【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

第111話 仕事

屋敷に住んでいる全員の女の子たちに帝都で買ってきたお土産のネックレスをあげた。

悪趣味だと思わなければいいように、店員さんに聞いたよ？

だから、大丈夫！

朝になって朝食の時に、ネックレスをしていてくれるかなと思ってテーブルに早めに着いて待っている。

最初は、コリンが入ってきた。
昨日のお礼を言われたが、ネックレスをつけてなかった。

次はソフィアが入ってきた。

お礼を言われたが、ネックレスをつけていない。

次にイザベラが入ってきた。

イザベラもネックレスをつけていない。

最後にアリシアが入ってきた。

アリシアもネックレスをつけていないが、髪飾りをつけてい。た。

俺は、せっかくあげたので、つけて欲しかったんだけど、全員が作ってなかったので、疑問に思いながら聞いてみた。

そうすると全員が一致したことを言ってきた。

「特別な日にはめることにしたの」と言ってくれたが、本当は机の引き出しに、入れっぱなしになるんじゃなかろうかと思った。

アリシアが、「普段から、あれだけ高級そうなネックレスをつけていられないわよ、貴族じゃないんだし」

そして落としたら大変だしと言っていた。

でも最後に入ってきたアリシアが、頭を横に向けて、俺があげた髪飾りをポンポンと叩いた。
その動作を全員に見られていた。
なんだか気まずい雰囲気。

そこに料理が運ばれてきたから、雰囲気を変えることができた。

グッドタイミングだ。

食事を終えて部屋に戻ろうとしたときに、ドアを叩く音が聞こえた。

執事のセバスチャンが応対に出てくれる。

しばらくして、セバスチャンが帰ってきたら1通の封筒を持っていた。

なんだか、この封筒は見覚えがあるなと思ったが、セバスチャンから受け取って、印籠を確認してみる。

そうすると、やっぱり王城からだった。

俺は封筒を開けてみると、中に入っていた便箋には、急で申し訳ないが、明日、王城に来て欲しいと書いてあった。

王様からの呼び出しと言うことだ。



翌日、パーティーメンバーと作業場では、ポーション作りを、さらに続けてもらって、新しい人に指導しながら作成を頼んだ。

そして俺は、アリシアとともに馬車に乗って王様が待っている城に向かう。

今日はアリシアは、ドレスを着て、俺が以前にあげたネックレスをしている。

時々ネックレスに手を当てて、にへらっとしている。

なかなかネックレスをする機会がないので、今日が良い時だそうだ。


王様の呼び出しが、何の呼び出しなのかということも書いていなかったので、とにかく行くしかないかと思って王城に近づいている。

王城の門を通り抜けて、文官が案内してくれた部屋に到着した。

しばらく待っていると、王様が入ってきた。
俺たちは王様が入ってきたので立って迎えた。

王様が椅子に座ると俺たちも着席した。

「実は、貴殿に、ある仕事を任せたい。」と王様が言ったので、俺に仕事？と思った。

さらに王様は、「以前のようなことがあると、国としても、早急に準備をする必要もある、しかし、そのためには情報が必要だ。もちろん私も現地に要員を派遣しているが、しかし貴殿の目から見た情報も欲しいのだ。」

俺は何も答えない。

「私でできることなら喜んでお受けしますけど、私のようなもので良いのですか?」と言うと、王様は口の端が上がったように見えた。

「何を言うか、貴殿ほど、適任はいない、その理由は色々とわかっているだろう？」

なんだか王様がニヤついている。

さらに王様が、「もし貴殿が悪意を持っていたら、私の命はなくなっている、貴殿にはそれだけの力があるのだろう？」

そして、さらに王様が、「隠している能力が多くあるのだろう？」

「聞いたところによると、何もないところに急に貴殿が現れたと言う情報をもらっておる。別に悪く思っているわけではない。何もないところから、そちらのお嬢さんと急に現れた聞いた。」

「どういうことなのかと言う事は聞かんことにする！ 　そこまで詮索する必要はないと思った」

「禁書庫で、奥にある最重要の部屋に歴史書があった。

そういう能力がある人物がいたと読んだことがある」

「名前が残っていたが、その人物の名前も、貴殿と同じである。」

「遥か昔、300年以上前にいた人物だ。」

「偶然とも言えぬ……」

「しかし、私は、それ以上、詮索をせぬ。」

「貴殿が、その人物と関係があるのか、どうか、それは、どうでもいいこと」

「ただ、貴殿が何を考えて動いているか、どう思っているかが問題なのだ」

「… … … 」

「本当に貴殿には感謝しておる。だからこそ、貴殿に頼みたいのじゃ。」

「頼まれてくれるか」と王様が頭を下げた。

「頭を上げてください王様」

「自分がどういう人物かは、言えませんが、この王国が好きです」

「街の人たちは優しいし、屋敷にいる執事やメイドの皆さんも、とてもよくしてくれます、私は、それに報いているだけです。そして、ここにいるアリシアと平和に暮らしたいだけです」

アリシアが、嬉しそうな顔をしながら俺の方を見ている。


王様との話が終わり、詳しい話は高等文官から説明があるそうで、部屋を変えた。

俺たち2人と、宰相と高等文官が2名が、丸いテーブルの椅子に腰掛けて話そうとしていた。

そこに、ノックの音が聞こえて、すぐに扉が開いた。

中に入ってきた人物は、シャーロット姫だった。

宰相が「姫様、今は会議中です」と言うと
「いいじゃない、私がいても…」と姫様が言った。

宰相は、一瞬、困ったような顔をしたけど、諦めたのか話し始めた。

シャーロット姫は、アリシアの横の椅子に座った。

お互いが嬉しそうに顔を見合わせている。

シャーロット姫が椅子に座ると、すぐにアリシアの胸元に目が行った。

「その首飾り似合っているわね」シャーロット姫が言った

アリシアが「プレゼントなんだ」と言って、はにかんでいる。

「誰からのプレゼントなの?」とシャーロット君が聞いたので

「実は大きな声で言えないけど、クリスからなんだ」と言ったので2人して「 キャ～～ ッ」と声を殺しながら言ったが。

宰相がゴホンと咳払いをして、「姫様」と言ったので、2人して顔を下に向けて黙った。
全く今は会議中なのに不謹慎なと思いながら、俺も顔がほころぶ。