18 / 26
18 本当の夢
しおりを挟む
セリナージェとベルティナは、初等学校の卒業までたったの半年だったので、初等学校へ行かずに、家庭教師で勉強することになった。ベルティナは大変賢く、家庭教師でさえ、感心していた。ベルティナは特にその理由を話さなかった。タビアーノ男爵領のあの教師に、固く口止めされていたからだ。
ティエポロ侯爵は、なんやかんやと理由をつけては、ベルティナをタビアーノ男爵家に返すことをしないどころか、タビアーノ男爵夫人とベルティナを会わせもしなかった。
ベルティナは、普通の人並の体型になり、落ちくぼんだ目が元にもどると、なかなかの美人であった。セリナージェとの庭遊びでは、三月もすると、随分と転ばなくもなった。
しかし、半年もすると、ベルティナの姉が州都の中等学校を卒業して、タビアーノ男爵家は、領地へと戻ることになった。さすがにもうベルティナを返せとタビアーノ男爵は息巻いた。しかし、ティエポロ侯爵が金を積み、ベルティナを侍女として買い取ると言うと、喜んでサインをし、金を持って帰っていった。
子爵家男爵家の子女が、州長の子女の側近や専属侍女になるために、州長の家で暮らすことは珍しくはない。だが、金を積まれることは、大変珍しい。金に目のないタビアーノ男爵は、そんなことには気が付きもしなかった。
だが、ティエポロ侯爵は、ベルティナにそのことをいうつもりはなかった。あくまでもセリナージェの友人でいてほしかったのだ。
ティエポロ侯爵の願い通り、ベルティナとセリナージェは、大の仲良しになり、今日も二人で過ごしている。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナの姉が州都の中等学校を卒業したと入れ違いに、ベルティナとセリナージェは、中等学校へ入学した。
中等学校に入学したベルティナは、打って変わって悪い成績になった。それを訝しんだティエポロ侯爵夫人は、ベルティナに聞いてみた。
「良い成績を取ると、また殴られるの。お兄様がそうだったの。それはイヤだから、わざと間違えているんです。お父様に届く成績表が、悪くなるように」
ティエポロ侯爵夫人は、泣きながらベルティナにすべてを話してほしいと訴えた。この1年でティエポロ侯爵夫人を自分の味方であると判断していたベルティナは、タビアーノ男爵領の恩人の教師について、話をした。
ティエポロ侯爵は、その教師をすぐさま州都の初等学校の教師に任命し、引き抜いた。
ティエポロ侯爵の心配は的中していた。その教師がブルーノとベルティナを助けていたことが、ベルティナがタビアーノ男爵領を出てから半年以上もしてから発覚し、その教師は大幅減俸された上、小屋のような住まいにさせられていた。ティエポロ侯爵がベルティナを指名したことが、その教師が原因だと思われていたのだ。
1年ぶりに教師と再会したベルティナは、痩せ細った教師に何度も謝りながら泣いた。教師は、ベルティナの元気な様子にとても喜んでいた。
〰️ 〰️ 〰️
こうして、ベルティナは、今でもティエポロ侯爵家に住み、タビアーノ男爵家の者とは、すでに7年も何の連絡もとりあっていなかった。
それは、すべてティエポロ侯爵が望み、そう行動してくれてくれていたからであった。とはいえ、タビアーノ男爵からも、ベルティナを心配するような手紙は一度も来ていない。
州都で侯爵家の隣にあるタビアーノ男爵家の屋敷は、とうに売られ、違う男爵家がすでに住んでいた。それからは、タビアーノ男爵が、州都に屋敷を持ったという話は聞かない。余裕がないのか、必要がないのか、そこまではわからない。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナは、ティエポロ侯爵に養子縁組の話をされ、自分がタビアーノ家のことをすっかり忘れていたことに今更気がついた。
それだけ、以前と今では差が大きすぎて、ベルティナの精神上、普段は忘れていなければ正常でいられないような体験であったということだろう。
「妹と弟は、どうしているかご存知ですか?」
思い出したくはないあの家の風景が頭に浮かび、ベルティナの声は震えた。確かに妹も弟も虐待には関知していない。が、虐待をする母の腕や、ベルティナを蹴るメイドの背中にはいつも彼らがいた。それでも、聞かずにはいられなかった。
