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37 師団長「暗殺?! させませんよっ!」
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「もちろん、ノンバルダがはっきりと口にしたわけではない。だが、『王子がラオルドだけならこんな話にならないのにな』と呟いていた……」
ラオルドはその時のノンバルダの妖しい笑みを思い出して頭を抱えて蹲った。
「いやいやいや! そんなこともちろんさせませんよ! そのために俺たち護衛がいるのですから!」
ムーガが顔の前でブンブンと腕を振って否定してエーティルも逡巡して納得する。
『公爵家当主による王子殿下三人の暗殺なんてどう考えても無理があるわ』
「それはわかっている。お前たち騎士団を信用している。
だが、それを実行したら………………
公爵家はどうなるのだ…………
ノンバルダもそしてノンバルダの弟も俺の従兄弟だ。彼らはどうなるのだ……。彼らの使用人たちは?」
『王子の暗殺を試みるような家! 潰れたっていいだろう?!』
ムーガはラオルドの言葉に口を開けたいくらい呆れたが我慢しエーティルは悲しげに俯いた。
『ラオルド殿下は本当にお優しすぎるわ。最上位になるのならもっと非情になることもお学びになっていただかなくてはならないわね』
エーティルはラオルドの良さを否定しなければならないことに心を痛める。
「俺はノンバルダに迫られた時、キリアへのライバル心より、家族として守りたいと大切な家族なのだと思い知った。
それと同時に公爵家も血縁のある一族だと……」
『なるほどな。誰かに容易く相談できるような話じゃないわな。かといってラオルド殿下だけで解決できるとは思えないしなぁ』
ムーガが頭を回転させている間にもラオルドの話は続いた。
「俺はノンバルダに狂気を見た……。
万が一そうなれば公爵家が没落することになり国が荒れるかもしれない。
何より………………母上が悲しむ……」
『公爵家の爵位剥奪領地没収となると確かに混乱はするわ。でも力のある者たちに割譲すれば数年もすれば元に戻せるでしょう。
でも、王妃陛下の心労は多大なものになってしまうわね。いえ、ご実家の失態となれば王妃陛下のお立場も危うくなるかもしれないわ』
ノンバルダの策略は成功の有無に関わらず実行してしまえば被害が無いことはありえない。
「俺が継承権を放棄したとしてもここにいたらノンバルダはいつまでも俺を国王にすることを諦めない。広い領地も高い爵位も持っているのにまだそれ以上を望むのだ。彼の欲望に限界がないというより何かに追い立てられているようにさえ見える。
今は亡き叔父上に勝るなど何をもってそう判断するのだ。どれ程を手にすれば納得するというのだ……」
ラオルドにもエーティルにもノンバルダが何をどこまで望んでいるか見えない。だからこそ、不安がどこまでも広がる。
「だから俺はここにいては駄目なのだ。しかし、王太子にならなかった王子は騎士団や王城勤務をして王太子ひいては国王陛下を支えることになっている。
俺は何とかして王都から離れたい。どこかへ婿入りして出てもいいが条件の合うご令嬢がいない」
「南の辺境伯殿にご令嬢がいらっしゃいましたよね? 確か一人娘のはず」
ムーガの質問にエーティルが首を振った。
「メルキト殿下が継承権放棄に動いているの。そのご令嬢と懇意にしておられるようだわ」
「なるほどだからですね」
エーティルが不思議そうにムーガを見た。
「メルキト殿下のやる気が漲りすぎてどうしていいかわからないという話が出ているのです。騎士団に鍛錬にいらしてくれるのですがお怪我を負わせるわけには参りませんし。
ですが、そういうことなら鍛錬に手を抜く必要はないと団長に伝えておきます」
「縁談のことはまだ極秘ですからね」
「わかりました」
『ラオルド殿下はメルキト殿下のことも可愛がっておられるからメルキト殿下のお気持ちを慮れば辺境伯に婿入りなど考えもしないだろう』
