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9 女性騎士「「もちろん殺りますよ」」
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「だ、そうだがどうする?」
キリアはサナとリタの方は向かずに尋ねる。
「「もちろん殺りますよ」」
言うが早いか二人のメイドは三飛びで被告人席があった辺りへ着いた。
「サナ。リタ。ほどほどに、よ」
「「かしこまりました」」
エーティルがため息とともに二人のメイドに声をかける。
「ケイル、ヨハン。相手をしろ」
隊長がため息とともに指名した。
「いやっ! ちょっと待ってくださいよ! なんで俺たちなんですか?」
「こんなん無理ですよっ! 『殺る』の気合が半端ないしっ! 模擬戦ってわかってますか?」
「私達はいつでも殺る気満々だもん」
リタがニヤリと笑った。
普通の男なら「やる気」と聞こえるので膝丈スカートに黒のハイソックスのメイドに言われたら鼻血を出しそうなセリフだが必死で『やる』を回避しようとしているケイルとヨハンには「殺る」と通じている。
「「隊長!!!」」
半泣きで訴えるケイルとヨハン。
「殿下方の御前だぞ」
「かまわん。その者たちも怪我などしたくはないだろう。しばらくは言葉も無礼講としよう」
二人はペコリとキリアに頭を下げると隊長の元へ行く。
「怪我をさせるわけにはいかないだろうがっ!」
隊長の言う説得理由をそうだろうなとはわかっていた二人。
「せめてっ! せめて甲冑は脱がせてください」
「え? そんなのズルい」
「僕たちには防御の甲冑を着ていたじゃないですかっ!」
他の隊員に襟首を掴まれて端へと片付けられていたドリテンとソナハスが叫ぶ。
『女性には手を抜くのか? 女性には怪我をさせるわけにはいかないのか?』
ドリテンとソナハスは大変に勘違い甚だしい。
「お前ら本当にバカだなっ!」
「甲冑なんてもんは剣や槍や弓を相手にするから防御に役立つ物なんだよっ!
こんな重い物、体術には邪魔でしょうがないだろうがっ!」
「だって、僕たちには使ったではないですかっ!」
「あの方方はお前らの数十倍いや数百倍お強いんだ! お前らごときに脱ぐ必要もなかったんだ! なんなら脱いで再戦か? 今度は手加減しないぞっ!」
「そうだな。背負って投げるだけではなく腹に一発決めてやるっ」
「「ひっ!!」」
側近たちはケイルとヨハンの先程までと違う表情に膝を抱えて小さくなった。確かに先程はキレイに背中から床に投げられたし、投げたケイルとヨハンが側近たちの腕を持って衝撃も和らげていた。
「チッ! 手加減されたことも気が付かないのかよっ」
近衛兵は貴族家の次男以下である。ケイルとヨハンの家も子爵家の者なので本来公爵家侯爵家子息の側近二人にこのような口で話すことは憚られることだがキリアから「無礼講」の許可が出ているので遠慮なく暴言を吐く。
「脱げばどうにかできると思うなら脱げばいいじゃないの」
サナがわざとらしい優しい口調で笑顔だった。
「どうせなら私達が着ようか?」
リタは意地悪そうにニタリと笑った。
「それいいわねぇ」
「「あはははは」」
苦虫を噛み潰したような顔をしたケイルとヨハンだが身のためには小さなプライドなど意味はないのが騎士である。
「では遠慮なく」
二人は甲冑を脱いで丁寧に壁際に置いた。体術には必要ないというだけで実践で剣や槍を主に使う騎士にとって必要不可欠な物なので大事に扱う。
ケイルとヨハンは甲冑を置きながら相談する。
「お前。ねぇさんたちに一蹴りでも入れることができたことある?」
「あるわけないだろう! ケイルは?」
「俺もない。そもそもねぇさんたちにはあまり稽古つけてもらわないし」
「だよな。にぃさんたちが止めるもんな」
「「『あいつら悪ふざけが過ぎるから危ない』って」」
二人は首をガクリと落とす。
「「…………はぁ」」
「隊長もこれまで止めてくれていたのにこのタイミングだもんなぁ」
「殿下命令だから断われないのだろう」
二人は後ろに首を動かした。サナとリタの奥にカティド第三師団第二部隊隊長が憂いを帯びた笑みをしている。
「負けても懲罰王城マラソンは無さそうだな」
二人は再びため息を零す。
『ガシッ!』
二人の間に顔を出した近衛兵が二人の肩に手を乗せた。
「もし勝ったら俺の役職を譲ってやる」
「「本当ですかっ!?」」
この近衛兵は小隊副長である。
「負けても骨は拾ってやるから安心しろ」
二人は副長の手を払って睨みつけた。普段からおちゃらける副長なのでそのような態度をしても怒ることはない。
「鍛錬だと思って思いっきりやってこいっ!」
「「はいっ!」」
二人は立ち上がって位置についた。
リタが手を前に出してクイックイッと指を持ち上げ『来い来い』と煽りサナがそれを面白そうに笑うがケイルとヨハンはサナとリタよりは多少体格はいい。
「三分間攻撃だけさせてあげる。三分以内に私達の後ろにある副裁判長の机に触れてみなさいな。あ、貴方たちを行かせないための攻撃は許してね」
サナが親切な提案をする。
キリアはサナとリタの方は向かずに尋ねる。
「「もちろん殺りますよ」」
言うが早いか二人のメイドは三飛びで被告人席があった辺りへ着いた。
「サナ。リタ。ほどほどに、よ」
「「かしこまりました」」
エーティルがため息とともに二人のメイドに声をかける。
「ケイル、ヨハン。相手をしろ」
隊長がため息とともに指名した。
「いやっ! ちょっと待ってくださいよ! なんで俺たちなんですか?」
「こんなん無理ですよっ! 『殺る』の気合が半端ないしっ! 模擬戦ってわかってますか?」
「私達はいつでも殺る気満々だもん」
リタがニヤリと笑った。
普通の男なら「やる気」と聞こえるので膝丈スカートに黒のハイソックスのメイドに言われたら鼻血を出しそうなセリフだが必死で『やる』を回避しようとしているケイルとヨハンには「殺る」と通じている。
「「隊長!!!」」
半泣きで訴えるケイルとヨハン。
「殿下方の御前だぞ」
「かまわん。その者たちも怪我などしたくはないだろう。しばらくは言葉も無礼講としよう」
二人はペコリとキリアに頭を下げると隊長の元へ行く。
「怪我をさせるわけにはいかないだろうがっ!」
隊長の言う説得理由をそうだろうなとはわかっていた二人。
「せめてっ! せめて甲冑は脱がせてください」
「え? そんなのズルい」
「僕たちには防御の甲冑を着ていたじゃないですかっ!」
他の隊員に襟首を掴まれて端へと片付けられていたドリテンとソナハスが叫ぶ。
『女性には手を抜くのか? 女性には怪我をさせるわけにはいかないのか?』
ドリテンとソナハスは大変に勘違い甚だしい。
「お前ら本当にバカだなっ!」
「甲冑なんてもんは剣や槍や弓を相手にするから防御に役立つ物なんだよっ!
こんな重い物、体術には邪魔でしょうがないだろうがっ!」
「だって、僕たちには使ったではないですかっ!」
「あの方方はお前らの数十倍いや数百倍お強いんだ! お前らごときに脱ぐ必要もなかったんだ! なんなら脱いで再戦か? 今度は手加減しないぞっ!」
「そうだな。背負って投げるだけではなく腹に一発決めてやるっ」
「「ひっ!!」」
側近たちはケイルとヨハンの先程までと違う表情に膝を抱えて小さくなった。確かに先程はキレイに背中から床に投げられたし、投げたケイルとヨハンが側近たちの腕を持って衝撃も和らげていた。
「チッ! 手加減されたことも気が付かないのかよっ」
近衛兵は貴族家の次男以下である。ケイルとヨハンの家も子爵家の者なので本来公爵家侯爵家子息の側近二人にこのような口で話すことは憚られることだがキリアから「無礼講」の許可が出ているので遠慮なく暴言を吐く。
「脱げばどうにかできると思うなら脱げばいいじゃないの」
サナがわざとらしい優しい口調で笑顔だった。
「どうせなら私達が着ようか?」
リタは意地悪そうにニタリと笑った。
「それいいわねぇ」
「「あはははは」」
苦虫を噛み潰したような顔をしたケイルとヨハンだが身のためには小さなプライドなど意味はないのが騎士である。
「では遠慮なく」
二人は甲冑を脱いで丁寧に壁際に置いた。体術には必要ないというだけで実践で剣や槍を主に使う騎士にとって必要不可欠な物なので大事に扱う。
ケイルとヨハンは甲冑を置きながら相談する。
「お前。ねぇさんたちに一蹴りでも入れることができたことある?」
「あるわけないだろう! ケイルは?」
「俺もない。そもそもねぇさんたちにはあまり稽古つけてもらわないし」
「だよな。にぃさんたちが止めるもんな」
「「『あいつら悪ふざけが過ぎるから危ない』って」」
二人は首をガクリと落とす。
「「…………はぁ」」
「隊長もこれまで止めてくれていたのにこのタイミングだもんなぁ」
「殿下命令だから断われないのだろう」
二人は後ろに首を動かした。サナとリタの奥にカティド第三師団第二部隊隊長が憂いを帯びた笑みをしている。
「負けても懲罰王城マラソンは無さそうだな」
二人は再びため息を零す。
『ガシッ!』
二人の間に顔を出した近衛兵が二人の肩に手を乗せた。
「もし勝ったら俺の役職を譲ってやる」
「「本当ですかっ!?」」
この近衛兵は小隊副長である。
「負けても骨は拾ってやるから安心しろ」
二人は副長の手を払って睨みつけた。普段からおちゃらける副長なのでそのような態度をしても怒ることはない。
「鍛錬だと思って思いっきりやってこいっ!」
「「はいっ!」」
二人は立ち上がって位置についた。
リタが手を前に出してクイックイッと指を持ち上げ『来い来い』と煽りサナがそれを面白そうに笑うがケイルとヨハンはサナとリタよりは多少体格はいい。
「三分間攻撃だけさせてあげる。三分以内に私達の後ろにある副裁判長の机に触れてみなさいな。あ、貴方たちを行かせないための攻撃は許してね」
サナが親切な提案をする。
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