8 / 13
8 謝罪する人
しおりを挟む
フラールは笑顔を真顔に変えて睨みつける。
「そもそも……。順番が違いませんこと?」
「「「ごめんなさいっ!」」」
膝落ちしていた美男子たちはその場で土下座した。さらにはその土下座をしたのはこの学園でも十本の指に入るほどの高位貴族だ。
貴族として土下座を初めて見た生徒たちは水を打ったように静まり返った。
「何に対して謝っていらっしゃるのっ?」
静まりかえっているので、メリナの声が響いた。メリナも真顔に変わっている。
「「「もう、浮気はしませんっ!」」」
美男子三人は床に頭をつけたまま、さらに自分の肘を床に押し付ける。
浮気はしないと言って土下座で頭を下げる美男子たちを美少女たちは目を細めて冷たく見た。
「それは違いますわねぇ」
ダリアーナが冷たく突っ撥ねた。美男子たちは驚きで顔を上げた。
「わたくしどもは、現在、みなさんに恋愛の気持ちは持ち合わせておりません」
「浮気するような男に気持ちは冷めましたわっ」
「ですが、結婚は家同士のもの。つまり、高位貴族として、大切なのは『家』そして領地、領民なのですよぉ」
美男子たちはコクコクと大きく首を縦に振った。
フラールはパチリと扇を閉じる。
「みなさまは、ニーナ様と出会われてから、交遊費や贈り物代、ご自身の服飾代などおいくらほどお使いになったかご存知でいらっしゃいますか?」
美男子たちはフルフルと大きく首を横に振った。
「あのようにお使いになりましたら、いくら公爵家でも二十年で枯渇するほどですわ」
「お使いになった金額には見合うだけの収支が見込まれるべきですが、みなさまの出費にはそれがございませんねっ」
「個人資産を超えた出費は管理能力がないと判断されますわぁ。それは貴族家としてのお使い方ではありませんわねぇ」
まわりの者がドン引きした。美男子たちは項垂れた。
「そのように金銭感覚のご自覚がない者が領主になれば領民が苦しみますわね」
「現在のお金は、みなさまがお稼ぎになったものではありませんのにっ」
「個人資産で足りない分はみなさま名義の借金になっているそうですわぁ」
「王都中のいろいろなお店にみなさまでは『家のツケ』でお買い物ができなくなっておりますから」
「メイドや執事もみなさまのお買い物には今後決して行かないことになっていますっ」
美男子たちは白を通り越して土気色だ。
「「「もう、無駄遣いはしません……。ごめんなさい」」」
三人の頬に涙が流れた。
「『もうできない』ですけどねぇ」
美少女たちはクスクスと笑った。美男子たちは情けない顔で話を聞いている。
項垂れている美男子たちに美少女たちは容赦がない。
「みなさまのお父様から、昨夜、お聞きになっておりませんか?」
「領主にならなければ僻地村の管理人になるそうですっ」
「そうなりますと、たくさんのお金が自由になることはありませんわねぇ」
「領主になられても、ご自由にはなりませんけど」
「ご希望でしたら貴族籍を抜くことも許されておりますっ」
「平民でしたら、もしかしたらお金持ちになることもありますわねぇ」
「私たちは領主になれるのですか?」
マイゼルが泣き顔で尋ねる。『領主になられても、ご自由にはなりませんけど』という言葉に一筋の光を見た。
「ええ。わたくしたちと婚姻をなされば、領主にはなれますわ」
「しかし、爵位をお継ぎになられた時には、王都の屋敷も領地も、すべてわたくしどもの名義になりますよっ」
美男子たちは首を傾げた。
「そもそも……。順番が違いませんこと?」
「「「ごめんなさいっ!」」」
膝落ちしていた美男子たちはその場で土下座した。さらにはその土下座をしたのはこの学園でも十本の指に入るほどの高位貴族だ。
貴族として土下座を初めて見た生徒たちは水を打ったように静まり返った。
「何に対して謝っていらっしゃるのっ?」
静まりかえっているので、メリナの声が響いた。メリナも真顔に変わっている。
「「「もう、浮気はしませんっ!」」」
美男子三人は床に頭をつけたまま、さらに自分の肘を床に押し付ける。
浮気はしないと言って土下座で頭を下げる美男子たちを美少女たちは目を細めて冷たく見た。
「それは違いますわねぇ」
ダリアーナが冷たく突っ撥ねた。美男子たちは驚きで顔を上げた。
「わたくしどもは、現在、みなさんに恋愛の気持ちは持ち合わせておりません」
「浮気するような男に気持ちは冷めましたわっ」
「ですが、結婚は家同士のもの。つまり、高位貴族として、大切なのは『家』そして領地、領民なのですよぉ」
美男子たちはコクコクと大きく首を縦に振った。
フラールはパチリと扇を閉じる。
「みなさまは、ニーナ様と出会われてから、交遊費や贈り物代、ご自身の服飾代などおいくらほどお使いになったかご存知でいらっしゃいますか?」
美男子たちはフルフルと大きく首を横に振った。
「あのようにお使いになりましたら、いくら公爵家でも二十年で枯渇するほどですわ」
「お使いになった金額には見合うだけの収支が見込まれるべきですが、みなさまの出費にはそれがございませんねっ」
「個人資産を超えた出費は管理能力がないと判断されますわぁ。それは貴族家としてのお使い方ではありませんわねぇ」
まわりの者がドン引きした。美男子たちは項垂れた。
「そのように金銭感覚のご自覚がない者が領主になれば領民が苦しみますわね」
「現在のお金は、みなさまがお稼ぎになったものではありませんのにっ」
「個人資産で足りない分はみなさま名義の借金になっているそうですわぁ」
「王都中のいろいろなお店にみなさまでは『家のツケ』でお買い物ができなくなっておりますから」
「メイドや執事もみなさまのお買い物には今後決して行かないことになっていますっ」
美男子たちは白を通り越して土気色だ。
「「「もう、無駄遣いはしません……。ごめんなさい」」」
三人の頬に涙が流れた。
「『もうできない』ですけどねぇ」
美少女たちはクスクスと笑った。美男子たちは情けない顔で話を聞いている。
項垂れている美男子たちに美少女たちは容赦がない。
「みなさまのお父様から、昨夜、お聞きになっておりませんか?」
「領主にならなければ僻地村の管理人になるそうですっ」
「そうなりますと、たくさんのお金が自由になることはありませんわねぇ」
「領主になられても、ご自由にはなりませんけど」
「ご希望でしたら貴族籍を抜くことも許されておりますっ」
「平民でしたら、もしかしたらお金持ちになることもありますわねぇ」
「私たちは領主になれるのですか?」
マイゼルが泣き顔で尋ねる。『領主になられても、ご自由にはなりませんけど』という言葉に一筋の光を見た。
「ええ。わたくしたちと婚姻をなされば、領主にはなれますわ」
「しかし、爵位をお継ぎになられた時には、王都の屋敷も領地も、すべてわたくしどもの名義になりますよっ」
美男子たちは首を傾げた。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
1,682
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる