13 / 15
13.
しおりを挟む
その日、いつものように龍聖と竜臣は下校しようと昇降口に向かっていた。その時、龍聖は後ろから肩を叩かれた。振り返ると、同じクラスの女子生徒が二人立っていた。
「何?」
怪訝な顔を浮かべ二人を見る。
「ちょっといいかな? 九條」
龍聖は無意識に竜臣に視線を向ける。
「俺、先帰ってる」
「ああ、悪い」
竜臣の背中を見送ると、龍聖は二人の女子生徒の後ろを付いて行った。連れていかれたのは、普段人の出入りが少ない視聴覚室だった。
「あのさ、九條って彼女っているの? いつも江藤と一緒だからいないと思ってるんだけど……」
ボブヘアの髪を揺らし、佐々木が口を開いた。
「まぁ、いないけど……」
「この子、九條の事好きなんだって。良かったら彼女にしてあげてくれないかな?」
そう言うと、もう一人の女子生徒の背中を押した。名前は確か西沢だか北沢だった気がする。
「西沢だっけ?」
顔を赤くして西沢は頷いた。
見た目は悪くない。体は小柄な割に胸は大きく、可愛らしい部類に入ると思った。
(可愛いとは思うけど……)
もし、竜臣に彼女ができたと言ったらどう思うか、そればかりが頭を過る。
「少し……考えさせてくれないかな?」
「ホント?!少しは期待してもいいのかな?」
西沢は嬉しそうに目をキラつかせている。
「それは、何とも言えねーけど」
それでも西沢は嬉しいのか、嬉々とした表情浮かべている。そして西沢と携帯の連絡先を交換した。
付き合うかどうかは分からない。龍聖もそういった事に興味がないわけではない。女の子とキスしたりセックスをしてみたいとも思う。
(ファーストキスは竜臣だったからな……)
ふとあの時のキスを思い出した。
江藤家に帰ると、いつもある双子の出迎えがなかった。
「ただ今帰りました」
夕飯の準備をしている千夏に声をかける。
「お帰りなさい」
「あの、翼と光は?」
「あら、昨日言ったじゃない。お泊り保育で今日はいないって」
そういえばそんな事を言っていた気がする。
「そうでしたね」
「お夕飯、もう少し待っててね」
「はい」
部屋に入ると、いつもいる双子の姿はなく部屋が広く感じた。
着替えをし自室を出ると竜臣の部屋のドアをノックした。
「入るぞ」
部屋に入ると竜臣は中途半端に布団を被り、上半身裸で肌を露わにしてベットで寝息を立てていた。
(寝てる……)
起こそうとベットの端に腰を下ろし、竜臣を見た。
(肌白いよな……)
胸の中心の突起が白い肌に映え、無意識に竜臣の肩を撫でていた。
サラリとした肌質なのに、掌に肌が吸い付いていくような感触だった。
「龍聖のエッチ」
竜臣の声にハッとし、慌てて龍聖は手を引っ込めた。竜臣に触れるのに夢中になっていて、目を覚ましている事に気付かなかった。むくりと竜臣は体を起こし、龍聖を射抜くように真っ直ぐ見た。
「わ、悪い……」
「別いいけど? 減るもんじゃねーし」
枕元にあるタバコを手にすると一本咥え、火を点けた。
所在なさげに龍聖は竜臣から視線を外す。
「さっき告白でもされた?」
竜臣の言葉に目を上げると、龍聖は竜臣のその目にびくりと肩を揺らした。冷めているような怒りの篭っているような目をしていた。
「あ、ああ……付き合ってほしいって」
「で? 付き合うわけ?」
フーッと煙を吐き、竜臣はじっと龍聖を見た。
「いや、考えさせて欲しいって言った」
「ふーん……付き合うかもしれないんだ?」
「それはわからない」
龍聖のその返事に竜臣は荒っぽく灰皿でタバコを消した。
(機嫌悪い……? )
竜臣の纏うオーラが重々しく感じた。
「メシ、食おうぜ」
竜臣はそう言ってベットから降りると、近くにあったTシャツに腕を通し、龍聖を置いて部屋を出て行ってしまった。
「なんなんだよ……」
ガシガシと荒っぽく頭を掻くと、竜臣の後を追い部屋を出た。
食事が終わると、双子がいない静かな部屋でぼうっとテレビを見て少しウトウトとしていたが携帯にメッセージが入る音で目覚ました。
《部屋に来い》
竜臣からだった。
先程の竜臣は少し機嫌が悪く見えた。気になっていたので、そのメッセージに龍聖は少しホッし、部屋を出ると竜臣の部屋をノックした。中に入ると、竜臣はベットに腰掛けていた。
「座れよ」
そう言って自分の横を叩いた。
「おまえって童貞?」
唐突にそんな事を言われた。ギョッとして竜臣を見ると、悪戯を企む子供のような顔をしている。
「そ、そうだけど……」
そんな不躾とも言える竜臣の質問に動揺する。竜臣の表情は変わる事なく、どんな意図があって聞いているのか、龍聖は分かりかねた。
「西沢と付き合ったら、セックスするよね」
「さぁな……」
顔が酷く熱い。竜臣の顔が見れず顔を背けた。
不意に竜臣は龍聖の股間に触れた。
「お、おい……!」
咄嗟に竜臣の手を掴んだ。
「俺、嫌だな。おまえが西沢とセックスするの。想像したら凄えムカついてきた」
掴まれていない方の手でファスナーが降ろされ、下着越しに中心を撫でられた。
「や、やめろ……」
「龍聖の勃ってきた」
ゆるゆると撫でられたそこは、段々と硬くなり始めていた。竜臣の白く長い綺麗な指が、龍聖の中心を弄っている。
その視覚が酷く卑猥に見えて龍聖は欲情し始めていた。
「何?」
怪訝な顔を浮かべ二人を見る。
「ちょっといいかな? 九條」
龍聖は無意識に竜臣に視線を向ける。
「俺、先帰ってる」
「ああ、悪い」
竜臣の背中を見送ると、龍聖は二人の女子生徒の後ろを付いて行った。連れていかれたのは、普段人の出入りが少ない視聴覚室だった。
「あのさ、九條って彼女っているの? いつも江藤と一緒だからいないと思ってるんだけど……」
ボブヘアの髪を揺らし、佐々木が口を開いた。
「まぁ、いないけど……」
「この子、九條の事好きなんだって。良かったら彼女にしてあげてくれないかな?」
そう言うと、もう一人の女子生徒の背中を押した。名前は確か西沢だか北沢だった気がする。
「西沢だっけ?」
顔を赤くして西沢は頷いた。
見た目は悪くない。体は小柄な割に胸は大きく、可愛らしい部類に入ると思った。
(可愛いとは思うけど……)
もし、竜臣に彼女ができたと言ったらどう思うか、そればかりが頭を過る。
「少し……考えさせてくれないかな?」
「ホント?!少しは期待してもいいのかな?」
西沢は嬉しそうに目をキラつかせている。
「それは、何とも言えねーけど」
それでも西沢は嬉しいのか、嬉々とした表情浮かべている。そして西沢と携帯の連絡先を交換した。
付き合うかどうかは分からない。龍聖もそういった事に興味がないわけではない。女の子とキスしたりセックスをしてみたいとも思う。
(ファーストキスは竜臣だったからな……)
ふとあの時のキスを思い出した。
江藤家に帰ると、いつもある双子の出迎えがなかった。
「ただ今帰りました」
夕飯の準備をしている千夏に声をかける。
「お帰りなさい」
「あの、翼と光は?」
「あら、昨日言ったじゃない。お泊り保育で今日はいないって」
そういえばそんな事を言っていた気がする。
「そうでしたね」
「お夕飯、もう少し待っててね」
「はい」
部屋に入ると、いつもいる双子の姿はなく部屋が広く感じた。
着替えをし自室を出ると竜臣の部屋のドアをノックした。
「入るぞ」
部屋に入ると竜臣は中途半端に布団を被り、上半身裸で肌を露わにしてベットで寝息を立てていた。
(寝てる……)
起こそうとベットの端に腰を下ろし、竜臣を見た。
(肌白いよな……)
胸の中心の突起が白い肌に映え、無意識に竜臣の肩を撫でていた。
サラリとした肌質なのに、掌に肌が吸い付いていくような感触だった。
「龍聖のエッチ」
竜臣の声にハッとし、慌てて龍聖は手を引っ込めた。竜臣に触れるのに夢中になっていて、目を覚ましている事に気付かなかった。むくりと竜臣は体を起こし、龍聖を射抜くように真っ直ぐ見た。
「わ、悪い……」
「別いいけど? 減るもんじゃねーし」
枕元にあるタバコを手にすると一本咥え、火を点けた。
所在なさげに龍聖は竜臣から視線を外す。
「さっき告白でもされた?」
竜臣の言葉に目を上げると、龍聖は竜臣のその目にびくりと肩を揺らした。冷めているような怒りの篭っているような目をしていた。
「あ、ああ……付き合ってほしいって」
「で? 付き合うわけ?」
フーッと煙を吐き、竜臣はじっと龍聖を見た。
「いや、考えさせて欲しいって言った」
「ふーん……付き合うかもしれないんだ?」
「それはわからない」
龍聖のその返事に竜臣は荒っぽく灰皿でタバコを消した。
(機嫌悪い……? )
竜臣の纏うオーラが重々しく感じた。
「メシ、食おうぜ」
竜臣はそう言ってベットから降りると、近くにあったTシャツに腕を通し、龍聖を置いて部屋を出て行ってしまった。
「なんなんだよ……」
ガシガシと荒っぽく頭を掻くと、竜臣の後を追い部屋を出た。
食事が終わると、双子がいない静かな部屋でぼうっとテレビを見て少しウトウトとしていたが携帯にメッセージが入る音で目覚ました。
