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10 末っ子のワガママ
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ベルティナとクレメンティが、セリナージェの部屋に行った後、エリオとイルミネの前にはお茶が出された。
「執事長、ベルティナが言うように、執事長の爵位がベルティナより上であることが、理由だと思うかい?」
エリオは少し厳し目の視線を執事長へ向けた。それは『使う側』の者、独特なものであった。
「僭越ながら、意見を述べさせていただいても?」
「ああ、君の本当の意見を聞きたい」
「ベルティナ様がこちらにいらっしゃったのは、11歳の頃でございました。その頃のセリナージェ様は、それはもう大変なワガママぶりでございまして。侯爵家の末のお子様でありますので、わたくしどもも、甘やかしてしまっていたのでございます」
「へぇ、そんな感じしないけど」
イルミネは、肘をテーブルについて執事長の顔をジッと見た。
「ええ、それは、ベルティナ様のおかげでございます。何か大きなことがあったわけではないのです。ですが、日々の1つ1つがセリナージェ様を変えていかれたのです」
「どんなことがあったのかな?」
エリオは幼い頃のベルティナとセリナージェに、とても興味を持った。
メイド長も執事長の隣にたって、説明を始めた。
「ある日、セリナージェ様が、庭のお花を毟ってしまいまして。庭師もいつものことだと、気にしないでおりましたら、ベルティナ様が、庭師からハサミを借りて、それを小さな花束になさりました。セリナージェ様がベルティナ様に何をしているのかとお聞きになると、『庭師が一生懸命に育ててくれたお花なのだから、1日でもキレイにいさせてあげたい』とおっしゃって、花瓶にさして、セリナージェ様の勉強机に飾りました」
メイド長は、ハンカチで、目頭を抑えた。
「好き嫌いの激しかったセリナージェ様でございましたが、ベルティナ様が毎日のように『私たちのために作ってくれたお料理は美味しいわね』とおっしゃりながら召し上がるので、いつの間にか、セリナージェ様の好き嫌いがなくなっておりました」
執事長は昔を思い出して、笑顔になった。セリナージェの好き嫌いには、手を焼いていたのだろう。
「わたくしは、まだ、メイドの一人でございましたが、ベルティナ様は、シーツがいい匂いだと喜び、衣服がキレイだとお礼をおっしゃり、カーテンが変わったと季節を感じてくださり、よく眠れたのだと笑顔を向けてくださるのです」
メイド長も後ろの少し年を重ねたメイドもなぜか涙を流していた。
「わたくしどもは、ベルティナ様をお守りしたいと、みな、思っております。そして、セリナージェ様を甘やかすだけではいけないのだと、教えてくださったのも、ベルティナ様でございます」
執事長が、そう言って、頭を下げた。頭を下げたまま、最後に言葉にした。
「爵位が問題なのではなく、ベルティナ様のお優しさそのものと、存じます」
いつの間にか集まった使用人たちが、泣きながら頷いていた。
〰️
エリオとイルミネは、エリオの使っている客室へ移った。
「いやぁ、ベルティナは、想像以上にいい子だったね」
「ああ、そうだな」
エリオは、口では賛同しながら、眉根を少しだけ寄せている。
「何、エリオ?納得できないの?」
イルミネが髪をかきあげながら、少し首を傾げた。イルミネには、エリオが何を気にしているのか、全くわからない。
「うーん、なんかちょっと気になるかな」
「なんで、想像以上ではあったけど、ベルティナのこと知ってるから、俺は、なんとなく納得できちゃったけど」
「僕も、彼らは嘘はついていないと思うよ。きっとベルティナは、幼い頃から、そういう娘なんだとも思う」
エリオは両手を前で組んで、そこは納得していると、頷く。
「なら、何?」
「うーーん、わからない」
エリオは、首を数回振って、難しい顔をした。
〰️ 〰️ 〰️
翌早朝に遠乗りに出掛けた5人は、夕方少し前には、別荘に着いた。
別荘の使用人たちは、大歓迎してくれた。セリナージェとベルティナも久しぶりだったのだ。
さらに翌日、早速湖に出掛けた。
メイドたちが、木に幕をかけて、着替える場所を作ってくれる。
「レムたちが先にどうぞ」
ベルティナに譲られて、3人が、中に入り着替えをする。着替えが終わり、クレメンティが先頭で幕の外に出た。が、出てすぐにクレメンティが止まってしまい、動かなくなった。
