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それぞれの出逢い
極星
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「はい、お手!お手!・・・あっ、待ってください!」
「ミカちゃん、モモルガは犬ではないのでお手はしないわよ?」
「私、初めて本物のモモルガ見ました!サーシャさんはいつから飼われているのですか?」
「1年前よ。シェリー姫に仕えた年にたまたま任務の帰りに怪我をしているところを助けたの。そうしたらなつかれちゃって」
船内の一室で、ミカエラとサーシャが意気投合して会話に華を咲かせている。
ミカエラがさっきから言うことを聞いてもらえず格闘しているのは、サーシャの飼っているモモルガというムササビっぽい身体にクリクリした目とブタッ鼻の真っ白な珍獣だ。
その動物は、通常灰or黒色の毛並みをもっているのだが、白色だけは希少種であり、“始祖ユリアが愛した珍獣”だとか“祝福をもたらす象徴”だとか、見てくれからは、にわかに信じがたい二つ名を持っているが今や絶滅危惧種指定らしい。
「この子はコナンっていうんだけど、私以外の人だとシェリー姫くらいにしかなつかなくてね。エラさんもよく噛み付かれて手を焼いてるくらい。だからミカちゃんも大変だと思うけど、根気よく相手してね!」
「もちろんです!コナン、おいで~!」
港で待っていたアスベル達は導師ノアと挨拶を交わすと、ホエールベイ号と呼ばれる艦隊に乗り込み王都へ進行していた。
シェリーは導師や他のお供とどこかへ、船内の一室に案内された俺とレオグス、ミカエラとエラ、サーシャはこうして次の指示が来るのを待っていた。
おっと、それとあと一人・・・
「ひゃあ~!軍艦なのに快適な部屋~!しかも一人一室用意してくれるなんて太っ腹ですねぇ!」
そう言って、トイレから戻って豪華なソファーで寛いでるのはエリーゼだった。
「ってなんでエリーゼがいるんだよ!お前学校はどうしたんだよ!」
「だからさっきも言ったじゃないですかぁ~!お休みですよ、お・や・す・み!私、男性に襲われて怖い思いしたんですよ?だから昨日心の病って事で休学の申請したんです!旅したかったんだぁ~!」
「どこが病んでるんだよ?元気いっぱいじゃんか。今年中に卒業できなくなるぞ?」
「大丈夫ですよ~!ちゃんと卒業までの過程は全てパスしてますし、何か言われたら『在校生に襲われたのを学校側が揉み消した事、新聞社にリークしますよ』って言えばいいんです!」
そんな事を笑顔でサラッと言ってのけるエリーゼ。
女ってこえ~・・・
「いやぁ~どうもお待たせ致しました~」
客室に入ってきたのは、導師のお供の一人と思われる30代くらいの男だった。
ミルクティー調の淡いロン毛で赤褐色の瞳、笑みを浮かべるその顔は一見物腰柔らかい雰囲気だが、その実全く隙がなく、まるでこちらを品定めしているようだ。
着ている服は軍服というより、お洒落な商人のような青い礼服にクラバットを付けている。
エラやサーシャが自分の上司に会った時のようにサッと姿勢を正したので、二人は面識があるようだ。
この人もシェリーと同じセイヴァー・ガーディアンなのだろうか?