《部屋に来い》
竜臣からだった。
先程の竜臣は少し機嫌が悪く見えた。気になっていたので、そのメッセージに龍聖は少しホッし、部屋を出ると竜臣の部屋をノックした。中に入ると、竜臣はベットに腰掛けていた。
「座れよ」
そう言って自分の横を叩いた。
「おまえって童貞?」
唐突にそんな事を言われた。ギョッとして竜臣を見ると、悪戯を企む子供のような顔をしている。
「そ、そうだけど……」
そんな不躾とも言える竜臣の質問に動揺する。竜臣の表情は変わる事なく、どんな意図があって聞いているのか、龍聖は分かりかねた。
「西沢と付き合ったら、セックスするよね」
「さぁな……」
顔が酷く熱い。竜臣の顔が見れず顔を背けた。
不意に竜臣は龍聖の股間に触れた。
「お、おい……!」
咄嗟に竜臣の手を掴んだ。
「俺、嫌だな。おまえが西沢とセックスするの。想像したら凄えムカついてきた」
掴まれていない方の手でファスナーが降ろされ、下着越しに中心を撫でられた。
「や、やめろ……」
「龍聖の勃ってきた」
ゆるゆると撫でられたそこは、段々と硬くなり始めていた。竜臣の白く長い綺麗な指が、龍聖の中心を弄っている。
その視覚が酷く卑猥に見えて龍聖は欲情し始めていた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
解せない王子のことなんか
ぱんなこった。
BL
昔から目付きが悪いと言われ喧嘩を売られることが多かったヤンキー男子高校生、日内詩乃也(ひうちしのや)18歳。
中学から高校まで喧嘩は日常茶飯事で、学校でも周りから不良扱いされ恐れられていた。
そんなある夜。路地裏のゴミ箱にハマっていたところを、同じ高校の1つ年下内石波璃(うちいしはり)に目撃される。
高校でも有名な一流企業の息子で優等生の波璃と、ヤンキーで問題児の詩乃也。全くタイプが違う接点の無かった2人だが…。
ゴミ箱にハマって抜け出せない上に他校のヤンキーと警官に追いかけられていた詩乃也に、波璃は怖がるどころか「助けてあげるから僕と付き合ってほしい」と申し出て…
表紙/フリーイラスト ヒゴロ様
隠れSな攻めの短編集
あかさたな!
BL
こちら全話独立、オトナな短編集です。
1話1話完結しています。
いきなりオトナな内容に入るのでご注意を。
今回はソフトからドがつくくらいのSまで、いろんなタイプの攻めがみられる短編集です!隠れSとか、メガネSとか、年下Sとか…⁉︎
【お仕置きで奥の処女をもらう参謀】【口の中をいじめる歯医者】
【独占欲で使用人をいじめる王様】
【無自覚Sがトイレを我慢させる】
【召喚された勇者は魔術師の性癖(ケモ耳)に巻き込まれる】
【勝手にイくことを許さない許嫁】
【胸の敏感なところだけでいかせたいいじめっ子】
【自称Sをしばく女装っ子の部下】
【魔王を公開処刑する勇者】
【酔うとエスになるカテキョ】
【虎視眈々と下剋上を狙うヴァンパイアの眷属】
【貴族坊ちゃんの弱みを握った庶民】
【主人を調教する奴隷】
2022/04/15を持って、こちらの短編集は完結とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
前作に
・年下攻め
・いじわるな溺愛攻め
・下剋上っぽい関係
短編集も完結してるで、プロフィールからぜひ!
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
解放
papiko
BL
過去にCommandされ、名前を忘れた白銀の髪を持つ青年。年齢も分からず、前のDomさえ分からない。瞳は暗く影が落ち、黒ずんで何も映さない。
偶々、甘やかしたいタイプのアルベルに拾われ名前を貰った白銀の青年、ロイハルト。
アルベルが何十という数のDomに頼み込んで、ロイハルトをDropから救い出そうとした。
――――そして、アルベル苦渋の決断の末、選ばれたアルベルの唯一無二の親友ヴァイス。
これは、白銀の青年が解放される話。
〘本編完結済み〙
※ダイナミクスの設定を理解してる上で進めています。一応、説明じみたものはあります。
※ダイナミクスのオリジナル要素あります。
※3Pのつもりですが全くやってません。
※番外編、書けたら書こうと思います。
【リクエストがあれば執筆します。】
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる