3 / 107
第一章 荒神転生
1-3 邪悪でごめん
しおりを挟む
そこにはまだ5歳くらいの幼女と、何故か、ひっくり返っている女騎士がいた。そして、その前にいる奴はなんと馬鹿でかい蜘蛛だった。
全長十メートルほどはあるのか。全身が禍々しい鋼のような剛毛に覆われ、そして何よりも邪悪な爛々と輝く目がヤバイ。
あの毛むくじゃらの足ときたらどうだ。思わず蠅叩きはおろか、布団叩きを持ち出してきたいところだ。生憎な事に手が使えないので、自動で動く魔法の蠅叩きを作ってもらわないといけないが。
大蜘蛛の野郎は、幼女の可愛い魔法など吹き消してしまっているようだった。あの剛毛は火魔法に対して、耐魔法性があるのかもしれない。
体表面に届くことすらないようだった。普通であれば、一目散に逃げ出すシーンなのだが、ここは腕試しといくシーンなのではないだろうか。
生憎な事に相手が八岐大蛇じゃあなくって残念だ。蜘蛛なら酒じゃなくて消毒用アルコールかねえ。外国だとウイスキーをかける人もいるらしいが。
俺はのっそりと姿を現したのだが、その気配に振り向いた幼女(あかずきんちゃん)は凄い絶望の表情を浮かべた。
おっと、しまったぜ。俺は自分の真っ黒で、パッと見に邪悪なる物に見えない事もない姿が人の目にどういう具合に映るのか、すっかりと忘れていた。
父、何故この色にした。いやフェンリルって元はこういう色合いだったような気がする。北欧系のスタイルって、こういうおどろおどろしいところが、あれこれと駄目だよな。
全然、神の子の雰囲気が出ていねえ。美しく神々しいデザインなのだが、まず狼というところで既にアウトだ。
「あ、ごめん。お願いだから怖がらないで。俺、一応は神(邪神)の子フェンリルですから。君、危ないから後ろに下がっていて」
俺が喋るのを聞いた幼女は驚いた表情を浮かべたが、羽虫妖精のフィアが髪の毛を引っ張るので慌てて退避していった。
身なりはいいので、どこかのお嬢さんなのか? 魔法も使えているようだし。なんでこんなところにいるのだろうか。
お付きの護衛はいたようだったが、そこで目を回しているしな。頭の兜は転がってしまっていて、間抜けな面で気絶している。
こいつ、さては脳筋系だな。結構な美人なんだが、そんな鎧を着込んでいる段階でヒロインの座はとっくに捨てているのだろう。
「よお、お前さん。俺の力はわかるだろう。今のうちに退散するなら見逃してやるぞ」
ふふ。相手が絶対にそうしないと知っているので、そう言ってやった。だが相手はくるりっと背を向けた。俺は慌ててしまって一声鋭く吠えた。
「あ、おいおい、今のなし。なしだから、カムバックプリーズ」
このままじゃ、俺が馬鹿丸出しじゃあないか。だが、そいつは立ち止まり、ケツを少し上げたかと思うと。
「ぶわわわわっ、なんじゃこりゃあ」
なんと、いきなり大容量の糸の塊を吹き付けてきやがったのだ。
それは空中で網のように広がると、あっという間に俺は頑丈なロープのようなべとべとの糸に絡めとられてしまった。
ちくしょう、相手がどんな生き物なのか忘れていたぜ。
一見すると徘徊するクロウラータイプのハンタースパイダーのように見えたので油断していたなあ。もしかすると、本当は巣を張るタイプの奴だったのかもしれない。
「おっと、こりゃ参ったな。おいフィア、なんとかしてくれよ。動けねえや」
「ええい、アホですか。スサノオ様ったら、何を間抜けにそんな雑魚に捕獲されているんですか。それでもアンタ神の子なの。あれを出せばいいでしょうに」
そうかあ。俺は愛鎧(愛剣?)である草薙を出してみた。「着装! ロキの鎧」と大声で叫ぶのも忘れない!