「レム!邪魔だよ。動けってばっ!」
エリオがクレメンティを押せば、前が開けた。
そこには、女神のように立つ女性が二人いた。
エリオも動けなくなった。エリオの脇から顔を出して、イルミネが見た。
「あっれぇ?二人とも、いつ着替えたんだよ?」
「ふふふ、びっくりさせようと思ったのよ」
セリナージェがかわいい舌をペロッと出した。
「実は、別荘から下に着てきたの。びっくりした?」
ベルティナも珍しく、いたずらっ子の顔をしていた。そんなベルティナも眩しい。
「こいつらを見てよ。びっくりしすぎて動けなくなっちゃったよ」
「ふふ、ベルティナ、作戦成功ね!」
「そうね、アハハ」
ベルティナとセリナージェは、片手を『パチン』とハイタッチした。
「こいつら放っておいて、行こう!」
イルミネが、二人の手を掴んで湖へと向かった。そのまま、水に入る。
「気持ちいいわねぇ!」
「ええ、とっても気持ちいいわ!」
イルミネが二人の手を離さないまま、3人ではしゃいでいると、我に返った2人が、走ってきた。
「イル!それは許せないぞ!」
「レム、イルを捕まえるんだっ!」
3人は追いかけっこを、始めて随分と遠くまで泳いでいってしまった。セリナージェとベルティナは、足を水につけたまま、岸に座り、メイドから日傘を受け取り、クルクル回しながら、3人の様子を見ていた。
戻り途中で2人の様子に気がついたイルミネが、手を振ってきた。セリナージェもベルティナも手を振る。それを見たクレメンティが、ブクブクと沈んでいき、エリオがクレメンティを助けて、イルミネが笑っていた。
復活したクレメンティは、イルミネを沈める。エリオはクレメンティを手伝っていた。
その様子を見ていたベルティナは、少しだけ気が遠くなった。
だが、3人が岸まで戻ってきた水音で我に返った。
「喉乾いちゃった。メイドさんにもらってこようっと!」
イルミネがとっとと、岸をあがってしまった。クレメンティがセリナージェに手を伸ばす。セリナージェは、日傘を持ったまま、クレメンティの手を取り、二人で膝上ほどのところまで入って行った。エリオはベルティナの隣に座った。
「3人とも泳ぎが上手なのね」
「ああ、子供の頃から泳いでいるからね。ベルティナは泳げないの?」
「試したことがないの。顔を水につけることが怖くて。セリナは、少しだけ泳げるって言っていたわ」
ベルティナは、足を水にバタバタさせていて、ベルティナもエリオもなんとなく、それを見ている。
「そうなんだ。ピッツォーネ王国の王都は湖の側なんだよ。王城は湖を背にしているんだ」
「まあ!ロマンチックなのね」
ベルティナは、目をキラキラさせてエリオを見た。
「ハハハ、そうだね。朝日の時間はとても美しいよ」
「エリオは、朝日の時間に王城と湖を見たことがあるのね。きっと雄大なのでしょうね」
「え!あ、うん。湖から見たら雄大だよ。夕日もキレイなんだよ。湖も真っ紅に染まるんだ」
少しだけエリオは慌てていたが、ベルティナは気が付かない。
「ステキねぇ」
「あ、あのね、ベルティナ」
「うん?」
「今日のベルティナもとっても、その、ステキだよ。似合ってる。うん、かわいい」
「う、うん。ありがとう」
ベルティナも水着を褒められるのは照れてしまう。
「そろそろお体を冷やしすぎてしまいます。一度お上がりになってくださいませ」
「わかった」
メイドに声をかけられて、エリオが、すっと立って、ベルティナに手を伸ばす。ベルティナは、頬を染めたまま、その手をとった。ベルティナが立ち上がっても、エリオはその手を離すことはなく、二人は手をつないだまま、メイドの用意してくれたシートまで戻った。
〰️
昼食に合わせて、屋敷から温かいスープとサンドイッチが届いた。少し冷えた体に、染み渡る。
「私も少し泳いでみようかしら?」
「セリナが泳げていたのって、いくつの時なの?本当に大丈夫?」
ベルティナはとても不安で、セリナージェの腕に手を置いて、セリナージェの目をジッと見た。
「7歳よ。お兄様に教えていただいたの」
マイペースなセリナージェは、ケロッと答える。ベルティナの心配があまり伝わっていないようだ。
「俺たちがいるから大丈夫だよ。少しだけやってみたら?」
「でも、笑うのは禁止よ」
セリナージェは、1番笑いそうなイルミネを睨んだ。
「セリナを笑ったりするもんかっ!」
セリナージェは、もちろん、クレメンティが笑うなんて、思っていない。
「セリナ、変な前振りやめてよ。俺、もう笑いたくなっちゃったよ」
イルミネは、本当に笑い出した。
「もう!まだ、何もしてないのに!」
