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第381話 戴冠式2

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第381話 戴冠式2

ランドルフ王子の戴冠式の直前で、待った、がかかってしまった。

やはり俺が感じたことは現実のものになってしまうのか?

ランドルフ王子は顔が赤く震えているように思える。

ということは策は何もないのか?

時間だけが経過する。

貴族でも、一筋縄じゃないから、必ず悪いことを考える奴がいる。

そこで、俺は近くにいる、この国の人に近寄って「あの人は誰ですか?」と聞いてみた。

「あの、お方は、前国王の弟ぎみです」

「弟なんていたんだ」

「はい、おられます」

「名前はなんて言うんですか?」と聞くと

「ダンカン様です、ダンカン侯爵です」とそれだけ聞いて、椅子に戻った。

「う~ん、王の弟かぁ」

ランドルフ王子は、まだ床に膝を下ろしたままだ、このままじゃまずい。

もう、しょうがないな。

俺も手を上げて、「はいっ」と言ったら、連れてきた王族がざわめく。

それよりも、王族のそばにいるメンバーの方がビックリしている。

目を大きく見開いて、俺をジーっとみている。

だって、しょうがないよ、一応、 やってしまった張本人だし。

周りのざわめきが余計に大きくなってくる。

俺は立ち上がって、宰相に、挨拶する。

「私はクリスと言います、他国ですが、公爵です」

最高位にあることを強調する。

『なんだ、他国の貴族か?』と言う声が聞こえる。

それを聞いて「そうですね、私は、他国の貴族ですが、正式ではありませんが、このオズワルド王国でも貴族位を持っています。
私が持っている貴族位は、ダンカン公爵と同じ公爵です」

「なんだ、俺と同じでも、違うぞ、俺の方が位は上だ。
俺は生まれながらにして公爵だぞ、貴様なんぞと同じではないわ、バカめ」とダンカン公爵。

「貴族というのは、その国の貢献でなるものでしたね」

「そうだ」とダンカン公爵

「では、あなたが、この国に何をしたんですか?」

ダンカン公爵は、黙ってしまった。

「どうせ、親から譲ってもらった公爵位でしょ?」

「貴様、なんなんだ? 若いくせに、貴様も、この国の 公爵に、どうやってなったか、わからんが、そんな奴に、この国の貢献なんかできるわけなかろう
どうせ、どこかの金持ちが、貴族位を買おうとしているのか?
引っ込んでいろ」

俺が貴族の地位を金で買ったみたいに思っているみたいだ。

俺も負ける気はない。

「俺は、最近ですけど、この国に貢献したんですよ」

「あ~なんだって、何をしたんだよ、嘘を言うなよ」と言葉が貴族らしくない。

「最近ですよ」と俺

「最近だと?」

「そう、最近ですよ」と俺は、しつこく言う

「最近は、魔物しか襲ってきてねえだろ」と、もはや貴族とは言えない言葉使い。

俺は最初から勇者の魔力をまとっている。

その魔力でダンカン公爵を見てみると、操作されている、ウルフの奴が精神魔法で操っている。

でも、ここで騒ぐのは得策ではない、早くランドルフ王子を王にする必要があるから。

ウルフ本人が奇襲をかけないで、他人を操作することで妨害工作にきたか?

