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第一章 本編 ご令嬢たちの闘い編
1 断罪劇
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「アリーシャ・レンバーグ!こちらへ来い!」
舞台上にいる5人の生徒のうち右から2番目にいた男子生徒が、大きな声で、とある女子生徒を呼び出した。その傍らには、小柄な女子学生がおり、その肩を優しく抱いている。さらにその女子学生の左には長身の男子生徒と色白の男子生徒が。声をあげた男子生徒の右には、眼鏡をかけた男子生徒が立っていた。
ここは、ガーリウム王国の王都にあり、この国で最も歴史ある学園である。15歳から18歳までの貴族子息令嬢が在籍しており、全寮制ある。
ちなみに、王都に屋敷のある生徒は、週末は屋敷に戻る者が多い。この国では18歳を成人と見なしているので、実質卒業するときには皆成人している。
けっして、強制入学ではないが、領地経営や淑女教育、武術、ダンス、魔法学など、貴族に必要な多くのことを学べる。さらに、貴族として貴族間の付き合いは大切だということもあり、縁を作るとという意味で、例え3子4子であってもほぼ入学している。この縁というのは、何も男女に限ったことではないが、普段他の貴族との付き合いのない者にとっては、婚約者探しのチャンスであることは間違いない。
平民には初等学校があり、読み書き計算などは学んでいる。
貴族子女は、これらのことを家庭教師または家族や執事に習っている。
なのでこの国の識字率はかなり高い。
閑話休題。
今日はそんな学園の卒業式があった。
卒業式終了後、それぞれ着飾った卒業生たちが講堂に集まり、現在は、各々話をしていたり、楽団が音を奏で始めるのを、初々しい男女生徒が手を繋いで今か今かと待っている。
そんなときに、冒頭の5人が舞台に立ち、どうやら何かを始めるようだ。
「アリーシャ・レンバーグ!こちらへ来い!」
この国の王位継承権第一位で、第1王子であるアナファルト・ガーリウムが大きな声をだす。
若干ざわつきながらも、みんなが舞台に注目した。
「アナファルト様、何かございましたか?」
アリーシャ・レンバーグ公爵令嬢が、キレイな姿勢で前に進み出て、アナファルト・ガーリウム第1王子に応える。
この国の王位継承権第一位のアナファルトと公爵令嬢であるアリーシャは小さい頃からの婚約者であり、卒業後一月でアナファルトの王太子の任命と二人の婚姻の儀が行われる予定となっている。
「何かあったか、ではないわ!貴様らがこのか弱いメノールを虐めていたことはわかっている。」
「わたくしたちはそのようなこ
「とっても怖かったんですぅ」
アナファルトに肩を抱かれているメノール・ブリアントは男爵令嬢だ。公爵令嬢であるアリーシャの言葉を遮り、許可もなく話すなど考えられない。
しかし、その傍らにいるアナファルト王子の側近と呼ばれる高位貴族の子息たちは何も言わない。
こちらのメノール・ブリアント男爵令嬢は、男爵と平民との庶子で最近になって親子で引き取られたとか。男爵も大商人で国に貢献したことで賜った爵位で、つい昨年まで平民であったので、妻が平民でも何の不思議もない。そして、その際、商売だけでいいと、小さいながらに賜れるはずの領地を拒み、そのかわり王都に屋敷を賜ることとなったらしい。
そういう経緯もあり、爵位を買ったなどと揶揄される声も聞く。平民と平民の子供はもちろん平民だ。貴族教育など受けているわけはないし、家族もしかりだろう。
そんな彼女が貴族の学園に途中入学したのは2年前、学園中を引っ掻き回したあげく、王子と高位貴族の子息を籠絡したのだから大したものだ。
籠絡されたと噂の高位貴族の子息は、現在舞台に並んでおり、眼鏡が宰相シャーワント公爵の長男イリサス、長身が騎士団団長バルトルガー侯爵の次男ウズライザー、色白が魔法師団団長サンドエク伯爵の三男エンゾラールである。
現在、第1王子の側近と目される3人であるが、王子のこともその男爵令嬢のことも諫めない。
「身分をかさに、下の者を虐めるなど、俺の婚約者として、恥ずかしい!その婚約とて、お前のワガママと家の力で無理に通したものであろう。」
「それは…」
「言い訳はいらん!」
婚約の経緯についてまで言われ、アリーシャは発言しようとするが、それは王子に遮られた。
こと、この婚約に関しては、始まりは王子のワガママからだ。王子の5歳の誕生日を期に、初顔合わせの会として同年代の上位貴族子女が集められ、お茶会が開かれた。その場でアナファルト王子がアリーシャに一目惚れし、アリーシャを求め、駄々をこねた。
まだ5歳であったし、王族との縁を特に求めていなかった公爵の『娘を嫁がせたくない』気持ちを慮かり、仮の婚約者とすることにした。
アリーシャが10歳になったとき、仮とはいえ婚約者であるので、王妃教育を始めてみようということになった。
いざ、始めてみると、アリーシャは大変聡明で辛抱強くがんばり屋であった。10歳とは思えぬ優秀さに、国王陛下と王妃殿下が、アリーシャを気に入り、正式な婚約者となったのだ。レイナード公爵は最後まで渋っていたが、陛下のお言葉とあれば、頷くしかなかった。
つまり、アリーシャから望んだということは全くなく、アリーシャからすれば、貴族令嬢の義務として、王子の婚約者になっただけである。
「このような恥ずかしい者が婚約者であるなど我慢ならん!今日をもって貴様との婚約をかい