ムーガはここまで聞いたラオルドの家族への思いを鑑みてそう考えたが他に立場の見合うご令嬢は思い浮かばなかった。
「いっその事、俺が国外逃亡でもするべきなのかもしれない……」
エーティルは驚きのあまり我慢しきれず肩を揺らした。
「それが本気なら俺が手助けしますよ」
ムーガがニヤケた顔をしてラオルドをみつめた。
ラオルドはその時のノンバルダの妖しい笑みを思い出して頭を抱えて蹲った。
「いやいやいや! そんなこともちろんさせませんよ! そのために俺たち護衛がいるのですから!」
ムーガが顔の前でブンブンと腕を振って否定してエーティルも逡巡して納得する。
『公爵家当主による王子殿下三人の暗殺なんてどう考えても無理があるわ』
「それはわかっている。お前たち騎士団を信用している。
だが、それを実行したら………………
公爵家はどうなるのだ…………
ノンバルダもそしてノンバルダの弟も俺の従兄弟だ。彼らはどうなるのだ……。彼らの使用人たちは?」
『王子の暗殺を試みるような家! 潰れたっていいだろう?!』
ムーガはラオルドの言葉に口を開けたいくらい呆れたが我慢しエーティルは悲しげに俯いた。
『ラオルド殿下は本当にお優しすぎるわ。最上位になるのならもっと非情になることもお学びになっていただかなくてはならないわね』
エーティルはラオルドの良さを否定しなければならないことに心を痛める。
「俺はノンバルダに迫られた時、キリアへのライバル心より、家族として守りたいと大切な家族なのだと思い知った。
それと同時に公爵家も血縁のある一族だと……」
『なるほどな。誰かに容易く相談できるような話じゃないわな。かといってラオルド殿下だけで解決できるとは思えないしなぁ』
ムーガが頭を回転させている間にもラオルドの話は続いた。
「俺はノンバルダに狂気を見た……。
万が一そうなれば公爵家が没落することになり国が荒れるかもしれない。
何より………………母上が悲しむ……」
『公爵家の爵位剥奪領地没収となると確かに混乱はするわ。でも力のある者たちに割譲すれば数年もすれば元に戻せるでしょう。
でも、王妃陛下の心労は多大なものになってしまうわね。いえ、ご実家の失態となれば王妃陛下のお立場も危うくなるかもしれないわ』
ノンバルダの策略は成功の有無に関わらず実行してしまえば被害が無いことはありえない。
「俺が継承権を放棄したとしてもここにいたらノンバルダはいつまでも俺を国王にすることを諦めない。広い領地も高い爵位も持っているのにまだそれ以上を望むのだ。彼の欲望に限界がないというより何かに追い立てられているようにさえ見える。
今は亡き叔父上に勝るなど何をもってそう判断するのだ。どれ程を手にすれば納得するというのだ……」
ラオルドにもエーティルにもノンバルダが何をどこまで望んでいるか見えない。だからこそ、不安がどこまでも広がる。
「だから俺はここにいては駄目なのだ。しかし、王太子にならなかった王子は騎士団や王城勤務をして王太子ひいては国王陛下を支えることになっている。
俺は何とかして王都から離れたい。どこかへ婿入りして出てもいいが条件の合うご令嬢がいない」
「南の辺境伯殿にご令嬢がいらっしゃいましたよね? 確か一人娘のはず」
ムーガの質問にエーティルが首を振った。
「メルキト殿下が継承権放棄に動いているの。そのご令嬢と懇意にしておられるようだわ」
「なるほどだからですね」
エーティルが不思議そうにムーガを見た。
「メルキト殿下のやる気が漲りすぎてどうしていいかわからないという話が出ているのです。騎士団に鍛錬にいらしてくれるのですがお怪我を負わせるわけには参りませんし。
ですが、そういうことなら鍛錬に手を抜く必要はないと団長に伝えておきます」
「縁談のことはまだ極秘ですからね」
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エーティルは驚きのあまり我慢しきれず肩を揺らした。
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