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理由12 貧乏だから
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この回は性的な表現が出てきます。苦手な方やお若すぎる方は飛ばしてください。
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ローダン男爵家は催淫剤を密輸密売していた。それはバフベニール王国では禁止薬物である。だが、ローダン男爵は隠れ蓑にされ、販売促進員にされていて、主犯ではない。スザンヌを殺そうとした者たちから主犯まで繋げることができた。
スザンヌは翌日聴取された。
聴取は騎士団の聴取室ではなく、客室に事務机が並べられて行われた。なぜなら、誑かされた三人の家族たちが話を聞きたいと希望したからだ。『家族たち』の中には王家も含まれる。
ただし、隣室で声は出さないことを約束させられている。スザンヌの聴取が今日だけで終わるとは思えず、スザンヌの協力が得られなくなることは避けたいためだ。
その部屋へ連れてこられたスザンヌは、昨日までの『可愛らしい顔にチャーミングな笑顔で手振りや動作は大きく明るい印象を与え、笑ったり拗ねたりとコロコロ変わる表情はいつまで見ても飽きない姿』ではなかった。あの三人が見たらあ然としたに違いない。
今日のスザンヌはふてぶてしく口元も歪めて笑っており、まるで稀代の悪女の様である。
スザンヌはこれまでのことを隠さずに話した。
家が貧乏だったこと。父親が悪い奴らに騙されてさらに借金が増え、その代わりに貴族に催淫剤を流行らせる役をさせられたこと。学園に入る時に一本盗んできたこと。
スザンヌの不遇はわかるが禁止薬物を使っていい理由にはならない。
スザンヌは男子三人をそれぞれデートに誘い出し、怪しい店の怪しいベッドで催淫剤を使っていた。ただし、使ったのは一度だけでそれも微量だという。それでも三人の男は、性行為の感触が忘れられずに堕落したのだった。婚姻前に体を許すご令嬢などスザンヌ以外にはいるはずもなく、当然お相手はスザンヌだけだ。
スザンヌの寮の部屋からほとんど使っていない催淫剤の瓶が押収されている。
「『私は男爵令嬢だから学園でしか高位貴族と話せない。思い出作りしたい』って甘えてやったら、ホイホイとデートに乗ってきたわ。ほら、あいつらの婚約者って完璧女ばかりでしょう。完璧女たちが甘えるわけないじゃん。だから私が甘えて弱くてカワイイふりしてあげたの。
で、ヤらせてやったら即オチよ。ほんとバカよね。
薬なんて必要なかったかもしれないけど、途中でビビられたら次がなくなっちゃうじゃない。薬入れちゃえば途中止めなんてできなくなるもの」
完璧女と甘言女。まさにそれこそが三人が陥落した要因なのだろう。
「三人もの男たちとどうするつもりだったのだ?」
「はぁ? 私の狙いはサバルだけっ! 二人は遊びっ!」
「マテルジ殿下は王家だぞ」
「だから何? あんなのべレナと結婚しなくちゃ爵位も仕事もないじゃないの。あれはただの役立たずでしょう? 王族のくせに私と同じクラスだなんて笑っちゃうわ。あれが国王になんてなれるわけないじゃない。
『王族とヤッた』って話がほしかっただけよ」
「モリト公爵令息は? ジゼーヌ嬢を嵌めようとしたのだろう?」
「あれは、ジゼーヌがたまたま隣にいたから名前をだしただけ。私が被害者になれるなら誰でもよかったのよ。ライジーノが近くにいたのも偶然。誰かが『スザンヌがイジメられている』ってサバルに告げ口してくれればそれでよかったの。後から『やったのはナナリーの友人だ』ってサバルに言うつもりだったし」
聴取係が顔を歪める。そんな理由で冤罪をかけられた方は堪らないだろう。
「でも、あっち―性交渉―の方は、ライジーノが一番上手かったから、回数は一番多く付き合ってやったわ。ねちっこくって、私の様子を見ながらするから私もイケるのよ。
だけどねぇ。ライジーノは性格が暗すぎて普段は一緒にいられないのよね。だから結婚は無理」
性的な話を自らしてきたスザンヌに対して、近衛たちは口を開けた。
「マテルジは早いだけ。ヤラせる分には早いのは楽だからいいけど、演技は面倒よね。
サバルは単調なのよねぇ。でもね、サバルの単調は調教している最中なの。ふふ、頑張ってくれていたわよぉ。
女も気持ちよくならなきゃ損でしょう? サバルが私好みのテクニックを持っていくって快感だったわぁ」
聴取を書き留める係の若い近衛が吐き気を催して外に出た。
「ふんっ!」
スザンヌは鼻で笑う。自分より若い女の子の話で吐き気がするようではぬるい。スザンヌが笑って当然である。
中年の近衛が入ってきて書き留め係の机についた。聴取が再開される。
「では、ナナリー嬢にぶつかろうとしたのはわざとなのだな」
「あいつ、運動神経良すぎでしょ!? ほんとどんな鍛え方したら手摺りから着地できるのよ。軽くぶつかって落ちるはずだったのに空振りで私が一人で落ちちゃったわ。
サバルは勝手に怒ってくれたらから作戦は成功だったけどねぇ」