「お待ちくださいませ。」
アリーシャ嬢の後ろから声がかかった。
舞台上にいる5人の生徒のうち右から2番目にいた男子生徒が、大きな声で、とある女子生徒を呼び出した。その傍らには、小柄な女子学生がおり、その肩を優しく抱いている。さらにその女子学生の左には長身の男子生徒と色白の男子生徒が。声をあげた男子生徒の右には、眼鏡をかけた男子生徒が立っていた。
ここは、ガーリウム王国の王都にあり、この国で最も歴史ある学園である。15歳から18歳までの貴族子息令嬢が在籍しており、全寮制ある。
ちなみに、王都に屋敷のある生徒は、週末は屋敷に戻る者が多い。この国では18歳を成人と見なしているので、実質卒業するときには皆成人している。
けっして、強制入学ではないが、領地経営や淑女教育、武術、ダンス、魔法学など、貴族に必要な多くのことを学べる。さらに、貴族として貴族間の付き合いは大切だということもあり、縁を作るとという意味で、例え3子4子であってもほぼ入学している。この縁というのは、何も男女に限ったことではないが、普段他の貴族との付き合いのない者にとっては、婚約者探しのチャンスであることは間違いない。
平民には初等学校があり、読み書き計算などは学んでいる。
貴族子女は、これらのことを家庭教師または家族や執事に習っている。
なのでこの国の識字率はかなり高い。
閑話休題。
今日はそんな学園の卒業式があった。
卒業式終了後、それぞれ着飾った卒業生たちが講堂に集まり、現在は、各々話をしていたり、楽団が音を奏で始めるのを、初々しい男女生徒が手を繋いで今か今かと待っている。
そんなときに、冒頭の5人が舞台に立ち、どうやら何かを始めるようだ。
「アリーシャ・レンバーグ!こちらへ来い!」
この国の王位継承権第一位で、第1王子であるアナファルト・ガーリウムが大きな声をだす。
若干ざわつきながらも、みんなが舞台に注目した。
「アナファルト様、何かございましたか?」
アリーシャ・レンバーグ公爵令嬢が、キレイな姿勢で前に進み出て、アナファルト・ガーリウム第1王子に応える。
この国の王位継承権第一位のアナファルトと公爵令嬢であるアリーシャは小さい頃からの婚約者であり、卒業後一月でアナファルトの王太子の任命と二人の婚姻の儀が行われる予定となっている。
「何かあったか、ではないわ!貴様らがこのか弱いメノールを虐めていたことはわかっている。」
「わたくしたちはそのようなこ
「とっても怖かったんですぅ」
アナファルトに肩を抱かれているメノール・ブリアントは男爵令嬢だ。公爵令嬢であるアリーシャの言葉を遮り、許可もなく話すなど考えられない。
しかし、その傍らにいるアナファルト王子の側近と呼ばれる高位貴族の子息たちは何も言わない。
こちらのメノール・ブリアント男爵令嬢は、男爵と平民との庶子で最近になって親子で引き取られたとか。男爵も大商人で国に貢献したことで賜った爵位で、つい昨年まで平民であったので、妻が平民でも何の不思議もない。そして、その際、商売だけでいいと、小さいながらに賜れるはずの領地を拒み、そのかわり王都に屋敷を賜ることとなったらしい。
そういう経緯もあり、爵位を買ったなどと揶揄される声も聞く。平民と平民の子供はもちろん平民だ。貴族教育など受けているわけはないし、家族もしかりだろう。
そんな彼女が貴族の学園に途中入学したのは2年前、学園中を引っ掻き回したあげく、王子と高位貴族の子息を籠絡したのだから大したものだ。
籠絡されたと噂の高位貴族の子息は、現在舞台に並んでおり、眼鏡が宰相シャーワント公爵の長男イリサス、長身が騎士団団長バルトルガー侯爵の次男ウズライザー、色白が魔法師団団長サンドエク伯爵の三男エンゾラールである。
現在、第1王子の側近と目される3人であるが、王子のこともその男爵令嬢のことも諫めない。
「身分をかさに、下の者を虐めるなど、俺の婚約者として、恥ずかしい!その婚約とて、お前のワガママと家の力で無理に通したものであろう。」
「それは…」
「言い訳はいらん!」
婚約の経緯についてまで言われ、アリーシャは発言しようとするが、それは王子に遮られた。
こと、この婚約に関しては、始まりは王子のワガママからだ。王子の5歳の誕生日を期に、初顔合わせの会として同年代の上位貴族子女が集められ、お茶会が開かれた。その場でアナファルト王子がアリーシャに一目惚れし、アリーシャを求め、駄々をこねた。
まだ5歳であったし、王族との縁を特に求めていなかった公爵の『娘を嫁がせたくない』気持ちを慮かり、仮の婚約者とすることにした。
アリーシャが10歳になったとき、仮とはいえ婚約者であるので、王妃教育を始めてみようということになった。
いざ、始めてみると、アリーシャは大変聡明で辛抱強くがんばり屋であった。10歳とは思えぬ優秀さに、国王陛下と王妃殿下が、アリーシャを気に入り、正式な婚約者となったのだ。レイナード公爵は最後まで渋っていたが、陛下のお言葉とあれば、頷くしかなかった。
つまり、アリーシャから望んだということは全くなく、アリーシャからすれば、貴族令嬢の義務として、王子の婚約者になっただけである。
「このような恥ずかしい者が婚約者であるなど我慢ならん!今日をもって貴様との婚約をかい
「お待ちくださいませ。」
アリーシャ嬢の後ろから声がかかった。
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