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第二章 本編 ご令嬢たちの幸せ編
7 パーティーの始まり
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会場の入口にこの4組が現れると、入口近くから話声が消えた。
エマローズとオーリオダム
ヴィオリアとカザシュタント
イメルダリアとヨアンシェル
アリーシャとゼファー
エマローズたちから順番に、入口から舞台の方へ進んでいくと話声がやみ、彼女らが通りすぎると黄色い声やらため息やらがする。という状況が舞台の前まで続いた。
女性4人は昨日の主役であったし、男性4人は4人とも容姿が整っているうえ、ヨアンシェル以外は、初めて見る顔だ。注目のまとになるに決まっている。
その中でも、アリーシャとゼファーのお揃い装いで、笑顔で歩くゼファの姿を見て、先程まで希望と欲望と闘争精神に溢れた男子生徒たちが、会場のあちらこちらで、崩れ落ちる姿が見られた。
それでもまだアリーシャは、理解できていないことが多く、上の空だ。
会場には美味しそうな料理がたくさんならんでいる。今日のために、学園の料理人だけではなく、王宮の料理人も担当している。
学園のパーティーであるため、給仕やメイドは少ないので、何かあったときのために手を空けている。だから、自分たちで料理を取ったり、飲み物を取ったりする。
すでに、デザートコーナーでは、生徒だけでなくご婦人も群がり、まるで試食会のようになっている。女性は食い気?
かと思えば、ボリュームのある料理の前では、男子生徒たちが競うように食べていた。
卒業生は、成人しているので、アルコールも飲める。しかし、伝統的な規則で、卒業パーティーでアルコールによる失態をさらした場合、卒業の証が、剥奪となる。
まあ、パーティーを壊さないための配慮のひとつだ。今まで、剥奪された者はいない。
〰️ 〰️
4組が入場して間もなく、学園長のお言葉が始まった。食事を楽しんでいた者も、一旦、皿もグラスもおき、おしゃべりに興じていた者も学園長に注目する。
「今日は、ほとんどの者にとって、最後の学園パーティーとなるだろう。社交界に羽ばたくため、今日も一生懸命に学び、一生懸命に楽しんでくれたまえ。」
学園長の言葉にみんなの歓声と拍手が響く。
学園長が楽団に合図を送ると会場にダンス音楽が響きわたる。
本来の社交界パーティーであれば、最初に踊るべきカップル、国王陛下ご夫妻であったり主催者ご夫妻であったりがあるわけだが、そこは学園パーティーだ、誰であってもかまわない。
待ち望んだカップルたちが我先にとホールへ進んだ。
アリーシャたちを除く3組もお互いに目を合わせて、ホールへ向かうことにしたようだ。
「姉上、我々は踊ってまいりますね。」
ヨアンシェルが、代表してアリーシャに声をかけた。
「ええ、楽しんでいらして。」
アリーシャの了解を得ると、みんながゼファーに軽く会釈して、3組はホールの渦に飲まれていった。
ヴィオリアのカップルは二人とも長身でかっこいい。エマローズのカップルは、身長差があるが、エマローズの可愛らしさが引き立てられている。しかし、イメルダリアとヨアンシェルは同じくらいの身長である。実はヨアンシェルは気にしているが、17歳の男の子は、まだまだ成長期である。来年にはバランスよくなるのだろう。
そうやって、なんとはなしにダンスホールをみていたアリーシャだが、少し経って、二人きりになってしまったことに気がついて、さらに何も言えなくなってしまった。
それを察したようにゼファーが優しく声をかける。
「アリーシャ嬢、外で少し涼まないか?」
「そ、そうですわね。」
ゼファーは左腕を出した。アリーシャは、そこに右手を添える。ゼファーは、エスコートの形になると、テーブルからシャンパンを2つ取り、2つとも右手に持ち、外へと進んだ。
昼間ではあるが、人々の溢れるパーティー会場よりは、風があり涼しい。火照った体に春先の空気は気持ちがいい。
日陰のあるベンチの前で、ゼファーはアリーシャにシャンパンを2つとも持っていてもらうと、ポケットからハンカチを取り出しベンチへ敷く。
再びアリーシャからシャンパンを2つ受けとる。
「こちらへどうぞ。」
「ありがとうございます。」
ドレスに皺ができにくいようにベンチに座る姿でさえ洗練されていて美しい。ゼファーはアリーシャに見惚れた。
「どうぞ。」
シャンパンを1つアリーシャに渡し、ゼファーは、アリーシャのとなりに座る。
「何から話せばいいのだろう。」
ゼファーのつぶやきに、アリーシャは『昨日から知らないことばかりですもの。わたくしが言いたいわ』と思ったが、八つ当たりのような気がして何も言わなかった。
「昨日のアナファルト王子とのことは聞いているよ。大変だったね。
ヨアンシェル殿から聞いているかもしれないが、この話自体はすでに数ヶ月前から出ていて、アナファルト王子と貴女がこうなるのではないかという予想はできていたんだ。
私は、君たちがこうなることを望んでいた。」
「え?」
シャンパンをジッと見ていたアリーシャが、驚いてゼファーを見た。
「アリーシャ嬢、私と結婚してほしい。」
ゼファーはアリーシャの目をまっすぐに見る。アリーシャは目を見開いた。
「いや、こうじゃないな。」
ゼファーは、アリーシャと反対側に自分のシャンパングラスを置き立ち上がる。
そして、アリーシャの前へ進み跪いた。
アリーシャの空いている方の手をそっととった。
「アリーシャ・レンバーグ嬢、私ゼファーライト・タニャードの妃になっていただきたい。貴女を愛している。」
ゼファーが心を込めて、アリーシャに愛を呟いた。
エマローズとオーリオダム
ヴィオリアとカザシュタント
イメルダリアとヨアンシェル
アリーシャとゼファー
エマローズたちから順番に、入口から舞台の方へ進んでいくと話声がやみ、彼女らが通りすぎると黄色い声やらため息やらがする。という状況が舞台の前まで続いた。
女性4人は昨日の主役であったし、男性4人は4人とも容姿が整っているうえ、ヨアンシェル以外は、初めて見る顔だ。注目のまとになるに決まっている。
その中でも、アリーシャとゼファーのお揃い装いで、笑顔で歩くゼファの姿を見て、先程まで希望と欲望と闘争精神に溢れた男子生徒たちが、会場のあちらこちらで、崩れ落ちる姿が見られた。
それでもまだアリーシャは、理解できていないことが多く、上の空だ。
会場には美味しそうな料理がたくさんならんでいる。今日のために、学園の料理人だけではなく、王宮の料理人も担当している。
学園のパーティーであるため、給仕やメイドは少ないので、何かあったときのために手を空けている。だから、自分たちで料理を取ったり、飲み物を取ったりする。
すでに、デザートコーナーでは、生徒だけでなくご婦人も群がり、まるで試食会のようになっている。女性は食い気?
