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57 元師団長『王太后陛下とお茶とか……。胃が痛てぇ』
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ヴィエナは悩まし気に眉を下げる。
「んー……。女の勘。というより、王妃陛下としての経験じゃないかなぁ。それも予想ね。本当の理由なんてわからないよ。
とにかく、私を見てハッとした後に、納得って微笑んだの」
「いやぁ……。それがわかるヴィーもすごいけど」
「うぅぅ。私に直接話を振られたらどうしよう……」
「母上を見送ったら親父殿が戻ってくるよ。親父殿に相談しなければ何も進まない」
ラオルドは便宜上ムーガを親父殿と呼ぶようになっている。
「そうよね。ここで待つしかないわね」
「子供たちに会わせてくれてありがとうっていうのは本音だと思うよ」
「それは私がやったわけではないでしょう。ラオとお父さんが頑張ったからここへお呼びできたんだよ」
「アハハ。君は自己評価がキツイね。子供たちを元気に産んでくれてありがとうってことだろう」
「あ……。そっかぁ」
ヴィエナはやっと心からホッとした。
その頃、ラフィネを別館の玄関まで送るとムーガたちは本館へ帰ろうとした。
「ヴィエナさんのお父様。親同士、お茶でもしていきませんか?」
ムーガはバッキッと音がしそうなくらい姿勢を正した。
「はひぃ。ご一緒させていただきますぅ」
「おじぃちゃま。へーん」
リベルトとティモが大笑いした。
「美しい女性からお誘いしていただいたから緊張しちゃったんだ。お父さんお母さんには内緒だぞ。かっこ悪いから」
「ぷふふ。フィーネおばあちゃま、キレイだもんね。僕の友達のおばあちゃまにはこんなにキレイなおばあちゃまはいないよ」
ムーガはリベルトとティモの頭を撫でる。
「二人を頼む」
「「かしこまりました」」
二人のお世話係のメイドが二人を抱っこして本館へ向かった。二人は後ろを向いたまま本館の玄関に入るまで手を振っていた。ラフィネももちろん振り返した。
二人が玄関へ消えるとラフィネが嬉しそうに小さく息を吐く。そして、チラリとムーガを見た。
「話は中で」
「…………はい…………」
ムーガは緊張のあまり廊下が嫌に長く感じた。
「うちのメイドたちはもうお茶くらいならできるようになっていると思うの」
「そりゃ、優秀さはこの辺のメイドにしておくにはもったいないほどですから」
「ええ。ですから少人数よ。男爵の母親に相応しいくらいにしたわ」
「なるほど。お気遣いいたみいります」
「それにわたくしもいくつかできるように手習いをしてきたの」
「……は?」
「ユニアにいろいろと教えてもらったのよ。わたくしは早くに王太子妃になることが決定していたから淑女教育に手習いが含まれていなかったの。その時間がなかったのよね。
レース編みや刺繍ってやってみると楽しいわ。お茶はまだ上手くいかないの。渋かったり薄かったり。茶葉の少しの量で美味しさが変わってしまうから難しいわ」
まるで若い乙女のように嬉しそうに報告してくる姿にムーガはあ然として聞いている。
「伯爵夫人らしいことができないと孫たちに呆れられてしまうかもしれないでしょう。
ヴィエナさんは何でもできそうだもの。孫たちは女性はそういうものだと思っていると思うの。それに応えたいのよ」
「な、なるほど」
『ヴィエナは元護衛騎士で平民出身で家事を小さい頃からやっているから……とは言えないな』
領民にはムーガがヴィエナの父親だと言っているが、書類上はリタの男爵家の四女である。
男爵領から出たことがないお嬢様と都落ちしたラオルドは、ラオルドが王都からこの男爵領までの旅で知り合い一目で恋に落ちたという貴族のご令嬢方が喜びそうな設定で案の定王家によってラオルドの好感度アップに使われている。
「んー……。女の勘。というより、王妃陛下としての経験じゃないかなぁ。それも予想ね。本当の理由なんてわからないよ。
とにかく、私を見てハッとした後に、納得って微笑んだの」
「いやぁ……。それがわかるヴィーもすごいけど」
「うぅぅ。私に直接話を振られたらどうしよう……」
「母上を見送ったら親父殿が戻ってくるよ。親父殿に相談しなければ何も進まない」
ラオルドは便宜上ムーガを親父殿と呼ぶようになっている。
「そうよね。ここで待つしかないわね」
「子供たちに会わせてくれてありがとうっていうのは本音だと思うよ」
「それは私がやったわけではないでしょう。ラオとお父さんが頑張ったからここへお呼びできたんだよ」
「アハハ。君は自己評価がキツイね。子供たちを元気に産んでくれてありがとうってことだろう」
「あ……。そっかぁ」
ヴィエナはやっと心からホッとした。
その頃、ラフィネを別館の玄関まで送るとムーガたちは本館へ帰ろうとした。
「ヴィエナさんのお父様。親同士、お茶でもしていきませんか?」
ムーガはバッキッと音がしそうなくらい姿勢を正した。
「はひぃ。ご一緒させていただきますぅ」
「おじぃちゃま。へーん」
リベルトとティモが大笑いした。
「美しい女性からお誘いしていただいたから緊張しちゃったんだ。お父さんお母さんには内緒だぞ。かっこ悪いから」
「ぷふふ。フィーネおばあちゃま、キレイだもんね。僕の友達のおばあちゃまにはこんなにキレイなおばあちゃまはいないよ」
ムーガはリベルトとティモの頭を撫でる。
「二人を頼む」
「「かしこまりました」」
二人のお世話係のメイドが二人を抱っこして本館へ向かった。二人は後ろを向いたまま本館の玄関に入るまで手を振っていた。ラフィネももちろん振り返した。
二人が玄関へ消えるとラフィネが嬉しそうに小さく息を吐く。そして、チラリとムーガを見た。
「話は中で」
「…………はい…………」
ムーガは緊張のあまり廊下が嫌に長く感じた。
「うちのメイドたちはもうお茶くらいならできるようになっていると思うの」
「そりゃ、優秀さはこの辺のメイドにしておくにはもったいないほどですから」
「ええ。ですから少人数よ。男爵の母親に相応しいくらいにしたわ」
「なるほど。お気遣いいたみいります」
「それにわたくしもいくつかできるように手習いをしてきたの」
「……は?」
「ユニアにいろいろと教えてもらったのよ。わたくしは早くに王太子妃になることが決定していたから淑女教育に手習いが含まれていなかったの。その時間がなかったのよね。
レース編みや刺繍ってやってみると楽しいわ。お茶はまだ上手くいかないの。渋かったり薄かったり。茶葉の少しの量で美味しさが変わってしまうから難しいわ」
まるで若い乙女のように嬉しそうに報告してくる姿にムーガはあ然として聞いている。
「伯爵夫人らしいことができないと孫たちに呆れられてしまうかもしれないでしょう。
ヴィエナさんは何でもできそうだもの。孫たちは女性はそういうものだと思っていると思うの。それに応えたいのよ」
「な、なるほど」
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