「ああ、時々、ジノベルトが見に行ってくれているんだ」
ジノベルトが、ベルティナを見て頷いた。
「ベルティナの妹も弟も元気だよ。虐待はされていない。ベルティナには、実は兄が二人いたそうだね。下の兄は行方不明だそうじゃないか。
実質、子供が二人いなくなったわけだから、タビアーノ家も楽になったのではないかな。または、君のことが父さんにバレて虐待ができなくなったか。
妹は、中等学校には来てないけど、初等学校では中ぐらいだったそうだよ。弟は今初等学校で頑張っているよ」
ベルティナは、ポロポロと泣き出した。自分が逃げたことで、妹や弟に何かなくて本当によかった。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
ベルティナは泣きながらお礼を言い続けた。すると、後ろから抱きしめられた。
「今まで、何も知らなくてごめんね。ベルティナ、私のお姉様になって、お願いよ」
セリナージェも泣いていた。ジノベルト夫妻が、双子の姉たちが、お義父様が、お義母様が、抱き合うベルティナとセリナージェを笑顔で見つめていた。壁際には、執事長、メイド長はじめ、すべての使用人たちが並び、涙を流してくれていた。
この暖かい家族が本物の家族になるなんて、ベルティナはもう何もいらないと心から思っていた。
〰️
その日の夜、ベルティナはセリナージェのベッドにいた。
「セリナ、私、もう一つあなたに内緒にしていたことがあるの」
ベルティナは、隣にいるセリナージェの方へと体を向けた。
「え!何?いなくなるって話じゃないわよね?」
セリナージェは、ガバリと、起き上がりベルティナを見た。
「ふふ、違うわ。あのね、私の夢の話なのだけど」
「うん」
セリナージェは再び横になり、ベルティナの方へと体を向けた。
「本当の私の夢は、文官になることではないのよ。セリナの専属侍女になることが夢だったの。あなたがどこに嫁ごうとも、付いていくつもりだったのよ。あなたの姉になっても侍女にはなれるのかしら?」
「あ、あの、ベルティナ。それって、もし、私がピッツォーネ王国に嫁ぐことになっても、来てくれるってことかしら?」
セリナージェは、目元まで布団を被り、真っ赤になってチラチラとベルティナを見ている。
「ふふふ、セリナは、そんなにレムのことが好きなのね。そうだわ!私はレムの秘書になるわ。それならセリナの姉でも、セリナの家にいることに不思議はなくなるわよね」
「ベルティナ。大好きよ!」
セリナージェは、ベッドの中でベルティナに抱きついた。
ベルティナは、侯爵令嬢になるのだから、エリオの爵位が何であれ、問題はなくなったということに気がついていなかった。今日は幸せなことが多すぎて、ベルティナは、考えることができなくなるくらいであったのだ。
ティエポロ侯爵は、なんやかんやと理由をつけては、ベルティナをタビアーノ男爵家に返すことをしないどころか、タビアーノ男爵夫人とベルティナを会わせもしなかった。
ベルティナは、普通の人並の体型になり、落ちくぼんだ目が元にもどると、なかなかの美人であった。セリナージェとの庭遊びでは、三月もすると、随分と転ばなくもなった。
しかし、半年もすると、ベルティナの姉が州都の中等学校を卒業して、タビアーノ男爵家は、領地へと戻ることになった。さすがにもうベルティナを返せとタビアーノ男爵は息巻いた。しかし、ティエポロ侯爵が金を積み、ベルティナを侍女として買い取ると言うと、喜んでサインをし、金を持って帰っていった。
子爵家男爵家の子女が、州長の子女の側近や専属侍女になるために、州長の家で暮らすことは珍しくはない。だが、金を積まれることは、大変珍しい。金に目のないタビアーノ男爵は、そんなことには気が付きもしなかった。
だが、ティエポロ侯爵は、ベルティナにそのことをいうつもりはなかった。あくまでもセリナージェの友人でいてほしかったのだ。
ティエポロ侯爵の願い通り、ベルティナとセリナージェは、大の仲良しになり、今日も二人で過ごしている。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナの姉が州都の中等学校を卒業したと入れ違いに、ベルティナとセリナージェは、中等学校へ入学した。
中等学校に入学したベルティナは、打って変わって悪い成績になった。それを訝しんだティエポロ侯爵夫人は、ベルティナに聞いてみた。
