婚約破棄されそうな令嬢は知らないことだらけ

宇水涼麻

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第五章 公爵令息の作戦 遂行編

作戦20 作戦決定

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 ディークと二人で、公爵家の馬車で、ユラベル侯爵邸へ向かう。侯爵邸で、応接室に通されると、すでに4人が揃っていた。

「ヨアン君、ディーク君、大丈夫?」

「ありがとう、イメルダリアさん。
早速説明するね。ディーク頼んだよ。」

〰️ 〰️ 〰️

 ディークの話に呆れた顔をする4人。だが、陛下に『やってみろ』と言われたと話すと俄然やる気になった。

イメルダリア:「ディーク君のおっしゃるように、こちらに非のないものでも、断罪を受けると醜聞ですし、なにより屈辱ですわね。」

ヴィオリア:「確かに!ウズライザー様にやり込められるなんて、考えただけで、イラつけるわ。」

エマローズ:「ヴィオリア様ったら。ウズライザー様にヴィオリア様をやり込める話術があるわけないじゃないですか。ホホホ」

ヴィオリア:「それを言うなら、エマローズ様もでしょ?エンゾラール様に負ける気あります?」

エマローズ:「んーー、負けるわたくしが、想像できませんわね。ホホホ

イメルダリア様はどうですの?」

イメルダリア:「……正直、わかりませんわ。……イリサス様がお話なさっている姿が思いつきませんの。
はあ、こんなに薄い関係でしたのね。」

ヴィオリア:「気にしないで、イメルダリア様。だとしたら、婚約白紙にできてよかったってことよ。そんな関係続くわけないんだから。」

イメルダリア:「そうですわね。」

エマローズ:「もしもの時は、わたくしたちが、援護射撃いたしますから。ふふふ」

 エマローズさんがすごく機嫌がいい。すごく怖い。

ヴィオリア:「じゃあ、あの人たちが何か言ってきたら、それを言わせずに、こちらの言いたいことを言うってことで、いいわね。」

エマローズ:「それで、充分ですわっ!ふふふ」

僕:「あの、それって、どうやって?」
恐々聞いてみた。

エマローズ:「それは、内緒ですわ。後程わたくしたち三人で相談しておきますわ。アリーシャ様のことも、お任せくださいませ。ホホホ。

わたくしたち女はお茶会で話術を鍛えておりますのよ。デレデレっとした顔でおいしくお茶をしてるだけのバカ男には負けませんわっ!ふふふふふ。」

 エマローズさんの迫力に、ロンと僕はもちろん、ディークまで、少し仰け反っている。

 いやいや、冷静にいこう。

僕:「それは、どのくらいの時間がかかりそうですか?」

ヴィオリア:「三人で相談しないとわからないけど、半刻から一刻くらいでしょうね。」

僕:「それで、どうまとめますか?」

ヴィオリア:「こちらの言い分がおわったら、学園長に入ってもらって、彼らにしゃべらせないうちに別室へ移ればいいのよ。」

僕:「なるほど。」

ロン:「あいつら、素直に動くかな?」

ディーク:「指示を聞かない可能性はあるね。陛下に騎士をお借りしようよ。僕らじゃ、ウズライザーさんだけで手一杯だよ。ははは」

 ディークの軽快さが戻った。

僕:「半刻くらいなら、パーティーには影響なさそうかな。」

エマローズ:「わたくしたちが別室へ移った後、参加者のみなさんへの気遣い、お願いいたしますね。」

僕ら男たち:「「「了解っ!」」」

イメルダリア:「みなさまっ!ちょっとお待ちくださいませ。
 わたくしたちのことで、関係のない卒業生のみなさんの大切な思い出を潰したくありませんわ。」

 イメルダリアさんは、いつでも他の人の心配ができる人だ。やっぱり、好きだ!

ヴィオリア:「そうね。私たちが雰囲気壊してからだと、楽しめないかもしれないわね。」

エマローズ:「そうですわね。その日からしばらく会えなくなる恋人たちもいそうですし。」

 学年の違うカップルは、そういうこともあり得る。僕だって、来年はこんなにイメルダリアさんに会えなくなるんだ。

ロン:「それならさ、次の日にやり直せばいいじゃん。
あ、いっそ、その日は練習にしちゃう?」

みんな:「「「「「え??」」」」」

ロン:「い、いや、冗談だけど……。」

僕:「ロン!それいいじゃないかっ!」

ヴィオリア:「練習なら、時間をつぶされても、雰囲気をつぶされても、そんなに気にならないわね。」

ディーク:「お花畑さんたちには、内緒にすれば、罠になるよっ!」

イメルダリア:「それでしたら、もし、彼らが断罪をしてこなくても、純粋に『練習ですわ』ということで済みそうですわねっ。」

 イメルダリアさんが元気になってきた。

エマローズ:「なんだか、わくわくしてまいりましたわね。ふふふ」

ロン:「楽団はないと、偽物だってばれちゃうよ。」

僕:「それなら、公爵家から、何人か連れてくるよ。ダンスの練習曲くらいならお手のものだよ。楽器も持ってきてもらおう。」

イメルダリア:「まあ!うちの執事やメイドも楽器は得意ですのよ。小さい頃は、メイドのフルートで、シェンと踊りましたわ。」

ロン:「ソランは今でも執事のバイオリンでレッスンしているよ。」

エマローズ:「保護者をなしにして、下級生を入れましょう。それなら、会場の人数も誤魔化せますわ。ふふふ」

ディーク:「どうせお花畑さんは、自分たちに酔って、まわりなんて見ないよ。制服のままでいいんじゃない?」

ヴィオリア:「それは、女子は楽しくないわねぇ。」

イメルダリア:「女子はドレスでいいのではなくて?」

エマローズ:「そうね。わたくしたちは、ある程度のものを着なくては、さすがにバレてしまいますものね。」

ヴィオリア:「授業のダンスドレスでもいいことにすれば、下級生も来やすいわよ。」

ディーク:「練習なんだから、長くはやらないだろ。大層な料理は、いらないんじゃないか?」

イメルダリア:「そうだわ!軽食を用意いたしましょう。お昼を過ぎてしまったら、お腹が減ってしまいますもの。ふふ」

僕:「イメルダリアさん、かわいい。」

イメルダリア:「もう、ふざけないでくださいませっ!」

 イメルダリアさんはすぐに顔を赤くする。そして、プィッとあちらを向いてしまった。

僕:「はははっ!  あれ?ロン、何してるの?」

ロン:「みんなの意見を書いてる。ヨアン、これ見て計画書書けよ。陛下にやってみろって言われているんだろ?」

ディーク:「さりげなく、今日のお前冴えてるなっ!」

ロン:「今日のって言うなよっ!」

ヴィオリア:「じゃあ、君たち三人は私たちが別室へ移ったら、みんなに軽食出してね。
ちゃんと、私たちの分とっておいてよ。」

僕:「了解。別室へ移った後、そっちはどうするの?」

ディーク:「時間はわからないけど、陛下が来ることになっているんだから、それまで、喧嘩にならないために別々でって、学園長にしてもらえば?」

エマローズ:「そうですわね。彼らから離れてから、みなさんと合流したらよろしいわ。」

ロン:「あいつらには、別室で軽食出してやれば、陛下たちが来るまでくらい大人しくできるだろ。」


僕:「よーし!じゃあ、それで決まりとしよう!

僕とロンは、このままここで、計画書を作ろう。細かいことも決めないと。

ディークは、陛下に許可を得ていることを学園長に伝えて、簡単に説明してきて。後日、計画書を出すってことも伝えてね。

ご令嬢のみなさんは、彼らにしゃべらせない対策をお願いします。」

ロン、ディーク:「「了解!」」

イメルダリア:「わかりましたわ。ヴィオリア様、エマローズ様、わたくしの部屋へどうぞ。」

それぞれに動こうとしたら、侯爵家の執事が来た。

「お嬢様、坊ちゃま、ずいぶんとお時間を過ぎてしまわれました。お客様とご昼食をどうぞ。食堂にご用意いたしました。」


イメルダリア:「まあ!もうそんな時間なの?ありがとう。

では、みなさん、昼食の後にいたしましょう。」
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