I want you to stay with me.

藤美りゅう

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7.※

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 マンションに着き、玄関の扉が閉まると同時に唇を塞がれた。そのまま、玄関口で押し倒され桜雅の大きい手がシャツの下に入り、胸を弄っている。
「ちょっと……待て……」
 桜雅は聞こえない振りをしているのか、手と口の動きをやめない。シャツのボタンを外され、胸に桜雅の舌を感じると乳首を強く吸われた。びくりと体がしなり、
「あっ……んっ」
 透羽は口から艶めいた声が洩れた。
「ベッド……で」
 潤んだ目でそう懇願した。

 ベットに雪崩れ込むと、透羽は桜雅を激しく求めた。やっと望んでいた桜雅と重なる事ができる。そう思うだけで興奮した。
「オレは男とした事ねえからよ。あんたリードしてくれよ。慣れてんだろ?」
「男とした事ないんだ?」
「あるわけねえ。まさか、オレのをあんたに挿れるんだろ? 逆ならお断りだ」
 透羽は薄っすらと色気のある笑みを浮かべると、
「おまえが、欲しいんだ……」
 そう言って、キスをした。

 透羽は桜雅と向き合う形になると、桜雅の中心に腰を沈めた。
「んっ……」
「きっつ……凄え締まるな……」
 思った以上の締め付けだったのか、桜雅は顔をしかめている。
 桜雅のものが全て透羽の中に飲み込まれると、透羽はゆるゆると腰を動かし始めた。
「あっ……は……っ」
 桜雅の首に縋りつくように腕を回す。
「男とやるのも……悪くねえな」
 そう耳元で囁やかれると耳朶を噛まれた。
「あぁ……あっ!」
 そして下から強く突き上げられ、意思とは関係なく声が洩れた。
 透羽の中心が桜雅の腹に擦れる快感と中での快感で、一気に果てそうになる。
「んっ……! っ……そこ、もっと……」
 透羽がそう呟くと、強く感じる箇所を何度も突かれた。
 不意に体が反転し、バックの体制になると透羽は腰を築き上げた形になり、何度も後ろから攻め立てられる。
「あっ……! あっ……! いい……!」

 桜雅は時折、透羽の肩や首筋に噛み付いてくる。
「あっ……いたっ!」
「痛えか? やめるか?」
「もっと……噛んで…………」
 そう強請るように言うと、首を思い切り噛み付かれた。
 血が出たかもしれない、そう思うほどの痛みが走ったが、それすらも快感に変わり体が小刻みに震えた。
「んっ……あっ…………」
「あんた……顔に似合わず、随分と淫乱だな」
 耳元でまた、囁かられると透羽の体がゾクリと震えた。
「もう、出そうなんだけど……抜いた方がいいのか?」
 桜雅の腰の動きが止まる。
「いやだ、抜かないで……」
 透羽は大きく首を振り、後ろの桜雅に懇願した。
「いいのか……? ホントに出すぞ」
 そう言うと正常位に戻され、真正面に桜雅の欲情している雄の顔を見た瞬間、ゾクゾクと全身が痺れるような感覚を感じた。

 膝裏を抱えられ、激しく腰を打ち付けられる。
「出す、ぞ……」
 桜雅がそう呟くと、熱いものが透羽の奥に吐き出された。
「あっ……あっ、ん…………っ」
 透羽は小さく震えると、透羽も後ろの快感だけで吐精してしまった。
 桜雅のものが中から抜かれると、桜雅が吐精した白い液がドロリと透羽の太腿を伝った。
 不意に体を起こされると、桜雅に抱きしめられた。
 射精の気怠さと桜雅の肌の温もりで、気を失うように透羽は眠りに落ちた。 



 目を開けると、隣で寝そべりながら桜雅がタバコを燻らせていた。透羽は体を起こし、そのタバコを奪うと一口吸い込んだ。
「雨、止まないな」
 桜雅がベランダの外に目を向けている。

「朝比奈……」
 桜雅が顔をこちらに向けた。
「昨日女とヤッたって……」
 透羽は膝を抱えると顔を膝に埋める。
 窓を叩きつける雨音が耳障りで、頭に響いた。
「あ? 嘘に決まってんだろ。妬いたのかよ、センセー」
 少し笑いを含んだ声が聞こえると、その言葉に透羽は安堵していた。
「ああ、妬いたよ」
 顔を半分だけ桜雅に向けた。

 桜雅に持っていたタバコを取り上げられ、それを一口吸うとベットサイドにある灰皿にタバコを押し付けた。
「じゃあ、この前の視聴覚室は?」
「ああ……まぁ、あれは告られた」
「そうか」
「何泣きそうな顔してんだよ」
「泣きそうな顔してるか?」
「してる」
 桜雅はそう言って子供をあやすように髪をクシャリとされ、撫でられた。
「子供扱いかよ」
 思わず苦笑いを浮かべた。
「断ったから、泣くなよ」
 そう言って桜雅は鼻で笑った。上からの発言でムッとしたが、断ったと聞いて酷く安堵している自分がいた。
「泣いてないし」
 熱くなった顔を隠すように膝に顔を埋めた。

「覚悟できてんのか?」
 桜雅はそう言って上半身を起こした。
「オレは生徒であんたは教師だ。その上、オレは極道の息子だ」
「そんな立場よりも、男同士だってわかってるか?」
 桜雅は面食らったように目を丸くし、
「そういやそうだな……」
 そう言って、天井に目を向けた。
「あんまり、そこは考えてなかった」
 その言葉に透羽は不安になっていたのがバカらしく感じ、
「変な奴……」
 透羽はクスリと笑った。
「その顔やめろ」
 桜雅の大きな掌が近付いてくると、目元を隠された。
 そのまま桜雅に組み敷かれると、
「覚悟しろよ」
 桜雅に深く口付けされると、逞しい桜雅の背中に手を回した。そのキスは桜雅らしくない、優しいキスだった。

「俺は朝比奈が好きなんだと思う」
 そう言って桜雅の顔に頬ずりをした。
「知ってる」
 顔を上げた桜雅は透羽が今まで見た事のない、年相応の子供のような笑みを浮かべていた。
 その顔を見た瞬間、透羽は涙が出そうになり、それを誤魔化すように桜雅を強く抱きしめた。

 桜雅の肩越し見えた空は雨が上がり、夕焼けの赤い色が目の端に見えた。
 今は余計な色は見たくはない、そう思った透羽はそっと目を閉じ、桜雅の唇を味わった。
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