【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

第61話 再び冒険へ

しばらくはパーティーを組むわけだから、いろいろなものに対処したほうがいいと思うので、そのためには数が少ないものを狩っているよりも、フォーメーションを確認するためにも頭数が多いほうがいいと思ったから。

つまり慣れが必要だと言うことなので、実践的に動きが悪くないウルフを討伐対象に選んでいる。

屋敷の方には、出てくるときに討伐依頼を受けると数日帰れないかもわからないと言っている。

執事さんが、はい承知しております、と言う。

しかし討伐依頼を行うウルフの出現場所が歩いてというところだったので、馬車に乗って行ったほうがいいと思ったから、一度、屋敷に帰って確認をする。

そうしたら、ちょうど馬2頭立ての馬車が屋敷に置いている。

ちょうど届いたところだったみたい。

執事さんに、借りて行くと伝えたが、旦那様のでございますから、どうぞご自由にと言われた。

そして俺たちは、装備を整えて馬車に乗り込む。

馬車といっても貴族が乗るような馬車ではなく、豪華と言うよりも実用的な馬車だ。

大きくはないが、仮にも馬車の中で数泊なら寝れるような大きさはある。

しかも幌つき。

幌があると雨露をしのぐことができるから。

しかし馬車と言うのは、歩くよりは早いけど、馬よりは遅い。

でも歩くよりは、楽だからしょうがない。

馬車の操作は経験があると言うソフィアがしてくれたが、交代もいると思うので馬車の操作に全員がなれるようにした。

全員で場所に乗り込んで、街の門でギルドカードを出してチェックを通り過ぎる。

その時に自分のギルドカードは、貴族の印が付いている。なのでほとんど素通りで見せるだけで通過できる。

貴族の特権らしい。

馬車に乗っているとちょうどいいよねから眠くなってしまうけど、途中に盗賊や魔物が出てくる可能性もあるから注意しなければいけない。

ソフィアが馬車の御者をしながら、横にもイザベラが載っている。

馬車の幌の中には、1番、後方に背もたれに寄りかかりような感じで俺が触っている。

そして俺から見て右側にアリシアがいて、左側にはコリンが座っている。


アリシアとコリンが話をしているが、俺は聞いていなくて目をつぶって考え事をしていた。

これからウルフ狩りに行くわけだけど、危険性を伴うこともあるかもわからないので、今のうちに全員にポーションを渡しておこう。

そうして俺は、何もない空間からポーションを人数分だけ出す。

これは以前、暇なときに作成しておいたポーションなんだけど。


使い方は飲んでもいいし、体にかけても効果がある。

そして傷を治すこともできるし、体力を回復させることができる。

馬車の後方に寄りかかりながら、全員にそう説明して渡す。

そしてさらに、考えなければいけないのは魔法を最大限に戻すのが役目。

まだ以前のような大きな魔法を使うことはできない。

それを練習するために、目を閉じて集中して魔力を集めていく。

それをしばらく続けていると、アリシアが肩を揺らした。

なんだろうと思って目を開けると、アリシアが、「なんだかクリスの周りがすごいんだけど」と言ってきた。

あっ、ごめん、ごめんと謝りながら、魔法の練習をしていたんだと説明した。

御者をしているソフィアまで振り向いている。

練習をしている間に、魔法が集まりすぎて濃密な気になっていたみたいだ。

うかつに魔法の練習もできないなと思った。

そして、昼食を馬車の中でとって、夕方近くに現場に着いた。

早速、依頼があった村に入って、話を聞く。

ここでも同じように村の近くの畑にウルフが出るようになったそうだが、別の大きなウルフが存在するみたいで村人では討伐することができないから依頼したと言っていた。

ここでもやはり女性4人と、15歳になっているけど背が小さい自分を見て村人は不安そうな顔をしている。

ウルフたちが集まってくるのは夜になってからだそうなので、しばらく村で休憩をさしてもらって、ウルフ討伐に行く。

暗闇で物陰や大きな木の影に隠れながら、しばらく時間をつぶしている。

どれぐらい時間が経ったかわからないけど、暗闇から枯れ枝が折れるような音がした。

もちろん俺は魔法を使って、ずいぶん前にそれを確認していた。

しかし今回はフォーメーションの確認や訓練のため言わなかった。

特に初心者のアリシアが対応できるようにならなきゃだめだし、いつだって俺がいるわけじゃない。

しかし充分安全には配慮した。