58 / 61
58 焼印
しおりを挟む
四日目にやっと国境の門には昼過ぎに着いた。門にいた衛兵に馬車を降ろされて門の奥にある部屋に連れて行かれる。
「腕を出せ!」
私は飛び跳ねるほどびっくりしたけどお母さんは直ぐに言う事を聞いて袖を肩までまくり上げる。そういえば今朝はお母さんにこのワンピースを着ろと言われたものを着たのだった。それは袖を肩までまくりあげられるワンピースだった。
お母さんの腕を一人の衛兵が抑える。もう一人の衛兵が火鉢から棒を取り出すとその先の方は赤々として親指ほどの太さがある。それをお母さんの腕に押し付けた。
『ジュッ』
嫌な音がして獣が焼けるようなにおいがしてお母さんの顔が歪む。
「いやぁーー!!」
私は扉に向かって逃げ出した。でもすぐに捕まってその衛兵の腕の中で私は暴れた。もう一人の衛兵が来て私を抑える。さっきお母さんにしたことを私にするつもりだとわかった。
けれど、こんなに私に悪いことをしようとする人たちがなのに何も頭に浮んでこない。
それもあって私は余計にパニックになった。
『バチン!』
頬に痛みが走り私は動きを止めた。
「ダリアナ! 私たちは生きるのよっ!」
私を叩いたのはお母さんだった。初めてお母さんに叩かれたショックと理解したくない状況に座りこんでいるとお母さんが私の袖をまくりあげた。
そして、ものすごい痛みがうでを襲った。
「きゃーーー!!! 痛い! 痛い! 痛い!」
衛兵に変な薬を無理やり飲まされた。
「痛み止めの薬だ。本当はこんなことしたらダメなんだけどな。罪人とはいえ嬢ちゃんはまだ小さい。すぐに眠るだろう」
衛兵に担ぎあげられて馬車に乗せられる頃には私は寝ていた。
私は起きているのか寝ているのかわからない中でプカプカと浮かんでいる。
黒目黒髪の女性がお腹を抱えて笑いながら一人で喋っている。
私にはその意味のわからない話を聞いていることしかできなかった。
「あ~あ。ダリアナが幸せになるために大切なことはちゃあんと見せてあげたのに」
『この人を見るのは初めてじゃない。どうして忘れていたんだろう?』
「私、クラリッサの事が大嫌いだったからあんたを作ってあげたのよ。活躍してくれなきゃクラリッサが幸せになっちゃうじゃない。ホントに役立たずね」
私の目からぽろりと涙が落ちた。
〰️ 〰️ 〰️
私は日本という国で極極普通の社会人をしていた。たぶん死んだんだろうけど死んだ理由なんて覚えていない。覚えているのはこの世界に関することだけ。
生きていた時の私はネット小説が好きで読み漁っていたけど大好物はど不幸エンドものだ。
そんな中、人気になった小説を友人に薦められて読んでみるとハッピーエンドのゲロものだったの。
その小説は人気になりすぎたのか隠れ二次創作が作られ無差別的にアップされていた。これはいいと思い私はクラリッサがど不幸になる二次創作小説を書いてアップした。
私が作ったダークヒロインがダリアナだ。
美人で無知で傲慢で自信家。まさにダークヒロインの鑑のような女の子。
クラリッサみたいに大人しくていい子ちゃんで真面目で皆に愛されるなんてゲロ気持ち悪いわ。
そんなダリアナに憑依できたと思ったのに私にはダリアナを動かすことができないとわかった時にはつまんないと思ったわよ。
でもポイントを絞って映像をダリアナに送ることができた時にはあまりの面白さに興奮したわ。
ダリアナを操ってクラリッサをど不幸にするためにいろいろ考えたのよ。
でもなぜかボブバージルに活躍されて上手くいかなかった。
クラリッサは本当に人気で私の小説にもたくさんの悪口感想が書かれて私はその度にほくそ笑んでいたんだけど、誰かが私の二次創作の二次創作を書いていて私はそっちの世界へ飛ばされたのかもしれない。ホントにムカつく。
でも、罪人の刻印なんて貴重なもの見れたしいいか。
エイダを銭ゲバお化けに設定したのは私なんだからその辺は感謝してほしいわよね。
バリーは本物のクズだからあんたらを追いかけてなんてこないわよ。きっともう新しいパトロン探しをしているでしょうね。モテモテ設定にしてあるからしょうがないのよね。
なぁんて。ダリアナには目を覚ましたら私のことは忘れてもらうけど。
隣国へ行ったら私の力ってどうなるのかな?
うふふ。楽しみだぁ!!
