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54 エイダの離婚
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私は頭を掻きむしってイライラを伝えた。
「もう! 話ができる人を呼んでよ」
「フンッ! お前とまともな話ができるやつがいるとは思えないな」
鼻で笑った護衛さんは立ち上がって扉の外にいた人を呼ぶ。
「連れていけ」
外にいた人が私の肘を掴んで引っ張ると私の頭に変な部屋に連れていかれることが浮かんだ。
「変な部屋に閉じ込めるつもりねっ! 今、この人から浮かんできたんだからっ!」
「そんなことはこの状況を見ればわかるだろうが。
あ、それからな。アレクシス様も王子殿下もすこぶるお元気だ。ボブバージル様がお前に会いにくることは絶対にない」
私がびっくりして護衛さんの顔を見ると護衛さんは本物の笑顔になっていた。私を馬鹿にしたような本物の笑顔。
「それともう一つ。俺たちは護衛じゃない。王宮近衛騎士団だ。それが読めていれば少しは信じたがな」
その護衛さんはニヤリと今度は嫌味の笑顔をしている。
「死んでない? 兄も? 王子も? それってどういうことよっ! ねぇ! ちょっとっ!」
私は暴れてみたけど護衛さんの力には勝てなかった。
私の質問は無視されたまま引きずられて部屋に閉じ込められた。昨日泊まった宿屋程度の部屋だった。
夕食はパンと水。朝食もパンと水。昼食もパンと水。
そうやってその部屋に二日泊まった。そしてある朝外に出された。三日も着替えていない。気持ち悪い。
〰 〰 〰
やっと離縁の決断をしたらしいマクナイト伯爵様からの使者が来たのは子爵家に戻って一月後だ。のんびりしてて呆れてしまう。
王都への道すがら騎士たちと泊まった宿は本当に小さくて汚かった。
「マクナイト伯爵様はまだ離縁もしてないのにこんなにケチなの?」
「我々は指示に従っているだけです」
何を聞いても無表情でこの返事では埒があかない。
やっと到着した王都ではマクナイト伯爵邸ではなくお城へ連れて来られた。
「ちょっとっ! これはどういうこと?」
今まで一緒だった騎士ではなく中から出来てきた近衛兵が答えた。
「マクナイト伯爵様は中でお待ちです」
どう見ても取り調べの部屋というところにマクナイト伯爵様はいて手前の椅子に座ってる。近衛兵に奥にある伯爵様の向かい側の椅子に座らされた。
「こんな……。王城などに頼まなくても離縁でしたらして差し上げますのに」
「そうか。それはありがたいな。その心づもりなら離縁ではなく婚姻無効となるがそれは些末なことだな。では、ここにサインしてくれ」
「無効ですって? まさか別居したときのお金や結納金を返せってことじゃないでしょうね?」
「その話し方が本来の君か。私も視野が狭かったものだ。
今ここで婚姻無効の書類にサインすればそれらの請求はしないでおこう。私の判断ミスであることは確かだからな」
無表情なマクナイト伯爵様の態度と返金はいらないという言葉に私はすぐサインをした。
「これで君たちと私たちは無関係だ。今後、君たちを支援することはない」
立ち上がって私を見下す目は私を完全に拒絶していた。この美しい私を……。本当にバカな男だわ。お金はもらってあるから関係ない。
「わかっています」
マクナイト伯爵様は部屋から出ていった。
私も立ち上がろうとする。だが、後ろにいた近衛兵に肩を押さえつけられて再び椅子に座らされた。
「なに?」
眉を上げて睨みつけてやったがたじろぐことない近衛兵の態度にさらに怒りが増す。
「あんたはこっからが本番だよ」
たじろぎも躊躇もしないくせに口角を片方だけあげた近衛兵が私の前の椅子に座った。
「何の話なの?」
『のんびりしたご婦人だと思われるのは癪だわ』
こちらもさらに目を細めて睨み返す。
「お前たちはなぜアレクシス・ギャレット小公爵様が襲われることを知っていたのだ?」
「ギャレット小公爵? ボブバージルの兄のこと?」
こちらは気合入れて構えていたのに素っ頓狂な質問に片眉をあげる。
「そうだ」
どうやら真面目な質問らしい。なら、こちらも慎重に答えなければならない。
「ダリアナが夢で見たって言っていたからよ」
『触ったらわかる』なんて通用するわけない。
「は? そんな子供の戯言を信じたって言うのか?」
「当たり前でしょ! 我が子なのよ!」
「王子殿下のことも夢の話だってか?」
「そうよっ!」
この後には全部をダリアナの夢で通したのだが実際そのようなものなのだから丸っきり嘘というわけではない。
「もういい。立て」
近衛兵の命令に従うが腕を掴まれそうになったのを手で払う。
「ねえ。私たちがどんな罪でこんな扱いを受けているのかは知らないけど一ヶ月前の幼女誘拐事件みたいにお金を積めば無罪になるの?」
