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59 元師団長『殺らせなくてもよかったのでは?』
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「反旗を翻すとはどのような計画だったのですか?」
「貴方たちのノンバルダへの牽制が功を奏していたみたいで、ラオルドが城を出るまでは然程動いていなかったのよ」
ラオルドはピンクさんとの交際もオープンにしていたがエーティルとの茶会もしっかりとやっておりノンバルダはラオルドはピンクさんを側妃にするために国王になるだろうと考えていた。
「ラオルドが城を出てしまったから慌てたのね。行動も大胆になって隠す気がないのかと思うほどだったわ。
ノンバルダはね…………北国と繋がっていたの」
「まさかっ!」
北国は自然も厳しく鉱物も少なく、いつもここビモーデ王国の隙を突こうと画策しているような国である。
「随分と前から北国と接触はしていたみたいなの」
「何のためにです?」
「例の茶葉を欲していたのよ」
例の茶葉とは北国特産の茶葉であるが茶葉として使う分には高揚感を増すだけだが葉巻たばこにすると酩酊状態になってしまうし常習性もある。ビモーデ王国では茶葉としてでも禁止しているが管理しきれなていない実情である。
「元は弟が使用していたのかもしれないわ。義妹から弟は日によって気分の落差が大きかったという報告があったの。
死んだ時にも葉巻たばこを燻らせた跡があったらしいわ。いつの間にか死体の側から無くなっていたそうだからノンバルダが自分の使用を隠すために処分したのかもしれないわね」
「あの茶葉が心臓に負担がかかることは知られた事実のはずですが」
「ええ。十年前もすでにその情報は知られていたわ。でも弟もノンバルダも……自分の意思では止められなかったのね……」
ラフィネは後悔しているようで悲しみを湛えて目を伏せる。
「そうでしたか。ならカティドを使わずとも早々に事故が起こっていたのではないですか?」
「まあ! 誤解しないで。カティドにやらせたのは情報操作だけよ。
いつものように商人として噂を流させたの。
『北国の茶葉を取り締まるために北国との交易検査が厳しくなる』ってね」
「あ……そうでしたか……」
ムーガはかつての部下の気持ちを慮って心配していたのでホッと肩を落とした。
「はぁ~。わたくしの言う排除とは中央を離れて隠居させるってことよ。当主が薬物中毒という話で充分な蟄居の理由になるでしょう?」
ラフィネを疑っていたことがバレたムーガは困り笑いで誤魔化した。
「北国も慌てただろうけどノンバルダも慌てたようね。そして余裕が無くなり荒れたのよ。
病死ということにしてあるけど、葉巻たばこの過剰摂取による体調悪化だと思われるわ」
ラフィネはふぅと息を吐く。
「義妹にその事実を告げると思い当たることがいろいろとあったらしくて重い口を開いてくれたわ。義妹にも悪いことをしてしまった……」
「王太后陛下は何も悪くないと思います。
先公爵様は充分にお力のある方でした。それなのにご自身を見ずご自身を信じず足掻いていらっしゃったのですね。
ノンバルダ様もお父上と比べるでなくご自身をご覧になるべきでした」
「そうね……。でも他人の目を気にしないことはとても難しいわ。そして自分と誰かを比べないことも難しい……」
「自分は自分にしかなれないのに……」
「ラオルドはすごいわよね。自分は武官派でキリアが文官派であるということを冷静に分析して己の武術の力を一番に発揮できることをしているわ」
「ええ。ノンバルダ様に流されて国王になる道もありました。
ラオは決して国王としてのお力がなかったわけではないのです。
ただキリア殿下が優秀過ぎた」
「人と比べたとしても己の良い部分を見つめられればいいということね」
二人はふぅと一息ついてお茶を口にした。
「温くなってしまったわね。淹れ直しましょう。今度はわたくしが淹れてあげるわ。お湯を持ってこさせましょう」