一番大事だよな、これ。そして全身刃の必殺鎧は見事にあっさりと糸を断ち切ってくれた。この状態でも見事に着装し、べたべたした糸の粘着力も超魔法金属はものともしないようだった。
もっとも俺の体と草薙の間には、挟まったべとべとが残ってしまい、非常に不快だったのだが。
「うわー、気色わるう。どこかで体を洗いたいな」
そして、奴はまた俺に向き直ると口から大量に毒液を吐きかけてきた。俺は慌てて避けた。この体って毒に対する耐性はどれくらいあるものなのかね。まだ勝手がよくわからねえ。
俺は瞬時にゼロ距離から一気に加速して、奴の傍を駆け抜けた。狙い違わずに、奴の片側の足四本を、第一関節手前で切り落とした。
響き渡る奴の苦鳴。耳障りだなあ。蜘蛛がこんなに騒ぐものだとは知らなかった。昆虫だの節足動物だのって、羽根で音楽鳴らすタイプ以外は寡黙なもんだと思っていたのだが。
ゴキブリがキイキイいうのは、確か関節の音だよな。あとは顎を鳴らす音か。カミキリムシは結構うるさい。
この草薙の刃は何故かエクステンション効果を持っていて、こいつで切り裂くと長い刃物で切り裂いたような不思議な効果がある。
自動再生でいつまでも切れ味は落ちないようだし。血糊や油なんかも常に自動で落としてくれる。でも、俺の体との間に挟まった粘着糸の粘りは消してくれないのだった。
要改良だな、これ。実戦第一発目から、あらぬ欠陥が露呈してしまった。戦闘機能には問題ないのだが、快適機能には少し欠けるようだった。
気温や湿度に対する快適さの注文はつけておいたので、そちらはまったく問題ないのだが。
俺は電光石火の足さばきで、反対側からも返す刀で残りの四本を切り落とした。柔らかい。蝶なんかの昆虫の体も一見すると柔らかそうに見えるが、あれも結構堅いのだ。蜘蛛ってどうなのかね。
俺の武器は、神に仕える鍛冶師が作った特別な代物なので、そのせいなのかもしれない。そして、そいつの脳天の付け根を横切って、足先から生えた三本の爪により、その戦闘に終止符を打った。
俺は草薙を解除すると、のっそりと仕事をサボって寝ている女騎士に近づき前足で突いた。
「起きろ、こら。起きんか」
だが、間抜けにも足に女騎士がくっついてしまった。やつの糸がまだ残っていたらしい。
「うわわわ、おいこら放せ」
別にそいつが放してくれていないわけではないのだが、俺は間抜けに蟹かカマキリに鼻を掴まれてしまった猫みたいに慌ててしまった。
俺の足ごと、ゆさゆさと揺すってやったのだが、奴は目を覚まさない。
「慌てないで、狼さん。我が忠実なる騎士よ、天の福音をその身に纏え、浄化」
すると、ちゃんと足から女騎士が取れた。ふう、落ち着いたぜ。犬猫って、こういうの苦手だよね。
足の裏にくっついたガムとか勘弁だな。あと毛皮にくっつくのも困る。普通は綺麗に取れないから毛を刈られちゃうんだよね、あれ。この世界、ガムが普通に売っていたらどうしようか。
「ふう、ありがとう。お嬢ちゃん、物は相談なんだけどさ、俺の体もそいつで綺麗にしてくれない?」
「え、これ簡単な浄化の魔法だよ。あなた、自分で神の子って言ってなかった? すっごく強かったくせに」
「ああ、それはちょっと訳ありでなあ。俺、魔法が使えないのよー」
「何それ、じゃあ今かけてあげるわ」
そして俺は見事にピカピカ(真っ黒な)の毛並みに復帰した。
「やあ、これは快適。いいなあ、魔法」
「私はルナよ。助けてくれてありがとう。よく見たら、あなたって優しい目をしているのね」
まあ中身は羊のように大人しい、ただの日本人でございますれば。ゴキブリや蜘蛛くらいは蠅叩きで叩きますがね。今日の蜘蛛は叩き甲斐があったな。いや、叩いた訳じゃあなくって、ぶったぎったんだが。
