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理由14 犯罪だから
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ローダン男爵たちが売買した薬で、何人もがすでに廃人になっていた。重依存者は多数で、彼らも廃人になるか治癒できるかは不明だ。
ローダン男爵を使っていた犯罪集団は身の危険をいち早く察し、口を封じるべく、スザンヌに殺し屋を差し向けた。ナハトはそれを待ち受けていたのだ。証人たるスザンヌを助け、殺し屋グループの数人を捕らえた。
アドムは殺人未遂とする証拠と殺しを請け負う者たちを捕えることが必要だろうと、わざと食堂から逃げるスザンヌを見逃していた。
がめついローダン男爵夫妻は、金目の物を集めているところ、団長より先に到着したアシャード隊に家を囲まれた。ローダン男爵夫妻にも殺し屋が回されており、アシャード隊に捕縛された。ローダン男爵夫妻はがめつさ故に命拾いしたと言える。
〰️
ローダン男爵家はお家取り潰しだ。男爵、夫人、スザンヌ、使用人や商人も含めて、催淫剤を知る者たちは、男たちは鉱山送り、女たちは港町送りとなった。鉱山も港町も高い塀に囲まれて逃げることはできない。
女たちは港町で主に加工の仕事をさせられる。それで済めばいい方だ……。
彼らの給与は薬中毒を治療する人々や、薬で死亡した者の残された家族に使われる。その金額は莫大で彼らが鉱山から出られる日は来ない。
犯罪者集団のリーダー格三名だけは絞首刑となった。彼らなら脱獄もありえると判断されたのだ。
催淫剤を利用した犯罪であることは正式に発表され、副作用で廃人になることも発表した。それを踏まえて、改めて禁止薬物だと厳命された。
「やましい場所に行くからそんなものを使われるのだ。彼らは自分に甘かっただけ。そのような者が後継となるのは緩やかな没落を招くことになる。女性に捨てられて当然だ」
誰の言葉なのかは不明だが、この言葉が社交界で噂になった。そのおかげで女性に捨てられないように努力する男性が増えた。学園では、一時期でもスザンヌに心を奪われた者たちが死物狂いで勉学に勤しんだ。
〰️
アシャード侯爵家は、サバルの姉の息子が後継者となることになった。サバルの姉は伯爵家に嫁いだが戦争未亡人になってしまっていた。伯爵家はアシャード侯爵家との話し合いで、幼い孫ではなく、すでに領地経営に携わらせている次男を後継者とすることを決め、サバルの姉は息子とともにアシャード侯爵家へ戻ってきた。
アシャード侯爵閣下は、孫を後継として鍛えるべく、益々若々しくなり張り切っている。孫はサバルよりは剣の才能はあるようだ。まだ幼いので知力はわからない。
モリト公爵家は、ライジーノの弟が猛勉強しているが、公爵夫人を狙う女性たちへの対応を勉強させる方が先かと、モリト公爵閣下は悩んでいるようだ。兄弟が二人とも女性で躓くとあっては問題だ。
とはいえ、まだ十四歳。来年度、学園へ入学だ。次男本人は、首席で入学するために頑張っている。
〰️ 〰️
事件から三か月後、卒業式の後、卒業ダンスパーティーが例年通り開催された。
ベレナとナナリーとジゼーヌはエスコートなしで入場してきた。
ナナリーはベレナに問うた。
「ナハト殿下のプロポーズはお断りになったのですか?」
「まさかぁ、ベレナ様は以前からナハト王子殿下のことをお気に召していらっしゃったでしょう?」
ベレナはジゼーヌの観察力に驚嘆した。
べレナは生徒会の仕事をナハトとやっていくうちに、優秀さや気遣いや優しさに触れ、叶わぬ恋心を抱いていたのだ。
しかし、ベレナはきちんとふまえることのできる淑女だ。気持ちは誰にも知られていないはずであった。
「それが恋愛本の王道ですからね! くふふ」
「まあ! ふふふ」「アハハ!」
楽しそうに笑うジゼーヌにベレナとナナリーは吹き出した。
「今日は、お二人とゆっくりお話ができる最後の日ですもの。ナハト王子殿下にはご遠慮していただきましたのよ」
ベレナは、卒業後一月ほどでナハトと婚約する手筈になっている。だが、一般向けにはまだ内密な話である。
「ははは。ナハト王子殿下より優先していただけるなんて嬉しいな」
あの事件からさらに騎士団に通い詰め益々凛々しくなったナナリーの笑顔で、女子生徒が憧れのため息をついていた。
「わたくしもベレナ様とナナリー様ともっとお話したかったのですわ。お二人ともネタの宝庫ですものね」
ジゼーヌは『ふふふ』と笑う。
「「ネタ?」」
「はいっ! わたくし、司書をしながら小説家を目指しますの。司書は小説家の勉強のためですのよ。オホホホ」
ベレナとナナリーは目を丸くした。
三人は軽食を持ち控室へ行った。そこには丸テーブルがいくつか用意されており、歓談している者たちはすでにいた。その中の一つに座る。
ローダン男爵を使っていた犯罪集団は身の危険をいち早く察し、口を封じるべく、スザンヌに殺し屋を差し向けた。ナハトはそれを待ち受けていたのだ。証人たるスザンヌを助け、殺し屋グループの数人を捕らえた。
アドムは殺人未遂とする証拠と殺しを請け負う者たちを捕えることが必要だろうと、わざと食堂から逃げるスザンヌを見逃していた。
がめついローダン男爵夫妻は、金目の物を集めているところ、団長より先に到着したアシャード隊に家を囲まれた。ローダン男爵夫妻にも殺し屋が回されており、アシャード隊に捕縛された。ローダン男爵夫妻はがめつさ故に命拾いしたと言える。
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ローダン男爵家はお家取り潰しだ。男爵、夫人、スザンヌ、使用人や商人も含めて、催淫剤を知る者たちは、男たちは鉱山送り、女たちは港町送りとなった。鉱山も港町も高い塀に囲まれて逃げることはできない。
女たちは港町で主に加工の仕事をさせられる。それで済めばいい方だ……。
彼らの給与は薬中毒を治療する人々や、薬で死亡した者の残された家族に使われる。その金額は莫大で彼らが鉱山から出られる日は来ない。
犯罪者集団のリーダー格三名だけは絞首刑となった。彼らなら脱獄もありえると判断されたのだ。
催淫剤を利用した犯罪であることは正式に発表され、副作用で廃人になることも発表した。それを踏まえて、改めて禁止薬物だと厳命された。
「やましい場所に行くからそんなものを使われるのだ。彼らは自分に甘かっただけ。そのような者が後継となるのは緩やかな没落を招くことになる。女性に捨てられて当然だ」
誰の言葉なのかは不明だが、この言葉が社交界で噂になった。そのおかげで女性に捨てられないように努力する男性が増えた。学園では、一時期でもスザンヌに心を奪われた者たちが死物狂いで勉学に勤しんだ。
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アシャード侯爵家は、サバルの姉の息子が後継者となることになった。サバルの姉は伯爵家に嫁いだが戦争未亡人になってしまっていた。伯爵家はアシャード侯爵家との話し合いで、幼い孫ではなく、すでに領地経営に携わらせている次男を後継者とすることを決め、サバルの姉は息子とともにアシャード侯爵家へ戻ってきた。
アシャード侯爵閣下は、孫を後継として鍛えるべく、益々若々しくなり張り切っている。孫はサバルよりは剣の才能はあるようだ。まだ幼いので知力はわからない。
モリト公爵家は、ライジーノの弟が猛勉強しているが、公爵夫人を狙う女性たちへの対応を勉強させる方が先かと、モリト公爵閣下は悩んでいるようだ。兄弟が二人とも女性で躓くとあっては問題だ。
とはいえ、まだ十四歳。来年度、学園へ入学だ。次男本人は、首席で入学するために頑張っている。
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事件から三か月後、卒業式の後、卒業ダンスパーティーが例年通り開催された。
ベレナとナナリーとジゼーヌはエスコートなしで入場してきた。
ナナリーはベレナに問うた。
「ナハト殿下のプロポーズはお断りになったのですか?」
「まさかぁ、ベレナ様は以前からナハト王子殿下のことをお気に召していらっしゃったでしょう?」
ベレナはジゼーヌの観察力に驚嘆した。
べレナは生徒会の仕事をナハトとやっていくうちに、優秀さや気遣いや優しさに触れ、叶わぬ恋心を抱いていたのだ。
しかし、ベレナはきちんとふまえることのできる淑女だ。気持ちは誰にも知られていないはずであった。
「それが恋愛本の王道ですからね! くふふ」
「まあ! ふふふ」「アハハ!」
楽しそうに笑うジゼーヌにベレナとナナリーは吹き出した。
「今日は、お二人とゆっくりお話ができる最後の日ですもの。ナハト王子殿下にはご遠慮していただきましたのよ」
ベレナは、卒業後一月ほどでナハトと婚約する手筈になっている。だが、一般向けにはまだ内密な話である。
「ははは。ナハト王子殿下より優先していただけるなんて嬉しいな」
あの事件からさらに騎士団に通い詰め益々凛々しくなったナナリーの笑顔で、女子生徒が憧れのため息をついていた。
「わたくしもベレナ様とナナリー様ともっとお話したかったのですわ。お二人ともネタの宝庫ですものね」
ジゼーヌは『ふふふ』と笑う。
「「ネタ?」」
「はいっ! わたくし、司書をしながら小説家を目指しますの。司書は小説家の勉強のためですのよ。オホホホ」
ベレナとナナリーは目を丸くした。
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