「それは大変に光栄でございます」
ラフィネはチリンチリンとベルを鳴らした。
「貴方たちのノンバルダへの牽制が功を奏していたみたいで、ラオルドが城を出るまでは然程動いていなかったのよ」
ラオルドはピンクさんとの交際もオープンにしていたがエーティルとの茶会もしっかりとやっておりノンバルダはラオルドはピンクさんを側妃にするために国王になるだろうと考えていた。
「ラオルドが城を出てしまったから慌てたのね。行動も大胆になって隠す気がないのかと思うほどだったわ。
ノンバルダはね…………北国と繋がっていたの」
「まさかっ!」
北国は自然も厳しく鉱物も少なく、いつもここビモーデ王国の隙を突こうと画策しているような国である。
「随分と前から北国と接触はしていたみたいなの」
「何のためにです?」
「例の茶葉を欲していたのよ」
例の茶葉とは北国特産の茶葉であるが茶葉として使う分には高揚感を増すだけだが葉巻たばこにすると酩酊状態になってしまうし常習性もある。ビモーデ王国では茶葉としてでも禁止しているが管理しきれなていない実情である。
「元は弟が使用していたのかもしれないわ。義妹から弟は日によって気分の落差が大きかったという報告があったの。
死んだ時にも葉巻たばこを燻らせた跡があったらしいわ。いつの間にか死体の側から無くなっていたそうだからノンバルダが自分の使用を隠すために処分したのかもしれないわね」
「あの茶葉が心臓に負担がかかることは知られた事実のはずですが」
「ええ。十年前もすでにその情報は知られていたわ。でも弟もノンバルダも……自分の意思では止められなかったのね……」
ラフィネは後悔しているようで悲しみを湛えて目を伏せる。
「そうでしたか。ならカティドを使わずとも早々に事故が起こっていたのではないですか?」
「まあ! 誤解しないで。カティドにやらせたのは情報操作だけよ。
いつものように商人として噂を流させたの。
『北国の茶葉を取り締まるために北国との交易検査が厳しくなる』ってね」
「あ……そうでしたか……」
ムーガはかつての部下の気持ちを慮って心配していたのでホッと肩を落とした。
「はぁ~。わたくしの言う排除とは中央を離れて隠居させるってことよ。当主が薬物中毒という話で充分な蟄居の理由になるでしょう?」
ラフィネを疑っていたことがバレたムーガは困り笑いで誤魔化した。
「北国も慌てただろうけどノンバルダも慌てたようね。そして余裕が無くなり荒れたのよ。
病死ということにしてあるけど、葉巻たばこの過剰摂取による体調悪化だと思われるわ」
ラフィネはふぅと息を吐く。
「義妹にその事実を告げると思い当たることがいろいろとあったらしくて重い口を開いてくれたわ。義妹にも悪いことをしてしまった……」
「王太后陛下は何も悪くないと思います。
先公爵様は充分にお力のある方でした。それなのにご自身を見ずご自身を信じず足掻いていらっしゃったのですね。
ノンバルダ様もお父上と比べるでなくご自身をご覧になるべきでした」
「そうね……。でも他人の目を気にしないことはとても難しいわ。そして自分と誰かを比べないことも難しい……」
「自分は自分にしかなれないのに……」
「ラオルドはすごいわよね。自分は武官派でキリアが文官派であるということを冷静に分析して己の武術の力を一番に発揮できることをしているわ」
「ええ。ノンバルダ様に流されて国王になる道もありました。
ラオは決して国王としてのお力がなかったわけではないのです。
ただキリア殿下が優秀過ぎた」
「人と比べたとしても己の良い部分を見つめられればいいということね」
二人はふぅと一息ついてお茶を口にした。
「温くなってしまったわね。淹れ直しましょう。今度はわたくしが淹れてあげるわ。お湯を持ってこさせましょう」
「それは大変に光栄でございます」
ラフィネはチリンチリンとベルを鳴らした。
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