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「その、話をしているうちに盛り上がってしまいました・・・」
ううっ、師匠を困らせちゃってる・・・
サリーに絵具を作って上げたかったけど、これはちょっと難しいみたい。
簡単に考えていたから、何がいけなかったのか説明されているの。
魔石の粉末を使った絵具は、『魔力止め』をちゃんとしないと、アレになるんだって・・・
ばーんって!!魔力を取り込み過ぎて・・・ばーーーんっ!って飛び散って部屋が大変な事になっちゃうアレ!
サリーの綺麗なお部屋も、由緒あるあの楽しいドールハウスも絵具まみれにしちゃうところだった・・
おまけに、染料の元になる鉱物によっては、毒があるだなんてっ!
あと、契約書っていうのを交わさないといけないんだって。
少なくとも、お金が発生する取引なのに、口約束って言うのが一番駄目だって言われたの。
売れるほどの品を作る時に、原価っていうのを計算しなくちゃいけないって事とか、知らなくちゃいけない新しい知識が山ほどあってびっくりしちゃった・・・
「ルチアのお友達のあのお嬢さんなら、今の説明でちゃんと納得してくれる賢い子でしょう。何がいけなかったかちゃんと話し合っておく事ですよ。」
「はい。ごめんなさい師匠・・・」
「反省できたなら、それでいいのよ。それに、ただの紙にあの絵具を使っても乾燥したら、剥がれ落ちてしまうのよ。あの白い下地があって始めて使える絵具だから」
あうっ、そんな事すら知らずにサリーと約束して来ちゃったのか・・
「とはいえ、せっかくのお約束ですからね。素敵な絵になるよう別の方法を試しましょうか」
「絵具って色々あるんですか?」
「今回ルチアに作って貰いたいのは、布などにも使われる染料なの。絵具とはちょっと違うけど、紙の絵に色を付けられるようになりますよ。魔力暴発もしないし、安心して使えますからね。もちろん職人達が使う本格的な染料ほど難しいものではなく、簡単な色水みたいなものですから、お金で取引も禁止ですよ」
「わかりました!頑張りますっ!」
ううっ、師匠が優しい!それに甘えちゃいけないけど、でも嬉しい!!
同じように色を作るのに、今まで作っていた絵具は『錬金術』で、今から新しく作るのは『調合』なんだって!
スキルが違うって不思議だよねぇ~。
簡易の魔法陣の上に、小鍋が置かれている。横には、師匠が用意してくれた新しい素材と素材集の本が置かれていて調べられるようになっている。
飛んだ汁が服を汚さない様に前掛けをして作業台の前に立った。
「では、ルチア始めましょうか。まずは、これを細かく裂いていきます。手にトゲが刺さらない様に革の手袋を忘れないでね」
「はい!師匠・・もしかして、これは木の皮ですか?」
竈に使う薪が宿屋の中庭に積んであるから見た事があるよ。これで何するのかなぁ
「そうですよルチア。これは木の皮ね、だけどどれでも良いわけじゃないのよ。ちゃんと欲しい色が出る木を知らないといけないから、素材としての名前は憶えておいてね。」
「はい。これはピークの木の皮。ええと、出る色は、あ、赤??へっ?」
本にもそう書いてあるよ!ちょっと信じられないわーって思っていたのは内緒だよ!
どこにも赤色なんてない、何の変哲もない木の皮から色が?んんー??
ともかく、師匠に言われた通り小鍋に裂いた木の皮を入れて、皮がひたひたになるまでお水を入れて、下に引いてある魔法陣に魔力を流して温めた。
「ルチア、良く見てね。温度が上がってぷつぷつと泡が出てきたら、薄く色がでるまでそのままよ。」
「おお~すごい!なんだかスープを作っているみたいですね!あっ、なんかいい匂いまでしてる気が・・・」
「そうね。ピークの木の皮はとっても甘い匂いがするのよねぇ。ふふふ。だけど騙されて舐めちゃだめですよ?毒ではないけど、とーーっても苦いから!」
「あわわ・・二ガニガか・・・うーでもきになる甘い匂い!!」
なんだか、お腹が空くよー!内心、ぐぬぐぬしながらも小鍋の中をじーっと観察してた!
「あれ?煮汁が黄色くなってきました!!なんで赤くならないのかな?」
「じゃあ次の工程にすすみましょうか」
思ったより、あっという間にできちゃいそうだねっ!
「では、魔法陣を止めて鍋の中が落ち着くまで様子を見てね」
「はーい」
魔法陣を止めても、小鍋の中は暫くの間クツクツしてた。すぐには冷めないよね。
スープもいつまでも熱々だもんね。あれ?いつまで見てたらいいのかな?
ううっ、師匠を困らせちゃってる・・・
サリーに絵具を作って上げたかったけど、これはちょっと難しいみたい。
簡単に考えていたから、何がいけなかったのか説明されているの。
魔石の粉末を使った絵具は、『魔力止め』をちゃんとしないと、アレになるんだって・・・
ばーんって!!魔力を取り込み過ぎて・・・ばーーーんっ!って飛び散って部屋が大変な事になっちゃうアレ!
サリーの綺麗なお部屋も、由緒あるあの楽しいドールハウスも絵具まみれにしちゃうところだった・・
おまけに、染料の元になる鉱物によっては、毒があるだなんてっ!
あと、契約書っていうのを交わさないといけないんだって。
少なくとも、お金が発生する取引なのに、口約束って言うのが一番駄目だって言われたの。
売れるほどの品を作る時に、原価っていうのを計算しなくちゃいけないって事とか、知らなくちゃいけない新しい知識が山ほどあってびっくりしちゃった・・・
「ルチアのお友達のあのお嬢さんなら、今の説明でちゃんと納得してくれる賢い子でしょう。何がいけなかったかちゃんと話し合っておく事ですよ。」
「はい。ごめんなさい師匠・・・」
「反省できたなら、それでいいのよ。それに、ただの紙にあの絵具を使っても乾燥したら、剥がれ落ちてしまうのよ。あの白い下地があって始めて使える絵具だから」
あうっ、そんな事すら知らずにサリーと約束して来ちゃったのか・・
「とはいえ、せっかくのお約束ですからね。素敵な絵になるよう別の方法を試しましょうか」
「絵具って色々あるんですか?」
「今回ルチアに作って貰いたいのは、布などにも使われる染料なの。絵具とはちょっと違うけど、紙の絵に色を付けられるようになりますよ。魔力暴発もしないし、安心して使えますからね。もちろん職人達が使う本格的な染料ほど難しいものではなく、簡単な色水みたいなものですから、お金で取引も禁止ですよ」
「わかりました!頑張りますっ!」
ううっ、師匠が優しい!それに甘えちゃいけないけど、でも嬉しい!!
同じように色を作るのに、今まで作っていた絵具は『錬金術』で、今から新しく作るのは『調合』なんだって!
スキルが違うって不思議だよねぇ~。
簡易の魔法陣の上に、小鍋が置かれている。横には、師匠が用意してくれた新しい素材と素材集の本が置かれていて調べられるようになっている。
飛んだ汁が服を汚さない様に前掛けをして作業台の前に立った。
「では、ルチア始めましょうか。まずは、これを細かく裂いていきます。手にトゲが刺さらない様に革の手袋を忘れないでね」
「はい!師匠・・もしかして、これは木の皮ですか?」
竈に使う薪が宿屋の中庭に積んであるから見た事があるよ。これで何するのかなぁ
「そうですよルチア。これは木の皮ね、だけどどれでも良いわけじゃないのよ。ちゃんと欲しい色が出る木を知らないといけないから、素材としての名前は憶えておいてね。」
「はい。これはピークの木の皮。ええと、出る色は、あ、赤??へっ?」
本にもそう書いてあるよ!ちょっと信じられないわーって思っていたのは内緒だよ!
どこにも赤色なんてない、何の変哲もない木の皮から色が?んんー??
ともかく、師匠に言われた通り小鍋に裂いた木の皮を入れて、皮がひたひたになるまでお水を入れて、下に引いてある魔法陣に魔力を流して温めた。
「ルチア、良く見てね。温度が上がってぷつぷつと泡が出てきたら、薄く色がでるまでそのままよ。」
「おお~すごい!なんだかスープを作っているみたいですね!あっ、なんかいい匂いまでしてる気が・・・」
「そうね。ピークの木の皮はとっても甘い匂いがするのよねぇ。ふふふ。だけど騙されて舐めちゃだめですよ?毒ではないけど、とーーっても苦いから!」
「あわわ・・二ガニガか・・・うーでもきになる甘い匂い!!」
なんだか、お腹が空くよー!内心、ぐぬぐぬしながらも小鍋の中をじーっと観察してた!
「あれ?煮汁が黄色くなってきました!!なんで赤くならないのかな?」
「じゃあ次の工程にすすみましょうか」
思ったより、あっという間にできちゃいそうだねっ!
「では、魔法陣を止めて鍋の中が落ち着くまで様子を見てね」
「はーい」
魔法陣を止めても、小鍋の中は暫くの間クツクツしてた。すぐには冷めないよね。
スープもいつまでも熱々だもんね。あれ?いつまで見てたらいいのかな?
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