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15 第一王子側近たち「僕たち高位貴族子息です!」
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「それにしても、いつか彼らはわたくしの元へいらっしゃるとはわかっていましたけど場所は庭園辺りだと思っていたわ。あんなに人の目が近くにあり注目を浴びるようなところでやるなんて……」
エーティルが小首を傾げる。確かに庭園なら食堂よりひしめき合っているわけはないし騒ぎがあってもおいそれとは近寄れない。食堂では格好の話題の餌食になることは必至である。
「それも作戦の一部かと思われます」
「そうなの? 本当にいい性格しているわ」
エーティルは男の顔を思い浮かべ呆れたという息を吐いた。
「そろそろお時間でございますのでお支度を始めさせてくださいませ」
エーティルは身支度を手伝うメイドたちに囲まれ鏡に向い気持ちを整えて再び戦闘態勢へと面持ちを変えていった。
エーティルが第二裁判室へ行くと側近二人が近衛兵たちに向かって何やら騒いでいた。
「どういたしましたの?」
エーティルは扉の警護をしている近衛兵に尋ねる。
「自分たちは公爵家侯爵家の人間だからもっと大事に扱えと……。王子殿下方がいらっしゃらないので無礼講などありえないと言われ反論もできませんでした」
今日配置されている近衛兵には確かに公爵家侯爵家の者は含まれていなかった。
侯爵家以上の子息は余程の変わり者でないかぎり第一師団に配属されるため第三師団にはドリテンとソナハスより身分の高い者はいない。先程までの裁判で今回の警備が第三師団第二部隊であることがわかっているので二人は強く出たのだった。
「家格を重んじるのならわたくしが話した方がよさそうね」
エーティルは公爵令嬢であり王太子妃であるので側近たちより家格も立場も上だ。そういうものを利用することを好まないエーティルだがその利用価値は理解しているので使わなければならないところで躊躇することはない。
エーティルはリタが引いた椅子に座ると下に座る裁判官に目で合図し裁判官は小槌を鳴らした。
喚き散らしエーティルの入室にも気が付かなかった側近たちが裁判長席に振り向いた。エーティルに対しては口も開けずエーティルの言葉を待つ。
「いかがなさいましたか?」
エーティルは女神の微笑みで尋ねる。その笑顔に簡単に騙される側近二人は縋るような目で見上げた。
エーティルはその視線だけで暗澹たる思いを持った。
『この方たちは本当に高位貴族家として教育を受けていらっしゃるのかしら?』
エーティルの心配を他所に側近二人は全てを受け入れてもらえると思いまくしたてるように話を始めた。
「エーティル様! 父上に会わせてください。父上から話をしてもらえば全ては勘違いだと証明してもらえるはずです!」
『近衛兵に投げ飛ばされたくらいでは寄生精神は直りはしませんわね』
エーティルは微笑みを崩さず優しく諭す。
「お二人のご要望はすでに国王陛下に取り次いでおります。国王陛下のご判断で良きに取り計らっていただけますよ」
「本当ですか!? よかったぁ」
国王陛下がどう判断し誰にとって良きに取り計られるのかをエーティルは明言していないが側近たちは当然自分たちの言い分が通るのだと思い込み安堵の表情になった。側近たちの父親である公爵家侯爵家の当主は高官をしており王城にいるはずなので要請が通ればすぐに現れるのだと二人は信じている。
すぐに弁護人席近くの扉が開いた。二人は目を輝かせて期待したが現れたのはラオルドであり奥の扉から現れたのはキリアだった。
「早く席に座りなさい」
側近二人とエーティルとのやり取りを知ってか知らずかキリアは側近たちに着席命令を出す。近衛兵に引っ張られるように座らされる。
「では始める」
キリアの冷静な言葉に場が引き締まった。それに慌てたのは側近たちである。エーティルに救いを求めるような視線を送る。