「私はワコール駐屯兵団レオグス副隊長。こちらは部下のアスベルと一緒に旅をしているミカエラ、それに・・・エリーゼだ。今回はよろしく頼む」
エリーゼの紹介だけ困ってんな、レオグス・・・
「私はロシリア帝国軍、軍事司令責任者兼セイヴァー・ガーディアン、レイトン・クリスティ司令です。一応セイヴァー・ガーディアンの隊長という立ち位置です。どうぞよろしく」
「えっ、ロシリア帝国?ダラムじゃなくて?」
俺が握手をしながら疑問の声を上げると、穏やかに微笑みながらレイトンは、
「はい。軍艦の国旗がそうだったでしょう?」
あぁ、だからレオグスは気にしてたのか。
「セイヴァー・ガーディアンって兼任でできるんですか?」
「えぇ。籍はロシリア帝国所属になりますが、私は現場に赴くことが多いので、導師からの依頼もあり度々こうして護衛兵として付いています」
なるほど、つまり他国の軍人でありながら教会責任者の護衛兵として懇願される程の実力と信頼があるようだ。
「事情は聴いていますね?今回は私とシェリーの他にもう一人セイヴァー・ガーディアンが船内に待機しています。あなた方はこの部屋で王都到着までどうぞお寛ぎください。ノア様の警備は我々でしますので」
「・・・俺らはいらないってことですか?」
「いえいえ、客人に怪我をさせまいという配慮ですよ~」
皮肉たっぷりの笑顔を向けるレイトンにレオグスは食い下がり、
「しかし、それでは我々が同船している目的が達成できん。我々は導師ノアに増援の口利きを願いたいのだが・・・」
「その目的も承知の上です。しかし・・・私は他国の人間である為、バスカッシュ王国の内情をすべて知っているわけではありませんが、おそらく増援は期待できないでしょう」
「それは百も承知。それでもわずかな望みに我々はかけている。レイトン司令、あなたこそなぜそう思うのだ?」
「それは-------」
レイトンが何か言おうとすると扉が開いて導師ノアとシェリーが入ってくる。
「レイトン、挨拶は終わりましたか?」
「ノア様、ちょうど今終わったところです。ノア様はいかがなされましたか?」
「シェリーからあなたたちが乗船してきた理由を伺いました。ユートピアへ増援依頼をするため、僕に口利きをしてほしいとか・・・」
「不躾ながら、どうか導師ノアのお力添えをいただきたくこの度は誠に勝手ながら同行をさせていただいております」
レオグスが導師ノアに頭を下げる。導師はレオグスに微笑むと、
「レオグス、頭を上げてください。そうですね、僕もどこまで力になれるか分かりませんができることは協力します。ただ、王都は今緊張状態にあります。少なくともこの状況に改善が見られない限り、いくら口添えをしても増援は難しいでしょう」
「失礼ながら、導師は何かお考えでも?」
「僕はこの緊張状態を改善するために王都に向かっています。無事王都に到着し、謁見を行なうことができればあるいは・・・」
ノアの話にしても、レイトンの話にしても核心が見えてこない。
今、王都はギルドと睨み合いを続けていて、和平交渉の為にノアは王都に向かっている。
王都はギルドから圧力をかけられていて、王都は戦争にならないようそれを抑止している。
そして、その和平交渉を阻止しようとする“謎の勢力”が導師を狙っている・・・で合ってるよな?
「導師ノア、王都は本当にギルドと対立しているのですか?先ほどから何か含みがあるような・・・」
「アスベル・・・と言いましたね。すいません。その質問には今はお答えできません」
やっぱり何かあるらしい。シェリーの方を見るも無言で首を横に振るだけだ。
ノアもレイトンもシェリーもこれ以上は話す気はないらしく、話のネタはお互いの素性に移った。
そんな中、シェリーは港で起こった先ほどの謎の光についてノアとレイトンに問うた。
「それはおそらく<極星>と呼ばれる特殊な譜素の集合体だと思われます。極星には“光”と“闇”ふたつの属性があり、これはどちらが良い、悪いではなく生まれ持った性質です。そして大切なのは、その“光”と“闇”の極星が衝突すると強力なエネルギーが発すると言われているということです」
「じゃあノア、俺とシェリーの間でエネルギーが発生したってことか?」
「いえ、もし本当に“光”と“闇”の極星が衝突したらその程度ではすまない・・・と思います」
ノアの歯切れがあまり良くない。
「なんか自信なさげだな?」
「すいません、なんせ教会に伝わる伝承から得た知識で古くから噂はされているのですが、僕も見たことがないんです」
「・・・しかし驚きました。シェリーが極星の素養を持っていたとは。ノア様はご存じでしたか?」
レイトンは今日初めて話の中身に真剣に興味を持った様子。
ノアは首を振ると、
「いえ、恥ずかしながら僕も今日まで分かりませんでした。けれど、アスベルに関しては譜素が通常とは異なる質のものだったので、極星だとすぐ分かりましたよ」
ノアは俺と対面した際、通常とは微妙に異なる譜素を感じたらしい。
「私自身もアスベルに触れるまでこんな力があったとは知りませんでした。極星を持つことの弊害などはないのでしょうか?」
「断定はできません。かつてのセイヴァー・ガーディアンにもそういった方はいましたが、特に聞いたことはありませんでしたよ。レイトンはどう思います?」
ノアに話を振られたレイトンは少し考えながら、
「私も所有者でないので分かりませんねぇ。今まで何もなかったから今後もないと言えばそうでしょうし、はたまたアスベルとの接触により何かしらの力が発動したとも考えられます。まぁシェリーは若いですし、大丈夫でしょう」
「若さは関係あるのか・・・?」
結構考えてた割に最後は雑だな。
食えない人だな、この人。
その後レイトンは俺とシェリーにいくつか質問をした後、船を降りたら安全な場所で再度手を触れてみようと提案してきた。
なにやらレイトンは、ロシリア帝国で譜素の研究員としても働いているらしい。
「シェ、シェリーと手を握るのか・・・」
「私とでは嫌なのか、アスベル?」
「いやあ滅相もございません!」
むしろ逆だ!むしろそれ以上でも・・・でもこんな美女と緊張する!
