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11 第二王子「側妃の仕事を舐めるなっ!」
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サナとリタは裏階段へ行き扉からエーティルの後ろへ回るのではなく、裁判官机の突起をうまく使ってスルスルと登ってきてエーティルの後ろについた。
「貴女たち。あれだけ暴れてよくスカートが捲れたりしないわね。あのようなところから登ってはスカートの中が見えてしまうわよ」
エーティルが感心と心配と呆れを混ぜて聞くとサナとリタがイタズラを成功させた少女のように笑顔になる。
「これ、スカートのフリをしたズボンみたいなものなのです。少年が履くようなズボンにたくさんのパニエを付けてその上にメイド服のスカートを被せてあるのですよ。
ですから絶対にスカートは捲れませんし、見えても少年用ズボンです」
二人がスカートを持ち上げるが本当に足が晒されることはなかった。
「ほぉ。そういうところもエーティル嬢を守る工夫がされているのだな。素晴らしい」
「「ありがとうございます」」
二人はスカートの脇を摘んでキリアに向かって小さなカーテシーをした。
「部屋を元へ戻せ」
「「「はっ」」」
近衛兵たちがテキパキと裁判室を元の状態に戻し側近たちもラオルドの前の席に座らされた。
唯一ウェルシェだけは戻されず、部屋の隅で未だにうめき声を上げている。
「お前たちの護衛としての実力を虚偽報告したのはお前たちの親だな」
萎れている側近たちは頷く他にない。
「そうか。お前たちの公爵家侯爵家は王家を愚弄しているのか?」
「「ひゃい??」」
泣き顔の引き攣り顔で返事をした二人は何を言われているのか頭をフル回転させてみたが答えは出ない。
「それともラオルド第一王子殿下を亡き者にしようと画策しているのか?」
キリアの顔はどんどんと厳しくなっていきラオルドは弁護人席でどんどん俯いていく。
「もしや第一王子殿下殺害を皮切りに王家全員に手をかけ国家簒奪を狙っているのか?
それとも内乱を起こして国家転覆を図っているのか?」
『国家を乗っ取るつもりなのか』と聞かれてやっとマズさに気がついた二人は必死に首を横に振る。
「その場合はお前たちはただの駒として使われていたことになるな。駒に何を聞いてもわからないだろう。
ではお前たちにも答えられる質問に変えよう」
キリアが一つ咳払いをして仕切り直す。
「お前たちは何をどう考えたらあの女とエーティル嬢を対峙させようと思えるのだ?」
「ウェルシェ嬢が側妃となるためにエーティル様にラオルド殿下を選んでくれるようお願いするものだと思っていたのです」
確かに国王陛下のみが側妃を許されているのだからラオルドが側妃を持つためには王太子にならなくてはならない。エーティルは少しだけ納得した。
しかし、この話で隣の男がブリザードになった。
「きさまら……。俺の母上を侮辱しているのか?」
「「ヒェッ~~」」
十八歳のキリアの凄みに二十四歳の側近二人は椅子から転げ落ちて失禁した。ケイルとヨハンに投げられても失禁まではしなかったが王家を名乗る者の迫力には屈した。
『根っからの寄生性質貴族なのね』
その様子に呆れているのはエーティルだけではない。父親に寄生し職を得て、第一王子に寄生し安定を得て、側妃に寄生して未来を得ようとしていると見受けられる。だからこそ王族からの睨みに耐えられなかったのだろう。
『キリア様は大丈夫なのかしら?』
横に座るキリアを心配そうに見つめるエーティルの目にこれまで見たことがないほど怒りを表しているキリアがいた。
キリアがブリザードになったことには理由がある。
第二王子キリアと第三王子メルキト、そして第四王子は側妃の子供だ。正妃の子供は第一王子ラオルドだけだ。
「そのバカ女に俺の母上のような仕事ができると思っているのかっ! まさか、側妃が着飾ってお茶飲んで過ごせると思っているわけではあるまいなっ!?」
側妃は忙しい王妃陛下の代わりに後宮を仕切ったりもてなしの準備をしたり王妃陛下や自分の衣装や装飾品に気を配ったりする。女官長のような役割だ。第二側妃を迎えたとしても、第二側妃は女官副長のようになる。
ちなみに、側妃を迎えなかった場合は女官長を雇うのだ。
それほど側妃はしっかりとした役割を持っている。
「貴女たち。あれだけ暴れてよくスカートが捲れたりしないわね。あのようなところから登ってはスカートの中が見えてしまうわよ」
エーティルが感心と心配と呆れを混ぜて聞くとサナとリタがイタズラを成功させた少女のように笑顔になる。
「これ、スカートのフリをしたズボンみたいなものなのです。少年が履くようなズボンにたくさんのパニエを付けてその上にメイド服のスカートを被せてあるのですよ。
ですから絶対にスカートは捲れませんし、見えても少年用ズボンです」
二人がスカートを持ち上げるが本当に足が晒されることはなかった。
「ほぉ。そういうところもエーティル嬢を守る工夫がされているのだな。素晴らしい」
「「ありがとうございます」」
二人はスカートの脇を摘んでキリアに向かって小さなカーテシーをした。
「部屋を元へ戻せ」
「「「はっ」」」
近衛兵たちがテキパキと裁判室を元の状態に戻し側近たちもラオルドの前の席に座らされた。
唯一ウェルシェだけは戻されず、部屋の隅で未だにうめき声を上げている。
「お前たちの護衛としての実力を虚偽報告したのはお前たちの親だな」
萎れている側近たちは頷く他にない。
「そうか。お前たちの公爵家侯爵家は王家を愚弄しているのか?」
「「ひゃい??」」
泣き顔の引き攣り顔で返事をした二人は何を言われているのか頭をフル回転させてみたが答えは出ない。
「それともラオルド第一王子殿下を亡き者にしようと画策しているのか?」
キリアの顔はどんどんと厳しくなっていきラオルドは弁護人席でどんどん俯いていく。
「もしや第一王子殿下殺害を皮切りに王家全員に手をかけ国家簒奪を狙っているのか?
それとも内乱を起こして国家転覆を図っているのか?」
『国家を乗っ取るつもりなのか』と聞かれてやっとマズさに気がついた二人は必死に首を横に振る。
「その場合はお前たちはただの駒として使われていたことになるな。駒に何を聞いてもわからないだろう。
ではお前たちにも答えられる質問に変えよう」
キリアが一つ咳払いをして仕切り直す。
「お前たちは何をどう考えたらあの女とエーティル嬢を対峙させようと思えるのだ?」
「ウェルシェ嬢が側妃となるためにエーティル様にラオルド殿下を選んでくれるようお願いするものだと思っていたのです」
確かに国王陛下のみが側妃を許されているのだからラオルドが側妃を持つためには王太子にならなくてはならない。エーティルは少しだけ納得した。
しかし、この話で隣の男がブリザードになった。
「きさまら……。俺の母上を侮辱しているのか?」
「「ヒェッ~~」」
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横に座るキリアを心配そうに見つめるエーティルの目にこれまで見たことがないほど怒りを表しているキリアがいた。
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