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12 女性騎士『公爵令嬢のためなら走ります!』
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「す、すみばじぇんっ! 側妃様のお仕事は存じ上げぇておじまじぇん」
「王子ぼ産むごどが仕事だとぉ」
側近二人は泣きながら訴える。
『第一王子殿下の側近として何を学んでいらっしゃったのかしら? ウェルシェ嬢を側妃になさりたいならまずは自分たちが側妃について学ぶべきでしょう?
彼らには向上心とか忠誠心などはないのかしら?』
エーティルは側近の無知さ加減に哀れささえ感じるようになっていた。
キリアの攻撃の手は緩まることはない。
「それを知らぬとしても側妃を決めるのは正妃様の権限であることも知らぬのか!?」
後宮を心地よくしておくため正妃――王妃陛下――が側妃を誰にするか何人にするかを決めることになっている。国王陛下は一応希望は正妃に伝えることは許されているが、強制はできない。
現在の側妃はキリアの母一人。正妃であるラオルドの母はラオルドを産んで体を壊し二人目を早々に諦めて側妃を迎えたのだ。
「知っちぇおじましゅ」
「知っていて対峙させたのかっ!? エーティル嬢がそのバカ女を側妃にお選びになると思っているのか!?」
キリアがドンッと大きな音をたてて机を拳で叩いた。このように感情を見せるキリアも珍しい。エーティルはキリアを慮り顔を近づかせて声をかける。
「キリア様。一旦休憩いたしましょう」
「…………」
キリアは目を伏せて黙った。興奮状態であることの自覚はある。
キリアが拒否をしなかったことを肯定と取りエーティルが仕切る。
「一度休憩といたします。ラオルド第一王子殿下はお部屋へお戻りになってください。
側近二人は執事部屋へ連れていき着替えをさせるように。
ウェルシェ嬢にはそのままの状態でメイド部屋の一つを充てがいなさい。ウェルシェ嬢にはもう聞くこともないと思うので終わるまでその部屋でいいわ。
それからメイドにここの掃除の指示を。
続きは二時間後、隣の第二裁判室で行います」
エーティルの透き通った声に誰もが集中している。急遽の掃除は側近たちが失禁したためだ。
「第三師団第二部隊隊長」
「はっ!」
「細かい指示と人選は任せます。ただし万が一などないようにしてくださいね」
父親まで名前の出た側近二人が自害する危険も無きにしもあらずである。寄生することしか考えてなさそうな二人が自害の度胸があるとは思えないが完全に放置というわけにもいかない。
「かしこまりました」
カティドが頭を垂れればその部屋にいる近衛兵が一斉に敬礼した。
「それから、二人の事務能力が知りたいわ。その二人に文官採用試験の筆記テストをやらせなさい」
「かしこまりました。そちらも手配いたします」
まずは第一王子としてラオルドが近衛兵とともに退室し、キリアはムーガの隣りにいたキリアの側近たちに促されて退室した。次にエーティルがムーガを先頭にサナとリタを引き連れて退室していった。
それを見届けたカティドがその場を仕切っていった。
エーティルには王太子妃と同等としてすでに王宮内に部屋が充てがわれている。
サナとリタではないメイドがお茶を入れるがエーティルはそれに手を付けずソファに深く座り込み肩でため息を吐き目を閉じた。
「ごめんなさいね。必ずいただくからこのまま置いておいて」
「かしこまりました。カスタードプリンもございますのでいつでもお声掛けくださいませ」
「え!? あるの?」
慌てて起き上がるエーティルの瞳は先程までの死んだようなものとは違いキラキラと期待にあふれている。
「リタさんが持ってきてくださいました」
「リタ! ありがとう! 是非いただくわ」
「とんでもないことでございます。エーティル様にお喜びいただけましたらそれだけで幸せでございます」
可愛らしく胸の前で手を組んだリタは先程の戦闘を見せた者には全く見えない。
「王子ぼ産むごどが仕事だとぉ」
側近二人は泣きながら訴える。
『第一王子殿下の側近として何を学んでいらっしゃったのかしら? ウェルシェ嬢を側妃になさりたいならまずは自分たちが側妃について学ぶべきでしょう?
彼らには向上心とか忠誠心などはないのかしら?』
エーティルは側近の無知さ加減に哀れささえ感じるようになっていた。
キリアの攻撃の手は緩まることはない。
「それを知らぬとしても側妃を決めるのは正妃様の権限であることも知らぬのか!?」
後宮を心地よくしておくため正妃――王妃陛下――が側妃を誰にするか何人にするかを決めることになっている。国王陛下は一応希望は正妃に伝えることは許されているが、強制はできない。
現在の側妃はキリアの母一人。正妃であるラオルドの母はラオルドを産んで体を壊し二人目を早々に諦めて側妃を迎えたのだ。
「知っちぇおじましゅ」
「知っていて対峙させたのかっ!? エーティル嬢がそのバカ女を側妃にお選びになると思っているのか!?」
キリアがドンッと大きな音をたてて机を拳で叩いた。このように感情を見せるキリアも珍しい。エーティルはキリアを慮り顔を近づかせて声をかける。
「キリア様。一旦休憩いたしましょう」
「…………」
キリアは目を伏せて黙った。興奮状態であることの自覚はある。
キリアが拒否をしなかったことを肯定と取りエーティルが仕切る。
「一度休憩といたします。ラオルド第一王子殿下はお部屋へお戻りになってください。
側近二人は執事部屋へ連れていき着替えをさせるように。
ウェルシェ嬢にはそのままの状態でメイド部屋の一つを充てがいなさい。ウェルシェ嬢にはもう聞くこともないと思うので終わるまでその部屋でいいわ。
それからメイドにここの掃除の指示を。
続きは二時間後、隣の第二裁判室で行います」
エーティルの透き通った声に誰もが集中している。急遽の掃除は側近たちが失禁したためだ。
「第三師団第二部隊隊長」
「はっ!」
「細かい指示と人選は任せます。ただし万が一などないようにしてくださいね」
父親まで名前の出た側近二人が自害する危険も無きにしもあらずである。寄生することしか考えてなさそうな二人が自害の度胸があるとは思えないが完全に放置というわけにもいかない。
「かしこまりました」
カティドが頭を垂れればその部屋にいる近衛兵が一斉に敬礼した。
「それから、二人の事務能力が知りたいわ。その二人に文官採用試験の筆記テストをやらせなさい」
「かしこまりました。そちらも手配いたします」
まずは第一王子としてラオルドが近衛兵とともに退室し、キリアはムーガの隣りにいたキリアの側近たちに促されて退室した。次にエーティルがムーガを先頭にサナとリタを引き連れて退室していった。
それを見届けたカティドがその場を仕切っていった。
エーティルには王太子妃と同等としてすでに王宮内に部屋が充てがわれている。
サナとリタではないメイドがお茶を入れるがエーティルはそれに手を付けずソファに深く座り込み肩でため息を吐き目を閉じた。
「ごめんなさいね。必ずいただくからこのまま置いておいて」
「かしこまりました。カスタードプリンもございますのでいつでもお声掛けくださいませ」
「え!? あるの?」
慌てて起き上がるエーティルの瞳は先程までの死んだようなものとは違いキラキラと期待にあふれている。
「リタさんが持ってきてくださいました」
「リタ! ありがとう! 是非いただくわ」
「とんでもないことでございます。エーティル様にお喜びいただけましたらそれだけで幸せでございます」
可愛らしく胸の前で手を組んだリタは先程の戦闘を見せた者には全く見えない。
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