かと思えば、ボリュームのある料理の前では、男子生徒たちが競うように食べていた。
卒業生は、成人しているので、アルコールも飲める。しかし、伝統的な規則で、卒業パーティーでアルコールによる失態をさらした場合、卒業の証が、剥奪となる。
まあ、パーティーを壊さないための配慮のひとつだ。今まで、剥奪された者はいない。
〰️ 〰️
4組が入場して間もなく、学園長のお言葉が始まった。食事を楽しんでいた者も、一旦、皿もグラスもおき、おしゃべりに興じていた者も学園長に注目する。
「今日は、ほとんどの者にとって、最後の学園パーティーとなるだろう。社交界に羽ばたくため、今日も一生懸命に学び、一生懸命に楽しんでくれたまえ。」
学園長の言葉にみんなの歓声と拍手が響く。
学園長が楽団に合図を送ると会場にダンス音楽が響きわたる。
本来の社交界パーティーであれば、最初に踊るべきカップル、国王陛下ご夫妻であったり主催者ご夫妻であったりがあるわけだが、そこは学園パーティーだ、誰であってもかまわない。
待ち望んだカップルたちが我先にとホールへ進んだ。
アリーシャたちを除く3組もお互いに目を合わせて、ホールへ向かうことにしたようだ。
「姉上、我々は踊ってまいりますね。」
ヨアンシェルが、代表してアリーシャに声をかけた。
「ええ、楽しんでいらして。」
アリーシャの了解を得ると、みんながゼファーに軽く会釈して、3組はホールの渦に飲まれていった。
ヴィオリアのカップルは二人とも長身でかっこいい。エマローズのカップルは、身長差があるが、エマローズの可愛らしさが引き立てられている。しかし、イメルダリアとヨアンシェルは同じくらいの身長である。実はヨアンシェルは気にしているが、17歳の男の子は、まだまだ成長期である。来年にはバランスよくなるのだろう。
そうやって、なんとはなしにダンスホールをみていたアリーシャだが、少し経って、二人きりになってしまったことに気がついて、さらに何も言えなくなってしまった。
それを察したようにゼファーが優しく声をかける。
「アリーシャ嬢、外で少し涼まないか?」
「そ、そうですわね。」
ゼファーは左腕を出した。アリーシャは、そこに右手を添える。ゼファーは、エスコートの形になると、テーブルからシャンパンを2つ取り、2つとも右手に持ち、外へと進んだ。
昼間ではあるが、人々の溢れるパーティー会場よりは、風があり涼しい。火照った体に春先の空気は気持ちがいい。
日陰のあるベンチの前で、ゼファーはアリーシャにシャンパンを2つとも持っていてもらうと、ポケットからハンカチを取り出しベンチへ敷く。
再びアリーシャからシャンパンを2つ受けとる。
「こちらへどうぞ。」
「ありがとうございます。」
ドレスに皺ができにくいようにベンチに座る姿でさえ洗練されていて美しい。ゼファーはアリーシャに見惚れた。
「どうぞ。」
シャンパンを1つアリーシャに渡し、ゼファーは、アリーシャのとなりに座る。
「何から話せばいいのだろう。」
ゼファーのつぶやきに、アリーシャは『昨日から知らないことばかりですもの。わたくしが言いたいわ』と思ったが、八つ当たりのような気がして何も言わなかった。
「昨日のアナファルト王子とのことは聞いているよ。大変だったね。
ヨアンシェル殿から聞いているかもしれないが、この話自体はすでに数ヶ月前から出ていて、アナファルト王子と貴女がこうなるのではないかという予想はできていたんだ。
私は、君たちがこうなることを望んでいた。」
「え?」
シャンパンをジッと見ていたアリーシャが、驚いてゼファーを見た。
「アリーシャ嬢、私と結婚してほしい。」
ゼファーはアリーシャの目をまっすぐに見る。アリーシャは目を見開いた。
「いや、こうじゃないな。」
ゼファーは、アリーシャと反対側に自分のシャンパングラスを置き立ち上がる。
そして、アリーシャの前へ進み跪いた。
アリーシャの空いている方の手をそっととった。
「アリーシャ・レンバーグ嬢、私ゼファーライト・タニャードの妃になっていただきたい。貴女を愛している。」
ゼファーが心を込めて、アリーシャに愛を呟いた。
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