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第53話 馬車の中の男 3

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馬車で子供がひかれてから、そんなに時間が経っていないためまだ王都にいるだろうと思う。

俺は、範囲魔法を使うため、意識を集中して魔力を纏う。

まとった魔力を一気に街中全体に放つ

まずはバートランド伯爵から確認してみる。

家族となごやかに食事をしているみたいだ。


次にロイド公爵を確認してみる。

ロイド公爵は、体の鍛錬をしているみたいだ。


ユーゴット公爵は、王城に行っているみたいだ。

ネイサン侯爵は、奥さん以外の女性が近くにいるみたいなので浮気をしている。

マテオ伯爵は、何かの商談中みたいだ。

多分5人の中に王城を抜け出して居酒屋に行ったときに、顔を隠した人物がいると思われる。

顔を隠した人物が監視対象者にお金を払っていたし、何か小さい包みを渡していた。

貴族本人が動いているとは限らないが、悪巧みをするときには自分で動くのが醍醐味と言うこともあるらしいので、本人が動いている可能性が強い。

俺はしばらく5人の貴族を監視することにした。

どこかで必ず尻尾を出すかもわからないから。


いつも見ているわけでは無いけど、特に悪巧みをするやつと言うのは夜や夜中に動くことが多いので、昼間は冒険にもいかず眠るようにして、夜から見張りに入ることにした。

1人部屋だから、部屋から確認しててもいいんだけど、邸の近くに行ってみて確認をすることもあった。

1人部屋と言うことも、良い時もある。


パーティーメンバーには何か疲れが取れないからといって部屋にヒキコモルようにしていたが、怪訝な顔をしている。

特にアリシアが心配そうな顔をしていた。

しかし、ここでは、まだ動けないので様子を見ることになる。


5人の貴族を確認していると、あまり怪しいような動きをしているものはいない。

しかしこの中にいる事は確かだと思うので、気長にとは言えないけど待つことにした。

たまたまだけどマテオ伯爵の家の前を確認しているときに、怪しい動きがあった。

もちろん正面にいたわけでは無いけど、門に隠れていたんだけど。

夜なのに、馬車が静かに場所が出入りしている。

周りが住宅街なので、馬車の音を気にしているようだ。

ときには出入りがあるとは思うけど、それでも多すぎると思う。


屋敷の庭にも、数台の馬車が止まっていて、人数も多くなっているような感じがする。

何をするんだろう?

そして馬車には何が入っているんだろう?


しばらく様子を伺っていても、ラチがあかないので、塀を乗り越えて入ってみる。

透明化の魔法を使い、同時に跳躍の魔法も使って塀を飛び越える。

屋敷の角の暗がりから、馬車まで走って行き、馬車の幌をめくると、武器がいっぱい置いてあった。

どこかで戦争でもあるのかなと思ったが、近くにいる男たちが話す声が聞こえる。

その男たちが言うことが正確なものとは言えないが、王城を襲うようだ。

王城の兵士や騎士たちには、かなわないと思うけど。

正面攻撃じゃなく、城に潜入することができれば王様を拉致することや王子や姫様をとらえて操ることもできる。

そういうやり方かもわからない。

王族さえ捕まえてしまえば、あとは、正面から侵入すればいい。

これだけ武器を揃えているんだから、襲撃が近いのかもわからない。

こういう時はあまり時間をおいた方が負ける場合が多いので、準備を揃えた今日だと思う。

今夜中の2時だから、朝までが決戦かな?


そういう状況判断をしながら隠蔽の魔法使い、塀を取り飛び越えて城に走る。

あまりした人が城にいないので、誰に伝えようかと迷っていただが、兵士、騎士に言っても、多分時間ばかりかかってしまって王族の身に危険が迫る。

俺は城の近くに来て、塀の影に隠れながら、王族の位置を確認する。

一度、謁見の時に王子以外の王族を確認をしているので、集中して魔力を取りながら魔法発動する。

そうするとすぐに、シャーロット姫と王妃の位置は、わかった。

あとは王様と第一王子だけ。

第一扇は顔を知らないから後回しにして、王様を確認してみる。

そうすると夜中にもかかわらず王の寝室に近づくものがいる。

俺はすぐに透明化の魔法使い、跳躍の魔法を重ねがけして餅を飛び越えて王の寝室に急ぐ。

賊は、扉を開けようとしているところだ。

間に合ったようだ。

もちろん王の部屋の扉を守っている兵士は倒されている。

侵入しようとしている賊は3人だ。

カーテンは、しまっているけど、カーテンの隙間の窓から入る月明かりを頼りに、王のベッドに近づいている。

1人はナイフを持って、もう2人は長剣を持っている。


先頭の1人がナイフを振り下ろそうとしている。

やっと俺が扉から入った。

ギリギリ間に合った感じがあるが、常に意識は集中していたので何が起きているのか把握している。

俺は魔法を使い、王様を魔法のエネルギーで覆った。

ナイフを持って振り被ろうとしていた男の、ナイフが空間で何かに当たったように跳ね返った。

男は驚きの顔をする。

それを見ていた2人の長剣使いが、王に向けて長剣を振り下ろした。

しかし同じように、何かに弾かれた。

3人ともが驚愕の表情をするが何が起こっているのかわからないみたいだった。

そして俺が異空間収納から、王都で買った長剣で、賊の間を一瞬で通り過ぎて3人を倒した。


瞬間的に殺さなければ、何があるか分からないので瞬殺してしまったが、場合によっては生かしたまま情報を聞き出すと言う方法もあったが、自爆する恐れもあったので。

ちょうどその時に王様が目を覚ました。

賊が倒れていくとこだった。

そこで俺と目があった。

あっちゃ~、もう少し寝ていればいいのに。

変なところで目を覚ましてしまった。

言い訳をどうしようかと思っているうちに、王様がベッドから立ち上がってきた。

「説明してもらおうか」と王様から言われたのでしょうがなく、以前の毒殺事件の黒幕を内偵していたと言うことを話した。

そこで城の中に動きがあることがわかった。

やはり3人組で動きがあったのですぐに感づいたんだが、角を曲がった同じフロアにある部屋に侵入しようとして兵士がやられた。

俺は説明しようとしたが、すぐに部屋から飛び出し、角を曲がったところで、3人組に遭遇した。

扉を守る兵士が倒れた、すぐだったので、まだ部屋の中には入っていないみたいだ。

先ほどよりも、弱かったので3人とも瞬殺することができた。

さぁ、後はどうしようか、と考えているところに場内にいる兵士や騎士が駆けつけた。

戦闘態勢を取った多くの人間を見て、説明がしようがないことを考えたが、伯爵が兵士を引いてくるかもわからないと言うことを。

じゃないと、また誰かが死んでしまう。

俺は、賊を殺したすぐだったので長剣を構えたままだった。

そこに第一皇子や、シャーロット王女まで現れた。

みんなに取り囲まれながら、どうしようかと考えていると、シャーロット王女が近づいてきた。

「姫様はいけません」とメイドが言っている。

しかしシャーロット姫は、かまいもせず近づいてくる。

そうすると、「賊が侵入したんですね」

と言ってくれたので現場の雰囲気が少し変わった。

自分の部屋に倒れている賊を見ているので、なんとなくそうではないかと思っていたが、口に出すことができなかった。

そして俺は長剣を渡すように言われて素直に従うと、

「王様から話してほしい」と再度言われた。




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