俺以外は、その事実を知らないから、ここで引くわけにはいかない。

「ダンカン公爵、自身は何も貢献していないのですね。
親からもらった貴族位を持ち続けるだけと言うことですね」

「そうだ、それが何が悪い、貴様には関係ないことだ」

「いや、大有りですよ、ダンカン公爵」

「先ほど言いましたよね、俺は手柄を立てたと」

「だから、その手柄とはなんだと聞いているだろう?」

「わかりませんか?」

「わからんから聞いているんだが?
まさか、多くの魔物が出めてきた時に、貴様が討伐したとか冗談を言うのか?」

「冗談ではなく、私が討伐しました」と俺は、わざと私たちと使わなかった。

狙いを俺に集中してもらうためにだ。

「なに、貴様が?」

「はい、私が、討伐しました」

「あれだけの魔物を貴様がやったと言うのか?」

「はい、その通りです」

「おい、ランドルフ、本当なのか?」と話をランドルフ王子にふる。

「はい、その通りです、叔父上」

「さぁて、みなさん、国の手柄を立てることで貴族になっている方も多くいますが、王になろうとしているダンカン公爵は手柄も立てることなく、王になろうとしています。
俺たちが他国から、救援にきた時は、ここにいるランドルフ王子は現場にいました。
魔物討伐を俺たちと協力して、成功に導いた人物が目の前にいます。
勇敢で、強く、魔物に恐ることがない人物が。
そして、悪事を働いた前の王様は、犯罪人です。
何せ自分たちで魔物を呼び寄せて置いて制御できなくなって、自分の国に攻め込んできたわけですからね。
その人の弟ですよ。
まぁ、兄と弟は違いますけど、この弟さんは、兄さんの影に隠れて何も貢献もしていない。
そんな人が王になってもいいですか?

今までランドルフ王子は、懸命に政務をこなして、ここまでなりました。
私から見てもダンカン公爵よりもランドルフ王子の方が印象が良いです。
どちらが王にふさわしいでしょうね。」

「貴様‥‥‥」と言って俺を睨んでいる。

「 この国を立て直していくためには、ダンカン公爵よりもランドルフ王子の方が適任だと思います」

「貴様、いったい誰なんだ」

「あっ、申し遅れました、私はクリスというのは先ほど説明しましたが、別の名前があります」

「それはなんだ」

「はい、はい、急がなくても言いますよ」

「俺は、勇者伝説の勇者です」

「なんだと勇者だと」

周りのざわめきが大きくなる。

「はい、それともう一つあります」

「今度はなんだ」

「今日、参加されている多数の国の盟主です」

さらに、ざわめきが大きくなり、拍手が起き出した。

すごい歓声で、声が聞こえないほど、大きい。

俺は手で静粛を求める。 徐々に歓声が落ち着き出す。

「俺は、魔法使いで剣も強いですし、勇者でもあり、盟主をしています」

「そして、うちのメンバーには勇者物語の作者がいます」と俺がいうと、今回、一番の歓声が上がった。

俺より人気がある。

でも、コリンは目立ちたくないので、立つこともしない。

「まぁ、その辺は置いといて、俺はオズワルド王国の国家存続の危機に駆けつけて、ランドルフ王子と共に、魔物討伐に当たりました。
今日を迎えることができるのは、俺たちと女性メンバーとランドルフ王子のおかげですよ、ダンカン公爵、あなたではありません。
あなたは、国家の一大事に、どこにいて、何をしていたんですか?
国を守るのが、貴族の役目でしょう。
もし戦争になれば、一般の兵士は、士官、つまり、貴族の命令のもと、出兵するんですよ。
前王の弟なら、一番にお城に来て、出兵するべきじゃないですか、しかし、作戦会議室でも、あなたはいませんでしたよ」

「ぐぬぬっ」と顔を変な風に歪めながら、俺を見ている。

「ここまでのようだな」とダンカン公爵から、今までとは、違う声がした。

先ほどの声よりも、、嫌な感じがする声に変わってしまっている。

うん、なんだ?

ダンカン公爵の顔にシワじゃなく、ヒビが入ってきた。

その亀裂が、顔だけにとどまることなく、首筋や手の甲にも広がっている。

亀裂からドロッとした液体みたいなものが噴出して流れ出している。

なんだ、これは、初めてみるけど‥‥‥俺は警戒することにした。

ここにいる人たち、全員を結界魔法で覆う。

結界魔法でカバーされていないのはダンカン公爵だけ。

そして、俺は神獣たちに、念話で俺が良いと言ったら、いち早く空間に転移することを用意させる。

今は、どうなるのか、見届ける必要があるから。

これで俺の結界魔法が破られることになれば、もう未来はない。

でも、今は、どうなるのか、『見るべきだ』と俺の意志は告げている。

俺は危険がないように、鉄壁の防御を敷いている。

そのことも神獣たちに告げておく。

そうしたら神獣たちは、王族に話をしている。

王族は、神獣たちから離れないようにまとまっている。

俺だけがステージに上がってダンカン公爵の、変化を追っていく。
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