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瞬はそのまま頷きそうになったが、ハッと我に返ると武蔵の頭に手刀打ちを炸裂させた。
「いたっ!」
「調子に乗んな!」
「だって、榛名さんが口説いてみろって言ったんじゃないですか」
「や、やり過ぎだ! アホ! 誰がそこまでしろって言ったよ! 普通、フリだろ!」
武蔵は困惑したように眉を八の字にしている。
(武蔵のくせに! 童貞のくせに! あんな、あんな声で言葉攻めとか反則だろ……! )
武蔵の美声に動揺しているのか、今も大きく鳴っている心臓の音が頭にまで響いているようだ。
瞬は気持ちが沈めるのを待った。目の前ではまたも床に正座をしている武蔵。
その沈黙に耐えかねたのか、
「調子に乗って、すみませんでした」
と、額を床に付けた。
「童貞のクセになんでキスに慣れてんだよ」
怒りはまだ収まりきってはいなったが、妙に手馴れたキスに疑問を持った。
「童貞ですけど、彼女いた事はありましたから」
「そうなの?!じゃあ、なんで童貞?!」
意外な告白に瞬は目を丸くした。
武蔵は一度口を開け、何か言おうとしたがまた口を噤んだ。
「言えよ」
切れ長の目を細くし、正座している武蔵を見下ろした。
「挿入前までは経験済みです。でも、いざ挿れる時になると、彼女が……股間を見て怯えるんです」
(だろーな)
確かにアレを見れば、怯える気持ちも無理はない。
「泣かれた事もありました。怯えられたり、泣かれたりしたらさすがに……」
そこまで言って、武蔵は言葉を切った。これ以上は察してくれ、という事だろう。
「なんか……うん、ごめん」
なぜか、無性に武蔵が可哀想に思えてきた。
「そんな謝られたら、俺、逆に惨めです!」
そう言って、武蔵は床に顔を突っ伏した。
「ほら、持田さんは受け入れてくれるかもしれないだろ? まぁ……頑張れよ」
ポンっと武蔵の肩を叩いた。
「そんな気休めの言葉、いりません!」
瞬の一言で、余計に武蔵を惨めにさせてしまったようだ。
(俺なら速攻、挿れさせてやるのに)
いつもなら、それを口にしていたはずだったが、なぜか今日は口にできなかった。
「いたっ!」
「調子に乗んな!」
「だって、榛名さんが口説いてみろって言ったんじゃないですか」
「や、やり過ぎだ! アホ! 誰がそこまでしろって言ったよ! 普通、フリだろ!」
武蔵は困惑したように眉を八の字にしている。
(武蔵のくせに! 童貞のくせに! あんな、あんな声で言葉攻めとか反則だろ……! )
武蔵の美声に動揺しているのか、今も大きく鳴っている心臓の音が頭にまで響いているようだ。
瞬は気持ちが沈めるのを待った。目の前ではまたも床に正座をしている武蔵。
その沈黙に耐えかねたのか、
「調子に乗って、すみませんでした」
と、額を床に付けた。
「童貞のクセになんでキスに慣れてんだよ」
怒りはまだ収まりきってはいなったが、妙に手馴れたキスに疑問を持った。
「童貞ですけど、彼女いた事はありましたから」
「そうなの?!じゃあ、なんで童貞?!」
意外な告白に瞬は目を丸くした。
武蔵は一度口を開け、何か言おうとしたがまた口を噤んだ。
「言えよ」
切れ長の目を細くし、正座している武蔵を見下ろした。
「挿入前までは経験済みです。でも、いざ挿れる時になると、彼女が……股間を見て怯えるんです」
(だろーな)
確かにアレを見れば、怯える気持ちも無理はない。
「泣かれた事もありました。怯えられたり、泣かれたりしたらさすがに……」
そこまで言って、武蔵は言葉を切った。これ以上は察してくれ、という事だろう。
「なんか……うん、ごめん」
なぜか、無性に武蔵が可哀想に思えてきた。
「そんな謝られたら、俺、逆に惨めです!」
そう言って、武蔵は床に顔を突っ伏した。
「ほら、持田さんは受け入れてくれるかもしれないだろ? まぁ……頑張れよ」
ポンっと武蔵の肩を叩いた。
「そんな気休めの言葉、いりません!」
瞬の一言で、余計に武蔵を惨めにさせてしまったようだ。
(俺なら速攻、挿れさせてやるのに)
いつもなら、それを口にしていたはずだったが、なぜか今日は口にできなかった。
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