嘲笑うように口をひしゃげて聞いてやると近衛兵はあからさまに動揺した。
「もう! 話ができる人を呼んでよ」
「フンッ! お前とまともな話ができるやつがいるとは思えないな」
鼻で笑った護衛さんは立ち上がって扉の外にいた人を呼ぶ。
「連れていけ」
外にいた人が私の肘を掴んで引っ張ると私の頭に変な部屋に連れていかれることが浮かんだ。
「変な部屋に閉じ込めるつもりねっ! 今、この人から浮かんできたんだからっ!」
「そんなことはこの状況を見ればわかるだろうが。
あ、それからな。アレクシス様も王子殿下もすこぶるお元気だ。ボブバージル様がお前に会いにくることは絶対にない」
私がびっくりして護衛さんの顔を見ると護衛さんは本物の笑顔になっていた。私を馬鹿にしたような本物の笑顔。
「それともう一つ。俺たちは護衛じゃない。王宮近衛騎士団だ。それが読めていれば少しは信じたがな」
その護衛さんはニヤリと今度は嫌味の笑顔をしている。
「死んでない? 兄も? 王子も? それってどういうことよっ! ねぇ! ちょっとっ!」
私は暴れてみたけど護衛さんの力には勝てなかった。
私の質問は無視されたまま引きずられて部屋に閉じ込められた。昨日泊まった宿屋程度の部屋だった。
夕食はパンと水。朝食もパンと水。昼食もパンと水。
そうやってその部屋に二日泊まった。そしてある朝外に出された。三日も着替えていない。気持ち悪い。
〰 〰 〰
やっと離縁の決断をしたらしいマクナイト伯爵様からの使者が来たのは子爵家に戻って一月後だ。のんびりしてて呆れてしまう。
王都への道すがら騎士たちと泊まった宿は本当に小さくて汚かった。
「マクナイト伯爵様はまだ離縁もしてないのにこんなにケチなの?」
「我々は指示に従っているだけです」
何を聞いても無表情でこの返事では埒があかない。
やっと到着した王都ではマクナイト伯爵邸ではなくお城へ連れて来られた。
「ちょっとっ! これはどういうこと?」
今まで一緒だった騎士ではなく中から出来てきた近衛兵が答えた。
「マクナイト伯爵様は中でお待ちです」
どう見ても取り調べの部屋というところにマクナイト伯爵様はいて手前の椅子に座ってる。近衛兵に奥にある伯爵様の向かい側の椅子に座らされた。
「こんな……。王城などに頼まなくても離縁でしたらして差し上げますのに」
「そうか。それはありがたいな。その心づもりなら離縁ではなく婚姻無効となるがそれは些末なことだな。では、ここにサインしてくれ」
「無効ですって? まさか別居したときのお金や結納金を返せってことじゃないでしょうね?」
「その話し方が本来の君か。私も視野が狭かったものだ。
今ここで婚姻無効の書類にサインすればそれらの請求はしないでおこう。私の判断ミスであることは確かだからな」
無表情なマクナイト伯爵様の態度と返金はいらないという言葉に私はすぐサインをした。
「これで君たちと私たちは無関係だ。今後、君たちを支援することはない」
立ち上がって私を見下す目は私を完全に拒絶していた。この美しい私を……。本当にバカな男だわ。お金はもらってあるから関係ない。
「わかっています」
マクナイト伯爵様は部屋から出ていった。
私も立ち上がろうとする。だが、後ろにいた近衛兵に肩を押さえつけられて再び椅子に座らされた。
「なに?」
眉を上げて睨みつけてやったがたじろぐことない近衛兵の態度にさらに怒りが増す。
「あんたはこっからが本番だよ」
たじろぎも躊躇もしないくせに口角を片方だけあげた近衛兵が私の前の椅子に座った。
「何の話なの?」
『のんびりしたご婦人だと思われるのは癪だわ』
こちらもさらに目を細めて睨み返す。
「お前たちはなぜアレクシス・ギャレット小公爵様が襲われることを知っていたのだ?」
「ギャレット小公爵? ボブバージルの兄のこと?」
こちらは気合入れて構えていたのに素っ頓狂な質問に片眉をあげる。
「そうだ」
どうやら真面目な質問らしい。なら、こちらも慎重に答えなければならない。
「ダリアナが夢で見たって言っていたからよ」
『触ったらわかる』なんて通用するわけない。
「は? そんな子供の戯言を信じたって言うのか?」
「当たり前でしょ! 我が子なのよ!」
「王子殿下のことも夢の話だってか?」
「そうよっ!」
この後には全部をダリアナの夢で通したのだが実際そのようなものなのだから丸っきり嘘というわけではない。
「もういい。立て」
近衛兵の命令に従うが腕を掴まれそうになったのを手で払う。
「ねえ。私たちがどんな罪でこんな扱いを受けているのかは知らないけど一ヶ月前の幼女誘拐事件みたいにお金を積めば無罪になるの?」
嘲笑うように口をひしゃげて聞いてやると近衛兵はあからさまに動揺した。
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