その時俺はハッとした!
そして恐る恐る横を見ると・・・
「アスベル!鼻の下が伸びてます!」
「の、伸びてないし~!!」
やっぱりミカエラが絡んで来たあ~!
で、でも今回は否定しづらい・・・
「アスベル、私は別にシェリーと抱き合えとは言っていませんよ?まぁ、もちろん私はそれでも構いませんが」
「なぁっ!?レ、レ、レ、レイトン!貴公は何を言っているんだあ!!」
シェリーまで真っ赤になっている。
「おのれ、白騎士!それ以上シェリー姫を不純な目で見るな!許さん!」
「エラさん、待ってください!誤解だし!今のはレイトンが言った事で!」
「えっ、先輩ってシェリー先輩といつからそんな仲に!?手出すの早っ!?」
「エリーゼ!お前は煽るような事言うな!」
「アスベル!!手を握るの私は許しません!」
「フフ、楽しい仲間が増えましたね」
ノアは絡み合う俺とミカエラ、エリーゼ、エマを微笑ましく見ていた。
ピリリリリリリリィー---!!
『緊急警報!!緊急警報!!緊急警報!!』
船内に突如として警報が鳴り響いた!
そして大きく揺れる船内!
悪魔の手はすでにアスベル達を捉えていた・・・!
~to be continue~
「ミカちゃん、モモルガは犬ではないのでお手はしないわよ?」
「私、初めて本物のモモルガ見ました!サーシャさんはいつから飼われているのですか?」
「1年前よ。シェリー姫に仕えた年にたまたま任務の帰りに怪我をしているところを助けたの。そうしたらなつかれちゃって」
船内の一室で、ミカエラとサーシャが意気投合して会話に華を咲かせている。
ミカエラがさっきから言うことを聞いてもらえず格闘しているのは、サーシャの飼っているモモルガというムササビっぽい身体にクリクリした目とブタッ鼻の真っ白な珍獣だ。
その動物は、通常灰or黒色の毛並みをもっているのだが、白色だけは希少種であり、“始祖ユリアが愛した珍獣”だとか“祝福をもたらす象徴”だとか、見てくれからは、にわかに信じがたい二つ名を持っているが今や絶滅危惧種指定らしい。
「この子はコナンっていうんだけど、私以外の人だとシェリー姫くらいにしかなつかなくてね。エラさんもよく噛み付かれて手を焼いてるくらい。だからミカちゃんも大変だと思うけど、根気よく相手してね!」
「もちろんです!コナン、おいで~!」
港で待っていたアスベル達は導師ノアと挨拶を交わすと、ホエールベイ号と呼ばれる艦隊に乗り込み王都へ進行していた。
シェリーは導師や他のお供とどこかへ、船内の一室に案内された俺とレオグス、ミカエラとエラ、サーシャはこうして次の指示が来るのを待っていた。
おっと、それとあと一人・・・
「ひゃあ~!軍艦なのに快適な部屋~!しかも一人一室用意してくれるなんて太っ腹ですねぇ!」
そう言って、トイレから戻って豪華なソファーで寛いでるのはエリーゼだった。
「ってなんでエリーゼがいるんだよ!お前学校はどうしたんだよ!」
「だからさっきも言ったじゃないですかぁ~!お休みですよ、お・や・す・み!私、男性に襲われて怖い思いしたんですよ?だから昨日心の病って事で休学の申請したんです!旅したかったんだぁ~!」
「どこが病んでるんだよ?元気いっぱいじゃんか。今年中に卒業できなくなるぞ?」
「大丈夫ですよ~!ちゃんと卒業までの過程は全てパスしてますし、何か言われたら『在校生に襲われたのを学校側が揉み消した事、新聞社にリークしますよ』って言えばいいんです!」
そんな事を笑顔でサラッと言ってのけるエリーゼ。
女ってこえ~・・・
「いやぁ~どうもお待たせ致しました~」
客室に入ってきたのは、導師のお供の一人と思われる30代くらいの男だった。
ミルクティー調の淡いロン毛で赤褐色の瞳、笑みを浮かべるその顔は一見物腰柔らかい雰囲気だが、その実全く隙がなく、まるでこちらを品定めしているようだ。
着ている服は軍服というより、お洒落な商人のような青い礼服にクラバットを付けている。
エラやサーシャが自分の上司に会った時のようにサッと姿勢を正したので、二人は面識があるようだ。
この人もシェリーと同じセイヴァー・ガーディアンなのだろうか?
「私はワコール駐屯兵団レオグス副隊長。こちらは部下のアスベルと一緒に旅をしているミカエラ、それに・・・エリーゼだ。今回はよろしく頼む」
エリーゼの紹介だけ困ってんな、レオグス・・・
「私はロシリア帝国軍、軍事司令責任者兼セイヴァー・ガーディアン、レイトン・クリスティ司令です。一応セイヴァー・ガーディアンの隊長という立ち位置です。どうぞよろしく」
「えっ、ロシリア帝国?ダラムじゃなくて?」
俺が握手をしながら疑問の声を上げると、穏やかに微笑みながらレイトンは、
「はい。軍艦の国旗がそうだったでしょう?」
あぁ、だからレオグスは気にしてたのか。
「セイヴァー・ガーディアンって兼任でできるんですか?」
「えぇ。籍はロシリア帝国所属になりますが、私は現場に赴くことが多いので、導師からの依頼もあり度々こうして護衛兵として付いています」
なるほど、つまり他国の軍人でありながら教会責任者の護衛兵として懇願される程の実力と信頼があるようだ。
「事情は聴いていますね?今回は私とシェリーの他にもう一人セイヴァー・ガーディアンが船内に待機しています。あなた方はこの部屋で王都到着までどうぞお寛ぎください。ノア様の警備は我々でしますので」
「・・・俺らはいらないってことですか?」
「いえいえ、客人に怪我をさせまいという配慮ですよ~」
皮肉たっぷりの笑顔を向けるレイトンにレオグスは食い下がり、
「しかし、それでは我々が同船している目的が達成できん。我々は導師ノアに増援の口利きを願いたいのだが・・・」
「その目的も承知の上です。しかし・・・私は他国の人間である為、バスカッシュ王国の内情をすべて知っているわけではありませんが、おそらく増援は期待できないでしょう」
「それは百も承知。それでもわずかな望みに我々はかけている。レイトン司令、あなたこそなぜそう思うのだ?」
「それは-------」
レイトンが何か言おうとすると扉が開いて導師ノアとシェリーが入ってくる。
「レイトン、挨拶は終わりましたか?」
「ノア様、ちょうど今終わったところです。ノア様はいかがなされましたか?」
「シェリーからあなたたちが乗船してきた理由を伺いました。ユートピアへ増援依頼をするため、僕に口利きをしてほしいとか・・・」
「不躾ながら、どうか導師ノアのお力添えをいただきたくこの度は誠に勝手ながら同行をさせていただいております」
レオグスが導師ノアに頭を下げる。導師はレオグスに微笑むと、
「レオグス、頭を上げてください。そうですね、僕もどこまで力になれるか分かりませんができることは協力します。ただ、王都は今緊張状態にあります。少なくともこの状況に改善が見られない限り、いくら口添えをしても増援は難しいでしょう」
「失礼ながら、導師は何かお考えでも?」
「僕はこの緊張状態を改善するために王都に向かっています。無事王都に到着し、謁見を行なうことができればあるいは・・・」
ノアの話にしても、レイトンの話にしても核心が見えてこない。
今、王都はギルドと睨み合いを続けていて、和平交渉の為にノアは王都に向かっている。
王都はギルドから圧力をかけられていて、王都は戦争にならないようそれを抑止している。
そして、その和平交渉を阻止しようとする“謎の勢力”が導師を狙っている・・・で合ってるよな?