確かにべレナに対しては、スザンヌから『冤罪にされるようなこと』はしていない。マテルジがべレナに怒鳴り込んだだけだ。
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ローダン男爵家は催淫剤を密輸密売していた。それはバフベニール王国では禁止薬物である。だが、ローダン男爵は隠れ蓑にされ、販売促進員にされていて、主犯ではない。スザンヌを殺そうとした者たちから主犯まで繋げることができた。
スザンヌは翌日聴取された。
聴取は騎士団の聴取室ではなく、客室に事務机が並べられて行われた。なぜなら、誑かされた三人の家族たちが話を聞きたいと希望したからだ。『家族たち』の中には王家も含まれる。
ただし、隣室で声は出さないことを約束させられている。スザンヌの聴取が今日だけで終わるとは思えず、スザンヌの協力が得られなくなることは避けたいためだ。
その部屋へ連れてこられたスザンヌは、昨日までの『可愛らしい顔にチャーミングな笑顔で手振りや動作は大きく明るい印象を与え、笑ったり拗ねたりとコロコロ変わる表情はいつまで見ても飽きない姿』ではなかった。あの三人が見たらあ然としたに違いない。
今日のスザンヌはふてぶてしく口元も歪めて笑っており、まるで稀代の悪女の様である。
スザンヌはこれまでのことを隠さずに話した。
家が貧乏だったこと。父親が悪い奴らに騙されてさらに借金が増え、その代わりに貴族に催淫剤を流行らせる役をさせられたこと。学園に入る時に一本盗んできたこと。
スザンヌの不遇はわかるが禁止薬物を使っていい理由にはならない。
スザンヌは男子三人をそれぞれデートに誘い出し、怪しい店の怪しいベッドで催淫剤を使っていた。ただし、使ったのは一度だけでそれも微量だという。それでも三人の男は、性行為の感触が忘れられずに堕落したのだった。婚姻前に体を許すご令嬢などスザンヌ以外にはいるはずもなく、当然お相手はスザンヌだけだ。
スザンヌの寮の部屋からほとんど使っていない催淫剤の瓶が押収されている。
「『私は男爵令嬢だから学園でしか高位貴族と話せない。思い出作りしたい』って甘えてやったら、ホイホイとデートに乗ってきたわ。ほら、あいつらの婚約者って完璧女ばかりでしょう。完璧女たちが甘えるわけないじゃん。だから私が甘えて弱くてカワイイふりしてあげたの。
で、ヤらせてやったら即オチよ。ほんとバカよね。
薬なんて必要なかったかもしれないけど、途中でビビられたら次がなくなっちゃうじゃない。薬入れちゃえば途中止めなんてできなくなるもの」
完璧女と甘言女。まさにそれこそが三人が陥落した要因なのだろう。
「三人もの男たちとどうするつもりだったのだ?」
「はぁ? 私の狙いはサバルだけっ! 二人は遊びっ!」
「マテルジ殿下は王家だぞ」
「だから何? あんなのべレナと結婚しなくちゃ爵位も仕事もないじゃないの。あれはただの役立たずでしょう? 王族のくせに私と同じクラスだなんて笑っちゃうわ。あれが国王になんてなれるわけないじゃない。
『王族とヤッた』って話がほしかっただけよ」
「モリト公爵令息は? ジゼーヌ嬢を嵌めようとしたのだろう?」
「あれは、ジゼーヌがたまたま隣にいたから名前をだしただけ。私が被害者になれるなら誰でもよかったのよ。ライジーノが近くにいたのも偶然。誰かが『スザンヌがイジメられている』ってサバルに告げ口してくれればそれでよかったの。後から『やったのはナナリーの友人だ』ってサバルに言うつもりだったし」
聴取係が顔を歪める。そんな理由で冤罪をかけられた方は堪らないだろう。
「でも、あっち―性交渉―の方は、ライジーノが一番上手かったから、回数は一番多く付き合ってやったわ。ねちっこくって、私の様子を見ながらするから私もイケるのよ。
だけどねぇ。ライジーノは性格が暗すぎて普段は一緒にいられないのよね。だから結婚は無理」
性的な話を自らしてきたスザンヌに対して、近衛たちは口を開けた。
「マテルジは早いだけ。ヤラせる分には早いのは楽だからいいけど、演技は面倒よね。
サバルは単調なのよねぇ。でもね、サバルの単調は調教している最中なの。ふふ、頑張ってくれていたわよぉ。
女も気持ちよくならなきゃ損でしょう? サバルが私好みのテクニックを持っていくって快感だったわぁ」
聴取を書き留める係の若い近衛が吐き気を催して外に出た。
「ふんっ!」
スザンヌは鼻で笑う。自分より若い女の子の話で吐き気がするようではぬるい。スザンヌが笑って当然である。
中年の近衛が入ってきて書き留め係の机についた。聴取が再開される。
「では、ナナリー嬢にぶつかろうとしたのはわざとなのだな」
「あいつ、運動神経良すぎでしょ!? ほんとどんな鍛え方したら手摺りから着地できるのよ。軽くぶつかって落ちるはずだったのに空振りで私が一人で落ちちゃったわ。
サバルは勝手に怒ってくれたらから作戦は成功だったけどねぇ」
確かにべレナに対しては、スザンヌから『冤罪にされるようなこと』はしていない。マテルジがべレナに怒鳴り込んだだけだ。
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