セリナージェの頬が、膨れるのを見て、みんなが大笑いした。
「執事長、ベルティナが言うように、執事長の爵位がベルティナより上であることが、理由だと思うかい?」
エリオは少し厳し目の視線を執事長へ向けた。それは『使う側』の者、独特なものであった。
「僭越ながら、意見を述べさせていただいても?」
「ああ、君の本当の意見を聞きたい」
「ベルティナ様がこちらにいらっしゃったのは、11歳の頃でございました。その頃のセリナージェ様は、それはもう大変なワガママぶりでございまして。侯爵家の末のお子様でありますので、わたくしどもも、甘やかしてしまっていたのでございます」
「へぇ、そんな感じしないけど」
イルミネは、肘をテーブルについて執事長の顔をジッと見た。
「ええ、それは、ベルティナ様のおかげでございます。何か大きなことがあったわけではないのです。ですが、日々の1つ1つがセリナージェ様を変えていかれたのです」
「どんなことがあったのかな?」
エリオは幼い頃のベルティナとセリナージェに、とても興味を持った。
メイド長も執事長の隣にたって、説明を始めた。
「ある日、セリナージェ様が、庭のお花を毟ってしまいまして。庭師もいつものことだと、気にしないでおりましたら、ベルティナ様が、庭師からハサミを借りて、それを小さな花束になさりました。セリナージェ様がベルティナ様に何をしているのかとお聞きになると、『庭師が一生懸命に育ててくれたお花なのだから、1日でもキレイにいさせてあげたい』とおっしゃって、花瓶にさして、セリナージェ様の勉強机に飾りました」
メイド長は、ハンカチで、目頭を抑えた。
「好き嫌いの激しかったセリナージェ様でございましたが、ベルティナ様が毎日のように『私たちのために作ってくれたお料理は美味しいわね』とおっしゃりながら召し上がるので、いつの間にか、セリナージェ様の好き嫌いがなくなっておりました」
執事長は昔を思い出して、笑顔になった。セリナージェの好き嫌いには、手を焼いていたのだろう。
「わたくしは、まだ、メイドの一人でございましたが、ベルティナ様は、シーツがいい匂いだと喜び、衣服がキレイだとお礼をおっしゃり、カーテンが変わったと季節を感じてくださり、よく眠れたのだと笑顔を向けてくださるのです」
メイド長も後ろの少し年を重ねたメイドもなぜか涙を流していた。
「わたくしどもは、ベルティナ様をお守りしたいと、みな、思っております。そして、セリナージェ様を甘やかすだけではいけないのだと、教えてくださったのも、ベルティナ様でございます」
執事長が、そう言って、頭を下げた。頭を下げたまま、最後に言葉にした。
「爵位が問題なのではなく、ベルティナ様のお優しさそのものと、存じます」
いつの間にか集まった使用人たちが、泣きながら頷いていた。
〰️
エリオとイルミネは、エリオの使っている客室へ移った。
「いやぁ、ベルティナは、想像以上にいい子だったね」
「ああ、そうだな」
エリオは、口では賛同しながら、眉根を少しだけ寄せている。
「何、エリオ?納得できないの?」
イルミネが髪をかきあげながら、少し首を傾げた。イルミネには、エリオが何を気にしているのか、全くわからない。
「うーん、なんかちょっと気になるかな」
「なんで、想像以上ではあったけど、ベルティナのこと知ってるから、俺は、なんとなく納得できちゃったけど」
「僕も、彼らは嘘はついていないと思うよ。きっとベルティナは、幼い頃から、そういう娘なんだとも思う」
エリオは両手を前で組んで、そこは納得していると、頷く。
「なら、何?」
「うーーん、わからない」
エリオは、首を数回振って、難しい顔をした。
〰️ 〰️ 〰️
翌早朝に遠乗りに出掛けた5人は、夕方少し前には、別荘に着いた。
別荘の使用人たちは、大歓迎してくれた。セリナージェとベルティナも久しぶりだったのだ。
さらに翌日、早速湖に出掛けた。
メイドたちが、木に幕をかけて、着替える場所を作ってくれる。
「レムたちが先にどうぞ」
ベルティナに譲られて、3人が、中に入り着替えをする。着替えが終わり、クレメンティが先頭で幕の外に出た。が、出てすぐにクレメンティが止まってしまい、動かなくなった。
「レム!邪魔だよ。動けってばっ!」
エリオがクレメンティを押せば、前が開けた。
そこには、女神のように立つ女性が二人いた。
エリオも動けなくなった。エリオの脇から顔を出して、イルミネが見た。
「あっれぇ?二人とも、いつ着替えたんだよ?」
「ふふふ、びっくりさせようと思ったのよ」
