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第587話 破滅へ向かう瞬間まで4

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第587話 破滅へ向かう瞬間まで4

今までオーリス王国の屋敷にいたけど、今はダイラス連邦の屋敷にいる。

ここでは以前、アリシアが誘拐された経緯があり、本当のことを言うとあまり良い印象は無い。

しかし、それはダイラス連邦のせいじゃない。

俺たちは屋敷から探知魔法を使って、魔族の動きを確認している。

探知魔法を使えるのは、今までは神獣たちと俺だけだったけど、アリシアは使えるようになっている。

他のメンバーも少しずつ、使えるようになってきているので、上達が早いけど、アリシアが使えるようになったから競争もあるみたい。

次は私ができるようになるんだって、思っているんじゃないかな。

できない人も練習することで感がつかめるようになり、使えるようになるから、練習は欠かさないで欲しい。

可能なら、いつかは全員が使えるようになるのが目標だから。

神獣たちは威力は違いはあるけど、ほとんどの魔法を使うことができる。

さすが神が作った獣だと思う。

それに人が追いつくことは、並大抵なことではない。

しかし、みんな努力の成果で、のぼり詰めてきている

しかしシャーロットやセラフィーナを100とすると、一般の魔法使いでさえ、10にも届いていない。

その10の中に入る全員が、俺が前に魔法の指導をした人たちばかりだ。

その中で群を抜いているのがサイラス帝国の皇帝の娘でミーアだ。

多分、次期メンバーになるとしたらミーアくらいしかいない。

ミーアは誘拐されて、怒ったサイラス皇帝が隣国に攻め込むとしていた事件で知り合った子だ。

しかしミーアは1人っ子だから、ゆくゆくは皇帝になるのかも。

本人は、どう思っているのか、知らないけど‥‥‥



ダイラス連邦の屋敷には、久しぶりに来たような感覚になるけど、遊びにきたわけじゃない。

何が起きても、ここなら、すぐに対応できる。

今、魔族の奴らは、山に洞窟に篭っている。

交代制で見張ることにした。

しかし、俺は、常時監視を解くことはしない。

何かをしている時も、時々、監視するようにしている。

アリシアが「クリスって、いつ寝ているの?」と聞いてきた。

「えっ、いつも夜は寝ているよ」

「そう?」

「えっ、何だか変な質問するね」

「ううん、何にもない、ただ聞いてみただけ」

俺が夜な夜な、どこかに行っていると思っているんだろうか?

俺は、そんなことはしていないぞ、アリシア、なんてことを考えるんだ?

というか、忙しすぎて、そんな暇はないのが現実だ。

世界が滅亡しようとしているのに、考えなければいけないことは、いっぱいあるんだ。

俺の能力についても未だ、すべてがわかっているわけではないし何ができて、何ができないのかということも考えていかなければいけない。

しかし今は目の前のことに対処しなければいけないので魔族はどこから来るのかということを知る必要がある。

しかし魔族の奴らはどうして洞窟に待機しているんだろう。

もしかしたら、そこが住処なのか?

今も5人の魔族が洞窟にいる。

洞窟の中を探知してみると、なんだか変な空間が1カ所だけ存在している。

5人の魔族は食事をしているみたいだけど、取った獲物を焼いて食べている。

そこに別の魔族の奴が、洞窟から出てきて、岩に座って食べ始める。

あれっ、おかしいな。

さっきは、全部で5人だったはず‥‥‥俺の検索魔法に引っかかったのは、全部で5人だ、数え間違えることはない。

じゃ、どうして増えたんだ?