「導師ノア、王都は本当にギルドと対立しているのですか?先ほどから何か含みがあるような・・・」
「アスベル・・・と言いましたね。すいません。その質問には今はお答えできません」
やっぱり何かあるらしい。シェリーの方を見るも無言で首を横に振るだけだ。
ノアもレイトンもシェリーもこれ以上は話す気はないらしく、話のネタはお互いの素性に移った。
そんな中、シェリーは港で起こった先ほどの謎の光についてノアとレイトンに問うた。
「それはおそらく<極星>と呼ばれる特殊な譜素の集合体だと思われます。極星には“光”と“闇”ふたつの属性があり、これはどちらが良い、悪いではなく生まれ持った性質です。そして大切なのは、その“光”と“闇”の極星が衝突すると強力なエネルギーが発すると言われているということです」
「じゃあノア、俺とシェリーの間でエネルギーが発生したってことか?」
「いえ、もし本当に“光”と“闇”の極星が衝突したらその程度ではすまない・・・と思います」
ノアの歯切れがあまり良くない。
「なんか自信なさげだな?」
「すいません、なんせ教会に伝わる伝承から得た知識で古くから噂はされているのですが、僕も見たことがないんです」
「・・・しかし驚きました。シェリーが極星の素養を持っていたとは。ノア様はご存じでしたか?」
レイトンは今日初めて話の中身に真剣に興味を持った様子。
ノアは首を振ると、
「いえ、恥ずかしながら僕も今日まで分かりませんでした。けれど、アスベルに関しては譜素が通常とは異なる質のものだったので、極星だとすぐ分かりましたよ」
ノアは俺と対面した際、通常とは微妙に異なる譜素を感じたらしい。
「私自身もアスベルに触れるまでこんな力があったとは知りませんでした。極星を持つことの弊害などはないのでしょうか?」
「断定はできません。かつてのセイヴァー・ガーディアンにもそういった方はいましたが、特に聞いたことはありませんでしたよ。レイトンはどう思います?」
ノアに話を振られたレイトンは少し考えながら、
「私も所有者でないので分かりませんねぇ。今まで何もなかったから今後もないと言えばそうでしょうし、はたまたアスベルとの接触により何かしらの力が発動したとも考えられます。まぁシェリーは若いですし、大丈夫でしょう」
「若さは関係あるのか・・・?」
結構考えてた割に最後は雑だな。
食えない人だな、この人。
その後レイトンは俺とシェリーにいくつか質問をした後、船を降りたら安全な場所で再度手を触れてみようと提案してきた。
なにやらレイトンは、ロシリア帝国で譜素の研究員としても働いているらしい。
「シェ、シェリーと手を握るのか・・・」
「私とでは嫌なのか、アスベル?」
「いやあ滅相もございません!」
むしろ逆だ!むしろそれ以上でも・・・でもこんな美女と緊張する!
その時俺はハッとした!
そして恐る恐る横を見ると・・・
「アスベル!鼻の下が伸びてます!」
「の、伸びてないし~!!」
やっぱりミカエラが絡んで来たあ~!
で、でも今回は否定しづらい・・・
「アスベル、私は別にシェリーと抱き合えとは言っていませんよ?まぁ、もちろん私はそれでも構いませんが」
「なぁっ!?レ、レ、レ、レイトン!貴公は何を言っているんだあ!!」
シェリーまで真っ赤になっている。
「おのれ、白騎士!それ以上シェリー姫を不純な目で見るな!許さん!」
「エラさん、待ってください!誤解だし!今のはレイトンが言った事で!」
「えっ、先輩ってシェリー先輩といつからそんな仲に!?手出すの早っ!?」
「エリーゼ!お前は煽るような事言うな!」
「アスベル!!手を握るの私は許しません!」
「フフ、楽しい仲間が増えましたね」
ノアは絡み合う俺とミカエラ、エリーゼ、エマを微笑ましく見ていた。
ピリリリリリリリィー---!!
『緊急警報!!緊急警報!!緊急警報!!』
船内に突如として警報が鳴り響いた!
そして大きく揺れる船内!
悪魔の手はすでにアスベル達を捉えていた・・・!
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