「俺の名はスサノオ、そっちの奴は妖精のフィア。御覧の通りのフェンリルさ。こんなところで何しているの?」
「あー、ちょっとお使いに。お花畑で御飯にしていたら、この有様よ。そこに護衛の騎士がいたんだけど、忍び寄ってきたあいつの毒にやられちゃって。解毒の魔法はかけておいたんだけど目を覚まさないな。私は解毒の魔道具を身に着けていたから助かったの」
「へえ、歩いて旅を? 物騒だな」
「ううん、馬車があったんだけど、御車さんと馬は殺されて馬車も壊されたから歩いて帰るしかないんだけど、まだ王宮まで凄く遠いわ」
「王宮!」
俺はピクンっと思わず耳を立ててしまった。いいなー、王宮か。とっても行ってみてえ。
俺は普通に行ったら中に入れてもらえないだろう。あっという間に騎士団が束になってやってきて鬼ごっこが始まりそうだ。それも楽しそうなんだけど。
「うん、私は一応この国の王女です。名前はルナ、ルナ・バーン・アクエリア。アクエリア王国の第五王女だよ。お父様のお使いで隣国まで使者を務めたの。手紙を届けるだけなんだけど。王族は五歳になると、そういう仕事を言い付けられるの。王族として責任を持って生きる心構えをつけるためになの」
「じゃあさあ、護衛も兼ねて王宮まで乗せていってあげるからさ、俺に王宮を見学させてくれない」
「うん、いいよ。それは助かるわ。ありがとう」
「やったぜー」
俺は二本足で立ち上がり小躍りした。
それを眩しそうに見上げて少し笑顔になったお姫様がいる。公開されている観光地ならともかく、異世界の王宮なんて簡単に見学できないからなー。
第一、俺の場合はこの見かけがね。騎士がいっぱい出てきてお尋ね者確定というのは、さすがに神の子として格好が悪すぎるぜ。まあ、邪神ロキの子なんだけどね。
全長十メートルほどはあるのか。全身が禍々しい鋼のような剛毛に覆われ、そして何よりも邪悪な爛々と輝く目がヤバイ。
あの毛むくじゃらの足ときたらどうだ。思わず蠅叩きはおろか、布団叩きを持ち出してきたいところだ。生憎な事に手が使えないので、自動で動く魔法の蠅叩きを作ってもらわないといけないが。
大蜘蛛の野郎は、幼女の可愛い魔法など吹き消してしまっているようだった。あの剛毛は火魔法に対して、耐魔法性があるのかもしれない。
体表面に届くことすらないようだった。普通であれば、一目散に逃げ出すシーンなのだが、ここは腕試しといくシーンなのではないだろうか。
生憎な事に相手が八岐大蛇じゃあなくって残念だ。蜘蛛なら酒じゃなくて消毒用アルコールかねえ。外国だとウイスキーをかける人もいるらしいが。
俺はのっそりと姿を現したのだが、その気配に振り向いた幼女(あかずきんちゃん)は凄い絶望の表情を浮かべた。
おっと、しまったぜ。俺は自分の真っ黒で、パッと見に邪悪なる物に見えない事もない姿が人の目にどういう具合に映るのか、すっかりと忘れていた。
父、何故この色にした。いやフェンリルって元はこういう色合いだったような気がする。北欧系のスタイルって、こういうおどろおどろしいところが、あれこれと駄目だよな。
全然、神の子の雰囲気が出ていねえ。美しく神々しいデザインなのだが、まず狼というところで既にアウトだ。
「あ、ごめん。お願いだから怖がらないで。俺、一応は神(邪神)の子フェンリルですから。君、危ないから後ろに下がっていて」
俺が喋るのを聞いた幼女は驚いた表情を浮かべたが、羽虫妖精のフィアが髪の毛を引っ張るので慌てて退避していった。
身なりはいいので、どこかのお嬢さんなのか? 魔法も使えているようだし。なんでこんなところにいるのだろうか。