「腕を出せ!」
私は飛び跳ねるほどびっくりしたけどお母さんは直ぐに言う事を聞いて袖を肩までまくり上げる。そういえば今朝はお母さんにこのワンピースを着ろと言われたものを着たのだった。それは袖を肩までまくりあげられるワンピースだった。
お母さんの腕を一人の衛兵が抑える。もう一人の衛兵が火鉢から棒を取り出すとその先の方は赤々として親指ほどの太さがある。それをお母さんの腕に押し付けた。
『ジュッ』
嫌な音がして獣が焼けるようなにおいがしてお母さんの顔が歪む。
「いやぁーー!!」
私は扉に向かって逃げ出した。でもすぐに捕まってその衛兵の腕の中で私は暴れた。もう一人の衛兵が来て私を抑える。さっきお母さんにしたことを私にするつもりだとわかった。
けれど、こんなに私に悪いことをしようとする人たちがなのに何も頭に浮んでこない。
それもあって私は余計にパニックになった。
『バチン!』
頬に痛みが走り私は動きを止めた。
「ダリアナ! 私たちは生きるのよっ!」
私を叩いたのはお母さんだった。初めてお母さんに叩かれたショックと理解したくない状況に座りこんでいるとお母さんが私の袖をまくりあげた。
そして、ものすごい痛みがうでを襲った。
「きゃーーー!!! 痛い! 痛い! 痛い!」
衛兵に変な薬を無理やり飲まされた。
「痛み止めの薬だ。本当はこんなことしたらダメなんだけどな。罪人とはいえ嬢ちゃんはまだ小さい。すぐに眠るだろう」
衛兵に担ぎあげられて馬車に乗せられる頃には私は寝ていた。
私は起きているのか寝ているのかわからない中でプカプカと浮かんでいる。
黒目黒髪の女性がお腹を抱えて笑いながら一人で喋っている。
私にはその意味のわからない話を聞いていることしかできなかった。
「あ~あ。ダリアナが幸せになるために大切なことはちゃあんと見せてあげたのに」
『この人を見るのは初めてじゃない。どうして忘れていたんだろう?』
「私、クラリッサの事が大嫌いだったからあんたを作ってあげたのよ。活躍してくれなきゃクラリッサが幸せになっちゃうじゃない。ホントに役立たずね」
私の目からぽろりと涙が落ちた。
〰️ 〰️ 〰️
私は日本という国で極極普通の社会人をしていた。たぶん死んだんだろうけど死んだ理由なんて覚えていない。覚えているのはこの世界に関することだけ。
生きていた時の私はネット小説が好きで読み漁っていたけど大好物はど不幸エンドものだ。
そんな中、人気になった小説を友人に薦められて読んでみるとハッピーエンドのゲロものだったの。
その小説は人気になりすぎたのか隠れ二次創作が作られ無差別的にアップされていた。これはいいと思い私はクラリッサがど不幸になる二次創作小説を書いてアップした。
私が作ったダークヒロインがダリアナだ。
美人で無知で傲慢で自信家。まさにダークヒロインの鑑のような女の子。
クラリッサみたいに大人しくていい子ちゃんで真面目で皆に愛されるなんてゲロ気持ち悪いわ。
そんなダリアナに憑依できたと思ったのに私にはダリアナを動かすことができないとわかった時にはつまんないと思ったわよ。
でもポイントを絞って映像をダリアナに送ることができた時にはあまりの面白さに興奮したわ。
ダリアナを操ってクラリッサをど不幸にするためにいろいろ考えたのよ。
でもなぜかボブバージルに活躍されて上手くいかなかった。
クラリッサは本当に人気で私の小説にもたくさんの悪口感想が書かれて私はその度にほくそ笑んでいたんだけど、誰かが私の二次創作の二次創作を書いていて私はそっちの世界へ飛ばされたのかもしれない。ホントにムカつく。
でも、罪人の刻印なんて貴重なもの見れたしいいか。
エイダを銭ゲバお化けに設定したのは私なんだからその辺は感謝してほしいわよね。
バリーは本物のクズだからあんたらを追いかけてなんてこないわよ。きっともう新しいパトロン探しをしているでしょうね。モテモテ設定にしてあるからしょうがないのよね。
なぁんて。ダリアナには目を覚ましたら私のことは忘れてもらうけど。
隣国へ行ったら私の力ってどうなるのかな?
うふふ。楽しみだぁ!!
5
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。

私は婚約破棄を回避するため王家直属「マルサ」を作って王国財政を握ることにしました
中七七三
ファンタジー
王立貴族学校卒業の年の夏――
私は自分が転生者であることに気づいた、というか思い出した。
王子と婚約している公爵令嬢であり、ご他聞に漏れず「悪役令嬢」というやつだった
このまま行くと卒業パーティで婚約破棄され破滅する。
私はそれを回避するため、王国の財政を握ることにした。

「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。
ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。
しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。
こんな謎運命、回避するしかない!
「そうだ、結婚しよう」
断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる