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第五章 公爵令息の作戦 遂行編
作戦22 作戦結果
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5人で学園の食堂へ行き、夕食を済ませた後、談話室にイメルダリアさんを誘った。
談話室は、男女共有で、ソファーセットが数組と喫茶テーブル数組、遊戯テーブルが数組あり、遊戯テーブルでは、カードゲームやボードゲームで遊ぶことができる。
窓際には、等間隔に窓に向かって座るように、2掛けソファーが数個置いてある。カップルに、『二人の世界になれる』と人気の場所だ。ただし、本当に二人きりになるわけではないので、限度を越えたふれ合いは禁止だ。つまり、口づけ禁止、ね。学園のメイドが、談話室の消灯時間までいるので、本当にできないよ。
僕はイメルダリアさんを喫茶テーブルにエスコートした。1メートル四方の小さなテーブルに4脚の椅子がある。イメルダリアさんの角を挟んで隣に 座る。すでに談話室にいた人がチラッとこちらを見る。昨日までの僕たちとは違う。今日からは、二人でいることを見られても何の問題もない。
メイドにお茶を頼んだ。お茶がくるまで、今日のことを少し興奮少し笑いながら、話をした。お茶が給仕され、一口飲むと、ふと落ち着く。二人なんだと、改めて感じる。どうやら、イメルダリアさんも感じたらしく、急にほんのり頬を染めて少し俯いた。これって、僕のことを意識してくれてるってことだよね?
「イメルダリアさん。
改めて、卒業おめでとうございます。」
「え??あ、あぁ、そうですわね。ありがとうございます。」
ふふ、油断した感じがする。
「僕と婚約、そして結婚してください。」
「っっっ!」
「僕はイメルダリアさんがすごく素敵な女性であることを知っているし、イメルダリアさんといるとドキドキするし、それなのに一緒にいることがすごく嬉しくて楽しい。」
「そ、それは、わたくしも。」
「ほんと??!!」
「ヨアン君は、本当にすごい方だと思っておりますわ。それに、わたくし、今もドキドキしております。でも、とても嬉しくてふわふわしてますわ。」
「それって、僕のこと好きってこと?」
「なっっっ!」
うわぁ!イメルダリアさん、真っ赤だあ。イチゴみたい。食べたいなぁ。
「僕はイメルダリアさんが大好きだよ。」
「っっっ!」
とうとう顔を手で覆ってしまった。
僕はゆっくりと待つ。しばらく時間をおき、意識してゆっくりとお茶を口に運ぶ。それを、視界に入れたイメルダリアさんも、お茶を口に運んだ。
イメルダリアさんが、お茶を置き、話始めた。
「わ、わたくしには、その…。それがよくわかりませんの。でも、ヴィオリアさんが、わたくしのこれはそれなのですよ とおっしゃるのです……。」
「うん。」
「わたくしも、この頃は、これがそれなんだと思ってまいりましたの。」
イメルダリアさんが、また、赤くなって、俯いた。
「うん。ありがとう。」
「っっっ! とんでもありませんわっ。」
今日は、いっぱい近づけた気がする。とても、嬉しい。
優しく優しくを心がけて口にする。
「あのね、僕のこと、『アル』って呼んでほしいんだ。それでね、僕も、『メア』って呼びたい。二人だけの愛称でしょ。」
ヨアンシェルとイメルダリア。お互いの、2文字目と6文字目。絶対に僕たちだけの愛称。
「ア、ア、アル君。」
「なぁに?メア。」
ふふふ、メアをつかまえたぁ!
〰️ 〰️ 〰️
卒業パーティーでのメアは、とてもキレイだった。年上なんだなぁって感じて少しだけ淋しかったけど、僕が負けないように身長も、男としても成長すればいいんだって思えた。
そう思うと、こうしてお互いの目線で踊れることなんて、ほんの短い間なんだから楽しもうって思ったんだ。
学園のパーティーなので、何度でもメアと踊れる。外から帰ってきた姉上とゼファーライト殿下を含めて、4組でパートナーを替えながら、クスクス笑って踊った。
飲み物を飲んで休憩していると、ヴィオリアさんとエマローズさんが、生徒会役員の仕事をしていたロンとディークを連れてきたので、姉上とエマローズさんの『いまはまだ幼なじみなだけ』のオーリオダム殿とヴィオリアさんの『婚約者』のカザシュタント殿に紹介した。
ヴィオリアさんとエマローズさんは、ロンとディークを連れてダンスホールへ行く。パートナーを替えて2曲のダンスする。
帰ってくると、メアと姉上とロンとディークをダンスホールへ押し出す。姉上と踊るロンは、真っ赤っ赤で、可笑しくて可笑しくて!
〰️ 〰️ 〰️
あれから1ヶ月半、明日、僕とメアは、姉上と同じ日に婚約をする。
僕は姉上を誘ってサロンでお茶をした。
「姉上、僕ね。姉上が、ずっと『貴族の義務を果たす』って頑張っていて、すごいって思ったし、尊敬もしてるよ。」
「そんな、偉いものでもないわ。」
「いや、姉上は、すごく偉いよ。
でもね、僕はその義務のために姉上が幸せになれないのは、嫌だったんだ。」
「そう…。ヨアンには、そう見えていたのね。いいえ、きっと違うわね。本当に幸せじゃなかったのだわ。」
姉上は、ハラハラと泣いた。
「でも、姉上が頑張っていたから、ゼファーライト殿下との出会いがあったんだとも思うんだ。『貴族の義務』も果たせて、姉上も『幸せ』になれる人に出会えてよかったね。
姉上がどちらも諦めなくてすんだことが、僕もすごく嬉しいよ。」
〰️ 〰️ 〰️
婚約の日はとてもいいお天気だった。もちろん、それまでには、メアに『アル、好きよ』って言ってもらったよ。その時のメアの可愛いらしさは、忘れられない。
そして、今日も可愛いメアと、今日から婚約者になった。
ユラベル侯爵様は僕との約束を覚えていてくれて、今日、婚姻の日も決めてくれた。来年の今日、僕とメアは結婚をする。
僕も『貴族の義務』も果たせて、一緒に『幸せ』になれる人に出会えた。
「メア、僕は婚約で終わりになんてしないよ。」
「アル、わたくしも婚約白紙にはしてあげませんわよ。」
僕の
『姉上を幸せにする作戦』と
『僕をメアの唯一にしてもらう作戦』
は、大成功だっ!
こうして、12歳の僕からの宿題は、『両方叶えられる』という報告書で終わりになった。
~公爵令息の作戦 fin~
明日よりカザシュタント編です
談話室は、男女共有で、ソファーセットが数組と喫茶テーブル数組、遊戯テーブルが数組あり、遊戯テーブルでは、カードゲームやボードゲームで遊ぶことができる。
窓際には、等間隔に窓に向かって座るように、2掛けソファーが数個置いてある。カップルに、『二人の世界になれる』と人気の場所だ。ただし、本当に二人きりになるわけではないので、限度を越えたふれ合いは禁止だ。つまり、口づけ禁止、ね。学園のメイドが、談話室の消灯時間までいるので、本当にできないよ。
僕はイメルダリアさんを喫茶テーブルにエスコートした。1メートル四方の小さなテーブルに4脚の椅子がある。イメルダリアさんの角を挟んで隣に 座る。すでに談話室にいた人がチラッとこちらを見る。昨日までの僕たちとは違う。今日からは、二人でいることを見られても何の問題もない。
メイドにお茶を頼んだ。お茶がくるまで、今日のことを少し興奮少し笑いながら、話をした。お茶が給仕され、一口飲むと、ふと落ち着く。二人なんだと、改めて感じる。どうやら、イメルダリアさんも感じたらしく、急にほんのり頬を染めて少し俯いた。これって、僕のことを意識してくれてるってことだよね?
「イメルダリアさん。
改めて、卒業おめでとうございます。」
「え??あ、あぁ、そうですわね。ありがとうございます。」
ふふ、油断した感じがする。
「僕と婚約、そして結婚してください。」
「っっっ!」
「僕はイメルダリアさんがすごく素敵な女性であることを知っているし、イメルダリアさんといるとドキドキするし、それなのに一緒にいることがすごく嬉しくて楽しい。」
「そ、それは、わたくしも。」
「ほんと??!!」
「ヨアン君は、本当にすごい方だと思っておりますわ。それに、わたくし、今もドキドキしております。でも、とても嬉しくてふわふわしてますわ。」
「それって、僕のこと好きってこと?」
「なっっっ!」
うわぁ!イメルダリアさん、真っ赤だあ。イチゴみたい。食べたいなぁ。
「僕はイメルダリアさんが大好きだよ。」
「っっっ!」
とうとう顔を手で覆ってしまった。
僕はゆっくりと待つ。しばらく時間をおき、意識してゆっくりとお茶を口に運ぶ。それを、視界に入れたイメルダリアさんも、お茶を口に運んだ。
イメルダリアさんが、お茶を置き、話始めた。
「わ、わたくしには、その…。それがよくわかりませんの。でも、ヴィオリアさんが、わたくしのこれはそれなのですよ とおっしゃるのです……。」
「うん。」
「わたくしも、この頃は、これがそれなんだと思ってまいりましたの。」
イメルダリアさんが、また、赤くなって、俯いた。
「うん。ありがとう。」
「っっっ! とんでもありませんわっ。」
今日は、いっぱい近づけた気がする。とても、嬉しい。
優しく優しくを心がけて口にする。
「あのね、僕のこと、『アル』って呼んでほしいんだ。それでね、僕も、『メア』って呼びたい。二人だけの愛称でしょ。」
ヨアンシェルとイメルダリア。お互いの、2文字目と6文字目。絶対に僕たちだけの愛称。
「ア、ア、アル君。」
「なぁに?メア。」
ふふふ、メアをつかまえたぁ!
〰️ 〰️ 〰️
卒業パーティーでのメアは、とてもキレイだった。年上なんだなぁって感じて少しだけ淋しかったけど、僕が負けないように身長も、男としても成長すればいいんだって思えた。
そう思うと、こうしてお互いの目線で踊れることなんて、ほんの短い間なんだから楽しもうって思ったんだ。
学園のパーティーなので、何度でもメアと踊れる。外から帰ってきた姉上とゼファーライト殿下を含めて、4組でパートナーを替えながら、クスクス笑って踊った。
飲み物を飲んで休憩していると、ヴィオリアさんとエマローズさんが、生徒会役員の仕事をしていたロンとディークを連れてきたので、姉上とエマローズさんの『いまはまだ幼なじみなだけ』のオーリオダム殿とヴィオリアさんの『婚約者』のカザシュタント殿に紹介した。
ヴィオリアさんとエマローズさんは、ロンとディークを連れてダンスホールへ行く。パートナーを替えて2曲のダンスする。
帰ってくると、メアと姉上とロンとディークをダンスホールへ押し出す。姉上と踊るロンは、真っ赤っ赤で、可笑しくて可笑しくて!
〰️ 〰️ 〰️
あれから1ヶ月半、明日、僕とメアは、姉上と同じ日に婚約をする。
僕は姉上を誘ってサロンでお茶をした。
「姉上、僕ね。姉上が、ずっと『貴族の義務を果たす』って頑張っていて、すごいって思ったし、尊敬もしてるよ。」
「そんな、偉いものでもないわ。」
「いや、姉上は、すごく偉いよ。
でもね、僕はその義務のために姉上が幸せになれないのは、嫌だったんだ。」
「そう…。ヨアンには、そう見えていたのね。いいえ、きっと違うわね。本当に幸せじゃなかったのだわ。」
姉上は、ハラハラと泣いた。
「でも、姉上が頑張っていたから、ゼファーライト殿下との出会いがあったんだとも思うんだ。『貴族の義務』も果たせて、姉上も『幸せ』になれる人に出会えてよかったね。
姉上がどちらも諦めなくてすんだことが、僕もすごく嬉しいよ。」
〰️ 〰️ 〰️
婚約の日はとてもいいお天気だった。もちろん、それまでには、メアに『アル、好きよ』って言ってもらったよ。その時のメアの可愛いらしさは、忘れられない。
そして、今日も可愛いメアと、今日から婚約者になった。
ユラベル侯爵様は僕との約束を覚えていてくれて、今日、婚姻の日も決めてくれた。来年の今日、僕とメアは結婚をする。
僕も『貴族の義務』も果たせて、一緒に『幸せ』になれる人に出会えた。
「メア、僕は婚約で終わりになんてしないよ。」
「アル、わたくしも婚約白紙にはしてあげませんわよ。」
僕の
『姉上を幸せにする作戦』と
『僕をメアの唯一にしてもらう作戦』
は、大成功だっ!
こうして、12歳の僕からの宿題は、『両方叶えられる』という報告書で終わりになった。
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明日よりカザシュタント編です
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