「何かありましたか?」
その視線に気がついたキリアがエーティルに僅かに顔を寄せて小声を出した。エーティルは微笑を側近たちに向けたまま小声で答える。
エーティルが小首を傾げる。確かに庭園なら食堂よりひしめき合っているわけはないし騒ぎがあってもおいそれとは近寄れない。食堂では格好の話題の餌食になることは必至である。
「それも作戦の一部かと思われます」
「そうなの? 本当にいい性格しているわ」
エーティルは男の顔を思い浮かべ呆れたという息を吐いた。
「そろそろお時間でございますのでお支度を始めさせてくださいませ」
エーティルは身支度を手伝うメイドたちに囲まれ鏡に向い気持ちを整えて再び戦闘態勢へと面持ちを変えていった。
エーティルが第二裁判室へ行くと側近二人が近衛兵たちに向かって何やら騒いでいた。
「どういたしましたの?」
エーティルは扉の警護をしている近衛兵に尋ねる。
「自分たちは公爵家侯爵家の人間だからもっと大事に扱えと……。王子殿下方がいらっしゃらないので無礼講などありえないと言われ反論もできませんでした」
今日配置されている近衛兵には確かに公爵家侯爵家の者は含まれていなかった。
侯爵家以上の子息は余程の変わり者でないかぎり第一師団に配属されるため第三師団にはドリテンとソナハスより身分の高い者はいない。先程までの裁判で今回の警備が第三師団第二部隊であることがわかっているので二人は強く出たのだった。
「家格を重んじるのならわたくしが話した方がよさそうね」
エーティルは公爵令嬢であり王太子妃であるので側近たちより家格も立場も上だ。そういうものを利用することを好まないエーティルだがその利用価値は理解しているので使わなければならないところで躊躇することはない。
エーティルはリタが引いた椅子に座ると下に座る裁判官に目で合図し裁判官は小槌を鳴らした。
喚き散らしエーティルの入室にも気が付かなかった側近たちが裁判長席に振り向いた。エーティルに対しては口も開けずエーティルの言葉を待つ。
「いかがなさいましたか?」
エーティルは女神の微笑みで尋ねる。その笑顔に簡単に騙される側近二人は縋るような目で見上げた。
エーティルはその視線だけで暗澹たる思いを持った。
『この方たちは本当に高位貴族家として教育を受けていらっしゃるのかしら?』
エーティルの心配を他所に側近二人は全てを受け入れてもらえると思いまくしたてるように話を始めた。
「エーティル様! 父上に会わせてください。父上から話をしてもらえば全ては勘違いだと証明してもらえるはずです!」
『近衛兵に投げ飛ばされたくらいでは寄生精神は直りはしませんわね』
エーティルは微笑みを崩さず優しく諭す。
「お二人のご要望はすでに国王陛下に取り次いでおります。国王陛下のご判断で良きに取り計らっていただけますよ」
「本当ですか!? よかったぁ」
国王陛下がどう判断し誰にとって良きに取り計られるのかをエーティルは明言していないが側近たちは当然自分たちの言い分が通るのだと思い込み安堵の表情になった。側近たちの父親である公爵家侯爵家の当主は高官をしており王城にいるはずなので要請が通ればすぐに現れるのだと二人は信じている。
すぐに弁護人席近くの扉が開いた。二人は目を輝かせて期待したが現れたのはラオルドであり奥の扉から現れたのはキリアだった。
「早く席に座りなさい」
側近二人とエーティルとのやり取りを知ってか知らずかキリアは側近たちに着席命令を出す。近衛兵に引っ張られるように座らされる。
「では始める」
キリアの冷静な言葉に場が引き締まった。それに慌てたのは側近たちである。エーティルに救いを求めるような視線を送る。
「何かありましたか?」
その視線に気がついたキリアがエーティルに僅かに顔を寄せて小声を出した。エーティルは微笑を側近たちに向けたまま小声で答える。
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