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22 宰相「貴方たちの子息は筆記テストもダメなようです」
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「まあ、武術の家庭教師も勉学の家庭教師もご本人ができるというのなら必要ないものなので家庭教師がいるかいないかで判断はできませんけど」
宰相の言葉に当主たちはブンブンと首を縦に振った。再び手を挙げ宰相が発言を促す。
「第一王子殿下の側近は数名が首になっていますよね? 我が息子はそうならなかった。仕事ができるからではないのですか?」
「先程申したようにその首になったとされる者たちは殿下と共に名前のあった者たちですよ。彼らは採用試験を経て勤務しておりますので部署変更しただけで解雇はされておりません。
どうしてそちらの任を解いたのかは第一王子殿下からまだ何も聞いておりませんのでわかりかねます」
「我らの息子は第一王子殿下から信頼されているのでは?」
「そうですよっ! 事務能力や武力だけでなく第一王子殿下の信頼は我らの息子にあるということなのではないのですか?」
「だといいですね。それについては後程第一王子殿下にお聞きすることにいたしましょう」
二人は『よしっ!』と互いに頷きあった。
「ですが、お二人はドリテンとソナハス両名の武術について自分より優秀な者が見ている、家庭教師が良いと言えば問題ないと発言しておりますが誰のことなのでしょうか?」
「それは……」
「誰……」
喜びもつかの間。今度は自分の行動に指摘が入りしどろもどろになる。
「ああ。すみません。話が逸れましたな。それが誰であるかは関係ありませんでしたな。ホッホッホ」
二人が肩を落としてホッとする。
「お二人が推薦人として採用者の武術を確認する義務を怠ったのですねということです」
当主たちは顔を赤から青にした。上げられたり下げられたりと大変に忙しい。心臓が保てばよいが。
「えー、次に事務能力についてですが」
文官の一人が後ろから宰相へ別の書類を渡す。宰相がそれを確認している間、場が静まった。
「これはこれは……」
宰相が顔を上げる。
「王太子妃様になられることがお決まりであられるエーティル様のご指示でドリテンとソナハス両名に文官試験の筆記テストを受けさせその結果が出たようです」
宰相はテストを見せるように前に出す。
「初級試験を不合格という結果になっておりますぞ」
聴衆は一層ざわめき当主たちは膝から崩れ落ちた。心臓は保ったが膝は保たなかった。
「いくらご自身方のご三男ご次男とはいえこのような者を第一王子殿下の側近に推薦したとなると、国家を揺るがすつもりだったのですかな?
それとも第一王子殿下を傀儡にし裏で簒奪を企てておいでだったのですかな?」
宰相は濃い眉の奥の瞳から睨みつけた。
「まさかっ! そのようなこと考えたこともありませんっ!」
「ないですっ! ないですっ!」
当主たちは膝立ちで慌てて手を振り首を振り懸命に否定した。
『ゴンっ!』
小槌の音で誰もが口を閉ざす。
「宰相。そこまででよい」
「はい」
宰相は国王陛下の言ににっこりとして頷いた。
「二人共。ワシとてそなたたちが宰相の言うような企てをしていたとは思っておらん。
だが、推薦人という立場を利用し能力のない者を送り込んだことは事実だ。
これはこの二人だけに申しているのではない。推薦人が賄賂を受け取り採用させていることも知っている。推薦枠を売りその後も金銭授受している者もおると報告されている」
数人の聴衆が青褪める。能力がない者たちからこそたくさんの賄賂を受け取れるので余計にそれが横行していた。
「ここに揃う者たちは推薦人または高位役職につきし者たちであるな。
心して聞け。本日をもって推薦人制度を廃止とする」
国王陛下の厳かな声に誰もが息を呑んだ。
「そして、推薦雇用で勤務している三十歳以下の者たちは文官採用試験の筆記テストを行い能力に見合った役職にせよ。
武官は実技テストを行うように」
これまでは推薦雇用者の方が断然昇進している。
宰相の言葉に当主たちはブンブンと首を縦に振った。再び手を挙げ宰相が発言を促す。
「第一王子殿下の側近は数名が首になっていますよね? 我が息子はそうならなかった。仕事ができるからではないのですか?」
「先程申したようにその首になったとされる者たちは殿下と共に名前のあった者たちですよ。彼らは採用試験を経て勤務しておりますので部署変更しただけで解雇はされておりません。
どうしてそちらの任を解いたのかは第一王子殿下からまだ何も聞いておりませんのでわかりかねます」
「我らの息子は第一王子殿下から信頼されているのでは?」
「そうですよっ! 事務能力や武力だけでなく第一王子殿下の信頼は我らの息子にあるということなのではないのですか?」
「だといいですね。それについては後程第一王子殿下にお聞きすることにいたしましょう」
二人は『よしっ!』と互いに頷きあった。
「ですが、お二人はドリテンとソナハス両名の武術について自分より優秀な者が見ている、家庭教師が良いと言えば問題ないと発言しておりますが誰のことなのでしょうか?」
「それは……」
「誰……」
喜びもつかの間。今度は自分の行動に指摘が入りしどろもどろになる。
「ああ。すみません。話が逸れましたな。それが誰であるかは関係ありませんでしたな。ホッホッホ」
二人が肩を落としてホッとする。
「お二人が推薦人として採用者の武術を確認する義務を怠ったのですねということです」
当主たちは顔を赤から青にした。上げられたり下げられたりと大変に忙しい。心臓が保てばよいが。
「えー、次に事務能力についてですが」
文官の一人が後ろから宰相へ別の書類を渡す。宰相がそれを確認している間、場が静まった。
「これはこれは……」
宰相が顔を上げる。
「王太子妃様になられることがお決まりであられるエーティル様のご指示でドリテンとソナハス両名に文官試験の筆記テストを受けさせその結果が出たようです」
宰相はテストを見せるように前に出す。
「初級試験を不合格という結果になっておりますぞ」
聴衆は一層ざわめき当主たちは膝から崩れ落ちた。心臓は保ったが膝は保たなかった。
「いくらご自身方のご三男ご次男とはいえこのような者を第一王子殿下の側近に推薦したとなると、国家を揺るがすつもりだったのですかな?
それとも第一王子殿下を傀儡にし裏で簒奪を企てておいでだったのですかな?」
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「まさかっ! そのようなこと考えたこともありませんっ!」
「ないですっ! ないですっ!」
当主たちは膝立ちで慌てて手を振り首を振り懸命に否定した。
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小槌の音で誰もが口を閉ざす。
「宰相。そこまででよい」
「はい」
宰相は国王陛下の言ににっこりとして頷いた。
「二人共。ワシとてそなたたちが宰相の言うような企てをしていたとは思っておらん。
だが、推薦人という立場を利用し能力のない者を送り込んだことは事実だ。
これはこの二人だけに申しているのではない。推薦人が賄賂を受け取り採用させていることも知っている。推薦枠を売りその後も金銭授受している者もおると報告されている」
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心して聞け。本日をもって推薦人制度を廃止とする」
国王陛下の厳かな声に誰もが息を呑んだ。
「そして、推薦雇用で勤務している三十歳以下の者たちは文官採用試験の筆記テストを行い能力に見合った役職にせよ。
武官は実技テストを行うように」
これまでは推薦雇用者の方が断然昇進している。
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