お付きの護衛はいたようだったが、そこで目を回しているしな。頭の兜は転がってしまっていて、間抜けな面で気絶している。
こいつ、さては脳筋系だな。結構な美人なんだが、そんな鎧を着込んでいる段階でヒロインの座はとっくに捨てているのだろう。
「よお、お前さん。俺の力はわかるだろう。今のうちに退散するなら見逃してやるぞ」
ふふ。相手が絶対にそうしないと知っているので、そう言ってやった。だが相手はくるりっと背を向けた。俺は慌ててしまって一声鋭く吠えた。
「あ、おいおい、今のなし。なしだから、カムバックプリーズ」
このままじゃ、俺が馬鹿丸出しじゃあないか。だが、そいつは立ち止まり、ケツを少し上げたかと思うと。
「ぶわわわわっ、なんじゃこりゃあ」
なんと、いきなり大容量の糸の塊を吹き付けてきやがったのだ。
それは空中で網のように広がると、あっという間に俺は頑丈なロープのようなべとべとの糸に絡めとられてしまった。
ちくしょう、相手がどんな生き物なのか忘れていたぜ。
一見すると徘徊するクロウラータイプのハンタースパイダーのように見えたので油断していたなあ。もしかすると、本当は巣を張るタイプの奴だったのかもしれない。
「おっと、こりゃ参ったな。おいフィア、なんとかしてくれよ。動けねえや」
「ええい、アホですか。スサノオ様ったら、何を間抜けにそんな雑魚に捕獲されているんですか。それでもアンタ神の子なの。あれを出せばいいでしょうに」
そうかあ。俺は愛鎧(愛剣?)である草薙を出してみた。「着装! ロキの鎧」と大声で叫ぶのも忘れない!
一番大事だよな、これ。そして全身刃の必殺鎧は見事にあっさりと糸を断ち切ってくれた。この状態でも見事に着装し、べたべたした糸の粘着力も超魔法金属はものともしないようだった。
もっとも俺の体と草薙の間には、挟まったべとべとが残ってしまい、非常に不快だったのだが。
「うわー、気色わるう。どこかで体を洗いたいな」
そして、奴はまた俺に向き直ると口から大量に毒液を吐きかけてきた。俺は慌てて避けた。この体って毒に対する耐性はどれくらいあるものなのかね。まだ勝手がよくわからねえ。
俺は瞬時にゼロ距離から一気に加速して、奴の傍を駆け抜けた。狙い違わずに、奴の片側の足四本を、第一関節手前で切り落とした。
響き渡る奴の苦鳴。耳障りだなあ。蜘蛛がこんなに騒ぐものだとは知らなかった。昆虫だの節足動物だのって、羽根で音楽鳴らすタイプ以外は寡黙なもんだと思っていたのだが。
ゴキブリがキイキイいうのは、確か関節の音だよな。あとは顎を鳴らす音か。カミキリムシは結構うるさい。
この草薙の刃は何故かエクステンション効果を持っていて、こいつで切り裂くと長い刃物で切り裂いたような不思議な効果がある。
自動再生でいつまでも切れ味は落ちないようだし。血糊や油なんかも常に自動で落としてくれる。でも、俺の体との間に挟まった粘着糸の粘りは消してくれないのだった。
要改良だな、これ。実戦第一発目から、あらぬ欠陥が露呈してしまった。戦闘機能には問題ないのだが、快適機能には少し欠けるようだった。
気温や湿度に対する快適さの注文はつけておいたので、そちらはまったく問題ないのだが。
俺は電光石火の足さばきで、反対側からも返す刀で残りの四本を切り落とした。柔らかい。蝶なんかの昆虫の体も一見すると柔らかそうに見えるが、あれも結構堅いのだ。蜘蛛ってどうなのかね。
俺の武器は、神に仕える鍛冶師が作った特別な代物なので、そのせいなのかもしれない。そして、そいつの脳天の付け根を横切って、足先から生えた三本の爪により、その戦闘に終止符を打った。