その理由は洞窟にあるみたいだ。

俺は検索魔法と鑑定魔法の両方を使って、洞窟を確認してけど、現地に飛んだ方が早いと考えて

「みんな、俺は魔族のいる洞窟に行ってくるから、バックアップをお願いできるかな?」

「うん、それはわかっているけど、大丈夫?」

「うん、アデルを連れていくよ」

と俺がアデルを指名すると、アデルがスッと立ち上がって

「ただいま、指名に預かりました。アデルでございます」と言い出した。

みんなが唖然としたり、プッと吹き出したり、どこで覚えたのか知らないけど、俺は関与していないぞ。

「アデル、いくぞ」

「あっ、はい、ご主人さま」と言って俺と手を繋いでインビジブルの魔法を使い透明になって転移する。

「いいな、アデル」とアレクが言っていた。

「うん、そうだね、ご主人さまと手を繋いで‥‥‥」とエイミー

「うん、羨ましい」とアイリス



アデルと俺は、トンネルに直には行かないで、近くの森に転移してきた。

木の影から、魔族の様子を伺う。

当然だけど、魔族の奴らは気がついていない。

ここから洞窟を確認してみる。

洞窟には、3つの部屋みたいなものがあるけど、一時的な住まいのような感じで、他には誰もいない。

5人と、どこから出てきたかわからない1人、つまり6人だけ。

洞窟の3つの部屋の一つに、他とは明らかに違う部屋がある。

俺の意識を、その部屋に持っていき目で見るような感覚で部屋の中を物色する。

探知魔法とも検索魔法とも、違う魔法だけど、どうして使えるのか、自分でもわからない。

使おうと思うだけで最近は使うことができるから‥‥‥

この部屋の中に俺自身の意識を持っていくと、まるで俺が、そこにいるような感覚になる。

あとでアデルに聞いた話によると、両目に魔法が集まっていたと言っていた。



俺は部屋の中を見渡すけど、この部屋だけ人が寝泊まりするようなものがない、

他の部屋には、簡単なベットが置いてあったり、毛布があるけど、この部屋には、、そういう類のものはない。

部屋の片隅には剣が数百本、置いてある。

そして弾薬と大砲‥‥‥何処かを攻めるのか?

しかし、こんなものじゃ足りない。

もっと大量にいるはずだ。

もしかして、準備をしているのか?

何かの準備のために、戦いの道具を置いている?

他には‥‥‥

壁の一部に、何か変なものが張り付いているような‥‥‥

これは、何だろう?

俺は何かが起きるのを待つことにしたけど、何も起こらない。

触ってみるのも、危険なことのように思うので、鑑定魔法を使ってみた。

そうすると出て結果は、”異次元の扉”と出た。

異次元?

俺は意識をもどして解除した。

念話でみんなに確認することにした。

みんなは俺を通して見ていた。横にいるアデルも俺を通してみていた。

「見ての通りだけど、異次元の扉と鑑定魔法で出たけど、どう思う?」

さっそくジャネットが「危険ですね」とだけ

「そうだね、でもいく必要があるかも‥‥‥」

「でも、異次元の扉なんて、その中には何があるか、わからないわよ」とイザベラ

「そうだね、次元が違う世界が存在して、魔族の世界があるか、国があるか‥‥‥」

「えっ、魔族ばかり住んでいる星?」とソフィア

「うん、その可能性はあるね」

「もしもよ、魔族ばかり住んでいる星だったら、それこそ何万人どことじゃないわよ」とアリシア

「そうだね、恐ろしいほどの数になる可能性があるね」

シャーロットが「でも、魔族ばかりする星だって、同じ考えの人ばかりじゃないと思うんですけど」

セラフィーナが「それは行ってみないとわからないことだね」

シャーロット「あっ、そうなりますね」

セラフィーナが「いくのが前提で、そう考える人がいるか、いないかもしれないのに、飛び込むのは、どうかと‥‥‥」

「全くの未知の世界ですね」とエイミー

俺は思いついたけど、ここ1箇所じゃないかもしれない。

こんな場所が数カ所ある可能性も捨てきれない。

たまたま、そこに魔族が俺が検索した時に、いなかったとしたら、無数ある可能性もある。

魔族だって馬鹿じゃない、できるだけ見つけられないように工作をしている可能性もある。

もしかしたら、この場所は囮の可能性もあるんだ、俺たちが出てきたら、そこには待ち構えている魔族が大量にいると言う怖いことも‥‥‥

どうする?

危険を冒してまでいく必要があるのか?

次元が異なる扉を抜けて何をする?

殺し合いになる‥‥‥

結果的に、消耗を招いて、メンバー全員が殺されてしまうか、捉えられるのか?

ウルフが率いる魔族だって、計画性はあるはずだ。

罠を張っていることだってある。

どうする?

メンバーを危険な目に合わせてまで、今までやってきたことが無駄になってしまうじゃないか。
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