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「何がしたいって???」何だろう?


「んー考えたけど、何が出来るのか知らなかったって気が付いたかも・・・」
サリーの本には、何が出来るかなんて書いてなかった。他の本になら書いてあるのかな?
だけど、今は何も知らないよ?

「それなら、まず最初は泳ぎ方を覚えるといいな。浅瀬でも海の生き物を見る事も出来るしな?」

泳ぐ?街にある大きいお風呂でやると駄目って言われてる『泳ぐ』の事?
わたしは、泳げないから叱られた事もないけど、他の子がバシャバシャやってたよね・・・
お湯がかかって、ちょっと嫌だなって思ったよね。あっちは駄目でこっちは良いの?

「ルチア、そんなに困らないで?泳いで良い場所と駄目な場所があるのは、それが決まり事だと覚えると良いでしょう。騒いで良い場所と駄目な場所があるでしょう?誰かに迷惑をかけるような行動は、他の人から嫌がられますからね。では、ここに嫌がりそうな人は?」

師匠は優しく聞いてくれた。師匠はいつもわたしが困っている事を見抜く凄い人だよね!!!

「ここは、他の人はいない・・・わたし達だけ!」
だから泳いでいいの?

師匠が用意していた?!水に入っても大丈夫な短めのワンピースに着替えた!花模様が可愛い!!
師匠は天幕からは出ないみたいだけど、シーンさんは袖の無いシャツと短いズボンをはいて出てきた。

そして、シーンさんの真似っこをしようかっていわれて、手をブラブラしたり足をぐーっと伸ばしたり・・・
「これは、何してるのかな?」

こんな動きも初めてだよ?シーンさんが言うには、こうやって『準備運動』をして、海に入るのがお作法なんだって!
冒険者の人も、警邏の人も衛士さんも、仕事をする前とか鍛錬の前にしたりする運動なんだって!あんなにごっつい大人の人達もする事をわたしもしてるの?なんだか凄くない?これだけでワクワクしちゃうね!

ようやく準備が整って、まずは浅い場所に行って『波』を楽しもうって言われたけど・・・
『波』が来る場所に近づくと、あ、足の裏が・・・下の砂がずぞぞぞぞって水に持っていかれて気持ち悪い

足の裏がぞぞぞってなる度に、ひゃあひゃあ言っちゃうのは許してほしいと思うの!
それに、最初はほかほかしていた白い砂が、だんたんヒンヤリしてきて、水を被っているところにきたら思っていたより冷たくって、このままお水に入ったらとっても寒くなっちゃうんじゃないかなって・・・思うよね。

ついつい、大きな水に入るって言えばお風呂の事を考えちゃうから、なんとなくぬるい?のかなーって想像したんだよ!でもね、海の水は井戸のお水みたいにヒンヤリだ!

「シーンさん、ここの水は冷たい気がするよ?大人は平気なの?」
「ん?冷たいか?どれ・・・あーちょっと冷たいな。よし、まってろ!」

待ってる!っと心の中で答えたとたん、足に当たる水から寒くなりそうな冷たさがなくなった。
冷たいけど、寒く無くなって、これは良いね!

もしかして!何か魔法を使ったのかな?
内緒にしなくちゃいけない『転移魔法』を使うぐらいのシーンさんなら、なんでも出来ちゃいそうだよね!

「魔法で海のお水ぬるくしたの?」

「ん?んー全部じゃないぞ。ここは生き物もいるから、ルチアに触れる周りだけ限定で温度を少し上げた」

「温度?」

「そう。さっき冷たいと感じた時は、18℃だったんだよ。今は22℃に設定してある。あ、温度っていうのは、ルチアの師匠が錬金術で薬を作っている時に、これくらいの大きさで、目盛りがついてる器具を使っているだろ?」

「うん。見た事ある!ちゃんと目盛り通り管理しないと、お薬は失敗しちゃうって教えて貰ったよ!」

「温度の概念はあるな、よしよし。つまり、温かいや冷たいを分かりやすく表す言葉だから。18より22のほうが温かいんだ。数字は目で見えるようにしたと、今はそう覚えておくといい」

「わかったー!」んーたぶん???

ぬおっ!話をしながら気が付けば、水が腰のあたりまで来るくらいの場所に立ってた!
足裏のぞぞぞが無くなったかわりに、水に体全体が押されてヨロヨロしちゃう。

「まずはこの辺りで、水に慣れような~」

さっきは片手だけだったが、今は両手を掴んだシーンがルチアをぐいっと引っ張る。

「うひゃあ~!あ、足が離れたっ・・あっゆらゆらする」
「そうそう。ルチア、俺が引っ張るからユラユラしながら足を動かしてみな。んーと、公衆浴場で見た事ないか?」
「あるある。バタバタするんだね!!大丈夫かな?拳骨飛んできたりしない?」
笑いながら聞くと、ここは泳ぐ場所だから、絶対に!!叱られないから、存分に泳げって言われてフゥフゥしながらも足を必死にバタバタした。


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