俺は草薙を解除すると、のっそりと仕事をサボって寝ている女騎士に近づき前足で突いた。
「起きろ、こら。起きんか」
だが、間抜けにも足に女騎士がくっついてしまった。やつの糸がまだ残っていたらしい。
「うわわわ、おいこら放せ」
別にそいつが放してくれていないわけではないのだが、俺は間抜けに蟹かカマキリに鼻を掴まれてしまった猫みたいに慌ててしまった。
俺の足ごと、ゆさゆさと揺すってやったのだが、奴は目を覚まさない。
「慌てないで、狼さん。我が忠実なる騎士よ、天の福音をその身に纏え、浄化」
すると、ちゃんと足から女騎士が取れた。ふう、落ち着いたぜ。犬猫って、こういうの苦手だよね。
足の裏にくっついたガムとか勘弁だな。あと毛皮にくっつくのも困る。普通は綺麗に取れないから毛を刈られちゃうんだよね、あれ。この世界、ガムが普通に売っていたらどうしようか。
「ふう、ありがとう。お嬢ちゃん、物は相談なんだけどさ、俺の体もそいつで綺麗にしてくれない?」
「え、これ簡単な浄化の魔法だよ。あなた、自分で神の子って言ってなかった? すっごく強かったくせに」
「ああ、それはちょっと訳ありでなあ。俺、魔法が使えないのよー」
「何それ、じゃあ今かけてあげるわ」
そして俺は見事にピカピカ(真っ黒な)の毛並みに復帰した。
「やあ、これは快適。いいなあ、魔法」
「私はルナよ。助けてくれてありがとう。よく見たら、あなたって優しい目をしているのね」
まあ中身は羊のように大人しい、ただの日本人でございますれば。ゴキブリや蜘蛛くらいは蠅叩きで叩きますがね。今日の蜘蛛は叩き甲斐があったな。いや、叩いた訳じゃあなくって、ぶったぎったんだが。
「俺の名はスサノオ、そっちの奴は妖精のフィア。御覧の通りのフェンリルさ。こんなところで何しているの?」
「あー、ちょっとお使いに。お花畑で御飯にしていたら、この有様よ。そこに護衛の騎士がいたんだけど、忍び寄ってきたあいつの毒にやられちゃって。解毒の魔法はかけておいたんだけど目を覚まさないな。私は解毒の魔道具を身に着けていたから助かったの」
「へえ、歩いて旅を? 物騒だな」
「ううん、馬車があったんだけど、御車さんと馬は殺されて馬車も壊されたから歩いて帰るしかないんだけど、まだ王宮まで凄く遠いわ」
「王宮!」
俺はピクンっと思わず耳を立ててしまった。いいなー、王宮か。とっても行ってみてえ。
俺は普通に行ったら中に入れてもらえないだろう。あっという間に騎士団が束になってやってきて鬼ごっこが始まりそうだ。それも楽しそうなんだけど。
「うん、私は一応この国の王女です。名前はルナ、ルナ・バーン・アクエリア。アクエリア王国の第五王女だよ。お父様のお使いで隣国まで使者を務めたの。手紙を届けるだけなんだけど。王族は五歳になると、そういう仕事を言い付けられるの。王族として責任を持って生きる心構えをつけるためになの」
「じゃあさあ、護衛も兼ねて王宮まで乗せていってあげるからさ、俺に王宮を見学させてくれない」
「うん、いいよ。それは助かるわ。ありがとう」
「やったぜー」
俺は二本足で立ち上がり小躍りした。
それを眩しそうに見上げて少し笑顔になったお姫様がいる。公開されている観光地ならともかく、異世界の王宮なんて簡単に見学できないからなー。
第一、俺の場合はこの見かけがね。騎士がいっぱい出てきてお尋ね者確定というのは、さすがに神の子として格好が悪すぎるぜ。まあ、邪神ロキの子なんだけどね。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる