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第5話 転生者だからって楽が出来るとは限らない
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「ここは?」
「宇宙船の中にあるトレーニングルームです」
「宇宙船?」
「はい、以前マスターが気絶されてしまった宇宙船です」
「うぐっ、お前結構嫌なこと言うのな」
俺は、アルファに連れられて家からこの宇宙船に転移していた。トレーニングルームというだけあって、かなり広い。部屋を走って一周するのにどれくらい時間がかかるだろうか。
「それで、ここで何をするんだ? 悪いけど、武術や剣術なんか本当に何も知らないぞ?」
「心配ありません。この世でマスターに敵う者はいないくらいに、マスターを鍛えてみせます」
「いや、そこまでしなくても良いんだけど」
「それでは、まずこのアイテムを着けてください」
俺の話を右から左へと聞き流したアルファから腕時計のような物を渡され、たんたんと説明された。
「これは?」
「そのアイテムは、マスターの動きを最適化する機能と普通の10倍の経験値が入るようにになっているものです」
「何その便利なアイテム、まるでチートじゃん」
「その、チートというのはよく分かりませんが、マスターが思うほど楽な道のりでは無いと思いますよ?」
「どういうこと?」
「こういうことです」
アルファのレンズが赤く光ったと思ったら、トレーニングルームの床から剣と同じく剣を持ったロボットが一体現れた。
「今からマスターには、あのロボットと戦って貰います」
「えっ? いやいやいや、人の話聞いてた? 俺、剣とか触ったことすら無いんだけど。負けるよ? ていうか、死ぬよ?」
「大丈夫です、あの剣はいくら相手を斬っても死なないような作りにしたので」
「へぇ~、あれお前が作ったんだ・・・じゃなくて! でも、当たったら痛いんじゃないか?」
「痛みも無く、強さを手に入られるなんてことがある訳ないじゃないですか。とりあえず、あのロボットを戦闘不能にするまで戦って下さい」
「無茶言うなよ!」
「それでは、始め」
俺の言葉は、アルファには聞いて貰えず、合図と共にロボットが俺に襲い掛かってきた。
「うわぁ~~~~!!! 助けて~~~~~~~~~~~!!!!!!」
残念ながら俺の悲痛の叫びは誰にも聞こえる事無く、ロボットにボコボコにされたのだった。
数時間後、俺は息も絶え絶え、体中に痛みが走りながらも何とかロボットを倒す事が出来た。何度か攻撃を当てていたのだが、まぐれで当たった攻撃ではロボットは止まってくれず、何とか相手の攻撃のタイミングを呼んで、最後の一撃を当てた。
「はあ、はあ、や、やった」
「お見事です、マスター。まさか、1日でこのロボットを倒してしまうなんて、正直意外でした」
「お前がやれって、言ったんじゃないか」
「そうですね。ですが、やり遂げたのはマスター自身です。自身を持って良いと思いますよ。顔は、かなりブサイクになりましたが」
「・・・お前、本当は馬鹿にしているだろう」
「いえいえ、滅相もありません。さて、それじゃあ今日は帰りましょうか。そろそろ、夕飯時です」
「今日のご飯は、今まで一番美味しいだろうな」
「十分に栄養と睡眠を取っておいて下さいね。明日もありますから」
「・・・明日?」
「はい、今日は剣を練習したので明日は槍でも学びましょうか」
「・・・マジで?」
「マジです」
これからも今日のような地獄が続くと知った俺は、その場で声に鳴らない声で泣くのだった。
「信じてますよ、マスター」
アルファが最後に何か言っていたような気がしたか、明日からの苦しみをどう乗り越えるか考えることでいっぱいでそれ以外は何も入って来なかった。
3年後
「これで、ラスト!」
「お見事です、マスター。昔と比べものにならないくらいに成長しましたね」
「ははは、これだけやって成長して無かったら、悲しさでどうにかなりそうだよ」
アルファと出会って3年が経ち、俺もこの世界で10歳になった。アルファとの厳しい特訓は、あれから毎日続き、一体相手するのにボロボロになっていたロボットを1度に10体を相手にして勝てるようになっていた。
「まあ、これだけやれたのもアルファのおかげだよ。ありがとうな」
「・・・」
「どうした?」
「いえ、まさか、感謝を述べられるとは思っていなかったので」
「だって、お前がいなかったら多分こんなに強くなれたなかったからな。それに、色々と知識も身に付いたし。だから、これからもよろしくな、アルファ」
「不思議な感じですね。私に感情があるかは分かりませんが、これが嬉しいというものでしょうか」
「そっか、お前機械だもんな。普通にやりとりしているから忘れてたよ。これで、体とかあったらまじで分からなくなりそうだよ」
「私に体ですか、面白い事を考えますね」
「そうか? まあ、もしかしたらの話しだからな」
「そうですね」
「あっ、そうだ、明日からなんだけど少し修行休ませてくれないか?」
「ええ、分かっています。お父様と一緒にクエストを受けに行くのでしょう?」
「知ってたのか」
「マスターのことは、出来るだけ理解しているつもりですよ」
「流石だな、内容はまだ分からないんだけど、一緒に付いてきてくれないか?」
「言われなくても付いて行きます。強くなったとはいえ、マスターに突然いなくなられても困りますので」
「心配掛けさせてすみませんね。でも、助けるよ」
アルファとの修行を今日は早めに切り上げた俺は、明日の準備をして早めに眠りに付いた。
「宇宙船の中にあるトレーニングルームです」
「宇宙船?」
「はい、以前マスターが気絶されてしまった宇宙船です」
「うぐっ、お前結構嫌なこと言うのな」
俺は、アルファに連れられて家からこの宇宙船に転移していた。トレーニングルームというだけあって、かなり広い。部屋を走って一周するのにどれくらい時間がかかるだろうか。
「それで、ここで何をするんだ? 悪いけど、武術や剣術なんか本当に何も知らないぞ?」
「心配ありません。この世でマスターに敵う者はいないくらいに、マスターを鍛えてみせます」
「いや、そこまでしなくても良いんだけど」
「それでは、まずこのアイテムを着けてください」
俺の話を右から左へと聞き流したアルファから腕時計のような物を渡され、たんたんと説明された。
「これは?」
「そのアイテムは、マスターの動きを最適化する機能と普通の10倍の経験値が入るようにになっているものです」
「何その便利なアイテム、まるでチートじゃん」
「その、チートというのはよく分かりませんが、マスターが思うほど楽な道のりでは無いと思いますよ?」
「どういうこと?」
「こういうことです」
アルファのレンズが赤く光ったと思ったら、トレーニングルームの床から剣と同じく剣を持ったロボットが一体現れた。
「今からマスターには、あのロボットと戦って貰います」
「えっ? いやいやいや、人の話聞いてた? 俺、剣とか触ったことすら無いんだけど。負けるよ? ていうか、死ぬよ?」
「大丈夫です、あの剣はいくら相手を斬っても死なないような作りにしたので」
「へぇ~、あれお前が作ったんだ・・・じゃなくて! でも、当たったら痛いんじゃないか?」
「痛みも無く、強さを手に入られるなんてことがある訳ないじゃないですか。とりあえず、あのロボットを戦闘不能にするまで戦って下さい」
「無茶言うなよ!」
「それでは、始め」
俺の言葉は、アルファには聞いて貰えず、合図と共にロボットが俺に襲い掛かってきた。
「うわぁ~~~~!!! 助けて~~~~~~~~~~~!!!!!!」
残念ながら俺の悲痛の叫びは誰にも聞こえる事無く、ロボットにボコボコにされたのだった。
数時間後、俺は息も絶え絶え、体中に痛みが走りながらも何とかロボットを倒す事が出来た。何度か攻撃を当てていたのだが、まぐれで当たった攻撃ではロボットは止まってくれず、何とか相手の攻撃のタイミングを呼んで、最後の一撃を当てた。
「はあ、はあ、や、やった」
「お見事です、マスター。まさか、1日でこのロボットを倒してしまうなんて、正直意外でした」
「お前がやれって、言ったんじゃないか」
「そうですね。ですが、やり遂げたのはマスター自身です。自身を持って良いと思いますよ。顔は、かなりブサイクになりましたが」
「・・・お前、本当は馬鹿にしているだろう」
「いえいえ、滅相もありません。さて、それじゃあ今日は帰りましょうか。そろそろ、夕飯時です」
「今日のご飯は、今まで一番美味しいだろうな」
「十分に栄養と睡眠を取っておいて下さいね。明日もありますから」
「・・・明日?」
「はい、今日は剣を練習したので明日は槍でも学びましょうか」
「・・・マジで?」
「マジです」
これからも今日のような地獄が続くと知った俺は、その場で声に鳴らない声で泣くのだった。
「信じてますよ、マスター」
アルファが最後に何か言っていたような気がしたか、明日からの苦しみをどう乗り越えるか考えることでいっぱいでそれ以外は何も入って来なかった。
3年後
「これで、ラスト!」
「お見事です、マスター。昔と比べものにならないくらいに成長しましたね」
「ははは、これだけやって成長して無かったら、悲しさでどうにかなりそうだよ」
アルファと出会って3年が経ち、俺もこの世界で10歳になった。アルファとの厳しい特訓は、あれから毎日続き、一体相手するのにボロボロになっていたロボットを1度に10体を相手にして勝てるようになっていた。
「まあ、これだけやれたのもアルファのおかげだよ。ありがとうな」
「・・・」
「どうした?」
「いえ、まさか、感謝を述べられるとは思っていなかったので」
「だって、お前がいなかったら多分こんなに強くなれたなかったからな。それに、色々と知識も身に付いたし。だから、これからもよろしくな、アルファ」
「不思議な感じですね。私に感情があるかは分かりませんが、これが嬉しいというものでしょうか」
「そっか、お前機械だもんな。普通にやりとりしているから忘れてたよ。これで、体とかあったらまじで分からなくなりそうだよ」
「私に体ですか、面白い事を考えますね」
「そうか? まあ、もしかしたらの話しだからな」
「そうですね」
「あっ、そうだ、明日からなんだけど少し修行休ませてくれないか?」
「ええ、分かっています。お父様と一緒にクエストを受けに行くのでしょう?」
「知ってたのか」
「マスターのことは、出来るだけ理解しているつもりですよ」
「流石だな、内容はまだ分からないんだけど、一緒に付いてきてくれないか?」
「言われなくても付いて行きます。強くなったとはいえ、マスターに突然いなくなられても困りますので」
「心配掛けさせてすみませんね。でも、助けるよ」
アルファとの修行を今日は早めに切り上げた俺は、明日の準備をして早めに眠りに付いた。
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