セリナージェがかわいい舌をペロッと出した。
「実は、別荘から下に着てきたの。びっくりした?」
ベルティナも珍しく、いたずらっ子の顔をしていた。そんなベルティナも眩しい。
「こいつらを見てよ。びっくりしすぎて動けなくなっちゃったよ」
「ふふ、ベルティナ、作戦成功ね!」
「そうね、アハハ」
ベルティナとセリナージェは、片手を『パチン』とハイタッチした。
「こいつら放っておいて、行こう!」
イルミネが、二人の手を掴んで湖へと向かった。そのまま、水に入る。
「気持ちいいわねぇ!」
「ええ、とっても気持ちいいわ!」
イルミネが二人の手を離さないまま、3人ではしゃいでいると、我に返った2人が、走ってきた。
「イル!それは許せないぞ!」
「レム、イルを捕まえるんだっ!」
3人は追いかけっこを、始めて随分と遠くまで泳いでいってしまった。セリナージェとベルティナは、足を水につけたまま、岸に座り、メイドから日傘を受け取り、クルクル回しながら、3人の様子を見ていた。
戻り途中で2人の様子に気がついたイルミネが、手を振ってきた。セリナージェもベルティナも手を振る。それを見たクレメンティが、ブクブクと沈んでいき、エリオがクレメンティを助けて、イルミネが笑っていた。
復活したクレメンティは、イルミネを沈める。エリオはクレメンティを手伝っていた。
その様子を見ていたベルティナは、少しだけ気が遠くなった。
だが、3人が岸まで戻ってきた水音で我に返った。
「喉乾いちゃった。メイドさんにもらってこようっと!」
イルミネがとっとと、岸をあがってしまった。クレメンティがセリナージェに手を伸ばす。セリナージェは、日傘を持ったまま、クレメンティの手を取り、二人で膝上ほどのところまで入って行った。エリオはベルティナの隣に座った。
「3人とも泳ぎが上手なのね」
「ああ、子供の頃から泳いでいるからね。ベルティナは泳げないの?」
「試したことがないの。顔を水につけることが怖くて。セリナは、少しだけ泳げるって言っていたわ」
ベルティナは、足を水にバタバタさせていて、ベルティナもエリオもなんとなく、それを見ている。
「そうなんだ。ピッツォーネ王国の王都は湖の側なんだよ。王城は湖を背にしているんだ」
「まあ!ロマンチックなのね」
ベルティナは、目をキラキラさせてエリオを見た。
「ハハハ、そうだね。朝日の時間はとても美しいよ」
「エリオは、朝日の時間に王城と湖を見たことがあるのね。きっと雄大なのでしょうね」
「え!あ、うん。湖から見たら雄大だよ。夕日もキレイなんだよ。湖も真っ紅に染まるんだ」
少しだけエリオは慌てていたが、ベルティナは気が付かない。
「ステキねぇ」
「あ、あのね、ベルティナ」
「うん?」
「今日のベルティナもとっても、その、ステキだよ。似合ってる。うん、かわいい」
「う、うん。ありがとう」
ベルティナも水着を褒められるのは照れてしまう。
「そろそろお体を冷やしすぎてしまいます。一度お上がりになってくださいませ」
「わかった」
メイドに声をかけられて、エリオが、すっと立って、ベルティナに手を伸ばす。ベルティナは、頬を染めたまま、その手をとった。ベルティナが立ち上がっても、エリオはその手を離すことはなく、二人は手をつないだまま、メイドの用意してくれたシートまで戻った。
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昼食に合わせて、屋敷から温かいスープとサンドイッチが届いた。少し冷えた体に、染み渡る。
「私も少し泳いでみようかしら?」
「セリナが泳げていたのって、いくつの時なの?本当に大丈夫?」
ベルティナはとても不安で、セリナージェの腕に手を置いて、セリナージェの目をジッと見た。
「7歳よ。お兄様に教えていただいたの」
マイペースなセリナージェは、ケロッと答える。ベルティナの心配があまり伝わっていないようだ。
「俺たちがいるから大丈夫だよ。少しだけやってみたら?」
「でも、笑うのは禁止よ」
セリナージェは、1番笑いそうなイルミネを睨んだ。
「セリナを笑ったりするもんかっ!」
セリナージェは、もちろん、クレメンティが笑うなんて、思っていない。
「セリナ、変な前振りやめてよ。俺、もう笑いたくなっちゃったよ」
イルミネは、本当に笑い出した。
「もう!まだ、何もしてないのに!」
セリナージェの頬が、膨れるのを見て、みんなが大笑いした。
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