【完結】想い人の婚約者になるまで、自分を偽装します。

MAYY

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ここがオーレンお兄様にフレリー様が毎日過ごしてるとこか。
あの二人のことだ。絶対に人気があるに違いない。
来年は私も入学するし学年は違えど被るから学園生活フレリー様の勇姿を沢山眼写しなければ。むふふふふ。

「…………というわけで、今日は二年の特進クラスに授業体験をしてもらう。」

なんですって!?
二年特進と言えば……オーレンお兄様とフレリー様のクラスだったはず。
今から会えるってこと?なんだこの嬉しいサプライズは。
教室で座ってるフレリー様を拝めるなんて最高だ。むふふ。

しかし、私って浮いてるんだろうか?
身なりはそれなりにしっかりしてるつもりだけど、さっきから周りの視線を猛烈に感じて嫌なんだけど。

「おい、お前名前は何て言うんだ?」

大きな声が響き渡ってざわざわしてた周りが一瞬で静まり返った。
声の主は赤髪に金色の瞳で美少年だったが、言い方からして傲慢さが漂ってる。
オーレンお兄様とフレリー様を見慣れてる私は特になんとも思わないけど周りの令嬢達は目がハートになってる。

「名前を教えろ。」

誰か呼ばれてるよ?
可愛そうにあんな言い方だとイラッとくるよね。
さっさとフレリー様に会いに行こ~。

「きゃっ。」

歩きだした矢先、腕を引っ張られ危うく転びそうになった。
引っ張った張本人を見るとあの赤髪野郎だ。

「お前は誰だ?」

「腕を離してください。」

怒りを抑えながら一言いうと手を離してくれたが、謝りもしない失礼な赤髪野郎。

「私のこととは思わずすみません。早く体験に行きたいので皆さん移動しましょう。」

こんなやつに名前を呼ばれたくないので教えない。
最近マスターした淑女に必要な微笑みを浮かべ、早く行こうよと急かす。
私の頭はフレリー様フレリー様の大合唱中。

「お前、俺の側にいろ。」

はぁ??何言ってるのこの人。
嫌に決まってるじゃん。
聞こえないふりして歩きだすと、後ろで何か言っていたが知らんぷりをした。




教室で一緒に授業を受けるなんて夢みたい。
どこに座ってもいいってことでオーレンお兄様とフレリー様の前を即座にゲットし、後ろから漂うフレリー様の匂い、吐息を見逃すまいと授業そっちのけで気合いをいれまくった。

「無視するな。」

そう、横にあの赤髪野郎がきたからマジうざい。

「お前のような綺麗な髪は初めて見た。」

言いながら触られそうになってきたから、気持ち悪くて

「私語はしない方がいいですわ。それに女性の髪を触っていいのは婚約者だけですわ。」

淑女の笑顔を張り付けて怒りをださないように言うのに苦労する。

「なら、俺の婚約者になってくれ。」

えーー。

「嫌ですわ。」

心から嫌だと冷たい声がでてしまった。
目を見開いて赤髪野郎は固まった。

「俺の婚約者になりたい令嬢は沢山いるのに………。」

自分自信ありなんだね~赤髪野郎は。
私は一ミリも興味がないけどね。
ていうか、話しかけないでほしい。
フレリー様に集中したいのにさ、マジ邪魔なんたけど。
話すならフレリー様と話したい。

「二人とも静かに。」

最悪だ。フレリー様に注意されたじゃない。
赤髪怨めしいったらない。睨み付けると赤髪は後ろのフレリー様を見て青ざめて固まっていた。
もう、赤髪最悪だ。
笑顔で注意してくれてるが、目が笑ってないからこれは心底怒ってる状態だね。
授業の邪魔してごめんなさい。と素直にあとで謝ろう。


体験中ずっとずっと側から離れようとしない赤髪にうんざりだ。
このまま家の馬車に乗れば家名がバレてしまう。
それは絶対に阻止しなければ。
見学の振りして校舎をうろちょろしてどうに撒けないか悩んでいると、不意に腕を引っ張られた。

訳がわからず一瞬抵抗を試みたが、安心するフレリー様の匂いで素直に抱き締められていたので抱きついた。
なになに?この美味しすぎる状況は。
気を抜くとヨダレが出そう。しっかりしなければ淑女たるものヨダレは絶対駄目だ。
でもでも、こんな機会ないから沢山フレリー様に触りまくりたい。
スンスンスンスンと静かな部屋に私の荒い息が響くことに気づかずめちゃくちゃ吸いまくった。

「ああ、安心するなぁ~。」

思わず心の声をだしてしまって慌ててフレリー様を見上げるとクスクスと笑われてた時、

「おい、いなくなったぞ。どこに行ったんだ?探せ。」

廊下からどうでもいい声が聞こえてきて私のフレリー様タイムを邪魔した事が許せん。
聞こえた声にフレリー様の笑顔が真顔になった。
ふふっ。フレリー様も赤髪野郎が嫌いなんだね。

「リンネ、相手にすることないからな。」

「もちろん、名乗ってもないですわ。赤髪野郎、しつこくてウザいんですもん。せっかくのフレリー様とオーレンお兄様との授業体験だったのに……。」

「ははっ。赤髪野郎か。いいなそれ。リンネは可愛いからな~心配だ。」

こんな密着して抱き締められここは誰もいない教室。
シチュエーション最高なうえに、好きな人からは『可愛い』と言われた。
可愛い可愛い可愛い………フレリー様の声が頭の中で繰り返される。

「ほんとに?ほんとに?フレリー様私可愛いですか?」

容姿に自信なんてない。
今日だって周りの人からジロジロと視線を感じたが話しもかけられなかった。………赤髪野郎を除いてだが。
私が聞き返すとフレリー様が一瞬で目を細められて

「リンネは誰よりも可愛いよ。これから学園でリンネの視野は広がると同時に令息達に可愛いリンネの存在を知られるのは嫌だな。」

聞きました?言いましたよね?
フレリー様の声で『私が誰よりも可愛いよ』と。
いやぁぁ、最高過ぎる。
鼻血が出そうだ。

「ふふ。誰も相手にしてくれないと思いますわ。今まで視線を感じても声かけられることはなかったから今後もそんな感じだと思います。」

「わかってなくて心配だ。」

「?????」

首をかしげながら見つめてると、私の髪を一房取って口元に持っていきキスを落としながら

「リンネは俺の事だけを見てればいいからな。」

どうやら私をキュン死にさせたいらしい。
フレリー様の言葉が頭で何度も何度も繰り返され、もう頭の中までもキュンキュン止まらない。

「はい、勿論ですわ。」

即座に答えた私を見ながらフレリー様は少し安堵したように見えた。

直後にオーレンお兄様もやってきて、あの赤髪野郎は第2王子と知って少し……嫌かなり厄介だと悟った。
私の髪を触ろうとした不届きなやつ。
私に触っていいのは家族とフレリー様だけなんだから。



フレリー様が私をメロメロにした言葉を思い出してはにやけ思い出してはにやけ………と繰り返してたら眠れないどころか興奮して、フレリー様の匂いが近くに感じられるような錯覚が起きまた興奮して………朝日が眩しかった。


さぁて、不安要因は排除だ。
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