなテントは目立つが、どの道地味にしていても攻撃は食らうのだからな。
中にはランタンを釣るしてあり、子供には非常に楽しく快適な空間になっている。ルナ姫も中に入って年相応に楽しそうにしていた。
そして、ステンレス製で大きめの焚火台を取り寄せた。これならちょっとしたキャンプファイヤー気分が味わえる。少しお父さんの気分よ。
ウッドストーブは楽しいが、あれはバックパッカーが一人で楽しむものだ。どっちかというと、調理よりも燃やす楽しみが勝る。その辺にある自然燃料でお湯を沸かすのがメインの道具だからな。
こういう時にはあまり向かないので、実用的な大容量ボンベを二つ取りつけた強力二口キャンピング・コンロを出す。クッカーもキャンプ用品のパックにしたものだ。
「へえ、面白い道具ですね。ポンっと捻るだけで火が点くのか。綺麗な青い焔だ」
サリーが感心したように覗き込んでいたが、ヘルマスも興味深げに見ている。
彼ら冒険者は直火の焚火を使うのではないだろうか。後はそのまま埋めて痕跡は隠蔽しておけばいいんだしな。
「ああ、青い焔は赤や黄色よりも高温だ。ガス火は安定しているよ。炭火のように美味しく料理できないが楽でいい。バーベキュー・コンロはまた王宮かどこかでお楽しみのために使おう」
俺はルナ姫のために『唐揚げ』を召喚した。子供には唐揚げ。そのような鉄板のメニューを出してやったのはいいのだが。
「美味い。これは美味いですな。あ、もう一つお願いします」
なんだか違う奴に需要があったようだ。
せっかく必殺の魔道具アポックスで召喚した唐揚げ様は、脳筋女騎士サリーの胃袋にどんどん収まっていく。
さりげなくヘルマスも手を伸ばす。いや思わず伸びるのだ。わかるわかる、その気持ち。彼にはビールも提供してある。俺お薦めの銘柄の奴をね。
「いや、いいんだけどな」
ちゃんとルナ姫様も御機嫌で平らげているからいいんだけど、この唐揚げはどこから召喚されてきているものか若干気になる。
この時間であれば、昼間の行列のできる唐揚げ専門店とかではなく、どこかの居酒屋あたりから揚げ立てが召喚されているのだろうか。
こちらの世界と地球の時間的な関係はどうなっているのかねえ。何度も何度も加護が与えられているので、唐揚げを提供してくれた店は、これから繁盛しまくりだろうなあ。
俺は久しぶりにインスタントラーメンを作って食べていたが、皆も興味があるようだったので、必殺の元祖インスタントラーメンを出してみた。お湯をかけるだけで作れる奴だ。
その芳しい香りにルナ姫様も鼻をヒクヒクとさせている。そして三分を砂時計で測ると、子供用の百円均一で売っているプラスチック・フォークで、さっそく食べている。
「アチチチ。でも美味しい~。こんなの初めてだー」
「ルナ姫はまだ子供だから、全部食べると塩分が多すぎるからな。麺を全部食べるんならスープは残した方がいいぞ」
「えー、これ凄く美味しいよー。こんなの王宮でも食べた事がないよ」
「そうだったか」
別に第三王妃の子供だから虐げられていたわけでもあるまい。単に今まで食べた事がない味だからだろう。他の人も夢中で食べていた。
何しろ、こいつはインスタントラーメンの中でも別格なのだ。インスタントラーメンは当初は競争が激しく粗悪な類似品が多く出回り、大変評判が悪かった。
だから発明者は死ぬまで毎日食べて害が無いのを証明しようとした。そして九十歳代まで生きて、その正しさを証明したという。
そして、おそらくは自分が毎日美味しく食べるために改良に改良を重ねたのに違いない。俺など、あのスープの原料を見る度に眩暈がするほどだ。
あれはとんでもない代物だ。同じ会社の他のラーメンと比べたってあれに匹敵するものなどは存在しないのではないか。
ただ一つ欠点があるとすれば『スープが美味すぎる』ことだ。インスタントラーメンやカップ麺は塩分が多く、それはスープに三分の二に含まれているため、日本インスタントラーメン協会みたいなところの人も、協会公式サイトで『スープは半分残すようにしています』と書いている。
だが、この元祖インスタントラーメンはスープが美味すぎて、ついつい飲み干してしまうので、そこが罪なのだ。ルナ姫は我慢できなくてスープまで全部飲み干してしまったようだ。
まあ一日くらいならいいか。このラーメン一杯で成人男性の一日の摂取限度と言われる六グラムの九三%以上を占めてしまう。
高血圧が気になる人は百十二%となってしまうし、子供の限界値などは遥かに超えてしまうのだ。だが美味い。
今の俺は体がでかいし、不死身に近い体なのでインスタントラーメンなんか好きに食い放題なのだが。
というか、一トン以上あるこの屈強な体を維持するのに、食事がインスタントラーメン一杯だったら、いかに不死身の俺といえども死んでしまうわ!
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