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第八章 隣国王子の恋愛事情 愛の事情編
4 愛の転 2
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さてさて、もうすぐ婚約から一年です。
私とアリスは、数日前から、タニャード王国へ来ている。兄上の結婚式のためだ。
結婚式には、春の装いということで、今回は堂々とあの若草色のお揃いの装いをする予定だ。ドレスは軽いリメイクをしただけなので、ドレスにあうエメラルドのアクセサリーをワンセット、私の分はカフスボタンを作った。喜んでもらえるといいな。
本当は、装いも新調したかったのだが、アリスが『リメイクすれば大丈夫だ』というので、タニャード王国までの旅用のものだけ作った。アリスはしっかり者で、無駄遣いをしないお嫁さんになりそうだ。あ、私のお嫁さんになるのだ!幸せだあ!
足首の見える簡素ドレスにブーツ姿のアリスも、乗馬着のアリスもとても可愛らしかった。
そう、アリスは乗馬もできた。旅の途中で気分を変えようと、何度か馬車を降りて馬で移動した。何せ、2週間もかかる馬車の旅だ、楽しむことは大事だ。
その際、私たちの代わりに馬車に乗る護衛騎士を決めるのに、随分時間がかかった。後程、アリス付きのメイドに聞いたら、馬ならアリスに話しかけてもらえるかもしれないと、馬車に乗りたがらなかったそうだ。いやあ、そこは休める馬車を選びなさい!騎士団団長に即報告してやった。
なぜ、騎士団団長に即報告ができるのかというと、兄上の結婚式に参列してくださるガーリウム王国国王夫妻も、タニャード王国までご一緒だったからだ。時々、王妃殿下にアリスを取られて、国王陛下との馬車の旅という恐ろしいこともあったが、概ね楽しい旅程であった。
ということもありながら、無事に着いたタニャード王国の王宮で、アリスは大歓迎を受け、毎日誰かと茶会をしている。
〰️ 〰️ 〰️
兄上の結婚式は大変豪華で、とても盛り上がった。僕より年上の兄上と、アリスより年下の王太子妃。兄上のあんなデレデレした顔を拝むことになるとは、思わなかった。
私とアリスは、結婚式にはお揃いの若草色の装いにした。
夜会では、アリスのドレスを母上が用意してくれた。胸元は白く、裾へ向かって橙色になるグラデーションのドレスで、腰から後ろに向けてこれでもかとドレープされていた。暁の乙女に私は酔いしれた。私はベージュのタキシードに橙色のベスト。
王太子妃のドレスは、白から青へのグラデーションで、腰全体にドレープの可愛らしいものだ。兄上は、青のタキシードだ。
ホールより少し高くなっている国王席に、父母である国王夫妻を真ん中に、右手に兄上王太子夫妻、左手に、私たちが並び立ち、来賓のみなさんに父上が挨拶した。その際、アリスを婚約者として紹介していただき、これでやっと、一歩進めた。
私とアリスももちろん踊ったし、父上たちとパートナーチェンジもした。本当は兄上とアリスを踊らせたくなかったけど、私はここで嫌がるような子供ではないので、兄上夫妻ともパートナーチェンジをして踊った。母上には、「今はわたくしがパートナーなのに。薄情な息子ねっ。」とつねられた。母上、子離れしてくださいね。
王太子妃殿下とは歳がひとつしか違わないアリスは、王太子妃殿下と気が合ったようで、タニャード王国へ嫁ぐことの心配事が、またひとつなくなった。
式が終われば、急いでガーリウム王国へ向けて出発だ。(ちょっと悔しいが)ヨアンたちの結婚式があるのだ。
ガーリウム国王夫妻は、西国を経由してから帰るそうで、ここからは別行動だ。
〰️ 〰️ 〰️
ヨアンたちは、結婚式を王都の神殿で行い、レンバーグ公爵邸の庭で、盛大なパーティーが行われた。アリスは、兄上たちの夜会で着たドレスをまたリメイクして来ていた。何でも、このグラデーションの布をタニャード王国の母上が流行らそうとしているのだとか。
アリスは、ご令嬢ご婦人たちにも、質問攻めであったが、イメルダリア嬢の装いの手伝いに来ていた仕立て屋のマダムに早速捕まり、後日、マダムとお茶会の約束をしていた。女性の美しさへの情熱は……怖い。
私は、アリスとお揃いということで、夜会の時のタキシードだが、誰にも服についての質問はされなかったよ。
〰️ 〰️ 〰️
ヨアンは、結婚式から一月で、王城へ仕えることとなった。宰相補佐官、私の後輩だ。なんでも、シャーワント宰相殿に有無を言わせずそうさせられたとか。そういえば、ここ2年ほど、学園の長期休みのたびに、来ていたな。一般文官の方だったから、あまり気にしなかった。本人は、高官になるのならどこでもよかったらしい。
イメルダリア嬢の弟ロン君は、医務局で高官をしている。父親のユラベル侯爵は、建設大臣である。
伯爵以上の高位貴族の令息は、王城に仕えるときには、高官であることがほとんどだ。父親の背をみて父親と同じ部局に仕える者は多い。特に魔法や武術など、才能や体格がものをいう部局では、そういう傾向が強い。
ヨアンやロン君のように、『国に仕えるのなら、どこでも構わない』という考えが上位貴族にはあるので、父親と違う部局でも不思議はない。
ちなみに、高位貴族令息は、次男三男であっても、高官として仕え始めらるのだが、上司からの叱責多量や生活態度の緩慢や犯罪などの問題行動によっては、一般文官に落とされる。どころか、王城仕えも外される。一般文官より、簡単に陥落させられるので、傲慢さや余裕の持ちすぎは命取りだ。最初から高官になれるだけの義務があることを忘れてはならない。
閑話休題。
私とアリスは、数日前から、タニャード王国へ来ている。兄上の結婚式のためだ。
結婚式には、春の装いということで、今回は堂々とあの若草色のお揃いの装いをする予定だ。ドレスは軽いリメイクをしただけなので、ドレスにあうエメラルドのアクセサリーをワンセット、私の分はカフスボタンを作った。喜んでもらえるといいな。
本当は、装いも新調したかったのだが、アリスが『リメイクすれば大丈夫だ』というので、タニャード王国までの旅用のものだけ作った。アリスはしっかり者で、無駄遣いをしないお嫁さんになりそうだ。あ、私のお嫁さんになるのだ!幸せだあ!
足首の見える簡素ドレスにブーツ姿のアリスも、乗馬着のアリスもとても可愛らしかった。
そう、アリスは乗馬もできた。旅の途中で気分を変えようと、何度か馬車を降りて馬で移動した。何せ、2週間もかかる馬車の旅だ、楽しむことは大事だ。
その際、私たちの代わりに馬車に乗る護衛騎士を決めるのに、随分時間がかかった。後程、アリス付きのメイドに聞いたら、馬ならアリスに話しかけてもらえるかもしれないと、馬車に乗りたがらなかったそうだ。いやあ、そこは休める馬車を選びなさい!騎士団団長に即報告してやった。
なぜ、騎士団団長に即報告ができるのかというと、兄上の結婚式に参列してくださるガーリウム王国国王夫妻も、タニャード王国までご一緒だったからだ。時々、王妃殿下にアリスを取られて、国王陛下との馬車の旅という恐ろしいこともあったが、概ね楽しい旅程であった。
ということもありながら、無事に着いたタニャード王国の王宮で、アリスは大歓迎を受け、毎日誰かと茶会をしている。
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兄上の結婚式は大変豪華で、とても盛り上がった。僕より年上の兄上と、アリスより年下の王太子妃。兄上のあんなデレデレした顔を拝むことになるとは、思わなかった。
私とアリスは、結婚式にはお揃いの若草色の装いにした。
夜会では、アリスのドレスを母上が用意してくれた。胸元は白く、裾へ向かって橙色になるグラデーションのドレスで、腰から後ろに向けてこれでもかとドレープされていた。暁の乙女に私は酔いしれた。私はベージュのタキシードに橙色のベスト。
王太子妃のドレスは、白から青へのグラデーションで、腰全体にドレープの可愛らしいものだ。兄上は、青のタキシードだ。
ホールより少し高くなっている国王席に、父母である国王夫妻を真ん中に、右手に兄上王太子夫妻、左手に、私たちが並び立ち、来賓のみなさんに父上が挨拶した。その際、アリスを婚約者として紹介していただき、これでやっと、一歩進めた。
私とアリスももちろん踊ったし、父上たちとパートナーチェンジもした。本当は兄上とアリスを踊らせたくなかったけど、私はここで嫌がるような子供ではないので、兄上夫妻ともパートナーチェンジをして踊った。母上には、「今はわたくしがパートナーなのに。薄情な息子ねっ。」とつねられた。母上、子離れしてくださいね。
王太子妃殿下とは歳がひとつしか違わないアリスは、王太子妃殿下と気が合ったようで、タニャード王国へ嫁ぐことの心配事が、またひとつなくなった。
式が終われば、急いでガーリウム王国へ向けて出発だ。(ちょっと悔しいが)ヨアンたちの結婚式があるのだ。
ガーリウム国王夫妻は、西国を経由してから帰るそうで、ここからは別行動だ。
〰️ 〰️ 〰️
ヨアンたちは、結婚式を王都の神殿で行い、レンバーグ公爵邸の庭で、盛大なパーティーが行われた。アリスは、兄上たちの夜会で着たドレスをまたリメイクして来ていた。何でも、このグラデーションの布をタニャード王国の母上が流行らそうとしているのだとか。
アリスは、ご令嬢ご婦人たちにも、質問攻めであったが、イメルダリア嬢の装いの手伝いに来ていた仕立て屋のマダムに早速捕まり、後日、マダムとお茶会の約束をしていた。女性の美しさへの情熱は……怖い。
私は、アリスとお揃いということで、夜会の時のタキシードだが、誰にも服についての質問はされなかったよ。
〰️ 〰️ 〰️
ヨアンは、結婚式から一月で、王城へ仕えることとなった。宰相補佐官、私の後輩だ。なんでも、シャーワント宰相殿に有無を言わせずそうさせられたとか。そういえば、ここ2年ほど、学園の長期休みのたびに、来ていたな。一般文官の方だったから、あまり気にしなかった。本人は、高官になるのならどこでもよかったらしい。
イメルダリア嬢の弟ロン君は、医務局で高官をしている。父親のユラベル侯爵は、建設大臣である。
伯爵以上の高位貴族の令息は、王城に仕えるときには、高官であることがほとんどだ。父親の背をみて父親と同じ部局に仕える者は多い。特に魔法や武術など、才能や体格がものをいう部局では、そういう傾向が強い。
ヨアンやロン君のように、『国に仕えるのなら、どこでも構わない』という考えが上位貴族にはあるので、父親と違う部局でも不思議はない。
ちなみに、高位貴族令息は、次男三男であっても、高官として仕え始めらるのだが、上司からの叱責多量や生活態度の緩慢や犯罪などの問題行動によっては、一般文官に落とされる。どころか、王城仕えも外される。一般文官より、簡単に陥落させられるので、傲慢さや余裕の持ちすぎは命取りだ。最初から高官になれるだけの義務があることを忘れてはならない。
閑話休題。
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