「良い成績を取ると、また殴られるの。お兄様がそうだったの。それはイヤだから、わざと間違えているんです。お父様に届く成績表が、悪くなるように」
ティエポロ侯爵夫人は、泣きながらベルティナにすべてを話してほしいと訴えた。この1年でティエポロ侯爵夫人を自分の味方であると判断していたベルティナは、タビアーノ男爵領の恩人の教師について、話をした。
ティエポロ侯爵は、その教師をすぐさま州都の初等学校の教師に任命し、引き抜いた。
ティエポロ侯爵の心配は的中していた。その教師がブルーノとベルティナを助けていたことが、ベルティナがタビアーノ男爵領を出てから半年以上もしてから発覚し、その教師は大幅減俸された上、小屋のような住まいにさせられていた。ティエポロ侯爵がベルティナを指名したことが、その教師が原因だと思われていたのだ。
1年ぶりに教師と再会したベルティナは、痩せ細った教師に何度も謝りながら泣いた。教師は、ベルティナの元気な様子にとても喜んでいた。
〰️ 〰️ 〰️
こうして、ベルティナは、今でもティエポロ侯爵家に住み、タビアーノ男爵家の者とは、すでに7年も何の連絡もとりあっていなかった。
それは、すべてティエポロ侯爵が望み、そう行動してくれてくれていたからであった。とはいえ、タビアーノ男爵からも、ベルティナを心配するような手紙は一度も来ていない。
州都で侯爵家の隣にあるタビアーノ男爵家の屋敷は、とうに売られ、違う男爵家がすでに住んでいた。それからは、タビアーノ男爵が、州都に屋敷を持ったという話は聞かない。余裕がないのか、必要がないのか、そこまではわからない。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナは、ティエポロ侯爵に養子縁組の話をされ、自分がタビアーノ家のことをすっかり忘れていたことに今更気がついた。
それだけ、以前と今では差が大きすぎて、ベルティナの精神上、普段は忘れていなければ正常でいられないような体験であったということだろう。
「妹と弟は、どうしているかご存知ですか?」
思い出したくはないあの家の風景が頭に浮かび、ベルティナの声は震えた。確かに妹も弟も虐待には関知していない。が、虐待をする母の腕や、ベルティナを蹴るメイドの背中にはいつも彼らがいた。それでも、聞かずにはいられなかった。
「ああ、時々、ジノベルトが見に行ってくれているんだ」
ジノベルトが、ベルティナを見て頷いた。
「ベルティナの妹も弟も元気だよ。虐待はされていない。ベルティナには、実は兄が二人いたそうだね。下の兄は行方不明だそうじゃないか。
実質、子供が二人いなくなったわけだから、タビアーノ家も楽になったのではないかな。または、君のことが父さんにバレて虐待ができなくなったか。
妹は、中等学校には来てないけど、初等学校では中ぐらいだったそうだよ。弟は今初等学校で頑張っているよ」
ベルティナは、ポロポロと泣き出した。自分が逃げたことで、妹や弟に何かなくて本当によかった。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
ベルティナは泣きながらお礼を言い続けた。すると、後ろから抱きしめられた。
「今まで、何も知らなくてごめんね。ベルティナ、私のお姉様になって、お願いよ」
セリナージェも泣いていた。ジノベルト夫妻が、双子の姉たちが、お義父様が、お義母様が、抱き合うベルティナとセリナージェを笑顔で見つめていた。壁際には、執事長、メイド長はじめ、すべての使用人たちが並び、涙を流してくれていた。
この暖かい家族が本物の家族になるなんて、ベルティナはもう何もいらないと心から思っていた。
〰️
その日の夜、ベルティナはセリナージェのベッドにいた。
「セリナ、私、もう一つあなたに内緒にしていたことがあるの」
ベルティナは、隣にいるセリナージェの方へと体を向けた。
「え!何?いなくなるって話じゃないわよね?」
セリナージェは、ガバリと、起き上がりベルティナを見た。
「ふふ、違うわ。あのね、私の夢の話なのだけど」
「うん」
セリナージェは再び横になり、ベルティナの方へと体を向けた。
「本当の私の夢は、文官になることではないのよ。セリナの専属侍女になることが夢だったの。あなたがどこに嫁ごうとも、付いていくつもりだったのよ。あなたの姉になっても侍女にはなれるのかしら?」
「あ、あの、ベルティナ。それって、もし、私がピッツォーネ王国に嫁ぐことになっても、来てくれるってことかしら?」
セリナージェは、目元まで布団を被り、真っ赤になってチラチラとベルティナを見ている。
「ふふふ、セリナは、そんなにレムのことが好きなのね。そうだわ!私はレムの秘書になるわ。それならセリナの姉でも、セリナの家にいることに不思議はなくなるわよね」
「ベルティナ。大好きよ!」
セリナージェは、ベッドの中でベルティナに抱きついた。
ベルティナは、侯爵令嬢になるのだから、エリオの爵位が何であれ、問題はなくなったということに気がついていなかった。今日は幸せなことが多すぎて、ベルティナは、考えることができなくなるくらいであったのだ。
11
お気に入りに追加
305
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました
白石マサル
恋愛
人は誰でも自己顕示欲を持っている。それが大きいか小さいかの違いはあるが。
中学時代からヲタクでぼっちだった主人公は高校一年の終業式の後、自分の所為で虐められている妹を見てしまう。
妹は気丈に振る舞っていたが、自分の所為で妹が虐められるのは嫌だと奮起する。
「どうすればリア充になれる?」
この言葉を切っ掛けに妹プロデュースの元、リア充になるべく特訓を開始する。
そんな中、妹の思惑を知った主人公だが、妹の為に学校一のリア充を目指すのだった。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
わたしは出発点の人生で浮気され心が壊れた。転生一度目は悪役令嬢。婚約破棄、家を追放、処断された。素敵な王太子殿下に転生二度目は溺愛されます。
のんびりとゆっくり
恋愛
わたしはリディテーヌ。ボードリックス公爵家令嬢。
デュヴィテール王国ルシャール王太子殿下の婚約者。
わたしは、ルシャール殿下に婚約を破棄され、公爵家を追放された。
そして、その後、とてもみじめな思いをする。
婚約者の座についたのは、わたしとずっと対立していた継母が推していた自分の娘。
わたしの義理の妹だ。
しかし、これは、わたしが好きだった乙女ゲーム「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界だった。
わたしは、このゲームの悪役令嬢として、転生していたのだ。
わたしの出発点の人生は、日本だった。
ここでわたしは、恋人となった幼馴染を寝取られた。
わたしは結婚したいとまで思っていた恋人を寝取られたことにより、心が壊れるとともに、もともと病弱だった為、体も壊れてしまった。
その後、このゲームの悪役令嬢に転生したわたしは、ゲームの通り、婚約破棄・家からの追放を経験した。
その後、とてもみじめな思いをすることになる。
これが転生一度目だった。
そして、わたしは、再びこのゲームの悪役令嬢として転生していた。
そのことに気がついたのは、十七歳の時だった。
このままだと、また婚約破棄された後、家を追放され、その後、とてもみじめな思いをすることになってしまう。
それは絶対に避けたいところだった。
もうあまり時間はない。
それでも避ける努力をしなければ、転生一度目と同じことになってしまう。
わたしはその時から、生まれ変わる決意をした。
自分磨きを一生懸命行い、周囲の人たちには、気品を持ちながら、心やさしく接するようにしていく。
いじわるで、わたしをずっと苦しめてきた継母を屈服させることも決意する。
そして、ルシャール殿下ではなく、ゲームの中で一番好きで推しだったルクシブルテール王国のオクタヴィノール殿下と仲良くなり、恋人どうしとなって溺愛され、結婚したいと強く思った。
こうしてわたしは、新しい人生を歩み始めた。
この作品は、「小説家になろう」様にも投稿しています。
「小説家になろう」様では、「わたしは出発点の人生で寝取られ、心が壊れた。転生一度目は、悪役令嬢。婚約破棄され、家を追放。そして……。もうみじめな人生は嫌。転生二度目は、いじわるな継母を屈服させて、素敵な王太子殿下に溺愛されます。」という題名で投稿しています。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる